『ねえねえ~!』
「ん~?」
翌日の朝、俺はいつものテラスでレッド寮のコートを顔にかけて眠っていたところをいつも通り、
元気な声の持ち主であるベビーマジシャンによって起こされ、そちらのほうを見ると、
彼女の小さな手の中にはテントウ虫が入っていた。
『これ何~?』
「テントウムシ」
『すっご~い! これがテントウムシか~!』
ベビーマジシャンが持ってきたものの名前を答えてやるとベビーマジシャンは喜びながら、
テントウムシをツンツンしたりなどして楽しみ始めた。
結局、2年生のクラス対抗デュエルトーナメントはアイドさんと咲さんの一騎打ちとなった。
一応、勝ち上がったほかのクラス代表ともデュエルを行ったけど2人の圧勝で終わり、
最後の決勝戦でもアイドさんが本気を出さずに咲さんの効果ダメージを受けて、
わずか数ターンで決着がついてしまった。
山本さんによると去年のクラス対抗トーナメントも今回の状況と全く同じらしく、
1位が咲さんで2位がアイドさんだったらしい。
予定よりも早くに終了したためにアカデミアが最も時間をかけたい3年生のデュエルを前倒しで行い、
俺達1年生の試合は、最終日へとずれ込むことが決定した。
3年生のデュエルは数日かけて行う。しかも1日1組しかやらないという凄い待遇付きだ。
それに比べてアカデミアにとって今はどうでもいい1年生は一日で終わらすというね。
……そう言えば3年生と言えば森さんしか知らねえな……。
「アカデミアってこんなところだったのか」
弱者には冷たく、強者しか脚光を浴びない場所……入学してみてようやく分かった。
やっぱり、俺みたいにデュエルを楽しくやるっていうのはここじゃおかしいのかな。
『大きい御船だ~!』
「船? んな馬鹿な」
デュエルアカデミアが建てられているこの孤島に来る定期船はひと月に一度しか来ないし、
そのひと月に一度は昨日だったはずだからもう船が来るはずはないんだけどな。
そう思いながらも顔にかけていた赤いコートを退けてそれを手にかけ、
立ち上がって向こうの方を見てみると確かに巨大な客船が灯台の近くにある港に乗りつけていた。
『見に行こうよ~!』
「分かったから引っ張るなって。たっく」
ベビーマジシャンに髪の毛を引っ張られ、嫌々ながらもバルコニーから降りて長い道を歩き、
港に到着するとちょうど客船が足場であるスロープを閉まって港から離れていっている場面だった。
俺がここに来るまで5分位しかたっていないのにもう離れていっているってことは降ろした客が少なかったのか。だとしたらこんなデカイ客船なんかでこないよな。
「ん?」
ふと、視線を横へ向けたときにブルー寮のコートのような青い服を着た女の子の姿が見え、
その子は俺と目があった瞬間に生い茂っている木々に隠れた。
「結局、あの船なんだったんだ?」
『あ、ちょうちょうさんだ~♪待て待て~!』
ベビーマジシャンが蝶々を追いかけた時点で俺も港から離れ、寮へと戻った。
「あぁ~。良い湯だ」
寮に設置されているお風呂で俺は今日の一日の疲れを癒していた。
なんか近くに自然の温泉があるらしいけどそれはまた今度の機会に行くとしてやっぱり、
日本人だったらお湯を張って肩までつかるよな~。
なんだかんだ言って、俺ってこのレッド寮の設備に満足してるよな。
他の寮みたいにホテルの一室のような部屋ではなく落ち着く畳の和室、そして独り占めできるお風呂、
そしてカードを見ながら食事ができる定食屋のような雰囲気の給仕室。
「明日から3年のデュエルか。1日に1組のデュエルを行うって言っていたから、
少なくとも2日以上は時間がかかるってわけか……2年生みたいにあっけなく、
勝負がつかなきゃいいんだけどな……そろそろ上がるかっっ!」
湯船から上がろうとした瞬間に突然、目の前の視界がグニャリと異質な形に変形したと同時に、
今自分の体が平行なのかさえ分からなくなるくらいに頭がぐらぐらと揺れはじめ、
思わず壁についてある平行棒を掴んだがそれでも体を支えることはできず、
そのまま力なく床のタイルに跪いてしまった。
「つ、浸かりすぎたか?」
そう考えながら床を這いずり、吐き気に襲われながらもなんとか体をきれいに拭いて、
浴室の目の前に置かれている洗濯機の上においてある服を取ろうと洗濯機の上を見た瞬間、
俺のズボンのポケットから今までにないほどの黒い煙のようなものが噴き出していた。
「な、なんだよ……なんなんだよ!」
そう叫びながらポケットからデッキを取り出した瞬間、放出する物のあまりの激しさに、
俺の手から連鎖邪龍―――――チェイン・カオス・ドラゴンのカードが空中へと飛び、
空中でさらに放出するかと思えば、突然、放出するのが止まり、カードが床に落ちた。
「ハァ……ハァ……なんなんだよ」
『言ったでしょ。そのカードは闇のカード。使い続ければ闇に飲み込まれてしまうって』
突然、背後から声が聞こえたので慌てて振り返ってみるとそこには以前、
出会ったときに俺に警告を発した青いドレスを着た少女が立っていた。
「ど、どういう意味だよ」
『そのままの意味。貴方が思っているようにデュエルモンスターズは楽しい物じゃない。
それを悪用する奴もいる……現に君はそれをすでに経験している』
ベビーマジシャンの姿が突然見えるようになったり、チェイン・カオスのカードから、
凄まじい闇が放出されたり、ソリッドビジョンで表現されているはずのモンスター、
罠、魔法カードのダメージが現実のものとなって俺の体を傷つけているのも、
全部闇のカードのせいだっていうのかよ!
『今からその最たるものを見せてあげる』
「っっ!」
少女が手を広げた瞬間、少女の背後の背景が徐々に真っ黒に染まっていき数秒経った瞬間、
一気にその闇が広がり、俺の周囲の背景が一瞬にして闇に染まりあがった。
「な、なんだここ」
あたりを見渡してみるがレッド寮のふろ場だったはずの場所は全てが闇に染まっており、
青いドレスの少女が見えている箇所以外は何も見えなかった。
地面も空も壁も、何もかもが真っ暗に染まっている。
『貴方のように闇のカードを使い続けた私はこうなってしまった。おかげで、
肉体と精神が切り離され、闇の力も少しだけついてきてしまった……そして、
闇にのみ込まれたものが行う闇のデュエルの力もね』
彼女がそういうや否や付けていなかったはずのデュエルディスクが俺の右腕に突然現れ、
俺が操作をする前に勝手にデュエルディスクが展開されると俺の周囲にある闇が俺達を覆うように、
円を描きながら回転しはじめた。
『デュエル』
「デュ、デュエル!」
『LP4000vs4000』
『先行は私のターン。ドロー。私はクリスタル・ディフェンダーを守備表示で召喚』
『ATK;0 DEF;2000』
聞いたこともないモンスターの名前が聞こえたかと思えば彼女の前の地面らしき場所に穴が空き、そこからクリスタルの盾を持ったモンスターが出現した。
ク、クリスタルシリーズのモンスターなんて聞いたこともねえぞ!
『クリスタル・ディフェンダーの効果。このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功したとき、デッキからレベル4以下のクリスタルと名のつくモンスターを1枚、手札に加えることができる。私はクリスタル・ベビードラゴンを手札に加える。
そしてカードを2枚伏せてターンエンド』
と、ともかく闇のデュエルだか何だか知らねえけどこのデュエルには勝つ!
「俺のターン! ドロー!」
『この瞬間、永続罠・クリスタルスキャンを発動』
彼女がそう宣言した瞬間、伏せられていたカードが表側になったかと思えばカードの絵柄から、レンズの部分がクリスタルでできている虫眼鏡が出現した。
『このカードは相手のドローフェイズにのみ発動可能。相手がドローしたカードの種類を言い当てることができた場合、相手はそのカードを墓地へ送らなければならない』
3分の1の確率で俺は引いたカードを墓地に送らなきゃいけないってことかよ!
あり得ない……相手がドローしたカードを宣言するだけでそのカードを墓地へ送ることができるなんて、同じ永続罠の真実の眼と組み合わせたら完璧なドローロックが完成するじゃねえか。それだけじゃない。
たとえ種類を言い当てられなかったとしても俺が手札に加えたカードの種類を絞り込むことだってできる……。
『そのカードは……罠カード』
彼女がそう言った瞬間、大きな虫眼鏡が俺が引いたカードを映し、彼女には見えない形でカードを表示するが彼女がいった種類ではなかったので何も起こらなかった。
『残念。はずれみたいね』
「俺は連鎖・シルバー・ビーストを攻撃表示で召喚!」
『ATK;1800 DEF;200』
「シルバー・ビーストの効果により、俺は装備魔法を1枚手札に加え、
手札に加えた装備魔法・連鎖の剣を発動してシルバー・ビーストに装備!
行け、シルバー・ビースト! クリスタル・ディフェンダーを破壊しろ!」
俺がそう宣言した瞬間、シルバー・ビーストは一度、空に向かって高らかと吠えたかと思えば、上空へと高く飛びあがり、その急降下の勢いのまま鋭い爪で真っ二つに切り裂くと、クリスタル・ディフェンダーはそのまま消滅し、墓地へ送られた。
「俺はカードを2枚伏せて、ターンエンド」
『私のターン。ドロー。私は手札のクリスタル・ベビードラゴンの効果を発動。
手札にあるこのカードを墓地へ送ることでデッキにあるクリスタルと名のついたドラゴン族モンスターを1枚、手札に加えることができる。私はクリスタル・オーロラドラゴンを手札に加える』
まただ……また聞いたことがないモンスターを……なんでこの子は聞いたこともない、
未知のカードを持っているんだ。
『私はクリスタル・オーロラ・サモナーを攻撃表示で召喚』
『ATK/DEF=0』
闇に空いた穴から杖を持ち、黒いローブに身を包んだ男性とも女性ともとれる、
雰囲気をしているモンスターが出現した。
攻守ともに0……いったい何をしてくるんだ。
『そして、手札のクリスタル・オーロラドラゴンの効果により、
サモナーを除外し、手札からクリスタル・オーロラドラゴンを特殊召喚!』
直後、杖を持ったモンスターがガラスが砕けるように砕け散ったかと思えばその破片が上空へと上がり、
円を描くとそこに穴が開き、その穴から全身がクリスタルで淡く虹色に輝いているドラゴンがフィールド上に降り立った。
『ATK;0 DEF;0』
『このカードは表側で存在する限り、魔法・罠・モンスター効果を受け付けず、
モンスターとの戦闘の際のダメージも0となり、戦闘でも破壊されない』
「破壊する手段がなさすぎる……バランスおかしくなるぞ」
『でも、私はそれ相応のデメリットを受ける。このカードがフィールド上に存在する限り、貴方は私に直接攻撃ができる。たとえほかのモンスターがいてもね。そしてエンドフェイズ時、5枚のあるカードから1枚を選択し、墓地へ送る。ターンエンド』
クリスタル・オーロラドラゴン……破壊に対する全ての耐性を身に付け、ほぼ永遠ともいえるような長い間、彼女のフィールド上に存在し続ける……ただ、
存在するだけで最悪のデメリット効果があるんだ。
俺にだってまだ勝機はある。
「俺のターン! ドロー!」
『クリスタル・スキャンの効果。そのカードは魔法カード』
「ぐっ……正解だ」
彼女にカードの種類を言い当てられた瞬間、虫眼鏡から光がドローしたカードに伸び、
カードに光が当たった瞬間、カードから煙が立ち上った。
俺が引いたカードはライトニングボルテックス……ただ、今の状況じゃ必要のないカードだ。
俺の手札にあるのはシルバーベビー、チェーンブラスト、死者蘇生。
「バトルだ! シルバービーストでダイレクトアタック!」
シルバービーストはその場から彼女めがけて駆け出し、その鋭い二本の爪で彼女を切り裂くと、彼女のライフが減少すると同時に驚愕の現象が起こった。
「なっ! か、体が……き、消えた」
そう。シルバービーストが彼女を切り裂いた瞬間、スーッと音を立てることもなく、
まるで彼女の体が闇に溶け込んでいくような感じで体が消滅した。
正確にいえば彼女の胸が斜めに。
『これが闇のデュエル。ダメージを受ければ闇に体を奪われる。
そして敗者は闇にその魂を奪われる』
な、何かのハッタリだ! この光景も、彼女の体が消えたのも全部ハッタリだ!
何の目的で俺を脅そうとするのかしらねえけどそんなことで俺がビビらねえんだよ!
「お、俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド!」
『LP4000vs1700』
『私のターン。ドロー……私は手札よりクリスタルバーンを発動。
このカードはフィールド上にクリスタル・オーロラドラゴンが存在する場合にのみ発動可能。自分、および相手フィールド上に存在しているカードの数×300ポイント相手にダメージを与える』
フィールドにあるカードは合計で7……つまり、2100ものダメージ!
「俺はそのカードに対してチェーンブラストを2枚、積み上げる幸福を発動!
積み上げる幸福の効果により、俺はカードを2枚ドローし、
2枚のチェーンブラストの効果で、1000ポイントのダメージを与える!」
『貴方には2100のダメージよ』
発動した魔法カードから光が俺に向かって放たれ、その光が俺を貫通した瞬間!
「っぐぁぁぁ!」
まるで何か鋭いものにでも刺されたかのような痛みが全身を駆け巡り、突然のことに、
痛む胸を押さえながら跪いてしまい、その時に視界に俺の右腕の手首から先が消えているのが見えた。
ひっ! お、俺の腕が……腕がっ!
『どう? これが闇のデュエルよ。だからあの時に言ったでしょ。そのカードを捨ててって。負け続きで落ち込んでいた貴方の手に入ったカードは闇のカード。
負の感情に付け込み、貴方の体を蝕んでいく。
あの時、素直に捨てていれば貴方はこうはならなかった。
カードを1枚伏せるわ。そしてエンドフェイズ、クリスタル・オーロラドラゴンの効果により、カードを墓地へ送り、ターンエンド』
彼女のターンが終了し、俺のターンが回ってくるがカードを引こうにも俺の手が消えていることで、今までに感じたことのない恐怖が俺に襲い掛かり、その影響でカードを引く腕が震えているので、引こうにもうまく引けない。
ウ、ウソだ……こ、こんなのただの視覚トリックなんだ。
「俺のターン! ド、ドロー!」
『クリスタルスキャンの効果。そのカードは罠カード』
「ぐっ!」
またもやドローしたカードを引き当てられ、俺は泣く泣くドローした攻撃の無力化を墓地へと送った。
くそっ! こうも引いたカードを言い当てられたらいつもの戦略ができない!
「バトル!」
『リバースカードオープン。クリスタル・オーロラフォース。私の場にクリスタル・オーロラドラゴンが存在する場合にのみ発動可能。直接攻撃をしてきたモンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを強制終了させる』
「だったら連鎖の剣の効果を発動! カウンターを3つ除いて500のダメージ!」
シルバービーストが持っている剣から光が伸び、彼女を貫くとライフが減少すると同時に、先ほどと同じように今度は左腕の手首から先が闇に消えた。
違う……違う違う違う! こんなの……こんなのデュエルなんかじゃない!
デュエルはもっと楽しいもののはずなのに……なんでこんな苦しいんだよ!
『どうしたの? まだ、貴方のターンよ』
「タ、ターンエンド」
『LP1900vs200』
『私のターン。ドロー。カードを1枚伏せるわ。そしてエンドフェイズにカードを1枚墓地へ送り、ターンエンド……そろそろ私が何のカードを墓地へ落としているのか気付かない?』
「な、なんだよ急に」
俺がそういうと彼女は呆れたように小さくため息をついた。
『5枚のカードを墓地へ送る……私が墓地へ送っているのはクリスタル・D、
クリスタル・E、クリスタル・A、クリスタル・T』
……ま、まさかあのモンスターは特殊勝利条件を持ったモンスターか!
5枚のカードを墓地へ送るのとさっき彼女が言っていた文字を合わせたら墓地へ送る5枚のカードが揃った瞬間、俺は……デュエルに負ける。
『さ、貴方のターンよ』
「お、俺のターン! ドっ!?』
デッキからカードを引こうとした瞬間、見覚えのある光景が俺のデュエルディスクに起きていた。
デッキから……凄まじい勢いで黒い何かが……。
「ドロー!」
『……そのカードは罠カード』
彼女は眼を瞑り、そう言った。
気づいているんだ……本当はこのカードが連鎖邪龍だってことくらいあの子は気付いているんだ!
このカードを使わなくてもいい……でも、このカードを使ったら今まで以上の怖い何かが俺に起こる……でも、このカードを使わずにこのデュエルに負けたら俺はっ!
このカードを使わなくてもシルバービーストで攻撃すれば勝てるんだ……でも、
あの伏せているカード。
もしも攻撃時に発動するカードだったらどうする……魔法の筒みたいな攻撃力を相手に反射させるカードだったらどうする……チェイン・カオスを使えば勝てるんだ!
「俺は連鎖・シルバーベビーを召喚!」
『ATK/DEF=0』
「そして2体の連鎖モンスターを墓地へ送り、
連鎖邪龍・チェイン・カオス・ドラゴンを特殊召喚!」
2体の連鎖モンスターを墓地へ送った瞬間、なぜかシルバーベビーの表情が今にも泣きそうなものをしているのが見えたがそのまま何も気にせずにチェイン・カオスのカードをディスクにセットした瞬間。
『リバースカードオープン』
「っっ!」
『奈落の落とし穴』
「なっ! そんな」
『あの時、チェイン・カオスを召喚せずにそのままシルバービーストでバトルしていれば、貴方の勝利は確定した。それと同時に貴方はチェイン・カオスの呪縛から解き放たれ、晴れて自由の身になれたのに……貴方はチェイン・カオスの強力な効果という呪縛に負けてしまった。貴方も……永遠にその闇からは逃れられない』
フィールドにチェイン・カオスが出現した瞬間、チェイン・カオスが粉々の砕け散った。
そ、そんな……。
『そして私のターン。エンドフェイズに移行。
最後のカード……クリスタル・Hを墓地へ送る』
最後の1枚が墓地へ送られた瞬間、彼女のディスクの墓地から五つの火の玉のようなものが吐き出されたかと思えばその一つ一つの火の玉がD・E・A・T・Hの文字へと形を変え、ゆっくりと俺に向かってきた。
「イ、イヤだ……イヤだイヤだイヤだ!」
俺は迫ってくる火の玉から少しでも離れようと震える足をどうにかして動かし、その場から離れようとするが走っても走っても火の玉との距離が開くどころかどんどん狭まってきた。
『終わりよ』
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
五つの火の玉が俺に直撃した瞬間、目の前が真っ白になって――――――――――――