『LP4000vs2100』
『……特殊勝利を崩したからと言って調子に乗るなよ。クソガキ!
罠発動! クリスタル・シャウト!』
「俺はそれにチェーンしてチェーンヒーリングを2枚、積み上げる幸福、
チェーンストライクを発動! チェーンストライクの効果により、
2000ポイントのダメージを与え、積み上げる幸福の効果でカードを2枚ドロー。
そして1000ポイントのライフを回復する』
発動したチェーンストライクのカードの絵柄から鎖が射出されたかと思うと、
そのまま突き進んでいき、彼女の胸を貫通し、2000のライフを一気に削り取った。
それと同時に彼女の体は次々と闇に消えていき、残っているのは肩から上だけという、
結構ショッキングな状態になってしまった。
相手の残りライフは100……チェーンブラストが1枚、手札に来れば俺の勝ちだ!
『クリスタル・シャウトの効果により、クリスタル・オーロラドラゴンを除外!』
直後、クリスタル・オーロラドラゴンはそのまま光の粒子となって消滅してしまった。
切り札を除外……一体、何をしかけてくるんだ。
『クリスタル・シャウトの効果は場のクリスタル・オーロラドラゴンを除外することでデッキ、手札よりすべてのクリスタルモンスターを墓地へ送ることでエクストラデッキから、クリスタル・オーロラブレイズドラゴンを特殊召喚する!』
っっ! クリスタル・オーロラドラゴンが切り札じゃなかったのか!
『まさかあなたごときに見せるとは思わなかったわ。とくと御覧なさい!
これがクリスタルシリーズ最強のドラゴン!』
上空に穴が空いたかと思えばそこからキラキラと光の粒子が降り注ぎ始め、
数秒経った直後、そこから2つの脚が見え、さらに胴体、長い尻尾、両腕、
そして牙が見えている口、俺を殺さんばかりに睨みつけてくる両目が見えた。
こ、これがクリスタルシリーズ最強のモンスター。
『降臨せよ! クリスタル・オーロラブレイズドラゴン!』
彼女がその名前を叫んだ瞬間、ドラゴンが大きな咆哮をあげた。
くっ! なんて圧力だっ!
『ATK;4000 DEF3000』
「こ、攻撃力4000!?」
目の前のモンスターに睨みつけられるだけで押しつぶされそうな圧力が俺にのしかかってくる。
『終わりよ。バトル! クリスタル・オーロラブレイズドラゴンで、
アダルトマジシャンを攻撃!』
直後、クリスタル・オーロラブレイズドラゴンの大きな口がゆっくりと開き、
そこに光が集まり始めたと同時に踏ん張っていないとクリスタル・オーロラブレイズドラゴンに引き寄せられるくらいの風が俺の背中にぶつかってきた。
『死ねぇ!』
クリスタル・オーロラブレイズドラゴンの口から超巨大な光の球体が放たれ、
凄まじい速度で俺達に向かってきた!
そうはいくかよ!
「速攻魔法発動! 融合解除! アダルトマジシャンを2体のベビーマジシャンに分離させる!」
『わぁぁぁぁぁぁ!』
悪い、ベビーマジシャン!
2体となったベビーマジシャンの片一方にドラゴンが放った超巨大の光球が直撃したと同時に、凄まじい爆音と爆風が発生し、俺は耐えることすらできずにそのまま吹き飛ばされ、背中から地面に叩きつけられた。
「がっ! はっ! っっ! お、俺のライフが」
背中の痛みを我慢しながら立ち上がった時にディスクに表示されている俺のライフが5000から1300にまで減少しているのが見えた。
そうか……あのモンスター、貫通ダメージまで備えてるのかよ。
『クリスタル・オーロラブレイズドラゴンは墓地へ送ったクリスタルモンスターを除外することで、除外したモンスターの効果を得ることができる。
私はクリスタル・ソードマンを除外した。
さらに私はクリスタル・セーバーを除外し、効果をコピーして発動。
自分のライフが相手よりも下回っている場合にのみ発動可能。元々の攻撃力分だけ、
私はライフを回復する……クリスタル・セーバーは攻撃力1000……でも、
私はクリスタル・オーロラブレイズドラゴンのもともとの攻撃力分だけ回復!
さらにクリスタル・ガードナーを除外し、1度だけ戦闘破壊を無効にする効果を得る』
攻撃力4000に加えて除外したモンスターの効果を得ることができるのかよ。
……本格的にバランスが崩れてるじゃねえか。
しかもライフが超回復して4100かよ。
何とかして立ち上がるが目の前には最強ともいえるドラゴンが立ちはだかっており、
俺の場にはベビーマジシャンが一体、そしてドローも含めて俺の手札は3枚。
まあ、クリスタル・オーロラドラゴンがもとから除外されているだけまだましか。
あいつまで墓地へ送るんだったら正直、俺は勝てない。
『私はこれでターンエンド』
「俺のターン! ドロー!」
連鎖邪龍……確かに手札のシルバーガンナーとシルバーナイトで素材はそろうけどそれだけじゃ、
目の前の最強のドラゴンに勝てない……どうすれば…………ん?
その時、エクストラデッキの収納スペースから光が漏れ出ているのが見え、
収納スペースを開き、その中を確認してみるとチェイン・ドラゴンのカードが光輝いていた。
『諦めるな、優斗』
カードから声が聞こえてきたかと思えば視界の端に光が見え、そちらの方を向くとそこに光の球体が一つ、俺に寄り添っているかのように隣に浮いていた。
『お前が諦めない限り、私たちもそれに全力で応えよう』
直後、俺の周りにデッキの投入しているモンスターたちの姿が次々と現れ、
俺に優しく微笑みかけてくる者もいれば諦めるなと目で訴えてくる者も見えた。
そしてモンスターの間から青いドレスの少女がゆっくりとこっちに向かって歩いてきた。
《貴方が光も闇も受け入れるなんて思わなかった……破滅の光も希望の闇もその身に宿してなお、絶望に苛まれたとしても貴方はその歩みを止めない?》
……あぁ。諦めねえ……最後の最後まで……ライフが尽きるその時まで俺は諦めない!
口には出さずに心の中でそう呟くと青いドレスの少女は小さくほほ笑むと俺の目の前に立ち、そのまま倒れ込んできた。
俺は反射的に彼女の体を支えようと腕を動かすが俺の腕は彼女の体を素通りし、
そのまま彼女が俺の体に中に消えてしまった。
…………行くぜ。
『今更、覆せる状況じゃないわ。こちらの攻撃力は4000。
たとえ連鎖龍を呼び出そうが無駄。連鎖龍の効果で1500攻撃力を下げても、
2500。攻撃力が4000にアップして攻撃しても戦闘破壊を1度、無効にする効果で場に残り、連鎖邪龍の攻撃でも私のライフは大幅に残る。
しかも連鎖龍の効果はこのターンのみに加え、
クリスタル・オーロラブレイズドラゴンを蘇生させる手段なんて腐るほど存在する。
貴方の負けはもう確定よ。諦めなさい』
「悪いな! 俺はもう二度と諦めねえことにしたんだ! 何事に関しても!
デュエルも勉強も何もかも! 俺は連鎖・シルバーガンマンを召喚!
そしてフィールド上の2体の連鎖モンスターを墓地へと送る!」
お前の闇の力を俺は二度と拒絶何かしない! 闇が俺を蝕むってんなら、
俺がお前の本当の力を引き出してお前の力を俺が支配してやる!
「闇が世界を絶望で包みこむとき、闇を従える龍が降臨する!
すべてを絶望の闇に染め上げろ!
降臨せよ! 連鎖邪龍・チェイン・カオス・ドラゴン!」
フィールド上の二体の連鎖モンスターが闇に包みこまれたかと思えばその二つが一つに合体し、一つの大きな闇の塊に変化したかと思えばその塊が形を変えていき、
塊だったものがその身を漆黒の鎖で縛りあげている漆黒の連鎖龍へと変化した。
チェイン・カオスがフィールドへと降り立った瞬間、咆哮をあげた。
っっ! そんなに戦いっていうのか! 待ってろ、すぐに舞台を整えてやる!
「チェイン・カオスの効果発動! チェーン数が10以下の時、連鎖モンスターをチェーン1として10になるように墓地へ送り、
送った枚数分だけチェーン数を上げる! 俺は2体を墓地へ送る!
さらに墓地へ送られたシルバー・ベビーの効果により、フィールドに特殊召喚!」
墓地からシルバーベビーのカードが2枚、射出され、それを受取ってディスクにセットすると、フィールド上に2体のベビーが出現した。
悪かったな、ベビー。みっともないご主人の姿見せて……もう、あんな姿は見せねえ!
「俺は2体の連鎖モンスターを墓地へと送る!」
シルバーベビーを2体、墓地へ送った瞬間、ふと見えたのはベビーの笑顔だった。
「光が世界を希望で包みこむとき、光を従える龍が光臨する!
全てを希望の光で包みこめ!
光臨せよ! 連鎖光龍――――チェイン・ホーリー・ドラゴン!」
2体の連鎖モンスターが光に包みこまれたかと思えば、その光が徐々に形を変えていき、長い胴体、光輝く鎖が緩くその体に巻き付いており、隣のチェイン・カオスとは正反対の輝きを放っているドラゴン……チェイン・ホーリー・ドラゴンがその姿を現した。
……これがお前の本当の姿。
『バ、バカな! チェイン・ドラゴンじゃない!?』
「チェイン・ホーリーの効果発動! 1ターンに1度、墓地に存在している連鎖モンスターを5枚まで除外することができ、除外した枚数分だけ、バトルフェイズの間のみチェイン・ホーリーの攻撃力を1枚につき、300ポイント上昇させ、相手モンスターの攻撃力を減少させる! 5体の連鎖モンスターを除外!
さらにチェイン・カオスの攻撃力はチェイン・ホーリーの効果によって、
除外された連鎖モンスターの数×300ポイント上昇する!」
チェイン・カオスの効果テキストにあった最後の空行はこれだったんだ!
『あ、あり得ない。闇が……希望の闇が負けるなんて!』
「バトル! チェイン・カオスでクリスタル・オーロラブレイズドラゴンを攻撃!
闇を撃ち砕け! カオスバースト!」
『うあぁぁ!』
チェイン・カオスの体にギュウギュウに巻き付いていた漆黒の鎖が解き放たれ、
地面に突き刺さり、己の体を支えて口を大きく開けるとそこに闇が集まって行き、
一つの大きな球体になった直後、チェイン・カオスの口から放たれ、クリスタル・オーロラブレイズドラゴンに直撃するがコピーした効果により、戦闘破壊は免れたが差額分だけ彼女のライフが減少した。
「チェイン・ホーリーで攻撃! ホーリー・バースト!」
チェイン・ホーリーの口が大きく開いたかと思えばそこに光の粒子が集まって行き、
一つの球体という形へとなり、放たれてクリスタル・オーロラブレイズドラゴンに直撃すると、
クリスタル・オーロラブレイズドラゴンが悲痛な叫びを上げながら粉々に砕け散り、
彼女のライフがさらに減少し、残り100となった。
『な、何故だ! 光と闇は相反する物! なのになぜ、貴様はその二つをその身に宿せるのだ!』
「知らねえよ! でも、片一方だけ持っていても意味がねえだろ!
光と闇、それぞれ半分ずつ、
持つことで均衡が保たれるんだ! 行け、ベビーマジシャン!」
『やー!』
ベビーマジシャンが空高く飛びあがり、頂点で杖を青いドレスの少女に向けた瞬間、
杖が輝きだし、そこから光線が少女めがけていくつも放たれた。
「消え去れ! ベビーマジック!」
『ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』
『LP 1300vs0』
「ふぅ……勝った」
安堵のため息をつくと向こうのほうから闇が消滅し、元の世界に戻っていくのが見え、
そのまま何もせずにそれを受け入れると無事に俺も元の世界へと戻ることができた。
……でも、結局あの青いドレスの少女は何だったんだ。
【あれは私の体そのものよ】
「へえ、なるほど……ど、どこにいんの!?」
何気なくぼそっと呟いた言葉に返答されたことに驚き、周囲を慌てて見渡すがそこには、俺以外に誰もおらず、強いて言えば開きっぱなしの窓から鳥が入ってきて廊下にいるくらいだった。
【貴方に取りついているのよ。まだ私は精神しか取り戻せていないの。
闇の力に支配された私の体はそのまま闇にのみ込まれて、
どこかへ消えてしまったわ。だから体を取り戻す間は貴方に取りつくことにしたの】
いや、とりつくって……そろそろ時間だな。
廊下にかけられている時計が目に入り、クラス対抗トーナメントの最終戦が始まる5分前を指示しているのが見えたのでそのまま徒歩でアリーナまで歩き始めた。
どもっす……やっぱり、遊戯王の二次は難しいですね