ナノカレコード~顔無し手品師のうわさ~   作:唐揚ちきん

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第七話『かごめと白いマスコット』①

 これは正しい人たちのための物語じゃない。

 

 これは魔法少女のために紡がれた物語じゃない。

 

 きっと全部間違っていて、きっと全部削除されるべき物語。

 

 知るべきことはたくさん見てきた。その中でも避けては通れないのが『彼』のこと。

 

 もしかしたら、『彼ら』と呼ぶ方が適切なのかもしれないけれど、私はあえてそう呼ばせてもらう。

 

 魔法少女の契約と引き換えに、願いを叶えてくれるあの白いマスコットのことを。

 

 

 ***

 

 

 まやかし町から帰って来た後、みことさんは嘘みたいにあっさりと身体の主導権を返してくれた。

 非日常体験によって、身も心も酷く疲れていた私はすぐに眠りに着いた。

 夢の中で、私は────……。

 

「かごめさん! どぉ〜して、あなたが神浜市の滅亡に加担する側に回ってるんですか!?」

 

 すごい(しか)られていた。

 前に助言してくれたコメンテーターさんがカンカンに怒っている。

 でも、あまり怖くないのは彼女の叱り方に愛嬌があり過ぎるせいだろう。

 もしかすると、怖いものを見過ぎで私の感覚が狂っただけなのかもしれないけど。

 

「コラ! 聞いてますか? ちゃんと真面目に反省してください。いいですね?」

 

「ごめんなさい……。私、失敗してしまったみたいで……」

 

「い、いや、私の方こそ、少し言い過ぎちゃいました。すみません」

 

 私が素直に謝ると、コメンテーターさんはあたふたして申し訳なさそうになる。

 人を叱るのに慣れていないみたいだ。

 逆沢さんやみことさんのような我の強い人たちとばかり会話していたせいか、とても新鮮に感じる。

 そこまで考えて、私は気が付いた。

 

「あれ? 起きてた時は忘れていたはずのことなのに……」

 

 夢の中だと前回会った記憶がはっきり思い出せている。

 しょんぼりしていたコメンテーターさんが急に自信を取り戻した顔付きになった。

 

「ふっふーん。そうでしょうそうでしょう。何を隠そう私は記憶に干渉することができるんです!」

 

 得意げに胸を張って、両目を(つむ)る。

 続きがあるのかと眺めていたら、片目を僅かに開いて何かを期待している視線を私へ投げかけた。

 ひょっとして……拍手がほしいのかな?

 試しに小さくパチパチと手を叩いてみると、彼女は目を閉じたまま、満足そうな顔をする。

 この人もこの人で変わってる気がする。

 

「えー、コホン。まあ、何故か私が思い描いていた展開とは百八十度変わってしまったんですが……そこは天才軍師でもある私なら何とかなります」

 

 コメンテーターさんの設定が増えていた。

 

「神浜市滅亡の要因である鏡の魔女の半身、瀬奈みことさんに現時点で取り入れたのは不幸中の幸いです。彼女に『否定の魔法の担い手』がコピーなんか作られたことは最悪中の最悪ですけど……それはそれとしましょう」

 

「あの、コメンテーターさん」

 

「何です? かごめさん」

 

 私はこの場所に着いてから、ずっと聞きたかったことを尋ねた。

 

「ここ、どこなんですか? 前に来た映画館とはまた別の場所みたいですけど」

 

 私たちが居る場所は映画館じゃなく、お洒落な喫茶店だった。

 コメンテーターさんもウェイトレス風のメイド服を着て、トレイを提げている。

 

「ここはあなたの夢の中なのである程度、融通が利くんですよ。内装は私の叔母がしていた喫茶店併設のケーキ屋を模しています。いや〜、懐かしいですね。労働は嫌いでしたが、このお店の雰囲気は好きだったんです」

 

 朗らかな表情でそんなことを言う。

 ミステリアスなキャラ作りはどうでも良くなったみたいだ。

 

「特別にウチのケーキをご馳走……と言いたいところですが、夢の中のかごめさんには味を感じてもらうことはできません。本当に残念です……」

 

 がっくりと肩を落として、残念そうな顔を浮かべる。

 

「お気遣いだけで充分です……。それよりも私の状況知ってるんですよね? なら、私はこれからどうしたらいいと思いますか?」

 

「あー、そうでしたそうでした。とりあえず、瀬奈みことさんと良好な関係を維持しつつ、魔法少女たちとの出会ってください。またコピーの少年が暴れるかもしれませんが、そこはあなたが手綱を握ってコントロールしてみてください」

 

 ……結構な無茶振りだった。

 助言を求めたつもりなのに、現状をもっと上手くやってくれと言われただけに終わる。

 何とも言えない気分でいると、彼女は思い出したように手でトレイを叩いた。

 

「そうだ。そろそろ、キュゥべえと接触してくる頃合いだと思うので気を付けてください」

 

「キュゥべえって、願いを叶えてくれる代わりに魔法少女になる契約を持ちかけてくる存在、でしたか?」

 

 以前会った際にもその説明は受けていた。

 

「はい。まあ、奴の狙いは魔法少女が魔女になった際に発生する感情エネルギーの回収なんですが……どうせ長々と説明をしても起きたら忘れてしまうと思うので割愛します。『契約、絶対ダメ!』。この標語だけ覚えて帰ってください」

 

「『契約、絶対ダメ!』。覚えておきます」

 

 標語なのかな、これ。

 そうこうしている内に目覚ましのアラーム音が鳴り響く。

 意識が覚醒に向かう中、最後に聞いておかないといけないことを思い出した。

 

「あ、コメンテーターさん。この前、言っていた私が“次代の神様候補”って、あれはどういう……」

 

 答えをもらう前に私の視界は暗転し、そして、目を覚ます。

 いつも通りのベッドの上で、いつも通りの天井が見えた。

 身体を起こし、目を擦る。

 

「おはよう。かごめちゃん。よく眠れた?」

 

 みことさんの声が喉から出て、私に朝の挨拶をしてくれた。

 おかげさまで完全に意識がはっきりする。

 

「……おはようございます。みことさん。よく眠れたと思います」

 

 何か夢を見ていた気がするけど、あまりよく思い出せない。

 確か、そう……。

 

「『倹約、絶対ダメ!』……?」

 

「まだ寝ぼけてるの? あと、倹約は大事だよ。お金は大切に使わないとすぐに無くなっちゃうんだから」

 

 みことさんにお金の大切さを説かれてしまった。

 何だろう、この説得力。金銭関係には厳しい家庭で過ごしたのかもしれない。

 

「そうですね。倹約は大事です」

 

「そうそう。贅沢は敵だよ」

 

 何だかヘンテコな会話をしながら、私は学校に行くための身支度をする。

 朝食を食べて、歯を磨いた後、私は鞄とアルちゃんを抱えて外へ出た。

 

「おう。かごめ。おはよーさん」

 

 玄関から出て、数歩先の道で逆沢さんが当たり前のような顔をして、待っていた。

 若干の困惑の後、挨拶を返した。

 

「お、おはようございます。逆沢さん……どうして、ここに居るんですか?」

 

「登校すんだろ? 昨日の件でオメーはこの街の魔法少女共から標的(マト)にされた可能性があっからよ。いつ襲われても不思議じゃねー。ま、送り迎えのボディガードってとこだな」

 

 彼なりの配慮なんだろうけれど、やっぱりどこかズレている。

 ななかさんたちから他の魔法少女に連絡したとしても、一番危険視されるのは逆沢さんだ。

 むしろ、こんな全身黒尽くめの男の子を連れて登校した方が魔法少女たちに気付かれそうだと思う。

 何より、昨日のファミレスでの乱闘騒ぎで逆沢さんは警察に目を付けられた可能性が高い。彼を連れて歩く方がよほど面倒事になりそう。

 

「あの、もしかしてですけど、逆沢さん自身が目立ってることに気付いてないんですか?」

 

「そりゃ、俺サマの溢れるカリスマ性とスーパースターのオーラは人目を引くだろうよ」

 

 いや、そういう意味じゃなくて……。

 でも、言っても納得してくれるか分からないし、素直に従っておこう。

 段々、この自信過剰な俺様気質に慣れてきた自分がちょっと嫌になる。

 

「じゃあ、よろしくお願いします」

 

「おう。よろしくされたぜ。ってか、みことのヤツは随分静かだな。どうかしたんか?」

 

 そう言われると確かにみことさんは会話に入って来ていない。

 不思議がって、聞いてみると頭の中でみことさんの声が響いた。

 

『今はアキラちゃんとはお話ししてあげないの。だって、帆奈ちゃんを死に追いやったあの子たちを見逃したんだよ? それも()()()()()()()()

 

 どうやら逆沢さんへの当て付けとして、無視しているらしい。

 あの時のかこさんは結局、友達の情報を喋ることも、仲間を見捨てることも選ばなかった。

 

 ──私は……最後まで諦めません。どちらか選ぶなんて、そんなことは絶対にしたくないから!

 

 槍を構えて、戦う意思を見せた彼女に逆沢さんは、ななかさんたちのソウルジェムを投げ渡した。

 

 ──そうかよ。

 

 短い言葉で返した彼の表情は、何だか少しだけ嬉しそうにも見えた。

 みことさんとしては許せない行為だったようだけど、あれで良かったと思う。

 かこさんが友達を売ることになったり、仲間を見捨てることになっていたら、私は逆沢さんたちを嫌いになっていた。

 二人とも悪い人だけど、それでも嫌いにはなりたくなかった。

 自分でも意外だって思ってるけど、それが今の私の本心。

 

『許してあげてください。逆沢さん、四人相手でも圧倒してましたし』

 

『ダメだよ。反省して私に謝ってくるまでは話しかけてあげないんだから』

 

 みことさんって、結構根に持つタイプなんだ。

 掴みどころがないと思ってたけど、怒らせると怖いかもしれない。

 

「みこと。いちいち、うるせーから丁度いいか。そんじゃ、行こうぜ」

 

 逆沢さんは原因に気付いてもいない。多分、気付いたところで謝らない。

 二人ともマイペースだから、自分が悪いと思わない限りは折れないだろう。

 

「はい。行きましょう」

 

 とにかく、今は放っておいた方が良いと判断して、私は逆沢さんと一緒に学校へ向かった。

 彼と並んで歩いていると、やはり人目が気になる。

 黒い燕尾服は朝の日常風景から浮いていた。

 当然、隣を歩く私にも視線が飛び、自然と顔は下を向く。

 すると、俯いた視界に白い生き物が映った。

 猫かと思ったけど、どうにも形が違う。

 白くて丸っこいフォルム。耳から長い毛のような飾りが生えていて、まん丸い赤い瞳をしている。

 ぬいぐるみが落ちてる? 誰かの落とし物?

 そう考えた時。

 

『やあ。君にはボクが見えてるようだね』

 

 みことさんとは違う、幼いソプラノボイスが私の頭に響く。

 

『ボクの名前はキュゥべえ。ボクと契約して、魔法しょ……むぐ』

 

 最後まで話し終える前に、逆沢さんがキュゥべえというらしい生き物を乱暴に掴み上げた。

 物珍しそうに彼は左手で掴んだキュゥべえをしげしげと眺める。

 

「ほー。こいつが噂のキュゥべえってヤツか。モキュゥべえと比べっと一回りでけーな」

 

『君は……一体? いや、それよりボクを放してくれないかな。今、彼女と会話していたん……』

 

「お。背中にフタみたいのがあんな。何だ、こりゃ。オイ、暴れんなって」

 

 キュゥべえが彼の手から逃れようと身体を(よじ)る。

 でも、それがかえって逆沢さんの火を付けたようで、両手を使って押さえ込んで捕らえようとした。

 

「い、嫌がってますよ。逆沢さん。まずは放してあげたらどうですか」

 

「ちっと調べるだけだ。ったく、落ち着けやって……あ」

 

 頭を押さえ付けようと強く掴んだ時、逆沢さんの親指が誤ってキュゥべえの目に突き刺さる。

 キュゥべえの左目に彼の親指は第一関節まで潜り込んでいる。

 白い身体は、一度ビクッと大きく痙攣(けいれん)した後、完全に動きを停止させた。

 

「な……何にもしてねぇのに死んだ!?」

 

「いや! 流石にそれは嘘ですよ、逆沢さん!?」

 

 わざとじゃないとしても、目に親指突き入れたままじゃないですか。

 誰が見てもそれが直接の死因だ。言い逃れの余地は一ミリもない。

 だけど、逆沢さんは自分の罪を認めようとしない。

 

「違う。まだ大丈夫だ。死んじゃいねー……ほら」

 

 親指をゆっくり目から、いや、目があった場所から引き抜く。

 粘り気のある赤い液体が、じわっとそこから漏れ出す光景が見えた。

 

「ひっ……」

 

「やば、デロってやがる。だが、なんかで(ふさ)げばまだいける! かごめ、何か塞ぐモン持ってねーか?」

 

「な、ないですよ……」

 

「クソっ、なんか……あんじゃねーか。道端に!」

 

 足元を見回していた逆沢さんは、落ちていた何かを拾い上げた。

 銀色の小さな球体。それはパチンコで使う玉だった。

 

「え! まさか、それで塞ぐ気なんですか?」

 

「あたぼーよ! でやっ」

 

 パチンコ玉を広がってしまったキュゥべえの目に強く押し込む。

 ポビュッと空気が噴き出す音と共に残っていたもう片方の片目が飛んでいった。

 

「はあぁぁぁぁぁぁ……!?」

 

「圧力でもう片方も逝ったぁぁ!? もう一個パチンコ玉がありゃ、何とかなるってのに!」

 

 更にまだパチンコ玉を()め込む気の逆沢さんに、私は正気を疑った。

 もうどうしようもなく、死んでいるのにこれ以上、何をする気なの!?

 

「あったぞ! おっしゃぁ、生き返れぇ!」

 

 偶然にも見つかってしまった二つ目のパチンコ玉が、キュゥべえの目に押し込まれる。

 両目とも銀色の球体に置き換わったキュゥべえ。

 閉じていた口が開き、ゴポッと赤い液体を吐き出した。

 

「……クソッ。あと、もう一個玉がありゃ……」

 

「も、もう諦めましょう。これ以上死体を弄ぶのは……」

 

 いくら何でもキュゥべえが可愛そう……。

 

『ボクらを破壊する子は居ても、ここまでボクらの残骸を無意味に弄繰(いじく)り回したのは君くらいのものだよ』

 

 同情していた私に、キュゥべえの声が聞こえた。

 ふと周りと見ると、近くの(へい)の上に別のキュゥべえの姿があった。

 

「キュ、キュゥべえ! オメー、なぜか死んだはずじゃあ……!」

 

 何故か死んだというか、逆沢さんが不用意に殺したというか。

 意地でも自分がやったという事実を認める気はないようだった。

 

『ボクらには死という概念は存在していない。あくまでその個体が破壊されたに過ぎないよ。意識はすべての個体に共有されているからね』

 

 そうキュゥべえは言って、塀の上から降りて近付いて来る。

 死の概念がない? 意識を共有している?

 また急に情報が増えて、私は混乱する。

 

「……するってぇと何だ? オメー、俺サマたちがあたふたする様を面白おかしく見てたってワケか?」

 

『いや、別に面白おかしくは見てないよ。ボクには感情がない……っぷぎゅ』

 

「ざけんな、コラァ!」

 

 足元へ来たキュゥべえを逆沢さんが思い切り、踏み潰す。

 白い肉体が一瞬にしてぺしゃんこに変形した。

 

「えええぇぇぇぇ……!?」

 

「人をからかう許し(がて)ぇヤツらだな。まったくよぉ、存在しねぇ俺サマの良心が痛んじまっただろーが!」

 

 お願いだから存在してて、逆沢さんの良心。

 そして、彼の暴虐な行いを止めて……。

 

「うわっ、何か溶け出してきたし、最悪だな、オイ」

 

 手に持っていた両目がパチンコ玉へ換装されたキュゥべえも地面に叩き付ける。

 やりたい放題だった。

 

「もう行こうぜ。どーせ、死んでねぇんだろ、コイツら」

 

「え、えぇ? でも、これ……」

 

 道端の真ん中で潰れた白い物体が二つ並んで転がったままだ。

 この状態で放置してもいいのかな?

 

『替えはいくらでも利くとはいえ、無駄に破壊されるのは困るね』

 

 どうしようかと悩んでいた私の耳に、三度目のキュゥべえの声が入る。

 そちらをみれば、別のキュゥべえがペースト状になったキュゥべえの死体を食べていた。

 

「ひっ……」

 

「ほら、見ろ。全然平気そうじゃねーか。なんか共食いして死体を片付けてくれるみてーだし、ほっとこうぜ」

 

 何、この悪夢みたいな光景。

 倫理観の存在しない世界に迷い込んでしまった気分だ。

 

『待つんだ。君には願い事はないのかい? ボクと契約して魔法少女になってくれれば、何だって叶うよ?』

 

「オメーはその潰れた死体食い終わってから喋れよ」

 

『分かったよ。少しだけ待っていて。すぐに……きゅっ……』

 

 急いで仲間の死体を食べ始めたキュゥべえだったけれど、突然、言葉を詰まらせて、コテンと横へ転がった。

 逆沢さんが面倒そうに屈み込んで、キュゥべえをひっくり返して調べる。

 

「あ、コイツ。喉にパチンコ玉飲み込んでやがる。慌てて食うからだ」

 

 慌てさせたのは逆沢さんなのに。あと、そこにパチンコ玉があるのも逆沢さんのせいだし。

 

「あの……冷静に言ってないで取ってあげてください」

 

「でもよ、ほっときゃすぐに別のヤツが共食いしにくんだろ?」

 

「また喉に詰まらせたら永久に同じことがおきちゃうと思います。それにたとえ死なないからって見殺しにしていい理由にはなりませんよね?」

 

 私がそう説得すると、彼は溜め息を吐いて、キュゥべえの口から白い残骸塗れのパチンコ玉を指で引き抜いた。

 しばらく、微動だにしなかったキュゥべえだったけれど、少ししてから再び、動き始める。

 

『どうやらボクは個体としての活動を終えかけたようだね。酷い目にあったよ』

 

「そうかよ。じゃ、達者で暮らせよ」

 

 白いドロドロした汚れをキュゥべえの尻尾で(ぬぐ)った後、乱暴に地面に放り捨てた。

 起き上がって、身体に付いた汚れを振るって落とすと何事もなかったように話しかけてくる。

 

『それじゃあ、そこの君。ボクと契約して魔法少女になってよ』

 

 呆れた目を私に向けて、逆沢さんは言う。

 

「オイ、かごめ。オメーの言う通り助けてやったら絡んで来てんぞ。やっぱ無視が正解だったろ、これ」

 

「あー……じゃあ、ちょっとだけ話を聞きましょうか」

 

 今日、学校遅刻しないといいなぁ。

 僅かに後悔を感じながら、私は白いマスコット、キュゥべえの話を聞くことに決めた。

 

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