デート・ア・ライブ~破戒~   作:Kyontyu

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第4話

「起、過去と現在」

 

『投降する気はないのね』

「もちろんだ」

 立花は刀を構えたまま答える。

『ならば力づくでも訊くまでっ! 総員、撃ち方、始めっ!』

 ASTのアウトレンジ装備から大量の弾薬が放たれるが、ミサイルを縫うように飛び、銃弾は刀で弾く。そして隊員の一人に肉迫する。

『ヒ、ヒイッ!』

「遅い」

 そしてCR-ユニットを斬り裂き、戦闘不能にする。隊員は落下していったようだが、目立った外傷は見られなかった。

 二人の隊員がそれぞれ「ノーペイン」を引き抜いて左右から斬りかかってくるが、左腰からもう一本の「斬」を引き抜いて両手でそれぞれ向かってくる刃を逸らし、「ノーペイン」を払い落してから後方のCR-ユニットに突き刺す。そしてCR-ユニットが爆発し、煙の中から「ノーペイン」を振り下ろそうとする折紙が現れ、とっさに「斬」で防ぐが、そのまま壁に激突した。

『……あなたの目的は、何?』

「そっちこそ、やるべき事があるんじゃないのか。鳶一折紙」鍔迫り合いの状態で答える。

『……っ、どうして、私の名を』

「どうした? 行かなくていいのか? あんたの大事な五河士道が精霊に突っ込んで行ってるぞ」

 その時、折紙の表情が少しではあるが確かに歪んだ。実は五河士道の動向は無線機を通じて常に報告されていた。そしてたった今、精霊が潜伏中のデパートに乗りこんで行ったとの報告が入ったのだ。

『……了解しました』

 折紙は隊長と思われる人物からの命令を受けたのか、どこかに飛んでいってしまった。

 立花は溜息をついてと空を見上げる。すると、ぽつぽつと、フェイスマスクに水滴が落ちてきて、雨が降り始め、次第に大粒になっていった。

 

「ターゲット、五河士道とコンタクト」

 イーガンがそう言うとリーダーは組んでいる腕に力を込めた。

(やっぱり精霊の力を封印するのね……)

「立花、ターゲットは五河士道とコンタクトして、デパート内を徘徊しているわ。何も起きない内に『排除』をしてちょうだい」

『了解』

 

 指令を受け、両翼に搭載された基本顕現装置(ベーシック・リアライザ)を起動して目的地に向かった。

「……あそこか……」 

 商店街の向こうにあるデパートが現在潜伏中のターゲットが潜伏している場所のようだ。そこに向かおうとスピードを上げる。

 そこでアラート音が艦橋に鳴り響き、オペレーターが声を上げる。

「何があったの!」

「強力な霊波反応を確認! 天使が、発現した模様です!」

「立花、プランA-2に移行、天使が発現したわ」

『目視で確認している』

「天使の殲滅を最優先にして」

『了解』

「待って下さい、目標、消失(ロスト)……しました……」

「……聞いたわね。立花、帰還して」

『了解、しました』

 リーダーは溜息をついて通信を入れる。

「総員に通達、特殊第一戦闘配備から第二戦闘配備に下げます」

 すると、艦橋にホッとした空気が流れた。その光景にリーダーの口元が一瞬緩んだ。しかしまた険しい顔に戻る。

(戦いはこれから、という訳ね……)

 

「なぁ、なんで精霊ってみんな可愛いんだ?」

 イーガンがぼそっと呟いた。

「え、なんでって、そりゃあ人類を欺くためでしょ」

 レーダー係の佐波 丸一(さば まるいち)が言った。

「へー、そんなもんかね」

 

「そうとは限らないかもしれませんよ」

 

「あ、副艦長」

 突然二人の間に暮空が割って入った。

「でも、どういうことですか」

 イーガンが訊ねる。

「これはあくまで私の推論だが……彼女達は五河士道に「封印」される為にこんな容姿をしたのではないのでしょうか。ホラ、あなた達だって、不細工な子とキスなんてしたくないでしょう?」

『……確かに』

 二人は同時に頷いた。

「でも、なんで封印されに来たんでしょうかね」

「さぁ……主任、何か意見はありますか?」

「え?」

 艦橋の後ろの方にいた天話は明らかに困った顔で「え、いやぁ、わたしはちょっとボディの点検をせねば……」とそそくさと艦橋を出て行った。

「主任もなかなか可愛い所あるじゃないですか」

 佐波は笑いながら言った。

 

 家に戻った立花は自分の部屋のベッドの上で横たわっていた。その手には小さなウサギの人形が握られている。

(……あの時、精霊の手下に殺された少女……何故俺は護れなかったのだろう……?)

 アメリカでの最初の任務、〈ディーバ〉の殲滅任務を帯びた俺が見たのは精霊に操られた住人達の姿だった。

「……これは……!」

 立花は周りを見渡すと四方八方からゾンビのように焦点の無い目でこちらに進んで来る集団が迫っていた。

「……どうする……」

 立花は刀を握る手に力を込め、飛び上がった。とりあえず親玉を倒せばこれは解けるはずだ。

 すると下の方で何やら銃を持った大人に囲まれているウサギの人形を持った少女が見えた。どうやら彼女は精霊の影響を受けなかったらしい。

 立花はすぐさまそこに降り立ち、刀を向ける。

「武器を捨てろ」

 だが、大人達は動く気配がない。

「聞こえないのか!」

 すると一人の男性が銃を構え、それに合わせて他の大人達も銃を構える。

「……クッ」

 立花は歯噛みする。

「お姉さまに逆らうヤツはゆるさなぁぁぁぁい!」

「!」

 男性が引き金に指を掛ける。立花はそれに反応するように刀を振り上げる。だが、そこで迷ってしまった。

(相手は民間人……どうすれば……ッ!)

 連続した銃声音、弾丸は立花を外れ、少女に吸い込まれていった。

「やめろぉぉぉぉぉぉ!」

 しばらくの銃撃が止んだ後、立花はその場に崩れ落ちた。手のひらは赤い液体が付着していた。

 真っ赤に染まった小さな身体、抱きかかえられた人形が朱に染まって行く。

「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!」

 

「うわぁぁ!」

 立花は荒い呼吸をする。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。シャツが汗だくだ。何故か窓からは朝の陽ざし。かなり眠ったらしい。

 呼吸を整え、何も言わずに着替えを始めた。

 

艦橋に空間震のアラートが響く。

「! 天宮市内に空間震が発生! 対象の情報を検索、『ハーミット』です!」

 それを聞いたリーダーは素早く指示を出す。

「総員、特殊第一次戦闘態勢! 前回通り、<イェーガ->による殲滅作戦を開始します!」

『了解ッ!』

「立花、今回でケリをつけるわ」

『……了解』

 メインモニターには緑のフードを被った少女が静止画として映っていた。

 

 

 

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