遊戯王   連鎖する想い   作:kue

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第十七デュエル

『勝者――――高槻優斗!』

「え?」

あたりを見渡してみると俺はアカデミアのデュエルアリーナの中央に立っていた。

目の前には悔しそうに地面を叩きながら俺を睨んでくるイエロー寮の制服を着た男子がいて、俺の周りには大勢の観客であるアカデミアの生徒たちが観客席に座っていた。

えっと……俺、何してたんだっけ。

『クラス対抗トーナメント戦1回戦は高槻優斗の勝利です。第2戦は5分のインターバルを開けて、行われますのでその間にお手洗いなどを済ませてください』

…………あぁ、そうだ。思い出した。何で俺、忘れてたんだろ。

クラス対抗トーナメントに出場してたんじゃねえか。そうだそうだ。

相手は戦士族のデッキだったんだけどいつもの通り、俺のエースカードの連鎖邪龍・チェイン・カオス・ドラゴンでトドメを刺したんだ。

今までのことをようやく思い出し、俺はディスクにセットされているカードをデッキに戻し、せり上がっているデュエルフィールドから降りると上から俺を呼ぶ声が聞こえ、

顔をあげてみると観客席から真白と山本さん、森先輩、ノゾミさんが俺に手を振っていた。

俺は何もしゃべらずに笑いながら4人にガッツポーズをした。

そのまま俺はアリーナから出て本校舎のカード売り場に向かい、

そこのテーブルに座って、ディスクに装填していたデッキを取り外し、

デッキの中身を確認していく。

……なんで俺、デッキの中身なんか確認してんだ? 

トーナメント戦ではデッキレシピと違う構成にしたら即失格だから意味ないのに……。

デッキの中身を確認し終えると俺はディスクにあるエクストラデッキ専用の収納スペースを開こうとしたところでまた、はっと我に帰った。

「……俺ってエクストラデッキにカード入れてないよな……なんでここ開けたんだ」

俺のデッキは通常召喚・反転召喚・特殊召喚しかしないモンスターだけで構成しているし、融合モンスターなんかは連鎖シリーズには存在しないのに何で俺……ま、良いか。

ふと、壁のモニターを見てみるとアリーナで行われているデュエルが中継されており、

現在の状況から見るにまだ少し出番は先のように感じた。

「……なんか忘れてる気がするんだよな」

その忘れている何かを探そうと必死に記憶を辿っていくが完璧に忘れているのか、

何を忘れているのかすらまったく思いだせなかった。

今は絶版になっている連鎖のパックを初めて買った時が俺がデュエルモンスターズを始めるきっかけだったわけでその時に初めて箱買いというものもしたし、その時に引き当てたカードで今のデッキの原型が作られたし、何よりチェイン・カオスが俺のエースカードなわけだし……エースカード。

何故か、その部分で強い違和感を抱き、

俺はデッキからチェイン・カオスのカードを取った。

「俺のエースカード……チェイン……カオス……だよな」

俺のエースカードはチェイン・カオス・ドラゴン……昔からこのカードで勝ってきたのに、なんで今になってこんなにも違和感が出てくるんだ。

その時、歓声のようなものが聞こえ、ふとモニターを見ると今まさに行われているクラス対抗デュエルでデュエルをしている片一方が切り札らしきドラゴンを召喚していた。

そのモニターの端には召喚されたモンスターのステータスが表示されている。

光属性……ドラゴン族……俺のエースカード…………違う。

違う! 俺のエースカードはチェイン・カオスドラゴンじゃない!

「俺のエースカードは!」

『選ぶがよい』

「っっ!」

後ろから声が聞こえ、後ろを振り返ってみるとそこには一つの小さな光球が浮いているかと思えば、その光球は形を変えていき、あっという間に俺の背を抜かし、長い胴体と尻尾、そしてその長い胴体に鎖が緩く巻かれており、その姿はまさしく俺が今までエースとして使っていた、連鎖龍・チェインドラゴン。

その姿が出来上がったと同時に俺の周囲の景色がゆがみ、さらに目の前に光輝いている鎖と、闇が滲み出ている二つの鎖が上から伸びていた。

「お、おまえ……チェインドラゴンか?」

『左様。選ぶがよい。闇の鎖を選び、圧倒的な力をもってして他者を圧するか、

それとも光の鎖を選び、他者とともに闇を圧するかを』

『もちろん。光の鎖を選ぶよね?』

そんな声が聞こえるとともにチェインドラゴンの後ろから青いドレスの少女が現れた。

『闇の鎖をとれば貴方は闇に落ちていく。光の鎖をとれば貴方は闇から解放される』

……ここが最後のチャンスってことか。ここで俺が光の鎖をとれば闇から解放される。

ただ、闇の鎖を俺が選べば青いドレスの少女が言っていたように俺は闇にのみ込まれる。

俺は青いドレスの少女の警告通り、光の鎖に手を伸ばそうとした時、

ふとある考えが頭をよぎった。

「……俺が選ぶのはこれだ!」

そう叫びながら鎖を引き抜いた瞬間、周囲の景色が一気に消し飛んだかと思えば目の前にデュエルディスクを装着し、それを展開した青いドレスの少女が立っていた。

『良かった。貴方は闇の鎖を選んだんだね』

「……君、俺とデュエルした子とは違うだろ」

そういうや否や、小さく笑みを浮かべていた青いドレスの少女は一瞬驚いたような表情を浮かべるが、その表情を一瞬で消すと醜悪な笑みを浮かべた。

『ふふ。分かっちゃった? 同類だもんね! 同じ、闇の力を選んだ者同士!

そ! 貴方がデュエルした奴は私の邪魔で邪魔で仕方がない精神の方。

強いていうならば小さな光の集合……それが貴方とデュエルをした子。

でも、私は違う。この体を支配している大部分の闇の力を手に入れた最強の私!

あの時のデュエルであなたを助けたのは私なんだよ? きっと光の私は闇の侵されたあなたを抹殺することで闇の繁栄を防ごうとしたんだろうけどそんなのは無駄。闇こそが全て! さ、私と一緒にこの世界を闇で』

青いドレスの少女がそう言いながら俺に触れようとした瞬間!

『っつぅ! それは!』

俺の背後から光輝く、鎖が伸びてきて彼女の手をパチン! と叩き、

俺を護るように俺の周囲に浮遊し、

彼女を警戒するかのようにゆらゆら揺れていた。

『貴方、闇の鎖を選んだんじゃないの!?』

確かに俺の右腕には闇がにじみ出ている鎖が握られている……でも、俺が選んだのはそれだけじゃない。

闇が強すぎて消えかけているけど俺の左腕に確かに光の鎖も握られている。

「俺は両方を選んだんだ……闇だけを取っても意味がない……人間っていうのは光と闇。

その二つがあるから人間じゃないのか……闇だけあっても人間じゃない。

光だけあっても人間じゃない! 両方あってこその力なんだ!」

そう叫び、俺はデュエルディスクを展開すると握っていた二つの鎖が俺の手元から離れ、空中を旋回したかと思えばそのまま急降下してきて俺のデッキに二つの鎖が入って行った。

『……バカが。とっとと闇の洗礼を受けておけば楽に死ねたものを。

今、この時点であんたは闇に敵と認識された。私があんたを……殺す』

「『デュエル!』」

『LP4000vs4000』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私のターン! ドロー! 私は手札より魔法カード・クリスタルチェンジを発動!

このカードは手札にあるクリスタルモンスターを任意の枚数デッキに戻し、

デッキに戻した分だけデッキからカードをドローする! 

そしてクリスタル・バトラーを攻撃表示で特殊召喚する!』

『ATK300 DEF300』

目の前の闇に穴が空いたかと思えばその穴から執事服に身を包み、片目を黒い眼帯で隠している初老の男性が出現し、その右手にはクリスタルの義手がはめられている。

いきなりの特殊召喚……何を出してくる気だ。

『このモンスターはこのターン、魔法カードを発動したターンに特殊召喚する。

さらにフィールド上のクリスタル・バトラーを生贄に捧げ、

クリスタル・マスターを召喚!』

『ATK1500 DEF1800』

『このモンスターが召喚に成功した時、デッキの上から5枚カードをめくり、

その中にドラゴン族のクリスタルモンスターがいれば、手札に加え、いなければ全て墓地へ送る』

目の前に現れたクリスタルの杖を持った魔法使いのように黒いローブを羽織っているモンスターが杖を掲げると杖が輝き、デッキの上から5枚カードがめくられ、公開されるとそこにはクリスタル・オーロラドラゴンのカードが見えた。

直後、そのカードが輝きだし、彼女の手札に収まり、ほかのカードは墓地へ送られた。

『私は1枚伏せて、ターンエンド』

「さあ、行くぜ! 俺のターン! ドロー!」

シルバーナイト……いい所に来てくれたぜ!

「俺は手札の連鎖・シルバーナイトを攻撃表示で特殊召喚!」

『ATK;2000 DEF;200』

「さらにシルバーディフェンダーを守備表示で召喚! 

この瞬間、2体の効果がチェーン発動!

ディフェンダーの効果により、俺はカードを1枚ドローし、

ナイトの効果であんたに400ポイントのダメージを与える! 

行け! シルバーナイト!」

シルバーナイトが持っている剣の先端から光が放たれ、彼女の胸を貫き、ライフを削ったのと同時に、彼女の胸に小さな穴がぽっかりと空いた。

……もう、恐れることはない。俺は光と闇の力の両方を掴んだんだ。

「行け! シルバーナイト! クリスタル・バトラーを攻撃!」

シルバーナイトが飛びあがり、そのまま急降下の勢いを利用して剣を思いっきり振り下ろすと、執事の姿をしたモンスターが真っ二つに切断され、

そのまま粉々に砕け散った。

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

『LP 4000vs3100』

『私のターン! ドロー! リバースカードオープン! クリスタル・グレイブ!

このカードは墓地にクリスタルと名のついたモンスターが3体以上、存在するときのみ発動可能。

墓地に眠るクリスタルモンスター2体につき、1枚カードをドローする。

私の墓地には3体。よってカードを1枚ドロー!』

さっきのバトラーの効果でクリスタル・オーロラドラゴンを手札に加えるだけじゃなく、デッキからクリスタルモンスターを墓地へ送って墓地肥やしまで同時にやるなんて……やっぱり、クリスタルシリーズのカードってバランス崩す勢いだろ。

『私はクリスタル・オーロラ・サモナーを攻撃表示で召喚!』

目の前の闇に穴が開き、そこから全身がクリスタルの鱗で覆われている小さなドラゴンが姿を現し、俺に向かって威嚇しているのか口を大きく開けた。

こいつが出てきたということは……手札のあいつが来る!

『そして……クリスタル・オーロラ・サモナーを除外し、クリスタル・オーロラドラゴンを特殊召喚!』

直後、杖を持ったモンスターがガラスが砕けるように砕け散ったかと思えばその破片が上空へと上がり、

円を描くとそこに穴が開き、その穴から全身がクリスタルで淡く虹色に輝いているドラゴンが、フィールド上に降り立った。

来たな……特殊勝利モンスター。あの時の借り、きっちり返させてもらうぜ!

『カードを1枚伏せて、ターンエンド』

「俺のターン! ドロー!」

手札に来たのはベビーマジシャン……ここでこいつを出してその効果でグレイブフォースを墓地へ落とし、

チェイン・カオスを特殊召喚してっていういつものパターンに持って行って一気に勝負を決めに行くっていうのも良いんだがおそらく、あのカードはクリスタル・オーロラフォース。

今、出しても余計にライフを減らすだけだし、どのみち5枚のうち、

1枚はすでに墓地にあるんだ。

こいつは後に取っておくか。

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド」

『私のターン! ドロー! 私は永続魔法・クリスタル・ゲートを発動。

このカードが場に存在し、クリスタル・オーロラドラゴンが存在するとき、

相手はバトルフェイズ中に一度しか、

攻撃宣言を行えない。エンドフェイズに移行したこの瞬間、

クリスタル・Eを墓地へ送るわ』

カード名までもう言ってるし……そこまで余裕綽々かよ!

「俺のターン! ドロー!」

っっ! 来た! 特殊勝利を崩せるキーカードがすべてそろった!

「俺は手札から魔法カード、融合を発動! ベビーマジシャン2体を手札融合!」

『やー! 行くよ!』

『あいさー!』

「現れろ! アダルトマジシャン!」

2体のベビーマジシャンが融合し、上空から腰まである長い髪の毛に、

ベビーマジシャンが着ていた服の大人バージョンを着た女性モンスターが俺の目の前に降り立った。

『ん~。やっと召喚してくれた~』

「悪いな。さあ、お前の力存分に見せてくれ! アダルトマジシャンの効果発動!

1ターンに1度、相手の墓地からカードを1枚除外することができる!

俺は墓地にあるクリスタル・Eを除外!」

アダルトマジシャンが持っている大きな杖の先端にはめ込まれている宝石が輝きだしたかと思えば、青いドレスの少女のディスクの墓地に存在しているクリスタル・Eのカードが射出され、そのまま闇の中へと消え去ってしまった。

「これで特殊勝利はなくなったぜ」

『っっ!』

「バトル! アダルトマジシャンでプレイヤーにダイレクトアタック!」

アダルトマジシャンの杖の宝石が輝きだしたかと思えば、そこから一本の光が伸び、

彼女の腕を貫通し、ライフを削り取った。

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド」

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