デート・ア・ライブ~破戒~   作:Kyontyu

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え~と、はい。残念ながら最終回の一回目です。次回で完結します。詳しいことはあとがきで。


第19話(最終話 PART・1)

「承、修学旅行と××の終わり PART・1」

 

 士道は飛行機のシートで溜息をついた。

 右隣では無邪気にはしゃぐ十香、左隣には窓の外を指さしてこちらに話しかけてくる折紙。そして後ろからは男子の殺意のこもった目線。

 士道は再び溜息をつく。どうしても士道は楽しむ事が出来なかった。四糸乃、狂三、そして、琴里。その死に際を見せられ、何もできなかった士道の胸中には自責の念が渦巻き続けていた。

 なんだかんだで日が過ぎ、ついに修学旅行に来てしまった。目的地は、『或美島』。伊豆諸島と小笠原諸島の中間あたりに存在する小さな島である。

 士道は窓の外をちらりと見た。眼下には雲と、青い海が見える。頬づえをしながらそれを見ていた。

 自分だけ、のうのうと生きている。そんな自分が赦せない。

 いっそのことこの窓から飛び降りてしまおうか、そんな考えが頭をよぎったとき、十香の楽しそうな顔が目に入った。

 まだ、まだだ。俺には、護るべき物があるじゃないか。

 士道は唇を噛み締めた。

 

「あれ? エレンさん行かないんすか?」

 飛行機の中でカメラマンに扮したアジンが言った。目線の先には夜十神十香がいる。

「待っているだけだ。不自然の無いタイミング狙ってるんだ」

 こちらもまたカメラマンに扮したエレンが言った。

「え、でももう空港ですよ?」

「………」

 エレンは何も言わなかった。でもなんだか肩が少し下がったような気がする。

 

「アデプタス1から入電。目標、島に入りました」

「赤流空港のカメラで確認。〈プリンセス〉です」

 空中に投影された空港内の映像が右にパンし、十香の顔がアップで表示される。

「案外拍子抜けだな。あれが本当に精霊なのか?」

『――油断は禁物です。相手がどんな容姿をしていても精霊は精霊です』

「そうですか。肝に銘じさせておきますよ」

 DEM社製500メートル級空中艦〈アルバテル〉、艦長ジェームズ・A・パディントン大佐相当官は肩をすくめる。

 そんな反応が不愉快だったのか、エレンが眉をひそめる。

 パディントンは小さく舌打ちした。

 なんでこんな小娘風情に命令されなければいけないのだ……

 エレンとパディントンの歳の差は、親子に等しい。自分の娘にあれこれ命令されるようなら、こんな職に就くべきではなかったと少し後悔し始めた頃、エレンが口を開く。

『とりあえず、島全域の電波の遮断。そして〈バンダースナッチ〉の起動準備をさせておいてください』

「了解しました。執行部長殿」

 モニターに映し出された島にドーム状に覆いかぶされるようにCGのイメージ画像が表示された。

 

 島に着いた一未は耳のインカムからノイズが聞こえたのを聞き逃さなかった。

「何か問題が?」

 一未は〈ミズガルズ〉に問い合わせた。

『……ん、立花』出たのはリーダーだ。

『いや、今DEMが任務を開始して電波の遮断をしたものだから、魔力介通信の変更したの。あと、うずめちゃんと連絡取ってる?』

「え、いや。あまりやってないな」頭を掻く。

 最近は〈ミズガルズ〉で泊まり込みだったので家には帰っていなかった。

 『まったく……』と嘆息する声がインカム越しに聞こえた。

『唯一の肉親なんだから、ちゃんと連絡とりなさいよ……ん?』

「どうした? 何があった?」

『立花、精霊が、出現したわ』

「何だと!?」

 一未が外をのぞくとさっきまで快晴だった空が急に曇り、強い風が吹き荒れていた。

「これは……」

 一未は空港の外に向かって走り出した。

 外に出ると体が吹き飛んでしまいそうなくらい激しい風が一未を襲う。

「うっ……!」

 腕で顔をかばって視界を確保する。その時、視界の奥、士道が一瞬見えたかと思うと、その場所が風の奔流によって隠された。

 そして飛んできたゴミ箱によって、一未は、意識を失った。

 

「精霊、天使の進化……何か、よからぬことが……?」

 サタンは考え込んでいた。何かが、終わろうとしている。

「当りだよ。姉さん」

 サタンは後ろを振り向く。そこには、不敵な笑みを浮かべる赤い瞳を持った黒髪の少年が立っていた。

「トオル……何故ここに」

 トオルは玉座に向かって歩き出した。

「いやぁ、姉さんに一つ忠告しようと思ってさ」

「何だ?」サタンはトオルを睨みつける。

「精霊殺しなんて止めてよ。同族を殺してるようなものじゃん」

「断る。これが私の責任だ。必ずや全ての精霊を殺す。そして全ての決着がついた時、私も兄弟たちの後を追う」

「あ~あ、これだから姉ちゃんはダメなんだよ。あのね、もうすぐ全てのピースが揃うんだ。鍵もね」

 サタンは目を見開く。

「何だと!? それじゃあまさかお前が〈ファントム〉!?」

 トオルはニヤリと笑った。

「せいかーい。ちなみにもう遅いよ。五河士道は暴走し、母の願いが遂に叶う。あと、彼に罪滅ぼしって言ったけど、あれはホントだよ」

 サタンの前にツカツカと歩み寄って顔を近づける。

「だって、前の世界の彼、死んじゃったし」

「貴様ッ!」

 サタンはトオルに掴みかかるも、体がすり抜けてしまった。

「なッ!?」

「じゃあねぇ」

 トオルは腕を振ってその場に掻き消えた。

 

 一未は目を開けた。見慣れぬ木材の天井。顔を右に向けると窓の外はすっかり日が暮れてしまっていた。

「お、起きたか」

 視界に殿街宏人の顔が入ってきた。いくらなんでもワックスをつけすぎだ。

「……俺は……?」

「おいおい、あまり無理するなよ」

 ゆっくりと起き上がる。頭部に鈍痛が走る。そうか、さっきのゴミ箱で意識を失ってしまったのか。すぐに目ざめなかったのは強化を切ってあったからだろう。

「すまないな。ありがとう」

「いやいや、俺は大丈夫だぜ。そうだ! 俺と風呂に行かないか?」

 少し考えた後、首肯した。

「ああ、行こう」

 

カポーン

 

 それから結局風呂に行ったら行ったで、覗きの話に変わった。

 止めておけばいいものを……

 風呂に浸かった一未は溜息をつく。もちろんしっかり肩まで浸かっている。

「では行くぞ……俺の生き様、とくと見るがいい!」

 殿街が雄たけびを上げて壁の隙間をのぞいた。

 

カポーン

 

 殿街は静止した。まるで時が止まってしまったかのように。

『おおッ……!』

 皆は(一未と数人を除く)は息を呑んだ。

「お、お邪魔しました……」

 何を見たのか顔面蒼白になった殿街は風呂から重い足取りで出て行った。皆がそれを何も言わずに見送った。

 

「見当たりませんねぇ……」

 アジンはエレンと館内をうろちょろしながら〈プリンセス〉こと夜刀神十香を探していた。

「きっとお風呂にでも入っているのでしょう……ん?」

 エレンとアジンが歩いていると、ちょうど目の前を楽しげに談笑する十香一行が通り過ぎて行った。

 すぐにエレンは物陰に身を隠し、影から十香を見る。十香はドアを開けて部屋の中に入って行った。

「――こちらアデプタス1。ターゲットが部屋に入るのを確認しました」

『了解。〈バンダースナッチ〉、展開させますか?』

「お願いします。一号機から三号機を移動させてください。しかし、人目につかないよう、細心の注意を」

『了解しました』

 エレンが通信を切って立ちあがって振り向くと、顔面に何か飛んできた。

「――へぶッ!」

「あちゃー」

 アジンは大げさに額に手を当てる。

「なんですか――枕?」

 飛んできたのは枕だった。

「よっしゃー、私当りィ!」

 そして枕を投げたと思われる少女三人がこちらに走って来た。彼女たちには見覚えがある。確か、ターゲットと同じ部屋に宿泊している生徒だ。

「お? まくら投げかい?」

 アジンは腕をまくってブンブンと回す。

「分かるねぇ、カメラマンさん――アジンさん、だっけ?」

「そうそう。ちょっとまくら投げには腕に覚えがあるんだよねぇ。全員纏めてダウンさせてやるよ」

 状況を理解できていないエレンはただただ困惑するだけであった。

 

 そして次の日。結局殿街はあのあと行方が分からなくなり、部屋に戻ってこなかった。しかし、後に落とし穴にはまっていた事が判明し、救出した。

 それからいろいろあって今は浜辺で座っていた。思いのほかやるべき事がない。

 右下を見ると、砂で埋められ、顔だけ出しているエレンと目が合った。ちなみにその顔の下に作られた体は鞭を振り上げる女性だった。光景的にかなりシュールだ。

「何か用でしょうか?」

「いや、特にないが……お疲れ様です」

「同情はいりません。それよりもここから出してくれませんか」

「……残念だが、それは無理だ」

 エレンは眉根を寄せる。

「今出すと後で俺が三人娘に絞られる」

「……納得です。全く、あの生徒たちは一体何者……?」

「普通の生徒だと思うぞ。多分な」

「そうですよね」とエレンは溜息をつく。表情にこそでていないが、かなりへこんでいるだろう。

「じゃあ、俺はそろそろ移動します」

 一未は立ちあがった。その時、全力でエレンに止められたのは別の話だ。




まず、何があったのかといいますと、リアルの方の時間がなくなってきてしまって現在急ぎ足で完結にむかってます。
まぁ、そういうことです。一応全部回収する予定なので、よろしくお願いします。次回、また会いましょう。
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