眠い、助けて……
俺がトレーナーをしているウマ娘は二人いる。
一人はダイワスカーレット、いつもツンケンしており、一番になる事を第一置いて行動をしているウマ娘で、焚き付けやすい性格をしている。もう一人はアグネスタキオン、目の隈がトレンドマークの科学者風のウマ娘で、基本何を考えているか分からない性格をしており常に変な薬を作っている変人ウマ娘ではあるものの実力は申し分ない。で、なんで、その二人の担当する事になったかって言うとちょっとした学園の人材不足で二人の担当する事になったんだよ……まぁ、良いんだけどさ
「さて、今日はどうするか……」
今日の練習のメニューを何にするか学園の廊下を歩きながらも悩んでいた。その矢先、タキオンが珍しく自分の研究室を出て周囲を見渡しながらも歩いているのを見つける。
「どうした、何か探しているのか、タキオン?」
「やぁ、モルモット君、スカーレット君を見なかったかい?」
声をかけてこちらを見たタキオンに頭の中で疑問符が浮かぶ。え、こいつ、スカーレット探しているって事は、こいつなんかやったのか?
「おい、ダイスに何やったんだよ、タキオン」
「何やったも単純に薬を飲んでもらったんだよ」
「いや、その薬が怖いんだよ」
顎に手を添えているタキオンにツッコミ返していると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「ウォッカだ!大きいウォッカだ!!」
「お、おま、スカーレット!?」
声が聞こえた方を見ると、廊下の先で幼くなったスカーレットっぽい見た目の幼女がウォッカの周りを楽しそうに走り回っているのが目に入る。ん?あれ、スカーレットなのか?
「あれ、なんか、凄いことになってないか?」
「あぁ、確かに、凄いことになったな」
まるで他人事のように振る舞っているタキオンの方を見る。
「いや、お前、本当、なーにやったんだよ、タキオン」
「ん?あぁ、スカーレットが少しでも素直になれる様に薬で少しばかり精神退行と身体的にも退行させたらあぁなった」
薬でそんなことできるんかー科学ってすげーなーって、おいマジか、てか、待て、あれ本当に、スカーレットなら……
「おい、ちょっと待て、タキオン、こういう時、元の体に戻ったら記憶残ってる事が大半だろ、なんかヤバい予感がするんだが……」
「さぁ、どうだろうね、そんな実験記録はないからなんとも言えないな」
「まーじか、怖いなー」
「あ、彼女もこっちに気がついたようだね」
ウオッカ達のいる方にタキオンが指を刺しそれに釣られて彼女達の方を見る。こちらを見つけていたスカーレットが屈託のない笑みを浮かべながらもこちらに向かって走って来ているのが目に入る。
「トレーナーさーん!」
ある程度近づいた所で幼女化したスカーレットが地面を蹴り飛び付いてくる。
「おぉー本当に素直になってるな」
幼女化したとは言えウマ娘、下手したらスクーターかそれ以上の勢いで来るので、倒れないように踏ん張りながらもどうにか受け止める。
「えへへ、トレーナーの匂いがするー」
「おい、あんまりそう言うのは嗅ぐもんじゃないぞ」
にへへと顔をこちらに向け普段では見せることのない笑みを見せてくる。あの、ツンケンしかしていないスカーレットがここまで素直になるとはなぁ……あれ、でも、この服って何処から仕入れたんだ?
「なぁ、タキオン、このダイスの服はどうしたんだよ?」
「ちょっと、裏の伝を使って入手した奴だ」
「裏の伝って何やったんだよ」
ツッコミ返していると、ボンッといきなり煙が立ち込める。それに驚いている内に煙が晴れ、腰に手を回して抱きついていたスカーレットがいつもの姿になっていた。それも、急に大きくなったせいで着ていた服を半壊させ、半裸状態で……
『あっ』
「……あれ、私……」
こちらを見て少し呆然とした様子のスカーレットはこちらを見て、自身の体を見て目を何回も瞬かせた後、バッとこちらの腕から離れる。それから、自分の恥部腕で隠す様に身を抱きしめフルフルと体を震わせ始める。
「と、とぉれぇなぁ……みたぁ?見てたらコロス」
こちらを殺気が篭った赤い目で見てくる。それはまるで、蛆虫を見ているような様な目で本能的な危機を感じる。やばい、これは、やばい奴だ!
「こ、これ、殺される、ゴルシ秘伝のドロップキックされて殺される奴だ!」
「モ、モルモット君!そんな事言ってないで私の研究室に置いてあるスカーレット君の制服持ってきてもらえるかい!?その間、私が彼女を押さえておくから!」
少し焦っているタキオンに頷いた後、急いでタキオンの研究室に向う。
「待ちなさい!とれぇなぁーーー!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そんな絶叫がトレセン学園に響くのだった。