地球製造機   作:王虎王白

1 / 1
第1話

 人類はゴールした。

 森羅万象を解明し、使役し、繁栄の限りを尽くした。

 そして、堕落した。

 文字通りいつでもどこでも行けるようになり、寿命という言葉を辞書の中に追いやって久しく、宇宙の果てに「私有地」の看板が立つようになった科学力を持ちながら、堕落したのだ。

 理由は至極単純である。

 飽きたのだ。

 毎日の生活や報道に刺激やハリがなくなり、単にやる気がなくなったのだ。

 人を殺す意味──痴情のもつれや欲望を満たすための手段として──はなくなっていなかったが、いざ実行に移そうとしても、町の各所に取り付けられたセンサーによって独特の脳波を読み取られてしまい拘束され、それをかいくぐったとして殺したとしても、すぐに蘇生されるため実感がわきにくいため、結局実行しない。

 国々による覇権争いも意味をなさなくなったため、報道することがないのだ。

 ニュース番組やワイドショーは消えていき、わずかに残るのみとなった。

 経済の停滞や人口の減少などは当然心配しなくてもいいことだが、それでも目に見えて人々の顔からは笑顔が減っていった。

 そのような状況であったため、世界には今まで以上に「娯楽」が溢れた。

 数年前まで相対性理論の矛盾やネオテニー化について喧々諤々と自らの意見を戦わせていた者たちが、今は精神完全没入型仮想現実生成機の改良について話し合うという、異常な光景が日常になっていた。

 そんな中、大手おもちゃ会社のトレマネ社が新商品を発表した。

 その名も『地球製造機』。

 名の通り、自分が思う通りの地球を作り楽しめるというものだ。

 それだけであれば大して名も知れなかっただろうが、このおもちゃが他とは一線を画していたのが、他の追随を許さないその圧倒的な自由度の高さだ。

 ユカタン半島に隕石が落ちなかった場合の生態系の変化や、日本が「あの日」にポツダム宣言を受諾しなかったらどうなっていたのかを観察することが出来るのだ。

 無論すぐに売り切れ続出の大人気商品に。「持っていない方がおかしい」といわれるまでになった。

 

 

 ……数か月後、『予言者』を名乗るものが現れた。

 科学の発展に伴いそのようなオカルトを信じる者は相対的に減少していた為最初こそ誰も相手にしなかったが、だんだん彼の信者が増えていった。

 彼の予言は、100%的中していたからだ。

 天気予報などとは違う、完全な未来予知。

 超発展した人類でもできなかった完全な未来予知に人々は惹かれ、タネを知りたがった。

 そんな人々に、彼は決まってこう言った。

 「トレマネ社のおかげですよ」

 




 初投稿です。読んでくださってありがとうございます。
 タグ等、未だ慣れきっていないことは多いですが、どうか生暖かい目で。
 タイトルつけた時に「ドラえもんにこんなんなかったか?」と心の中の天使がささやいてきましたが、「めんどくさいからいいよもう」という悪魔に言いくるめられました。弱い。
 ネタを思いついたら書いていくので、楽しみにしてくれる人がいたらいいなぁ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。