ワシントンとの一幕
「…なぁ指揮官」
「ふぁに?」
「…あたしってそんな笑顔怖いのかな」
「…え?」
ハンバーガーを食べる手を止めてその方向を見る指揮官
因みに今食べているハンバーガーで10個目である
その視線の先には同じく頼んだアップルパイに手を出さず、何処ぞのアニメの司令の如く腕を組み、すごく深刻そうな雰囲気を醸し出しているKAN-SENであり、指揮官の伴侶でもあるワシントンがいた
世界で一番愛しているといっても過言ではない自身の嫁の言葉に、思わず指揮官も居住まいをただす
「…なんでそう思ったの?」
「いや、さっきのが‥な‥」
「さっきのって…あぁ、あれね‥」
自身の嫁がへこんでいる理由を察知し、思わず指揮官も苦笑いした
「なぁなぁ、お嬢ちゃん、俺らと一緒に遊ぼうぜ?」
その時、指揮官はチンピラ達に絡まれていたが、何のアクションも起こさないまま端末を弄っていた
それを良い気にしたチンピラ達はひたすら絡み続ける
まぁまじめな話で、指揮官も軍人のため今絡んできているチンピラ如きは1秒あれば簡単に制圧できるのだがそれをやろうという選択肢はなかった
単純な話、面倒くさいからである
とはいえこのまま絡まれ続けるのも面倒くさいため、さっさと離れようとする
「生憎約束があってね、あんたらみたいなチンピラとかかわってる暇ないの、そのちっぽけな頭でも理解できたならさっさと消えて」
と言ってその場を去ろうとしたが、チンピラに腕をつかまれる
「なぁ、調子乗るのも大概にしろよ?これが見えねぇのか?あぁ?」
そう言って懐からナイフを取り出して見せつけてくるが、正直普段からセイレーンの戦闘を陣頭指揮している指揮官からすればおもちゃにしか見えない
なので、男たちの血走った眼を見て、(クスリやってるなぁ)と思うぐらいは余裕であった
とはいってもこのまま放っておけば目の前のチンピラ達がろくなことをやらないのは目に見えているし、周りの民間人にも被害が及ぶ恐れがあるため、仕方なく叩きのめそうかと指揮官が思っていると
「おい、指揮官からその薄汚ねぇ手を放せ、チンピラ共」
次の瞬間、滅茶苦茶ドスの利いた声が聞こえたかと思うと、チンピラの手を掴むもう一つの腕
「あぁ?うるせぇんだ…ぐぁぁぁぁ!?」
初めは乱入者を怒鳴りつけようとしたが、途端にそれが悲鳴に代わる
まぁ、ミシミシミシっ…となりながら腕を持ち上げられればそりゃそうなる
そうして指揮官の腕からチンピラの手が離れたのを確認すると、まるでごみを捨てるかのようにチンピラを放り投げる彼女…ワシントン
KAN-SENである彼女の力によって放り投げられたチンピラは、文字通り宙を飛ぶ形になり仲間を巻き込んで壁に激突した
「失せろ、二度と顔見せんな」
たった一言ではあったが、殺気が籠っていた為、チンピラ達は退散したのだが、問題はその後に起きた
その殺気に当てられた子供が泣き出してしまったのだ
指揮官とワシントン、その子供の親が色々とした結果、何とか泣き終わったのではあるが、その時の周りにいたギャラリーが
「どっちがチンピラか分かったもんじゃないな‥」
「あの笑顔見た?きっとマフィアか何かなのよ‥」
等、好き勝手なことをほざいたのであった
そんなギャラリーを指揮官は殴り飛ばしたい衝動に駆られていたが、辛うじて我慢してその子供に謝罪した後、その場をワシントンと後にした
(因みにチンピラ達は、密かに二人についてきていたKAN-SEN達によって叩きのめされ、警察に引き渡されたとか)
「あんまり気にしない方が良いんじゃない?怖いって言っても一部の連中の意見なんだから」
ハンバーガーを頬張りながらそう言う指揮官だったが
「でも子供泣かしちまったし‥それに指揮官にも迷惑掛けちまったし‥」
そう言って更に落ち込んでいるワシントンだったが、
「‥‥ていっ!」
その時、指揮官がワシントンのおでこ目掛けてデコピンを放った
不意討ち気味だった為、もろに食らうワシントン
「痛っ!何するんだよ!」
思わず額を押さえて抗議するワシントン
かなり痛かったのだろう、目が涙目になっている
「うん、眉間の皺が取れた」
「は?」
笑顔でそう言う指揮官に思わずそう言ってしまうワシントン
「いや、さっきまでワシントンって眉間に皺が寄ってたからね、そんなのワシントンらしくないからさ」
「あたしらしさ?」
そう、と言って残ったハンバーガーを口に放り込む指揮官
それを飲み込むと
「真っ直ぐで負けず嫌い、そして若干荒っぽいけどちゃんと敬語とかスマイルを覚えようと努力してて、ノースカロライナには逆らえない、そしてツンデレに見えるけど実はデレデレ」
「だ、誰がデレデレだ!」
思わず顔を赤らめながら立ち上がってそう抗議するが、周りからの視線を気にして座り直すワシントン
それをニヤニヤしながら見つめた後、それに、と言ってポテトを咥える指揮官
「誰になに言われたって気にしなくて良いよ、私が惚れてるのはワシントン、貴女なんだからさ」
「‥そうかよ」
そう言ってアップルパイを食べ始めるワシントン、その顔はどこか赤いが、先程までの険しい顔はしていない
それを見た指揮官は満足したようで、咥えていたポテトを食べようとしたが
「‥んむっ!?」
アップルパイを食べていた筈のワシントンが指揮官が咥えていたポテトごと唇を重ねてきた
「‥‥ぷはっ、ポテトも上手いな‥どうした?そんな顔真っ赤にして?」
「‥人前でやることじゃないでしょ」
顔を隠しながらそう言う指揮官ではあるが、その顔は隠していても分かる程に真っ赤になっている
それを確認したワシントンは呆れるようにため息をつく
「いつになっても初心だよなぁ、指揮官って」
「‥ワシントンもそうだったじゃんか」
「最初はな?けどもうケッコンして半年近く経ってるんだからいい加減慣れてくれよ」
「‥慣れないものは慣れないの」
うぅ‥とうめきながらポテトを食べる指揮官
そう、この指揮官、ワシントンとケッコンしてから半年近くが経っているのに未だに初心な反応をするのである
夜のあれこれはともかく、手を繋ぐという行為すら、未だに顔を赤くするほどである
なお、それを見ている同じ基地のKAN-SENは、暖かい目で指揮官を見守っている
因みにこれを聞いた重桜の指揮官(土佐嫁)は呆れていたとか
「全く‥ユニオン指折りの指揮官で、相手が上官だとしても最低限の敬語を使う以外は普通に接して、面倒くさい事には余程の事がない限り腰を上げないが一度腰を上げると徹底的にやる、上官でも無謀な命令だったら平気で逆らうという世間の評判の指揮官が、実は恋愛に関しては滅茶苦茶初心なんてな」
先程の仕返しのようにワシントンがそう言うと、指揮官がジト目で睨んでくる
「‥ほっといてよ」
「まぁそんな所にあたしは惚れたんだがな」
ワシントンがそう言うと、指揮官は顔を赤くしながら
「‥早く食べよう」
と言って残りのハンバーガーとポテトを食べ始める
それを見ていたワシントンは、相変わらずだなぁと思いながらも、自身が頼んだアップルパイを食べ始めた
ワシントン持ってないけど多分こんな感じたと思う
後あんなに食べて太らないのかと思うかもしれませんが、指揮官は女性のとある部分に栄養が行くので問題ありません