「中沢です! もう一度、ヌルオさんと話すために戻ってきました! 入れてください!」
ヌルオさんに会うため、俺は今来た道を引き返し、みかづき荘と再びやって来た。
しかし、呼び出しチャイムを押しても、誰も出て来ない。
再度、改めて、チャイムを押そうとした時、足元にメモが落ちた。
『お客さんが来てるみたいです。庭の窓からリビングが覗けます』
透明だから気付かなかったが、二葉さんも俺と一緒に戻って来ていたようだ。
考えてみれば、彼女はこの場所に住んでいるのだから、帰って来るのは当然のことだ。
彼女のメモの言葉を確かめるように、俺はそっと庭に回り込むとそこから室内を覗いた。
冷静に考えたら変質者そのもののような気もするが、今はそれよりもこの家の中で起きていることが気掛かりだ。
覗き込んだリビングには七海さんと環さんに黒ウサギ状態のヌルオさん、そして白い髪のショートカットの少女が見えた。
彼女のことは覚えている確か名前は“みふゆさん”だ。七海さんや由比さんの知り合いだったと記憶している。
耳を澄ませれば、中の会話も聞こえてきた。
「単刀直入に言います、皆さん。マギウスの翼に入る気はありませんか?」
一瞬、自分の耳を疑った。
ヌルオさんの前で環さんたちをマギウスの翼に勧誘するつもりなのか。
いや、そもそもウワサを倒して回っていた彼女に対して、本気でそれを口にしているのだろうか。
みふゆさんは、なおも話を続けた。
「やっちゃんやいろはさんはもちろん。顔無し手品師……ヌルオさんでしたか? あなたも
嘘だろ……?
魔法少女だけならまだしも、ヌルオさんまで勧誘し始めた。
当然、その場に居る全員ともその言葉に頷く者は居ない。
黙り込んだ二人の代わりにヌルオさんが喋り出す。
「七海さん。君のお友達、お
「……どういう意味です?」
「言われなきゃ分からない? 脳みその代わりにクソみそが詰まってるって言ってるのさ」
一気に雰囲気を険悪なものへと変わる。
その瞬間、この場の主導権がヌルオさんに移った。
「マギウスだの、魔が差すだの、魔法少女で好きに集まるのは結構だよ。それでも無関係な人間を
マスコットじみた黒ウサギの姿にも
みふゆさんはそれでも負けじと口を開いた。
「それが……魔法少女のたった一つしかない解放の道なんです」
「だったら、魔法少女同士でやっていろ。ただし、踏み潰されたって文句は言うなよ。僕は魔法少女でも何でもないんだ。仲間内で幸せになるために無関係な奴らを苦しめてる癖に、無関係な奴らに殴られることにいちいち喚くなよ」
一触即発。いつ戦いの火蓋が切って落とされてもおかしくない状況だ。
環さんはともかく、七海さんまで口を挟めない
一分間しか戦えなくないのにヌルオさんは容赦なく宣戦布告をした。
いや、一分以内に片を付けるつもりなのだろう。
七海さんは、環さんだけでも巻き込まれないようにさり気なく立ち位置をずらして前へ出る。
それに気付いたみふゆさんは僅かに悲し気な表情を浮かべた。
「……やっちゃんや、いろはさんも同じ考えですか?」
七海さんは答えることなく、真一文字に口を閉ざしている。
一方、環さんの方は明らかに迷っているようだった。
「別にいいよ。君の決断は君の自由だ。蹴散らす敵が一人や二人増えた程度で、さした手間じゃない」
「私、蹴散らされちゃうんですか!? じゃあ……言うのやめようかな?」
「いや、いいって。素直な気持ちを話してみて。それによって君への対応が百八十度変わるけど」
「ええ……」
急に漫才が始まったような気がする。
それでもしばらく、視線を
「……さなちゃんから聞いたんですけど、アイさんの結界の中でねむちゃんの名前を聞いたって言ってました。ねむちゃんは私の友達なんです。知っていたら、教えてください」
ねむちゃん……?
知らない名前だ。隣に居るはずの二葉さんへ目を向けると、地面にメモが落ちる。
『黒羽根の子たちが柊ねむって子の協力がどうとか話してました。私も詳しくは知りません』
二葉さんが分からないのであれば、この場での情報は環さんの話しかない。
俺は引き続き、リビングの覗きを再開する。
みふゆさんが環さんの言葉に答える。
「知っています。けれど、それをこの場で教えることはできません」
「どうしてっ……ですか?」
感情が弾けそうになった環さんだったが、言葉の途中で理性を取り戻し、彼女に尋ねた。
「彼女の立ち位置を話すには、ワタシでは分不相応だからです。だから、それを話すことができる方の口から聞いてください」
「言っている意味が分からないです!」
「あなたたちを……魔法少女の解放とは何なのかを知るための講義に招待します。その講師があなたの知りたいことを語ってくれるでしょう」
一方的にそんなことを言い、みふゆさんは上着のポケットから手紙を取り出した。
「約束は、明日の午後三時。記憶ミュージアムにて。そこで本当にワタシたちが間違っているのかどうか、判断してもらえますか?」
手紙を一番近くに居るヌルオさんへ渡そうとする。
だが、彼はそれに対し、呆れた目を向けた。
「僕に渡すの? 読まずに
「……どこのやぎさん郵便よ。貴方」
沈黙を保っていた七海さんが我慢できずに突っ込みを入れた。
みふゆさんは彼の発言にどうすべきか迷った挙句、少しだけ進んで七海さんに渡した。
「やっちゃんは食べないでください」
「食べないわよ。破きたいのは同感だけど」
少しだけ砕けた会話をして、手紙を受け渡し終わると、みふゆさんはこちらの方――つまり窓の方へ近付いてくる。
ヤバいと思って、窓ガラスから離れたが、彼女はにこにこしながら窓を開けた。
「隠れてないで話に入ってきたらどうです? 二葉さなさんと…………誰ですか? あなた」
窓から見ていることには気付いていた様子だったが、誰かまでは把握できていなかったようだ。
余裕を持って二葉さんの名前を呼んだが、俺のことはまったく見覚えがないらしく、本気で困惑した目を向けている。
改めて、
「えっと……七海さんたちの知り合いの中沢です」
「ああ、そうなんですか。初めまして、ワタシはやっちゃんの幼馴染の
みふゆという名前はやはり名前だったらしい。
これからは礼儀として、梓さんと呼ばせてもらおう。
「それじゃあ、皆さん、さようなら」
開いた窓の外へと梓さんは飛び出した。
窓枠を蹴って更に跳躍した彼女は空中でクルリと回って、リビングに居る人たちへも挨拶をする。
ヌルオさんはそれを苦々しく、眺めていた。
彼と視線が合い、俺は
だが、どうにかして、言葉を吐き出した。
「ヌルオさん……俺……」
「ごめん、中沢君。悪いけど、今日はもう帰ってもらえる?」
確かにこの状況ではゆっくり話せそうにないだろう。
俺は色々と言葉を探したが、何も見つからなかった。
梓さんが持ってきた話はそれほどまで、彼らにとって大きなものだった。
「うん。分かった。でも、今度、必ず話をしよう」
「分かったよ。また今度ね」
それでも約束だけは取り付けることができた。
今日はこれで良しとしよう。
自分を納得させ、俺は七海さんの家を後にした。
頭の中には、梓さんの言葉が何度も繰り返し反響していた。
明日の午後三時。記憶ミュージアムにて。
***
俺は次の日、招かれざる客として記憶ミュージアムの前へ辿り着いていた。
ここは俺にとって、すべてを失った場所。そして、自分の無力を思い知らせた場所だ。
スマートフォンの時計アプリを見ると、時刻は既に午後三時を過ぎている。
環さんたちはとうに中へと入った後だろう。
「ここからは……俺が一人でどこまでできるか。それを知る戦いだ」
意気込みを口にして、自分を奮い立たせる。
「モッキュ!」
久しぶりに珍妙な鳴き声が聞こえた。
傍を見回すと、地面を駆けて来る猫っぽい生き物の姿を発見する。
名前は確か……モキュゥべえ、とヌルオさんは呼んでいた生物だ。
「あ、久しぶりだな」
「モキュモキュ!」
「言葉通じてるよな? 何でこの場所に来たんだ?」
「モキュー!」
「俺と一緒に来てくれるのか?」
「モキュ?」
駄目だ。会話している気がしない。
すっとぼけた顔をしている小動物に話しかけている自分が馬鹿みたいだ。
やっぱり知性が低い生き物なんじゃないだろうか。
「モッッキューー!」
見下した瞬間、抗議するように鳴き声を上げた。
馬鹿にした雰囲気だけはきちんと把握できているようだ。
俺はもう相手にするのを止め、記憶ミュージアムの扉へと向き直る。
モキュゥべえは俺の方に飛び乗ると、頬を小さな前脚でぺちぺち叩いてくる。
無視するんじゃないとでも言いたげな態度だ。
「じゃあ、行くからな。付いてきたいなら好きにしろよ」
「モッキュ」
鍵の掛かっていない扉を開け、中へと進んで行く。
そして、待ち構えていたのは前に見た巨大な引き出しだらけの壁面を見上げる。
とても高く、俺の力では到底登れそうにない高さの壁。
抜け道はどこにもない。これを超えない限り、奥へ行くことはできないようだった。
試しに一番低い引き出しに上がろうとしてみる。
「ほっ、やぁっ、とぉっ!」
……全然手が届かない。
引き出し一つでも俺の身長の二倍くらいある。
これを何十個も超えていかないとならないのか……。
「……駄目だ。俺の挑戦はここで終わってしまった……」
「モキューーー!?」
両手と両膝を突き、打ちひしがれる。
モキュゥべえが『こんな序盤で!?』みたいな感じで驚いているが、体育の成績3の俺にどうしろというんだ。
だが、モキュゥべえはそんな俺の肩から降りると、加速を付けて走り出し、一番右端にあった引き出しの取っ手の部分に体当たりをかまし始める。
とうとう意味不明な奇行を取り始めた謎生物を眺めていると、三度目の体当たりでガコンと何か重いものが動く音が聞こえた。
すべての引き出しが飛び出したり、引っ込んだりを繰り返したかと思うと、少しして階段状に引き出しが並んでいた。
「おおー! 凄いぞ! モキュゥべえ!」
「モッキュー!」
何だか裏技くさいがこのくらいの幸運がなければ、俺は一生この先には進めなかっただろう。
モキュゥべえに心から感謝して斜めに並んだ引き出しの階段を上って行こうとする。
幸い一番下段の引き出しが取っ手のあるものだったため、よじ登ることはできたが、一段上がるだけでも相当の体力が必要とされた。
途中吐きそうになったり、あまりの高さにこの罪は何バベルに値するのだろうかと考えたりしながら、必死に上がっていく。
階段状になってこれなら、環さんたちは一体どうやってこの場所を越えたのだろう。
ざっと四十分以上かけて汗だくになりながら、ようやく壁を乗り越える。
その先に広がっていたのは半透明な
柱状のものから、砂時計のようにくびれのあるものまで様々な形の培養槽がある。
中身は何も入ってないものも多いが中には、帽子や眼鏡、本と羽ペンのような分類もされていないものが時々入っている。
対して脇の壁は打ち放しのコンクリートが装飾もなく続いていた。
それ以外には特筆すべきなのは、高級そうな一人掛けの椅子が中途半端な位置から生えていたことくらいのものだ。
「ここのどこが記憶ミュージアムなんだ?」
「モッキュ!」
「あ、ちょっと先に行くなよ!」
唐突に先走って奥へ進むモキュゥべえに連れられて、俺も走った。
奥まで進むと、扇状に広がるホールのような座席だらけの場所があった。
その前には大きな鉄格子のような門が設置してあった。
鉄格子と最前列の座席の前には映写機のようなものも置いてある。
鉄格子の門と映写機……? 何だ、このトンチキな組み合わせは。
「モキュ!」
「いや、だから勝手に動くなって」
今度はモキュゥべえは跳ね上がって映写機に乗ると、前脚と尻尾でバシバシとそこら中を叩いた。
「何やってんだよ! 壊れるぞ!」
俺の心配も
鉄格子の隙間から漏れて、とても見れたものじゃない映像になるだろうと思ったが、まるで上等のスクリーンのように映像は綺麗に反映されていた。
投影された映像には、タイトルのようなものが映っている。
『⬛︎⬛︎のキオク』。
そう銘打たれた映像が流れ始めた。塗り潰された二文字は読み取ることはできなかった。
映写された場面は、ホテルのスイートルーム並みに立派な病室。
扇状に並んだ三つのベッドが置かれ、端には丸いローテーブルがあり、周りにある大きな窓から見晴らしのいい景色が一望できた。
テーブルの上には神浜市の地図が広げられていて、視点はそこに集中する。
『いつかみんなで、遊園地に行きたいな』
あどけない少女の声で視点の主がそう言った。
同調するように視点の端から別の幼い少女の声が上がる。
『大東区には、開発中止になった遊園地があるみたいだね』
『じゃあそこは、天使が集まる遊園地のウワサ! そこに行けば誰でも笑顔になるの』
視点の少女がそう返すと、ゆったりした口調のさっきとはまた別の少女の声がした。
『名前は……キレーションランドのウワサにしよう』
三人の少女の声は仲良く話し合いながら、地図を眺めてそこに文字を書き込んでいく。
中には聞いたことのある噂もあった。
絶交階段の噂。口寄せ神社の噂。フクロウ幸運水の噂。ひとりぼっちの最果ての噂。
他愛もない少女たちのおとぎ話のような空想。
だが、俺はそれらがどれだけ恐ろしいものなのか、知っていた。
何だ、これ……。一体視点の少女は、この映像を残したのは誰なんだ。
怯える俺を他所に映像は進む。
『みんな、今日は何してるの?』
少女たち以外の声が入ったと思えば、視点が動き、誰かが映された。
『お姉ちゃん! 今ね、ウワサを作ってるんだよ。みんなで神浜市じゅうに広げるの』
視点の少女が嬉しそうに伝えた相手は、ピンク色の髪の少女。
お姉ちゃんと呼ばれた彼女のことを俺は知っていた。
そこに映っていたのは、環さんだった。
ゆったり口調の少女の声が
『もしウワサが街中に
一番幼い声音の少女が言葉の後を継ぐ。
『わたくしたちが死んでも』
視点の少女が最後にまとめた。
『街でウワサに出会ったら、思い出してもらえるでしょ?』
少女たちは
映像の中の環さんは僅かに顔を暗くする。
そして、彼女たちに提案するように切り出した。
『私もウワサ……作っていいかな?』
そこで場面を大きく変わる。
仕切りのカーテンで小さく閉め切られた病室。
そこに駆け込んでくる環さん。
話している内容は視点の少女の病状悪化。
彼女は環さんが作ってきてくれるお弁当すら食べられないほど弱っていた。
映像はそこからまた飛んだ。
打って変わって、退院できるほど元気に快復したとはしゃぐ視点の少女の声。
同じ病室の少女の声もするが、相変わらず、顔は一切映り込まない。
体調が戻った少女はそれを喜ぶが、代わりに環さんはあまり病室に顔を見せなくなっていた。
場面がまた切り替わる。
赤い粘土でできた樹木の生えた異様な空間。
一目でそれが魔女の結界の中だと俺は気付いた。
断面が露出した蓮根から女性の下顔が付いた魔女と、魔法少女姿の環さんが戦っている。
蓮根の魔女に押され、窮地に立たされる珠さん。
心配する少女たちの声にまた新しい声の主が登場した。
『彼女を助けたいかい? 君たちがボクと契約してくれれば、環いろはを助けられるよ』
モキュゥべえを一回り大きくさせたような生き物がそこに居た。
これがヌルオさんが言っていたキュゥべえという存在……。モキュゥべえと違って、人語を使う知性がある様子だ。
辛くも魔女を倒した環さんだったが、声の少女たちは環さんを案じて、キュゥべえとの契約を前向きに検討する。
そして、場面は再び、切り替わった。
夕焼け空が見えるどこかの屋上。恐らくは病院だろうか。
『それで、ボクに聞きたい事ってなんだい?』
キュゥべえに三人の声は質問を上げていく。
幼い声の少女がキュゥべえの目的について尋ねた。
『ボクの目的は、この宇宙の寿命を伸ばすことさ。エネルギーを回収して変換したのち、宇宙へ送ることだよ』
視点の少女が魔女について聞く。
『負の感情が具現したものさ』
それから
ソウルジェムがキュゥべえによって、エネルギーを具現し、実体を持たされた魔法少女の魂であること。
グリーフシードがソウルジェムを魔力を正常に使うために必要不可欠なものであること。
全ての魔女が居なくなった場合、グリーフシード枯渇によりすべての魔法少女が居なくなること。
突き止めた事柄を手元のノートに可愛らしいひらがなで記載していった。
その後、ソウルジェムやグリーフシードのイラストを入れたノートを仰向けで横になって眺めた。
『なんだか、ちゃんと答えてくれなかったね』
結構答えてくれていた気がするが、視点の少女は不満そうな声だった。
両脇に寝ているらしい二人の少女はそれに返事をする。
『充分だよ』
『キュゥべえの役割も大体わかったし、魔法少女の真実についても予測できちゃった』
えっ。すごい頭いいなこの子たち、俺には聞いたことしか分からなかった。
視点の少女も同じだったようで、二人に尋ねた。
『どういうこと? 教えて。灯花ちゃん、ねむちゃん』
そこで初めて、二人の顔が画面に映った。
茶色のロングヘアの幼い少女と、眼鏡をかけたおさげの幼い少女。
その内、眼鏡をかけた方の少女――名前を呼んだ順からして恐らく、ねむちゃんは言った。
『魔女は……魔法少女の終着点。あれがお姉さんの……未来の姿なんだ』
そこでぶつりと映像が途切れた。
俺は今、彼女が出した答えを受け止めきれなかった。
魔女が、魔法少女の終着点……? あれが環さんたちの未来の姿……?
じゃあ、皆、最後はあんな化け物みたいな存在になるってことなのか?
映写機の上に居るモキュゥべえに問いただす
「今のって本当のことなのか? 本当に、魔法少女は魔女になるのか? ソウルジェムが魔法少女の魂っていうのも?」
「モキュ」
「いや、『モキュ』じゃなくて、頷くとか首振るとか、そういうので反応してくれよ」
「モキュ」
しかし、すっとぼけた顔で同じ鳴き声を放つだけで、見て分かる反応をまったくしてくれない。
一応は俺の言葉が通じていると思い始めていただけに、この対応はかなりきつかった。
「やっぱり、キュゥべえと違って知性ないのか……」
「モーーーッキュゥゥゥッ!!」
露骨に肩を落とした俺に、激怒したらしきモキュゥべえは小さな前脚を十字に重ねて、顔面目掛けて、映写機から飛んだ。
俺の顔のフライングクロスチョップもどきが直撃して、大きく後ろに突き倒される。
ひっくり返って、思い切り背中を床に打ち付け、転がった。
「うぐっ……何だこの小動物、強い……」
直後、スクリーン代わりだった鉄格子の門が
そこにあった映写機は液状に
ステッキを握った黒いテールコートと、青白いバイオリンを持った灰色のローブの人影が奥の座席を破壊しながらぶつかり合う。
あれは――ヌルオさんと、上条!
俺が会うべき、二人がそこで火花を散らす激闘を繰り広げていた。
小さいキュゥべえは中沢君と絡ませやすいですが、あまり多用すると魔法少女の出番がなくなるので塩梅が難しいです。