夢は、深層心理を映し出す鏡のようなものだという。己の願望を、感覚や理性をすべて抜いた原液のまま吐き出すものだという。それがどんなに醜くて浅ましくて愚かだとしても、だ。また夢を見て、ゆっくりと目を見開いて現実に帰って、最初に頭に浮かんだのは、そんなある種の常識だった。
トレーニングをしていた夢だった。その光景は細部まで、知っていることだから夢の中でも鮮明だった。いつものグラウンド、いつものチームメイト、いつものトレーナーさん、いつもの空気、あらゆるいつものもの。それが私にとって、やはりどれだけ大事なものなのか。きっと夢が伝えたかったのは、そういうことなのだろう。
だけどその上で、夢はもう一つの景色を見せた。そんなすべてがリアルな夢から、急速にアンリアルに飛んでいった。いつもの光景、そこに吹く風のにおいすら夢の中で思い出せるほどの慣れ親しんだ日常。それを、壊す夢だった。大好きなトレーニングの時間を置き去りにして、トレーナーさんと二人で抜け出して。そして、誰にも見られずキスをする。それが私の深層心理、どうしようもない願望なのだと告げる夢。そんな夢、だった。
しばらくベッドの上で半分布団をかぶりながら、私はその夢について考えてしまっていた。トレーナーさんのことを考えるようになって、この恋に気づいて、それから見るようになったあなたとの夢。私の恋を後押ししてくれていると思っていたそれの最高潮を、昨晩私は私に見せた気がしたから。そう、最高潮。私の、心の底からの望み。
指先まで絡めて、手を繋ぎたい。少し背伸びをして、キスをしたい。それだけ。それだけあれば、今の日常が消え去っても構わない。それだけ。刹那的な、身体の触れ合い。それさえ、ほんのそれだけあれば。
私の恋は、その瞬間に満足してしまうんじゃないか。日常を不可逆にして、一度の悦楽のみを求めて、それで終わり。浮かれてばかりの初恋が、今まで私の恋を表現してきた夢の世界が。全部全部を満たしてくれると信じていた、幸せが。甘くて深かったはずのそれが、ひどく薄っぺらく感じられた気がした。私自身より正直な己の深層心理そのものが、自分で自分をそう断罪したのだから。
空は青い。とてもキレイだ。でももしかしたら私の気持ちは、全然キレイじゃなかったのかもしれない。
そう思った。
※
目覚めた後の日常は、当たり前のようにいつも通りだった。学園への道のり、教室の風景、友達との挨拶、あくびをしながらの授業。そのどれもが見慣れたものだけれど、だからこそ自分にとって大切なのだと気づいた。改めて、だけど。恋よりも、と思ったのはきっと初めてだった。
手を繋ぐ夢。キスをする夢。日常から離れていく夢。一見幸せそうで、だけどどれも実感のない夢。そのどれもこれもが本当に私に告げていたのは、私の恋は即物的なものに過ぎないんじゃないかってこと。これ以上にないくらい具体的な日常と、なにもかもが描きかけのキャンバスみたいに曖昧な恋。その差を歴然とさせる、夢。
変化とは積み重ねだ。今まで何度も知らなかったことを新しく知ることでそのありがたみを知り、仮定とは違う結論に辿り着けた。私一人の先走りなんて、だいたいちっぽけで袋小路にしか辿り着けない。唯一私にできることがあるとしたら、そんなふうに己の過ちに気づいてやることだけだった。
今の日常こそ、積み重ねだ。最初はこんなふうじゃなかった、そう思っていたものの最たるものだ。だけどずっとずっと過ごしてきて、こんなにかけがえのないものに変わっていった。
そうだ、そうだったじゃないか。恋にうつつを抜かして、私はとても大切なものを忘れていたんじゃないか。手を繋ぎたいとか、キスをしたいとか、知りもしないものに憧れて、わかりやすい欲望で心を満たして。恋は盲目というけれど、本当に大事なものを見落としていたんじゃないか。
今ある日常はこれからも、確実に続けていきたいものなのだ。それだけじゃない、もっともっと積み上げていきたいものなのだ。それなのに、それに満足しようとして。それなのに、それを壊してもいいとさえ思っていたなんて。午前の授業の終わりまで、私はそんなふうに世界を顧みていた。今まで私が、トレセン学園に来てからの私が、私の変化と成長が作った、私だけの世界を。
「……セイちゃん、大丈夫? 手、止まってるよ」
「ああごめんスペちゃん。いや何、考え事をしてただけだよ」
昼休みの食堂で、いつもの五人で昼食を食べる。スペちゃんに注意されてしまった通り、まだ私は思考を広げ続けていた。でもやっぱりこれが、私の日常。スペちゃんとグラスちゃんとエルとキングがいて、それだけで楽しい。だけどそれだけで楽しいのは、長い長い積み重ねのおかげ。勝ち負けや友情といった色々なものが、ここにある関係には詰まっている。そう、だからこそ尊いのだ。
確かに私は、大人になった。少しは世界の見え方も変わったし、感じ取り方も変わったのだろう。だけど大人が間違えないなんてことはあり得ないと、それくらいのことは私でも知っている。大人だからといって全てを変えてはいけないと、しっかり大人になれたからわかっている。
つまり、そういうことだ。ここ数日、ずっと気持ちは初恋でいっぱいだったけど、当たり前のように、私の周りには大切にしたい日常がたくさんあって。多分、それを蔑ろにしていた。もちろんそれ自体が間違いだとは言わないけれど、それをすべてにしていいなんてのはきっと間違っていた。どんなに大事なものさえ捨て去っていいなんてのは、恋心の暴走としか言えないのだ。
(そういうこと、だよね)
声には出さず、確認を取る。確認する相手は自分自身だから。あんな夢を見た、自分自身だから。私の恋は、そんなに大層なものじゃない。そう、夢が教えてくれた。ずっと教えてくれていて、ようやく気づけた。手を繋ぎたい、キスをしたい。色々思っているふうに見せかけて、本当はそれだけ。好きだって気持ちがどんなに大きく見えても、本当に触れた瞬間しぼんでしまうのだろう。どんなに深くて大きくて苦しいものでも、きっと私はそれだけだったのだろう。
あなたを苦しみの理由にはしたくない。それは、今でも思うこと。
あなたを想うだけで幸せ。それも、今でも思うこと。
だけど、わかってしまったのは。
だからこそ、あなたとの日常も壊したくないということだった。
動物的に求めて、今あるものを壊して満足して、それで満足してしまいそうな私が、きっと怖かった。
やっぱり今でさえ胸が張り裂けそうなほど、好きだから。その気持ちは、消したくないから。この恋が薄くて浅いものだなんて、証明したくないから。
大切にしたい。好きでいたい。なら、これ以上は。
あれだけ好きでいっぱいで、押しとどめたくないと思っていながら。それが深層心理の欲求だと、虚なキスを何度も頭の中でリフレインしてさえいながら、なお。
何よりも私が願うのは、ただ一つ。
あなたという私にとって大切な存在を、そんなふうに消費されてほしくないということ。たとえ、私自身であっても。
やがて午後が来る。放課後が来る。その後のトレーニングは、きっといつも通り楽しい時間だ。
いつも通り。いつも、通りだ。
※
秋も終わり頃、日が落ちるのはそれなりに早い。とはいえそれでトレーニングを早めに切り上げるなんてことがないのも、まあよくよく知っている。チーム<アルビレオ>はそういうところ。トレーナーさんは、そういう人。
「よーし、全員でコースもう一周だ!」
というわけで、いつものようにスパルタトレーニングだった。……まあ、今ばかりはありがたい気持ちはある。やっぱり、あなたの顔をまともに見れる気はしなかったから。どんなに考えて、どんなに決心のようなものをしても、やっぱり私の心はどうしようもなくときめいてしまう。恋とはそういうもので、理屈がないというの真実なのだろう。
だけど、もう一つはっきり考えられたことはある。やっぱり私は、トレーナーさんとの関係を大切にしたいということ。ドリーム・シリーズという二人がかりの夢。二人だけの、特別に目指すもの。私たちを強く結びつけるものは、とっくのとうに存在しているのだ。それもこれまでの積み重ね。これからも、大切にしなきゃいけないもの。もし私の恋心がもっとも脅かすものがあるとすれば、これに決まっているのだから。
「よーし、お疲れ様! みんな、少し休んでいいぞ!」
振り向かず耳だけでその声を捉えて、壁際に座り込んで他のチームメイトと共に休憩する。息を切らせて、肩を揺らして。ハードなトレーニングなぶん、やっている間少しは思考を麻痺させられる。それは多分ありがたいことだ。
ふう、と息を吐く。このまま乗り切ろう。空を眺めて、夜を迎えて。その繰り返しにしよう。それで十分、幸せだ。十二分に、特別な時間だ。
そう、思った。何事もなければ乗り切れる、そんなふうに僅かに気持ちを落ち着けられた、その時だった。
ずさり、砂の上から立ち上がる音がする。規則正しい足音が、遠くで立つトレーナーさんの方に向かうのが見える。トレーナーさんの方なんて見るつもりはなかったのに、思わず目を向けてしまう。そちらへ向かう彼女の佇まいは、いつもよりも更にしっかりとした歩みだったから。
「トレーナー、一周タイムを測ってもらえるかしら。1200m、スプリント」
私のよく知る、キングヘイローというウマ娘。先程のトレーニングの疲れも抜け切らないままに、そんな提案をトレーナーさんに行っていた。私の知る彼女らしい、無茶で予想外の提案を。
「1200mか。短距離路線、本当に挑戦するんだな」
「当然でしょう。やるからには手段は選ばない、全ての道を模索するの。それが私、キングヘイロー」
そうキングが言う通り、今のキングは従来の中長距離路線から離れたレースに挑戦している。マイル、短距離、そんな新しい道を選んでいる。今まで彼女が積み重ねてきたものとは、別の挑戦だ。
「よし、いいぞ! 練習熱心なウマ娘は大歓迎だ!」
「なら、お願いするわ。併走は要らない。私一人でどこまでやれるか、試す」
そう言って、スタートラインに着くキング。それに嬉しそうに対応するトレーナーさんの声と表情が、心臓の奥に焼き付いてしまった気がした。
一分とちょっと。その間のキングの全力疾走と、それを真摯に見つめるトレーナーさんを見て。
何故だか、胸が苦しくなった。
今までの甘い痺れとは、別のものだった。
「……はあっ、はあっ……! どうかしら、トレーナー……っ?」
「……今までで一番いいタイムだ。これなら本当に、短距離路線でのGⅠ勝利も夢じゃないかもしれない」
「そう、かしら……。ふふっ、やった、わね……!」
息も絶え絶え、やっぱりちゃんと休みもせずに走ったキングはそれなりにぼろぼろだ。でもトレーナーさんが言うには、これが今までで一番いいタイム。無茶だろうと恐れず進んだ結果、キングは新しい手応えを掴んだということ。それは素直に喜ばしいことだと思った。
そこまでは、そう思った。けれどその次のトレーナーさんの言葉が、私の心の靄を暴く。
先程胸に抱えた苦しみの正体を、隅から隅まで詳らかに。
「よくやったな、キング。偉いぞ、君ならいつか必ず勝てる」
「ええ、ありがとう」
その会話。なんてことないものかもしれない。でも、確かな信頼のある会話。トレーナーさんの心からの賞賛に、汗を流しながら笑顔で応えるキング。それはいいことに決まっている。チームに入ってまだ日が浅かった頃に比べたら、キングとトレーナーさんが信頼関係を築けている証拠だ。特別な、関係を。
私以外の、特別を。
当たり前のことだった。トレーナーさんはチームのトレーナーさんだってことは、ちゃんと知っている。特別な信頼関係をたくさん築ける、真面目で素敵な人だってわかってる。
それでも、それでも。これも薄っぺらい気持ちなのだろうか。浅ましい独占欲なのだろうか。それでも、こう思ってしまうのだろうか。間違いなのだろうか。ぐるぐると頭の中身が回り、脳みそが数回ひっくり返った気がした。だから、キングが話しかけてきたのにも一瞬気づかなかった。
「どうかしら、スカイさん」
「……へ、ああ……。えっと、びっくりした。あのキングが短距離とはね」
なんとか苦し紛れに返した言葉だが、それ自体は嘘じゃない。中長距離で確かに勝ち切れはしなかったけど、それでもキングの主戦場はそちらだと思っていた。未知の領域、初めての戦場。そこにまで、足を踏み入れる必要なんて。
「そうね。血迷ってる、迷走してる。そう言われるのは承知の上よ。……でもね、スカイさん」
「何かな」
「たとえ可能性が低くても、セオリー通りじゃなくても。どうしてもというなら、ゼロにだって踏み出すべきでしょう」
……はあ、本当に侮れないやつ。絶対絶対私の気持ちなんか知らないくせに、全くもって違う話題をしてるはずなのに。
こんなふうに誰かの背中を押しちゃえるんだから、このお嬢様は。
「……ありがと」
「感謝される覚えはないのだけど」
「うるさい、大人しく受け取っとけ。このすっとこキング」
「感謝と罵倒を混ぜられると、流石に反応に困るわね」
そう言って、キングは流石に疲れた様子で地べたに座り込んだ。……程なくして、トレーニングは再開されたのだけど。いつも通りのトレーニング。ついさっきとすら、何も変わらないくらいのトレーニング。
でも、少しだけ。方針は少しだけ、その先にある結論は大幅に。悩みに悩んだすべてを収束させるべく、夕日に照らされたグラウンドに向かって思考と脚を動かし始めた。
誰もが、変わっていく。たとえばトップロードさんは、ついにシニア級を目指してかつての私たちのように注目され始めている。たとえばキングは、新しい路線を模索している。たとえばトレーナーさんは、そんなみんなの頑張りを前より褒めるようになった。そしてたとえば私は、あなたに恋をした。
走る道、人の繋がり、生き方そのもの。どれもがやはり変わっていって、その変化は積み重ねの先にある。今までがなければあり得ないものばかりだ。だけど、それだけじゃない。今までだけじゃ、ない。
私が見ていた夢は、今までの私の記憶が作ったものだ。だからこそ知らないものは一つも実感がなかったし、知っているものは質感さえ存在した。けれど、夢を見ていた。恋の夢。それを何度も、知らないのに見ていた。
いいや、逆だったのだ。知らないから、見ていたのだ。知らないから、想像はそこで止まったのだ。手を繋ぐこと、キスすること、それしか私にはわからなかった。
これまで何度も見た夢が教えてくれた、本当のこと。それは、夢からは何も知ることができないということだった。今から進む先が未知ならば、夢は何の参考にもならないということだった。現実の私の感情など、今この瞬間にも更新され続けているのだと、そういうことだった。
キングの努力は、着実に進んでいた。そしてトレーナーさんの特別は、もちろん私だけじゃなかった。いや、そうなったんだ。キングが新しいものに挑戦していたからこそ、関係は進んだんだ。私があの日ドリーム・シリーズという夢を、トレーナーさんと二人で掲げる夢にしたように。そうして、特別になったように。
夕日に目を擦りながら、私は私の答えを見つける。私の願望は、夢で見たそれっきりじゃないということ。まだ知らないものを、夢ですら見れないくらいの幸せを、あなたと共有したいのだということ。
もっと、変わりたい。あなたに更に特別に思ってもらえるように、もっと。独占欲でも構わないから、あなたの一番の特別になりたい。あなたの隣にいたい。あなたと、対等な存在になりたい。ずっと一緒でも退屈しない、ずっと一緒にいるだけで幸せな、そんな関係になりたい。
そう、きっとこれが恋の本質。
なんでもない当たり前を二人で共有して、日常に常に特別なものを置いていられるもの。
手を繋ぐこと、キスすること、愛を囁かれることも、恋情が生むあらゆる刹那的な欲求は、たった一つの結論のためにある。
日常を、特別に想い合う二人で歩むこと。
それが、本質だ。
日常を壊すんじゃなくて、やっぱり積み重ねだったんだ。私の気持ちは、今までの先にあるものなんだ。全部が無駄じゃない、むしろ今までの関係を無駄にしないために、私はあなたにこの気持ちを伝えたいんだ。
そう、伝えたい。あなたは、私を褒めてくれるようになった。そうやって、変わってくれた。それはチームのためだとしても、私のためでもあるのだから。それなら、私からあなたにできることは一つだ。
変わることのできたあなたを、今度はこちらから褒め返す。褒め合うことで、対等になれる。どうやって褒めるかは、もう決まっている。最高の、これ以上はない、たった一人にしか贈れない褒め言葉。
大好きだ。
そう、言おう。あなたへのすべての感情を込めた、一言だ。
そして、こうも思う。もし、あなたがそれに応えてくれるなら。私の告白を、受け止めてくれるなら。あなたからも、私を愛してくれるなら。
それはきっと、褒め言葉よりも先にある。今までずっと抱えてきた、褒められたい、のその先。対等、信頼、特別、恋人。なんにせよその時、私はまた一歩成長するのだろう。もしかしたらあなたも、成長させられるのだろう。
もちろん、受け入れられないのは怖い。関係を壊しかねないのも、怖い。それでも、これは言わなきゃいけない。どうしても、言いたい。だってこれは、私が伝えたいこの気持ちは。どうしてもどうしても、伝えたい理由は。あなたのために、言いたいことなのだから。あなたに捧げるための、褒め言葉なのだから。
……それに、まあ。もうとっくに、あなたに隠し事をできる気はしないもの、ね。
考え事をしながらのトレーニングは、捗ったのか捗ってないのかわからなかった。集中しているともいえるし気が散っているともいえる。まあトレーナーさんに文句をつけられなかったから、多分大丈夫だったのだろう。あの人がちゃんとトレーニングを監視してないことはないと思うし。見ていて、欲しいし。
その日は寄り道もなく、寮に着いて風呂に入ったら割とすぐに寝れた。疲れていたのも多少あるけど、多分悩みが取れたから。もう私にとって、恋は夢に出てくる悩みじゃない。手の届く現実にある、必ず射止める目標だ。
目蓋を閉じる。身体が弛緩し温まる。
最後に意識が途切れる寸前まで、明日が楽しみでたまらなかった。大切な日常をもっと素敵にする、大作戦の幕開け。
策士セイウンスカイ、人生最大の作戦。それが、あなたへの恋なのだ。
※
夢を見た。多分、夢を見た。
夢を見た。二人でいたことは覚えている。あなたと私、そんな夢だった。
夢を見た。だけどそれだけ。私の心は、かき乱されない。
夢を見た。もう、なんでもよかった。私にとっての夢の役割は、終わったのだ。
夢を見た。現実はもっと素晴らしいのだと、最後の最後にそのことは伝えようとする夢だった。
夢を見た。それきり、そんな夢は見なかった。二度と、見なかった。