デート・ア・ライブ~破戒~   作:Kyontyu

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起ノ幕
第1話


起、イン・ジャパン」

 

 『ミズガルズ』艦内の艦橋で立花はさっき手渡された紙の資料とにらめっこし、リーダーは眠そうにあくびをかいていた。艦橋には他にも多数のオペレーター達がこれから始まる任務についての情報を調べたりしていた。

「どう? 資料に書いてあることは大体頭に入った?」

「はい。というか陸自も大変ですね。精霊を倒すのに少女達に露出狂が着るようなCR-ユニットを装備させるなんて」

 俺は資料から顔を上げずに答えた。資料には無表情な白い髪の少女と、ワイヤリングスーツを装着した姿が写っていた。リーダーは思わず苦笑いする。

「……確かに。そんなの私も装備したくないわ。ああ、そういえば、日本語は大丈夫?」

「ええ、一応祖国ですからね。リーダーはどうなんですか?」

 立花はそう答えながら資料をめくる。

「私も一応日系人だし、大丈夫よ」

 そこで立花はふと、ある疑問を持った。

「そういえば、住む所はどこなんですか?」

「ああ、それは渡したメモの指示に従って行けばいいわ。ちょっとしたサプライズも用意しているしね。ちなみに私は空中艦に住み込みになる予定だから」

 俺は渡された小さいメモ帳を見ると、そこには付近の地図と住所が書かれていた。

「偽装人格は大丈夫なの?」

 俺はシートベルトを着けながら顔を上げ、にっこりと笑った。

「はい、完璧です」

 その笑顔を見たリーダーは溜息をつきながらずっとこの笑顔のままでいて欲しいと切に願うのであった。

 

 

 指定された家の前に到着した俺は目を丸くし、持っていたボストンバッグを思わず落としてしまった。家の隣には資料にあった五河 士道の家があったのだ。辺りは既に暗くなっており、人の姿は見られない。

 

『そうそう、今回のミッションは最近精霊が多数顕現する地域の哨戒みたいな任務だから。あと、精霊の力を封印する存在についての情報収集もついでにやってね』

 

 と、リーダーが簡単にきついことを言っていたミッションのサブターゲットの家が隣にあった。

 立花は気を取り直して指定された家の中に入る。鍵は事前にもらっていたのでそのままドアを開けた。

「お帰り、兄さん!」

「うむ、ただ……」

 そこで違和感に気付く。

 待て、なんだ今の声は、ハッ、まさかリーダーの言っていた『サプライズ』って……!

 立花はボストンバッグを放り出し、猛ダッシュで廊下を走り、リビングで急停止する。そこには、妹の立花 うずめが満面の笑顔で立っていた。

「う、うずめ!? なんでここに!?」

 うずめは頭を掻きながら照れくさそうに答える。

「いやぁ、なんかリーダーさんが『一人じゃ心細そうだから一緒にいてあげて』て言ってくれたからさー」

 うずめはえへへ、と笑う。

 その言葉と仕草に、なんか感動して泣きそうになってきた。

「ああ、ありがとう。でも俺はちょっと疲れたから今日はもう寝ることにするよ。明日からは久々の学校だからな」

「うん、分かった。それじゃあ、おやすみ、兄さん」

「ああ、おやすみ」

 立花はすぐさま二階の寝室のベッドに潜り、すぐに深い眠りの落ちていった。

 

 リーダーが立花を見送った後、艦橋に戻ると黒い制服を着た見たことない男がいた。

「初めまして、フラクナシス級二番艦『ミズガルズ』副長としての命を受けた暮空 蒼(くれそら あお)です。どうぞよろしく」

 蒼は自己紹介を済ませた後、手を差し伸べ、リーダーはそれを握り返した。

「私は『クリフォト』司令官のユミ・ケベックです。こちらこそよろしく」

 その後しばらく社交辞令を済ませた後、暮空が口を開く。

「今回の補給で追加された新たなパートナーを紹介します。ついてきて下さい」

 暮空はそう言ってブリッジがら出て、リーダーもそれについていった。

 そしてついていくこと数分、第二格納庫と書かれたドアの先にあったのは、龍の頭部を模し、右目は赤、左目は緑色の目をした巨大な機械があった。

「これは……?」

「紹介しましょう。この艦の中枢であり、我々のパートナーになった、『イザヤ』と『エレミヤ』です」

『はじめまして』 

 男性二人の声が合わさったような低い声を頭部の両目を光らせながらイザヤとエレミヤは言った。

「二人……?」

『左様、我はイザヤ』

『我はエレミヤ。我ら二つはヒトに造られし物なり』

 どうやらイザヤが喋ると右目が、エレミヤが喋ると左目が光るようだ。

「噂には聞いていたけど……まさかこんなんだとは」

「一応、機関の最重要機密の一つですからね。この艦も、この二つも」

「まぁそうなんだろうけど、でももう少し情報の事前の開示が欲しかったな……こんなのいきなり見せられたら腰抜かすわよ」

「それが普通の反応ですよ、司令」

それを聞いてリーダーはふふっ、と笑う。

「確かに、じゃあ私は狂ってるのね」

「いえ、狂っているのはこの世界の方ですよ」

 

 暗い部屋の中に三人の男が立っていた。後ろには大きな水槽があって、中で数匹の魚が泳いでいた。真ん中に置かれたテーブルのドア側にドクター、水槽側には髪をオールバックにした男性、その隣には若い男が座っていた。

 若い男が口を開く。

「ドクター、人類精霊化計画の方は進んでいるかね?」

「いいえ。あまり進んでいるとは言えません」

 若い男性は顎をしゃくった。

「ふむ。なぜかね?」

「それが……霊力が足りないのです。やはり『まがい物』ではなく『本物』を使う必要が、あるようです」

「分かった手配しよう。エンダー、行くぞ」若い男が立ち上がる。

「一体どこへ?」

 ドクターは言った。

「我が協力者の元にだよ。ドクター」

 

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