数日後 屋上にて
「ふわぁ……眠っ」
今日は久しぶりの学校、屋上の風と太陽が心地よい…
『寝てて良いのか?』
「構いやしねぇよ、今頃、靴の小人さんが働いてくれるからさ……果報は寝て待てだ」
あれからベイルは狩崎さんと一緒に何かしている…悪い事ではないのは解るがせめて何してるかくらいは話してほしいものである
『小人?』
ゴーダが首を傾げていると小人がきた…それは小人ではなく鳥であった
「お、何か見つけたの?」
【!!】と感情表現している…何かあったようだな
「なるほど、ありがとな」
そう言うと鳥……タカカンドロイドを缶に戻して情報を確認する
『何か分かったのか?』
「うん……今日の夕飯はカレーだってさ」
楽しみだーと横になりながら線のない事を考えていると
『そうか!それは楽しみだな……じゃねぇよ!カゲロウやポセイドン…つーより修の奴の居場所じゃねぇのかよ!』
「無理言えよアイツ、瞬間移動であっちこっち飛び回れるんだ…見つかる訳ねぇ…それに見つけた所でどうすんだよ?」
『そりゃ戦って…』
「俺が舐めプしてダメージ受けたのもあるけどさ…お前、プトティラ使って負けてたよね?」
現状、俺達が切れるだろう最強カードを切っても完全に倒せなかったのだ それだけでポセイドンが、どれだけ強いかは推してしるべしだろう…しかも未完成でアレだ
「成長速度が早すぎる、奴が本格的にメダルの力を使う前に倒さないとまずいな…」
底なしの戦闘狂故に生まれた強さというのが身に染みてわかった、あれは俺みたいに自衛や迎撃とかの力じゃない…
「戦う為に戦う力…多分、放っておいてたら800年前の王より酷い事になるかもね」
『っ!』
「エビルの方は基礎能力も互角たから、ゲノミクス使えば何とかなるだろうけどなぁ…ポセイドンを引き剥がす算段がつかねぇんだよ」
『んじゃどうすんだ?修行でもするか?』
「そ、今の俺達は絶賛修行パートでも入って一皮剥けないとダメな訳ですよ…まぁそんな都合の良い事、そんな直ぐに『!!!』起きたよ…はいはーい」
ガンデフォンからの通話に出ると、それは以外な人物だった
『久しぶりだな神田』
「おー、若林長官久しぶりですね…何か?」
『何かという訳ではないが…一つお前に頼みたい事がある』
「厄介事しかないと思うんだけど…何です?」
『お前に面倒を見てもらいたい奴がいる』
「すみません、今はゴーダと日向ぼっこに忙しいので後日でお願いします」
『凄い暇なようだな、ならば直ぐに基地に来い』
「はぁ…了解っと」
屋上から駐輪場に停めたデモンズチェイサーに向かう途中
「あ……」「ありゃ」
片方は深刻そうに片方は以外な人物との邂逅に驚く、櫻田奏 以前 屋上で会って以来だ
「…………ども」
取り敢えず無難に挨拶して通り過ぎようかと半分、無視に近い形で動こうとした時
「あの!」
「うぇい!」
思わず剣崎さんが出てしまったが、スルーといこうと思ったのに!
「はい?何でしょう?」
「貴方は…修ちゃ……兄と仲良かったですよね?」
「んーまぁ…」
何処からが仲良しかは知らないが…
「兄の居場所に心当たりはありませんか?」
「ない、あったら話してるし…とっ捕まえてる」
これは本当、ゴーダやベイルの探知能力が機能すれば見つかるのだが生憎見つからないのだ
「弟が言ってました…貴方と兄が仮面ライダーだったと」
「へ?……あー」
そう言えば見られてたな…俺とカゲロウの戦う所、しかも変身してる所ガッツリ見られた
なと考えていると
「だからお願い!兄を…見つけたら連れ帰ってきて下さい!!」
彼女は今にも泣きそうな顔をし頭を下げていたが
「……辞めてよ、俺はそんなキャラじゃない」
あの人達みたいに一生懸命ではない…覚悟もない、そんな俺に出来る事なんて何も…
ーお兄ちゃん!ー
ー健斗……君なら出来るー
あぁ!くそっ!!何か気分的に思い出したくないものまで思い出した!!つか今思い出すな俺!意味ありげな過去描写だと思われる!
「あー面倒臭えええ!」
「っ!?」
頭ガシガシ掻きながら健斗は奏を見て言う
「わーったよ!やってやる!!やりゃいいんだろ!」
「っ!本当!」
「俺にも非がある話だしな…理由はあのバカ殴ってから聞くけど」
と言うとベイルから念話が届く
『健斗、カゲロウを見つけた』
「ん、りょーかい……家族が夕飯食べる時間前に終わらせて、引っ張ってく、つー訳であのバカの好物でも作って待ってなよ……これは契約じゃない約束な」
そう手をヒラヒラ振りながら健斗はガンデフォンで通話しながら向かうのであった
「長官悪いっす、エビル見つけたんで到着遅れます」
『そうか、構わん好きにやれ』
「へい」
短く返して通話を終える、珍しくアッサリ了解貰えたと考えながらデモンズチェイサーで目的地に向かうのであった。
案内された先は人気のない工場跡地であった
…端的に言えば廃墟である
「よぉ、健斗」
ドラム缶に腰掛けてヘラヘラした感じで話しかけるカゲロウがいた
「カゲロウ」
「会いたかったぜ」
「そうだな、やっと見つけたよ」
「見つけた?何言ってやがる見つけさせてやったんだよ」
煽るように言っているがバカめ
「そしてドヤ顔で負けて自分より強いポセイドンさんに助けて〜って逃げるんだよな?」
「何だと……っ!」
こうやって煽るんだよ、と不敵に笑うのが気に入らないらしい
「そんな所がムカつくんだヨォ!」
エビルブレードを抜刀して健斗に切り掛かる
二、三度斬撃を回避し変形させたガンデフォンで攻撃して間合いを戻す
「それがカゲロウ…んや修の本音だな」
「あぁ!そうだ!テメェが仮面ライダーで戦ってる姿を見て思ったんだよ!あの力があれば国を!人を!佐藤も全員守れるってな!だから俺より力持ってるテメェが憎いんだよ!」
自分にはない力へのコンプレックス それが修の中でカゲロウを産んだのだろう
力があれば守れる…と、はっ!国の為に仮面ライダーになったの?
「仮面ライダーは国の為にある軍事兵器じゃねぇ…それにな俺が苦労なく力を持ってるように見えるなら随分、甘く見られてるんだな」
「何だと!」
「俺がどんな気持ちでベイルと取引したかも知らないで」
あの時、抱いたのは無力感と絶望、そんな中で俺が出した感情、心情を見て、手を差し伸べてくれたのはベイルだけだった、あそこの神様の使い連中は見てくれなかった…その後の事は大変な事もあるが今は楽しく生きているよ
「ま…修、俺以外とお前と屋上でサボってた時間嫌いじゃなかったぜ?それとさ……」
あの時間だけは立場もなく人と話せた時間だと思うから、無くしたものは帰ってこない…他ならぬ自分が帰る場所に帰れない場所に行ってしまったから……だからせめて
「約束したからな妹…奏さんに、お前を好物だらけの夕飯前に連れて帰るってな…ツー訳で」
他の家族や人が泣くのは見たくねぇんだわ、だからだろう…普段の自分の中で出ない黒い感情が溢れて仕方ない友達が闇堕ちしたとか知ったことではない、修の不幸が俺とベイルが始めたなら責任の取り方は、たった一つ
「俺の命をかけて…カゲロウ…アンタを潰す」
カゲロウを完全に消滅させることである
「ハハ!ようやく本性を表したな、良いぜそうとくりゃコッチもやりたいようにやらせてもらうぜ!」
エビルブレードをツーサイドライバーに戻したカゲロウはバットバイスタンプを構えた
「悪魔を制するのは悪魔の力だな」
健斗は無言のまま虚空に手を伸ばし突っ込み、ガサゴソ探すように手を動かし目当てのものが見つかり引き抜く、そこに現れたのはデモンズドライバーだ それを腰につけると
『戦いの時間か健斗?』
相棒の声が聞こえる…あぁそうだ
「あぁ…ベイル、取引だ力を貸せ…今までデモンズにセーフティかけてたなら全部外せよ全力で行く」
『良いだろう、対価は?』
ベイルの問いかけは健斗は真剣な眼差しで答えた
「王族御用達の高級焼肉食べ放題だ、修のポケットマネーで払わせる…タンでもロースで松阪牛でもシャトーブリアンでも好きなだけ頼め!!」
ついでに俺の腹も満たされるからな!!
『ハツは?』
「食べてよし!!因みに酒はNGだ!俺は未成年だからな!」
そう啖呵をきると
『フハハハ!!良いだろう!!焼肉食べ放題は良い文化だ……契約成立!!』
何かデモンズドライバーが普段よりも赤く光ってる気がする…力が解放されたのだろうな
『修の奴…目覚めない方が幸せなんじゃ……』
ツッコミしたら負けだぞゴーダ、多分
悲報 修の財布 空になる
焼肉で買収できるって…本当にコイツは冥界最強だったのか疑いたくなるが…まぁ良いや
「覚悟しろ」
「あぁ今日こそ終わらせてやる…そんで色んな意味で負けられなくなったぜ」
引き笑いしているのは修の安全か財布の安全かどちらかは知らない
『SPIDER』『BAT』
そして互いのドライバーにスタンプを押印する
『DEAL』
『CONFIRMED!』
『EENY MEENY MINY MOE!』
『EENY MEENY MINY MOE!』
互いの元に現れたコウモリの群れと蜘蛛が今度は激しくぶつかり合う。まるで変身者の意志を表すかのように そして待機音はまるで
修、カゲロウ、ポセイドン 誰が体を得るのか?を悩んでいるようにも聞こえる
互いに構えを取り告げる、あの言葉を
「「変身!!」」
開幕を告げる号砲は、今鳴った
『DECIDE UP!』 『VERSUS UP!』
同時に互いの主人を守っていた蜘蛛と蝙蝠はその主人を守る為に鎧となる
『DEEP(深く)!DROP(落ちる)!DANGER(危機)!(仮面)RIDER!DEMONS!』
『BADMESS !DARKNESS !HOPELESS!!BAT!仮面ライダーエビル!イヤーーーハァーーー!』
デモンズ、エビルに変身すると同時に走り出しデモンズの拳とエビルブレードがぶつかり合うのであった
「これで」
「終わらせてやんよ!」
そしてエビルブレードの斬撃をデモンズの装甲で受け止めると同時に腰の両サイドから糸を伸ばし逆さになると両手から糸を出して拘束する
「っ!このっ!」
「……」
『SPIDER』
『CHARGE』
再度、スパイダースタンプを押印し待機音も聞かずにデモンズノックを押し込んだ
『DEMONS FINISH!』
「おらぁああああ!」
天井の壁を蹴り回転しながら背部から蜘蛛脚を展開、右足に脚を合わせ そのままエネルギーを帯びたライダーキックを放つ
「っ!がぁ!!」
エビルブレードが防ぐが勢いは殺しきれず廃墟の壁を貫通し建物内へと入るのであった
倉庫内
デモンズは着地し吹き飛ばしたエビルのいた方向を睨む…手応えはあるが微妙な所だ、それに建物内は不味いな…エビルに地の利が働く
「ばぁ!」
「っ!」
エビルが背後から現れてデモンズを斬りつけた、予想外の不意打ちにデモンズは体を捻り向かい合うがエビルの足払いで完全に体勢を崩された
「はは!」
エビルは修の瞬間移動を完全にモノにしていた。ライダーキックをくらい吹き飛ばされたように見せかけて隙を狙っていたのだ
『必殺承認!』
「はぁ!」
『BAT!DARKNESS FINISH!』
緑と黒色の斬撃がクリーンヒットする地面に転がるデモンズにエビルは笑いながら言う
「はは!これでイーブンか?」
「そうだな……んじゃギア上げるか…ついてこれる?」
『ADD』『SCORPION』
「へぇ、面白いねぇ」
『LION』
『DOMINATE UP』『VERSUS UP』
互いに持てる手は全て使うと決めたからだ
『SCORPION GENOMIX!』
デモンスティングライドルを腰から生やす
『仮面ライダーエビル!(LION)!』
エビルは顔は黒いラトラータのような顔に変わると目にも止まらぬスピードでデモンズに駆け寄る、迎撃するように尻尾を振るいぶつけたのであった
「らぁ!」「ふっ!」
ライオンゲノムになったエビルはスピードとパワーが上がった万能型、恐らく正面からの戦いに向いているスタイルだ…俺メタなら良いセンスだけど
「これで足りねぇかぁ……なら」
『ADD』
「おいおいマジかよ」
「もっと寄越せベイル!!」
『BATTA』
お馴染みのバッタに加えるが更に力を解放した
『ADD』
そのスタンプは恐竜以前に地球の海中で最強を誇った捕食者の力である
『ANOMALOCARIS』
初の三つめのスタンプを起動させ、ドライバーに押印したのであった
「らぁ!」
『DOMINATE UP ANOMALOCARIS GENOMIX!!』
同時にデモンズの体に大きな変化が起こった
両手にはアノマロカリスを模した手甲が装備され 両脚はバッタレッグ、そして尻尾とさながらデモンズの姿を模した怪物のようになっている
仮面ライダーデモンズ・トライゲノミクス
「とでも名づけるか」
「んだよ…そりゃあよぉ!」
「言ったろ?お前を倒すってなぁ!」
その後 2人の戦いは線が交差する、目にも止まらぬ速さで繰り広げられている