《装備魔法・連鎖の剣》
このカードは自分フィールドの上の連鎖と名のつくモンスターにしか装備できない。
このカードが装備されたモンスターの攻撃力は500ポイント上がり、
チェーンが積まれるごとにこのカードにカウンターを置き、
三つ取り除くことで相手に500ポイントのダメージを与える。
《連鎖―――シルバービースト》
星4/光属性/獣戦士族/ATK 1800 DEF 200
このカードが通常召喚に成功した時、デッキから装備魔法を一枚、手札に加えられる。
《未来への連鎖》
このデュエル中に積まれたチェーン数が5以上の時、
デッキからカードを2枚、ドローすることができる。ただし、
このカードを発動してから2回、ドローフェイズをスキップする。
《連鎖―――――シルバー・サモナー》
このカードが召喚に成功した時、手札にある連鎖モンスターを墓地に送ることで、
墓地から連鎖モンスターを一体、蘇生させることができる。ただし、
この効果で蘇生させたモンスターは効果は無効にされ、もともとの攻撃力は半分となる。
「あんちゃんよ~。止めといた方がいいんじゃねえのか?
デュエルが好きなら友達とやっていた方が楽しさを失わずにできるぞ?」
船を操縦している漁師のおっちゃんの話を聞きながらも俺――――高槻優斗は波で大きく揺れる船の上で外に放り出されないように、手すりにしがみ付いているのが精いっぱいでおっちゃんの話に返答できるような状況ではなかった。
「俺の息子もデュエルモンスターズが好きでもっと学びたいって言って、
アカデミアに入学したけど二か月足らずで帰ってきたぜ?
あんなに大好きだったデュエルモンスターズを全部捨てたくらいだ」
デュエルアカデミア――それは優秀なデュエリストを育成する機関でなおかつ、
高校の勉強も同時に行えるということで世界各地に何校か作られているが全て、
デュエルで決まる。勝てば賞賛を、負ければ泥を塗れるとかいううわさもある。
ただ、そこを卒業した者は例外なくデュエルモンスターズ界で先陣を切って、
走っている人物ばかり。
入学した当初は弱かった人が卒業するころにはプロリーグで活躍するくらいだ。
「まあ、あんちゃんの人生だ。後悔だけはすんなよ。着いたぜ」
「ありがとな、おっちゃん。絶対に後悔なんかしねえさ」
そう言い、船から降りると数時間ぶりの地面の硬さを味わえた。
そして目の前には高い山が見えており、山の頂上辺りから煙が出ているのも見える。
なんでこんな孤島にデュエルアカデミアを作ったのかもわからないし、
活火山がある場所なんてなんか怖いな。
「んじゃ、行きますか」
気合いを入れ、アカデミアの道案内として建てられている看板の指示に従って、
上り坂を歩いて上にあがっていく。
これから三年間、ここで暮らして強い奴らとデュエルできるんだよな……あぁ、
想像するだけでワクワクが止まらない! 早くデュエルしたいな~!
はやる気持ちを抑えようとするが自分では抑えきれないほど高揚感が高まっており、
それが歩くスピードに出てきて、普段よりも二倍近い速さで歩いている……と思う。
これからどんな奴とデュエルできてどんなデッキと出会えるのかを考えたら、
もうスキップでもしたくなるくらいだ!
「着いた!」
坂を登りきると四階建てほどの高さの建物の入口の前にたどり着き、
校門らしき門の両脇には入学式会場はあちらですと、
書かれた白い看板が立てかけられていた。
腕に付けている時計を見てみるとまだ入学式が始まるには一時間ほどある。
「まあ、探検は後にするとして……近くをブラブラするか」
そう考え、近くに見えている林の中へとはいっていく。
まっすぐしか進まないから道に迷うことはないだろうし……でも、
やっぱり孤島だからか、
都会じゃ見ないような動物がちらほら見えるな。
木の上には鳥が止まっていたり、目の前をリスらしき小さな動物が抜けて行ったり。
「そこの坊主よ」
「ん?」
歩いていると声を掛けられ、振り返ってみるが後ろには誰もいなかった。
気のせいって思いたいけどはっきりと声、聞こえたしな……。
「こっちじゃ」
その声とともに右側から木々が揺れ動く音が聞こえたのでそちらのほうを向くと、
用務員さんが着ているようなぼろい服を着たおっちゃんが木々の間から出てきた。
そしてその腕にはデュエルディスクが装着されていた。
「おっちゃんは?」
「わしか? わしはこのアカデミアの者じゃよ。この森の管理をしていての」
だから用務員さんが来ているみたいな服を着ていたのか……でも、明らかに、
定年の年齢を超えているような風貌にしか見えないんだけどな……まあ、
定年した後でも働くおっちゃんはいっぱいいるし、俺のじいちゃんだって定年しても、
警備員の仕事してるくらいだし。
「お主は何故、デュエルアカデミアに入りたいと思ったんじゃ?」
「やっぱり、デュエルモンスターズをしているものとしては入りたいからです。
それに俺、もっとこのゲームのことをいっぱい知りたいんです! 今まで、
遊びのものとしか考えていなかったんですけど小5の時にプロのデュエルを見て、
俺感動したんです! あんなデッキがあるのか、あのカードにはあんな使い方があるのかって!だから俺、このデュエルアカデミアに入学してそんなことをいっぱい学びたいんです!」
そう言うとおっちゃんは一瞬、驚きながらも顎をさすりながら口角をあげて、
小さくニヤリと笑って俺のことを見てきた。
「わしもこのアカデミアにいて長いがどいつもお堅い考えばかりでな。
初めてお前さんのような純粋なものを見た……その心がどれほどのものか、
わしが見てやる」
そう言い、おっちゃんはデュエルディスクを展開し、
俺から少し距離を開けて向き合った。
デュエルか……まさかアカデミアの人とデュエルができるなんて初日からついてるな~!
まずは入学前の肩慣らし……いや、これを足場にするんだ!
「「デュエル!」」
『LP4000vs4000』
「先行はお主にやるぞ」
「んじゃ、ドロー! 俺は連鎖―――シルバービーストを攻撃表示で召喚!
その効果により俺は装備魔法・連鎖の剣を手札に加える!」
効果を発動し、俺はデッキの中身を見て手札に入れる装備魔法を一枚選択し、
一度シャッフルしてから再びディスクに直すともう一度、自動的にシャッフルが行われた。
ほんと、デュエルディスクってこういう時、便利だよな。
「そして装備魔法、
シルバービーストの攻撃力が500ポイントアップ!」
『ATK1800→2300』
「カードを三枚伏せてターンエンド」
「わしのターンじゃ。ふむ……サイバードラゴンコアを召喚じゃ」
おっちゃんが叫んだカード名に驚き、ソリッドビジョンによって表現されたモンスターの姿を見て二度、驚いて目の前にあるその姿をまじまじと目に焼き付けるように見た。
マ、マジかよ。サイバードラゴン・コアがデッキに入っていると言う事はおっちゃんのデッキは間違いなくあのサイバーデッキだ。
機械族で占められているあのデッキはリミッター解除やパワーボンドといった専用サポートカードなどの活躍により、一時プロのほとんどが使い始めたデッキだ。
「サイバードラゴン・コアの効果により、わしはサイバネティックサポートを手札に加える。そして機械複製術を発動! サイバードラゴン・コアはフィールド上では、
サイバードラゴンとなる。わしはサイバードラゴンを選択し、
デッキから二体のサイバードラゴンを特殊召喚する!」
おっちゃんのデッキから二枚のカードが射出され、ディスクにセットされると、
フィールド上に二体のサイバードラゴンが新たに特殊召喚された。
っっ! たった一ターンでサイバードラゴンを三対並べた……ということは、
おっちゃんの手札に融合があったら……ヤバい。
で、でも装備魔法を装備したシルバービーストのほうがまだ上だ……落ち着こう。
「わしはカードを一枚伏せ、ターンエンド」
「俺のターン! ドロー!」
あの伏せカードがリミッター解除だったらそれだけで大半のライフが消える。
でもそれと同時に俺のターンが終了すればすべてが破壊される……でも、俺のフィールドはガラ空きになるし、ライフが半分以下の状態じゃ、受けきれるかも微妙なところだ。
ここは伏せたチェーンブラストとチェーンブレイクを……チェーン二つだけなんて積んでもブラストはそのまま墓地に戻るだけ、チェーン2で発動してもデッキか……。
えぇい! ここはあれがリミッター解除でないことを祈る!
「バトルフェイズに移行! サイバードラゴン・コアを攻撃!」
「ほっほっほ」
そう宣言したと同時に真っ白な毛並みの獣が空高く飛びあがり、
急降下の勢いを利用し、サイバードラゴン・コアをその鋭い爪で真っ二つにすると光の粒子となって消え、おっちゃんのライフが削られた。
ふぅ。リミッター解除じゃなかった。
「俺はカードを一枚伏せ、ターンエンド」
『LP 2100vs4000』
「わしのターン。ドロー……わしはサイバネティックフュージョンサポートを発動!」
おっちゃんの発動したカードにフュージョンという名前があるのに気付いた瞬間、
何故か俺は体を大きくびくつかせてしまった。
フュージョンってことはつまり……やばい!
「俺はそれにチェーンしてチェーンブラスト、チェーンブレイク、
そしてチェーンプラスを発動! デュエル中に積まれたチェーンの数を3加え、
チェーンブレイクの効果により、チェーンが組まれた数かける300ポイント、
シルバービーストの攻撃力をこのターンだけ上げる!
そして最後のチェーンブラストの効果でおっちゃんに500のダメージを与え、
ブラストは手札に戻る!」
『ATK;2300→3500』
「ほっほっほ。わしは墓地のサイバードラゴン・コアとフィールドの2体のサイバードラゴンを除外し、手札の融合により、エクストラデッキからサイバーエンドドラゴンを融合召喚!」
直後、俺の目の前から膨大な量の光の粒子が放たれだしたかと思えば、
そこから三本の尾、そして一つの体にサイバードラゴンの首が三本合わさったモンスターが出現し、空に向かって強く咆哮をあげると、偶然なのか強い風が吹いて周囲の木々がざわつき始めた。
『ATK;4000。DEF;2800』
「こ、これが……サイバーエンドドラゴン」
サイバーデッキのエースモンスター……まさか、こんな早くに出るのかよ。
まだ、こっちは連鎖龍――――チェインドラゴンの条件だって満たせてねえってのに!
「サイバーエンドドラゴンでシルバービーストを攻撃じゃ」
「うあぁぁ!」
サイバーエンドドラゴンの3つの首から放たれた破壊光線がシルバービーストを貫き、
爆発をあげて消え去ると数値の差額分が俺のライフから削られた。
「わしはカードを一枚伏せて、ターンエンドじゃ」
『LP1600vs3500』
「俺のターン!」
さて、どうする……今俺のフィールド上にカードは一枚もない……でも、和睦の使者があるから一ターンは攻撃を防ぐことはできるけどそれじゃダメだ。サイバーエンドを何とか破壊して……それよりもチェーン数をためて、モンスターを二体、準備しないと。
和睦の使者、死者蘇生、チェーンブラスト、
これらのカードを使えばなんとかあいつを呼び出すことはできる……よし。
「俺はカードを3枚伏せてターンエンド」
『LP1600vs3500』
「わしのターン。伏せカードは気にしないタイプでの。バトルフェイズに移行!
サイバーエンドドラゴンでダイレクトアタック!」
「リバースカードオープン! 和睦の使者!
さらにそれにチェーンして速攻魔法、
そしてチェーンブラストを発動! 最後のチェーンブラストの効果により、
おっちゃんに500のダメージ!」
「チェーンが好きじゃのう」
「そして未来への連鎖の効果。チェーン数が5以上だからカードを2枚ドロー!
その後、2回ドローフェイズがスキップされる。
そして和睦の使者により、戦闘ダメージはゼロだ!」
よし、これでチェーン数は10を上回った!
「わしはこれでターンエンドじゃ」
「俺のターン。未来への連鎖によりドローフェイズはスキップされ、
メインフェイズ1に移行」
手札に来たのは連鎖・シルバー・サモナーと連鎖・シルバー・ナイト。
サモナーの効果でナイトを墓地へ送り、墓地からビーストを蘇生。
そして、その2体を生贄にしチェインドラゴンを特殊召喚。
ここで死者蘇生でナイトを蘇生しても良いんだけど、
そうするとチェインドラゴンの効果が下がってしまう……仕方がない。
ここは蘇生せずにサイバーエンド・ドラゴンの破壊を最優先に考えよう。
「俺は連鎖―――――シルバー・サモナーを召喚! そしてモンスター効果!
このカードが召喚に成功した時、手札にある連鎖モンスターを墓地に送ることで、
墓地から連鎖モンスターを一体、蘇生させることができる。ただし、
この効果で蘇生させたモンスターは効果は無効にされ、元の攻撃力は半分となる。
甦れ! 連鎖―――――シルバー・ビースト!」
墓地ゾーンからカードが一枚排出され、それをディスクに置くと銀色の毛並みをした獣が、光をまといながら出現し、大きく咆哮をあげた。
『ATK;1800→900』
「そしてこのデュエル中にチェーンが組まれた数が10を超えている時、
2体のモンスターを生贄にエクストラデッキから連鎖龍・チェインドラゴンを特殊召喚できる。俺は2体を生贄に特殊召喚! 来い!」
フィールドの2体を墓地へと送り、エクストラデッキからチェインドラゴンを召喚すると、俺の目の前から光があふれ出し、そこから全身に鎖が巻きつけられている龍が姿を現し、サイバーエンドに向かって威嚇のように咆哮をあげた。
『ATK;2500』
「ほぅ。エースモンスターかの」
「あぁ、こいつが俺のエースだ! チェインドラゴンの効果発動!
墓地の連鎖モンスターを3枚除外し、相手モンスターの攻撃力を1枚につき300ポイント下げ、このモンスターの攻撃力をバトルフェイズ中のみ、1枚につき300ポイントアップさせる」
『サイバーエンド。ATK4000→3100』
『チェインドラゴン。ATK2500→3400』
「ほぅ。サイバーエンドを超えたか」
「行け! チェインドラゴン!」
宣言と同時にチェインドラゴンの口が大きく開き、そこへ光が凝縮されたかと思えば、
一気に放たれてその光線がサイバーエンドドラゴンに直撃すると大爆発をあげて、
サイバーエンドが消え去り、差額分がおっちゃんのライフから削られた。
「よっしゃ! チェインドラゴンの効果は1ターンしか持たない。ターンエンド」
『LP800vs3500』
「わしのターン。ドロー。小僧、お主中々やるの」
「そ、そうっすか?」
「じゃが、その勢いもここまでじゃ手札から魂の解放を発動!
互いの墓地のカードを合計5枚まで除外する。わしは墓地のサイバードラゴン2体、
サイバードラゴンコア、そしてサイバーエンドを除外じゃ」
……なんでわざわざサイバーエンドまで除外したんだ?
サイバーエンドは正規の方法で融合召喚されたから蘇生制限はみてしてるから、
死者蘇生でも蘇生できるはずなのに……。
「そしてリバースカードオープン! 異次元からの帰還!」
「…………はぁ!?」
「ライフを半分にすることで除外された自分のモンスターを可能な限り特殊召喚!」
すると目の前に4つの光の枠が現れ、そこからサイバードラゴンが2体、
サイバードラゴンコアが一体、そして最後の光の枠から、サイバーエンドドラゴンが再びその姿を現した。
う、嘘だろ。まさかこの時のために…………。
「残念じゃったの。今後に期待じゃサイバーエンドでチェインドラゴンを攻撃!」
「くっ!」
「そしてサイバードラゴン2体でダイレクトアタック!」
「うわぁ!」
『LP1500vs0』
俺のライフがゼロになり、フィールドにあったモンスターたちはすべて消滅し、
デュエルディスクの液晶にはloseと表示されていた。
「つ、強い……」
「ほっほっほ。ま、わし相手にエースモンスターを出せただけでも十分じゃ……お主のその心は、紛れもない純粋なものじゃったようじゃの。その心を入学してからも失わぬようにな。デュエルを楽しむ心を忘れたものは壊れるからの」
デュエルを楽しむ心を忘れたものは壊れる……。
「ところで、お主、時間は大丈夫なのか? 入学式なんじゃろ? 今日」
「…………」
そう言われ、腕に付けている時計を見てみると、
指示している時間は入学式開始の時間を過ぎていた。
その事実を受け入れた瞬間、体中の穴という穴が一斉に開いて、
変な汗が大量に噴き出してきた。
「や、やっばぁぁぁぁぁぁ! ありがとおっちゃん!」
俺はおっちゃんに急ぎながらも礼を言い、ダッシュで来た道を戻り、
入学式会場へと戻った。
「あぁ、わしじゃわし。今から遅れてくる奴がおるが何も言わんでいいぞ。
ほっほっほ。お前さんの言う通り、またわしの悪い癖じゃ。
そ、そんな怒らんでもいいじゃろ。とにかく、
今から遅れてくるやつにはくれぐれも、何も言わないように。ではな」
連載にしました。何かミスがあれば何でも言ってください。
あと、このお話的にオリカが多くなってきますがご了承ください。