遊戯王   連鎖する想い   作:kue

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この作品終わったらアークファイブの二次でも書こうかな……なんて考えている今日この頃です。


第四十デュエル

「チェイン・カオスの効果発動! デッキより10枚の連鎖モンスターを墓地へ送り、このターンの終了時までチェーン数を10にする! そして墓地へ送られたシルバーベビーの効果により、2体を墓地より特殊召喚!」

 おしゃぶりを咥え、赤いベビー服を着た幼いモンスターが現れ、咲さんを見た瞬間、何故か大きな声をあげて泣き出してしまった。

 ……俺だって泣きたいよ……なんで……なんで咲さんとこんな闇のデュエルをしなきゃならないんだ!

「俺は2体のシルバーベビーを墓地へ送る!」

 そう宣言した直後、ベビーが光の球体となって上空へと舞い上がり、上空で1つになった瞬間、光の雨が地上に降り注ぐ。

 頼む……お前の光で咲さんを戻してくれ!

「光が世界を希望で包みこむとき、光を従える龍が光臨する! 全てを希望の光で包みこめ!

光臨せよ! 連鎖光龍――――チェイン・ホーリー・ドラゴン!」

 光の雨が降りしきる中、眩い輝きを全身から放ちながらチェイン・ホーリーがゆっくりと降り立ち、咆哮を上げた瞬間、チェイン・ホーリーの一本の鎖が放たれ、咲さんの胸を貫いたかと思えば闇を縛り上げた状態で遠くの方に消えていった。

「…………咲さん?」

「……優斗君」

 っっ! 良かった! やっぱりチェイン・ホーリの光で咲さんの闇だけを取り除けたんだ! これで闇のデュエルをこれ以上続ける必要なんてない。

 だが、俺の思いとは裏腹に周りを囲んでいる闇は消えるどころかさっきよりも強くなっている。

「なんで……なんで周りの闇が消えないんだ」

「……このデュエルに決着をつけない限り闇は消えないわ」

「そ、そんな」

「……優斗君」

 咲さんは俺の名前を呼ぶと俺に見せてくれたあの満面の笑みを浮かべた。

「私を倒しなさい」

「……出来ないですよ」

 そう言った瞬間、何故か涙があふれ出てきて目の前が見えずらくなってくる。

 何度、服の袖で流れてくる涙を拭っても涙は止まるどころかドンドン流れてきていつの間にかおえつを漏らすくらいになった。

 なんで……何でこんなにも悲しいんだよ。

「そんなのできませんよ! なんで……何で俺が咲さんを自分の手で消さなきゃならないんですか!」

「…………捕まっている時に貴方が闘ってきた映像を見たわ…………私には分からないけどあの時、実体化したのはその力なのよね?」

 咲さんの質問に俺は涙を流しながら頷く。

「……聞いて、優斗君。このアカデミアを闇に落としたのはカズマという男よ。そいつは貴方が持っている同じ力を持っているわ。そいつはここを起点として世界を闇に落とそうとしている。それを止められるのは同じ希望の闇と絶望も光を持っている貴方だけよ……こんなところで貴方は止まっちゃダメなの!」

「っっ!」

 初めて聞く咲さんの大きな声に俺は驚きながら顔を上げると咲さんの目にうっすらと涙が貯まっているのが見えるとともに彼女の覚悟が顔に表れているのが見えた。

「私を助けてくれたように! このアカデミアを助けて! それができるのは貴方しかいない」

「…………チェイン・ホーリーのモンスター効果発動! 墓地の連鎖モンスター4体を除外し、バトルフェイズの間だけ自身の攻撃力を1200ポイント上げ、相手の攻撃力を1200ポイント下げる! そしてチェイン・カオスの攻撃力はチェイン・ホーリーの効果で除外されている連鎖モンスターの数×300ポイントアップする!」

『チェイン・ホーリーATK2500⇒3700』

『チェイン・カオスATK3000⇒4200』

『ダメージ・ドラゴンATK2800⇒1400』

「バトルだっ! チェイン・カオスでダメージ・ドラゴンを攻撃! カオス・バースト!」

 地面に漆黒の鎖が撃ち込まれ、体を固定したチェン・カオスの口から闇の破壊光線が放たれ、ダメージ・ドラゴンを飲み込んで破壊すると同時に咲さんのライフを大きく削る。

「必ず……アカデミアを救いなさい……優斗」

「っっっ! ああぁぁぁぁぁ! チェイン・ホーリーでプレイヤーにダイレクトアタック! 全ての闇を消し去れ! ホーリー・バースト!」

 チェイン・ホーリーの口から光の破壊光線が放たれ、咲さんを飲み込んだ瞬間、大きな爆発を上げて咲さんのライフを削り切った。

 爆発の際に光が周囲に飛び散り、咲さんを飲み込もうとする闇がはじかれていく。

「咲さん!」

 俺は慌てて倒れている咲さんのもとへと駆け寄り、肩を抱いて彼女の名前を呼ぶとさっきと同じ笑みを浮かべて俺の手を優しく握った。

 咲さんは少し俺を見つめるとスカートのポケットからルームキーを取り出し、俺に手渡した。

 直後、徐々に咲さんの体が光の粒子となって消滅を始めた。

 俺は消滅させまいと強く彼女を抱きしめるけど咲さんの消滅が遅くなるわけでもなく、咲さんの体が光り輝き、消滅していく。

「私の思いは……ここにあるから」

 そう言った瞬間、咲さんが完全に光の粒子となり、消滅した。

 俺の手に残ったのは咲さんと俺で作ったデッキと手渡されたルームキーだけだった。

「今泉……」

「咲ちゃん……」

 なんでだよ…………何で無関係な咲さんまで巻き込むんだ!

「哀れなものだな」

 後ろから男の声が聞こえ、睨み付けながら上を向くと黒いコートにサングラスをかけた男が何もないはずの空中でまるでそこに足場があるかのように空中に浮かび上がり、俺達を見下ろしていた。

 あいつが……あいつがこの事件の元凶!

「たった一人、仲間を失った程度で泣くとは」

「俺とデュエルしろぉぉ! ぶっ潰してやる!」

「落ち着け高槻! そんな状態でデュエルしても負けるだけだ!」

「降りて来いよ!」

「ふっ……そんな貴様を倒しても何も満足せん……明後日の正午、火山の火口近くに来い」

 そう言い、男がコートを翻すと同時に闇に包みこまれて、消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、俺はブルー寮の咲さんの部屋の扉の前に立っていた。

 結局あれから男を探すけどどこにも見つからず、先生たちとは別れてきた場所がここだった。

 ポケットからルームキーを取り出し、開錠して部屋の中へ入ると以前、入った時と何ら部屋の模様は変わっていなかったが勉強机の上に1つの小さな白い箱とその隣に封筒が置かれていた。

「…………」

 その封筒を持ち、ベッドに座り込むが部屋の中に咲さんのあの声はなく、あるのは部屋に備え付けられている時計の針が進む音くらいしかない。

 すでにあけられている封筒から手紙を取り出すと一番上に咲さんのお兄さんらしき名前が書かれていた。

『咲へ。お前が言っていたカードそっちに送ったよ。まさか君が男の子にプレゼントをあげるとは思ってなかったからちょっとびっくりしたよ。あと夏休みの件だけどいつでもいいよ。頑張ってな』

「カー……ド?」

 机の上に置かれている小さな白い箱を取り、ふたを開けてみるとスリーブに入れられている一枚のカードが丁寧に入れられており、そのカードを表返してみた。

「連鎖魔光龍―――カオス・ホーリ・チェインドラゴン……咲……さん……」

 さっき止まった涙がまた目の奥から溢れてくる。

 俺はそのカードを握りしめながら咲さんの部屋でひとしきり泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 2日後の朝、俺はデッキの最終調整を自分の部屋に戻ってしていた。

 この学園を元に戻すには希望の闇を使うあの黒いコートの男を倒すしかないだろうし、たった二人でアカデミアを闇に染め上げるくらいだ。

 只者じゃない……でも、俺は勝たなくちゃいけないんだ。勝って咲さんや真白たち、闇に囚われた人を救わなきゃいけないんだ。

「ふぅ……よし」

 並べていたカードを1つのデッキにまとめ、ディスクにセットし、エクストラデッキの挿入口にチェイン・ホーリーと咲さんの部屋にあったカードをデッキに入れた。

「……行くか」

 ディスクを腕にはめ、寮から出るとミッシェル先生が立っていた。

「お前だけに行かすわけにはいかん……教師としてお前のデュエル、見届ける」

「……はい」

 火口へと繋がる山道を互いに無言のまま歩き続ける。

 ほんと……一学期の間だけで色々なこと経験したよな。レッド寮に配属されたかと思えば希望の闇とか絶望の光とかと遭遇するし、クラス別対抗トーナメントのクラス代表になって優勝するし、ブルー寮の咲さんやノゾミさん、森さんと出会うし。

 あと山本さんにも会うし……凄いな、俺って。

「高槻」

「はい」

「……今回のことはもう何も聞かん。お前が何に巻き込まれているのかも……ただな。もし自分ではできないことが出てきたら……いつでも来い」

「……はい。その時は」

 長い山道を登り切り、コートの男が言っていた火口近くへとやってきた。

 周囲を見渡すが奴の姿はない……どこにいる。

「やっと来たか」

 上から声が聞こえ、見上げると本当に火口付近……というよりも火口の真上に奴が浮かんでおり、いつ噴火するかもわからないというのに余裕の表情で俺達を見ていた。

 小さく息を吐き、奴を睨み付けるとおどける様に両手を上げた。

「怖いな。その顔……さあ、デュエルと行こうか」

「っ!? な、なんだこれ!?」

 奴が指をパチン! と鳴らすと突然、地面に黒色の線が四角を描きながら細かく入っていったかと思えば地面がなくなり、俺の足元に40枚ほどの四角く切られたパネルで新しく地面が形成された。

「どうだ? 凄いだろう。それは貴様のライフが100減るごとに1枚減っていく。0になった瞬間、マグマに落ちてフィニッシュと言う事だ」

「お前が負けたらお前が死ぬんだぞ」

「死にはしないさ……俺が勝つからな」

 そう言うと奴は左手に闇を纏わせ、漆黒のディスクを装備するとデュエルモードへ起動させ、強制的に俺のディスクもデュエルモードへと起動させた。

「さあ、始めようか。どちらかが死に、どちらかが生き残る死のデュエルを!」

「お前に勝って皆を救う!」

「「デュエル!」」

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