ナノカレコード~顔無し手品師のうわさ~   作:唐揚ちきん

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今回、残酷な表現がございます。
苦手な方はご注意ください。


外伝 純白色の服従

「ああ。大事ない。せっかく、八雲がマギウスの翼と縁を切ったのだからな。二度と連中を調整屋には近付けさせはしないさ」

 

 七海との連絡を終えて、自分は奴らの野望を打ち砕くべく、根城へと侵入を試みる。

 八雲がマギウスの翼に協力していた時に知り得た情報を、七海経由で伝えられ、マギウスが企む作戦の概要は把握していた。

 この大東区へワルプルギスの夜を含む大量の魔女を呼び込む。そして、連中が保有する人工魔女『エンブリオ・イブ』に吸収させ、地球全土にドッペルシステムを広げる。

 他者のことを一切(かえり)みない腹立たしい計画だ。

 何より腹立たしいのは、奴らが計画に選んだ場所が大東区だという点だ。

 マギウスは、ワルプルギスの夜に蹂躙(じゅうりん)される地区として大東区を選択したのだ。

 それは神浜で大東区が最も不要な地区だと言ったも同然。

 マギウスの翼には大東区出身の魔法少女が少なくない割合で居るはずなのに、だ。

 

「貴様らまで大東区を軽んじるのか、マギウス……!」

 

 魔法少女でありながら、魔女以外の彼奴(きゃつ)らに正義の鉄槌(てっつい)を食らわせてやる。

 馬上鞭を握り締めて、キレーションランドのウワサへと足を踏み入れようとしていた。

 かつての振興策の失敗の一つで、建設中止になっていた遊園地跡地は今や高い城壁で覆われた要塞のような姿へ変貌していた。

 

「……近くで見ると(えら)いに高いな」

 

 意気込んできたものの、こんなにも高い城壁を前にして思案する。

 所詮は遊園地と侮っていた。

 魔法で破壊する。もしくは登るのは……無理、か。

 などと考えながら、城門の上を見上げていると、人影がこちらへ向かって飛び降りて来た。

 銀色の美しいローブを纏うその人影は、自分のすぐ近くへと降り立つと顔を上げる。

 鈍く光る銀色の仮面とくすんだ銀色の髪。

 ドッペルが暴走した魔法少女の仮面に似ているが、笑みを浮かべたようなあの仮面に対して、こちらは無表情を形作っていた。

 高い身長やしっかりとした体格は男性のもの。

 

「銀色のローブを着た羽根は初めて見るが、マギウスの作った人工魔法使いという奴か? 確か、灰羽根の上条……」

 

「“銀羽根”だ。それが僕を表す唯一の名前」

 

 僅かに(こも)った声音。しかし、想像していたよりも美声だった。

 低く喋ってはいるが、元の声が高いのか聞き取り辛くはない。

 中学生くらいだろうか。恐らくは年下だろう。

 

「知っているかもしれないが一応名乗っておく。自分は和泉(いずみ)十七夜(かなぎ)だ」

 

 名乗られた以上は名乗り返すのが礼儀だろう。

 周囲を見回すが、他に羽根たちが降りてくる様子もない。

 まさか、自分と差しでやろうというのか。舐めているにもほどがある。

 

「知っている。部下が世話になったそうだな?」

 

十咎(とがめ)君のことか。昔馴染みの友に擦り寄ろうとしていたのでな。少しお仕置きしてやったまでだ」

 

 部下の黒羽根のドッペルが暴走したから調整屋に行かせてくれなどと騒いでいたが、ドッペルの使用で暴走した者など自業自得だ。

 そもそもあんな力を嬉々として行使するマギウスの翼が間違っている。

 八雲はもうマギウスの翼とは決別し、己の正道を得た。あんなに晴れやかな顔をした彼女は初めて見たほどだ。

 それを阻むものは、たとえ顔見知りの魔法少女でも許しはしない。

 

「……お前は、死んでもいい魔法少女だな」

 

「その言葉はマギウスの翼の魔法少女に掛けるべき台詞だ。正道を欠いた彼女たちこそ、今生を歩む資格はない。それに(くみ)する貴様もだ」

 

 振り上げた馬上鞭の上空に魔力の光弾で円陣を作り上げる。

 奴は未だ武器を生み出す素振(そぶ)りすら見せない。

 一度交戦した七海から奴の魔法は聞き及んでいた。

 バイオリンと弓で腐敗を(もたら)す魔力の音符を生成するというもの。

 強力ではあるが、予備動作にバイオリンの演奏が必要とされるのだという。

 いくら銀羽根がバイオリンの名手であっても、自分が光弾が奴の頭蓋を砕く方が速い。

 離れた十を超える光の砲丸は無表情の仮面目掛けて直撃した──。

 

「なッ……!」

 

 ──はずだった。

 銀のローブからで覆われた棒立ち同然の奴の前に、(よど)んだ銀色の障壁が生まれる。

 突如発生した銀の障壁は奴の頭部から左下方部を守るように斜めに伸びて、空中に浮かんでいた。

 光弾が触れた瞬間、水中へ落とした可溶性のある物質の如く、その呑み込まれるように融けて消える。

 予備動作はまったくなかった。

 ローブの内側で小型のバイオリンを作り弾いた仕草もない。

 本当に微動だにせず、腐敗の魔法を行使してみせたのだ。

 

「こちらの手番だな?」

 

「くっ……」

 

 接近戦での戦闘は不利と判断し、退避すべく、真後ろへと飛んだ。

 その瞬間、平衡感覚が崩れ、体勢を崩して真横に傾く。

 反射的に足元へ視線を向けた自分は愕然とした。

 右足首が銀色の球体に埋まっている……。

 転倒しそうになる身体を、あえて側転させることで後退しながら、立て直す。

 いつから配置していたというのだ。

 いや、ここに到着した時には周囲に罠のようなものがないかは念入りに確認した。

 であれば、自分が魔法を行使した段階で、下がることを予測して配置した。あるいは自分が後退したと同時に生み出したと考える他ない。

 前者なら戦況の流れを予測する頭脳を、後者なら驚異の精密性と瞬間的に魔法を行使できる技術を有しているということ。

 断言できる。

 七海たちが遭遇した時とは比べ物にならないほど、奴は強くなっている。

 

「どうした? 早く切除しないと全身、腐り落ちるぞ」

 

「……!」

 

 抜いた右足首は粘液状に融け落ち、腐敗した箇所は(すね)にまで及んでいた。

 鳥肌が立った。

 激痛からではない。

 逆だ。痛みは皆無だった。

 苦痛なく、自分の肉体が腐り落ち、融けていく様に尋常ならなざる光景が、全身の毛が逆立つほどの生理的嫌悪感と恐怖を感じさせたのだ。

 すぐさま、魔力で光弾を作り上げ、腐敗部分のみを焼き切ろうとする。

 だが……。

 

「な、何故だ!?」

 

 触れた部分の光弾が融けた。

 銀羽根は一歩も動くことなく、その光景を前にして答える。

 

「腐敗の魔法は、触れた物体が完全に融け落ちるまで残り続ける。助かりたいなら、健常な部分から切り取すことだ。ほら、うかうかしていると膝の上まで這い上がるぞ?」

 

「……う、うおおおおおおおおお!」

 

 魔力の光弾で自分の膝ごと焼き切った。

 激しい激痛が脳を駆け巡る。

 だが、痛みを消すことに魔力を回せるほど状況は温くはない。

 止血に魔力のリソースを()き、右手で懐から常備してあったグリーフシードを取り出し、右目のモノクル型に変化したソウルジェムに当てる。

 否、当てようとした。

 だが、取り出した右手ごとソウルジェムは澱んだ銀色の球体に包まれていた。

 ちょうど、手首の先がボーリングの球と()り替えられたかのようだった。

 

「ああ、あああああああああっ!」

 

「よく歌うな。寡黙な魔法少女だと聞いていたのだが」

 

 痛みも熱も感じず、手が、腕が融けていく。

 零れた肉と骨は液状になって地面を濡らした。

 咄嗟(とっさ)に肘まで魔力の球体で消し飛ばすが、出血に魔力を割かれ、激痛が思考を(むしば)む。

 痛い、痛い、痛い、痛い!

 軽減されてはいても、肘と膝の下を焼き切った激痛は正常な思考を押し流そうとする。

 そんな恐慌状態の一歩手前で、奴は足音を立てて、近付いて来た。

 

「く、来るな……!」

 

 馬上鞭を握った左手を振り上げようとして、違和感を感じた。

 異様に軽かった。

 目を向けた先には握られていた馬上鞭はなかった。

 いや、正しくはそれを握っていたはずの手首まで消失していた。

 代わりに乗っていたのは、熱で融けたアイスクリームのような歪な形状の粘液。

 

「ああああ、ああああああああああああああ!」

 

 これほどの絶叫が自分の口から出ているなど信じられないほどの声量が(ほとばし)った。

 恐怖と嫌悪感が思考を完全に塗り潰していた。

 

「助けてほしいか? 和泉十七夜」

 

 影が自分を覆うほど接近していた奴は、そう問うた。

 

「僕に忠誠を誓うのなら、お前を助けてやろう」

 

「な、にを……言うかと思えば……」

 

 マギウスの翼に屈服し、(ひざまず)けと(のたま)う銀羽根。

 かえって、その傲慢さと邪悪さが自分に正義の心を思い出させてくれた。

 痛みなど怖くはない。死など恐れない。

 自分が真に恐れるものがあるとすれば、己の道を見失うこと。

 歩むべき正道を外れる以上の恐怖がこの世界にあろうはずもない。

 

「くたばれ。マギウスの走狗(そうく)! 貴様如きに、この和泉十七夜が屈すると思うか!」

 

 最後の矜持が満身創痍の肉体に活力の火を灯す。

 マギウスによって生み出されたこの力を使うことには忌避があったが、それこそこの場で屈するよりは遥かにマシだ。

 

「消え失せろ、不条理を生む者!」

 

 モノクルの下で自分の目が輝きを感じた。

 濁っていたモノクルから怒りに狂う獅子が生まれる。

 頭部を覆うようにして、解放された激しい憤怒がドッペルとして顕現。

 勝利を確信して不用意に近付いた愚かな敵対者を食いちぎろうを牙を剥く。

 銀色の仮面からはそれを眺め、一言。

 

「この程度か……」

 

 獅子の(あぎと)が銀羽根を噛み砕かんと呑み込む。

 だが、それは一瞬のこと。

 ドッペルに覆われていた自分の視界は(ひら)けていた。

 黒いドッペルの断片らしきものが、空中で融け落ちて、地面に雫となって降りていく。

 何が起きたのか分からず、呆然とする自分の左肩を振り下ろされた刃が襲った。

 

「がっ、ああああああああああああああ!」

 

 熱を持った痛みが、奴の持つ得物の形を教える。

 あれは(のこぎり)だ。

 尖った凹凸(おうとつ)のあるあの刃は鋸歯(きょうし)状の武器。

 奴は血の付いたその武器を振るって、付着した血液を払った。

 銀色の、巨大な糸鋸(いとのこぎり)

 大ぶりのバイオリンの弓を更に拡大させて、悪趣味にも刃を付けて改造したようなそれは、銀の糸鋸だった。

 

「もう一度だけ言おう。和泉十七夜。僕の──下僕になれ」

 

 糸鋸を澱んだ銀色の魔力へ戻し、自分の顎を掴んだ。

 両腕と片足を失い、立っているのもやっとだった自分にそれを避ける余力はなかった。

 顔を持ち上げた奴は、仮面の嵌った顔を自分に寄せる。

 常世(とこよ)の闇のような目穴からは、奴の瞳すら見えなかった。

 何故だ。何故、これほどの力を持ちながら、マギウスの従っている……?

 ()せなかった。

 マギウスの野望はドッペルの拡大。ひいては魔女化からの解放。

 魔法を得た身とはいえ、元が一般人である彼にそれほど旨味があるとも思えない。

 何しろ、左手首にある銀羽根の宝石は濁り過ぎるほど、濁っているのにも関わらず、ドッペルを生み出す予兆すらない。

 梓みふゆからの証言もあり、上条恭介はグリーフシードによる浄化を必要としないことは知っている。

 では、何故、この少年はマギウスに付き従うのか。

 その謎を解くために自分は読心の魔法を行使した。

 ほとんど密着したこの距離であれば、向こうに気取られることもなく、心が読める。

 銀羽根、貴様がマギウスの翼に居る理由とは何だ……!

 

〈魔法少女を救いたい〉

 

「……!」

 

〈あの黒羽根の子のような、片想いすらままならない弱い魔法少女たちを今すぐにでも解放してあげたい〉

 

「あの、黒羽根の子……?」

 

「……っ!?」

 

 思わず、口を突いて出た言葉に初めて、銀羽根は人間らしく動揺した挙動をした。

 それは秘めていた願いを知られたことによる狼狽(ろうばい)だった。

 自分の読心はそれほど万能ではない。知りたい情報を心の中から探る必要があるため、すぐには目的の情報を見つけられない欠点があった。

 逆説的に、驚くほど簡単に探り当てられたのは、彼が常にこの想いを抱き続けていたからだった。

 無心で、それ以外の感情すら捨て去り、ただひたすらに魔法少女の解放のみを願い続けていたからに他ならない。

 マギウスのような、お(ため)ごかしとは違う、究極の利他精神。

 狂気すら滲む献身。

 洗脳ではない。洗脳でここまでの想いが()り込める訳がない。不可能だ。

 理解が及ばないが、読心で見た以上は疑うべくもなかった。

 銀羽根は正真正銘、魔法少女のためだけにこの馬鹿げた計画に参加しているのだ。

 

「……読んだのか? 僕の心を」

 

「ぐッ……」

 

 顎を握っていた手が移動し、首を締め上げた。

 喉が潰れて、声が出し辛くなる。

 だが、聞かずには居られなかった。

 彼自身の口から聞かせてほしかった。

 

「あの、黒羽根の子というのは……十咎君が暴走したと、言っていた黒羽根の、こと、か……?」

 

 銀羽根は何も返さなかった。

 ただ、近付けた銀色の仮面から水銀のような液体を垂らした。

 涙のようにも見えるその雫は、自分の顔へと(こぼ)れ落ちる。

 顔面の皮膚(ひふ)から感覚が消える。

 自分の顎を伝って、下へと零れ落ちているのは、融けていく顔の皮膚だった。

 

「ああ、ああああああああああああああああああ!」

 

「……答えろ。僕の下僕になるか、それともここで地面の水溜まりになるのかを」

 

 腐敗の水銀が一滴でもソウルジェムに触れれば、それだけで自分は死に至るだろう。

 何よりも顔が融け落ちているという、この状況に心底恐怖した。

 女であることに(わずら)わしさや(うと)ましさを感じたこともあった。

 それでも顔を壊されることが、命を奪われることに匹敵するほど恐ろしいと感じる自分は、どうしようもなく女だと理解させられた。

 怖い。顔が、自分の見た目が醜く歪められていくことが何よりも耐え難かった。

 正道や正義などという言葉が陳腐に感じられるほどに、我が身可愛さが上回る。

 

「な、なる! なりますから……! 助け──」

 

「その言葉、忘れるなよ」

 

 (さめ)の歯のような刃が顔面を骨ごとを削ぎ落す。

 

「いっ、がああああああああああああああああああああああああああああああああああああ──!!」

 

 左半分の顔面が切除され、信じられないほど血液が(あふ)れた。

 モノクルの下で涙を浮かべた右目が、返り血すら拒絶するように融かす銀色の仮面を映していた。

 気力は完全に()え、背中から仰向けで崩れ落ちる。

 両腕を失った自分には、傷口を押さえることすらままならない。

 遮断できない激痛が意味不明の喚き声になった口から吐き散らす。

 (かたわ)らに(たたず)む銀羽根は、それを(ごみ)でも見下ろすように眺めていた。

 

「グリーフシードで治療してやる。それに見合う仕事をしろ、十七夜」

 

「あっ、あああっああああああああっ……」

 

「返事が聞こえないぞ?」

 

「わ、分かった……」

 

 痛みを(こら)えて、どうにか返答した自分を銀の仮面が確認するように尋ねる。

 

「『分かった』……?」

 

 ぽたりと糸鋸にこびり付いた血が(したた)り落ちた。

 

「分かりましたぁ、ご……ご主人様ぁ……だから、もうやめて、こ、これ以上、い、いじめないでぇぇ……」

 

 プライドなど、とうの昔に砕かれていた。

 いや、破片すら許されずに融け落ちていた。

 もはや、大東区を()べる魔法少女の指導者は居なかった。

 残っているのは情けなく、強者に()びて、命乞いをする浅ましい女だけだった。

 自分の中にあるのは、この方に(ゆる)して欲しいという願いのみ。

 この日。この時を()って、和泉十七夜は完膚(かんぷ)なきまでに殺されたのだ。

 仮面の魔人、“銀羽根様”によって。

 グリーフシードをモノクルへと付けて、治療を始めたご主人様へ自分は可能な限りの媚びた笑みを向けた。

 メイド喫茶でアルバイトをしている時には、浮かべることさえ拒否していた笑顔は、驚くほど円滑に取り出せた。

 ご主人様が浄化に使用したグリーフシードを黄緑色の正方形に押し込んで(おっしゃ)った。

 

「孵化寸前のグリーフシードが十五個か。お前如きにはもったいない数だ」

 

「お、お(ゆる)しください、ご主人様ぁ……。この愚かで卑しい和泉十七夜めを、お赦しくださいぃ……」

 

 治して頂いた手足で(ひざまず)いて、足元へ縋り付く。

 ご主人様は嘲るように呟いた。

 

「放っておけば、靴でも舐めそうな勢いだな」

 

「お望みとあらば……」

 

 頭を垂れて、ご主人さまの靴を舐める。

 飛び散った自分の汚らしい血を唾液(だえき)を使って丹念に綺麗にしていく。

 舌が水音を立てる様も今は気にならない。

 この方の怒りを(しず)め、赦しを得ることなら何だってする。

 

「……もういい。やめろ」

 

「お気に(さわ)りましたでしょうか? この和泉十七夜にできることなら何だって致します。だから、だから……どうか、お赦しくださいぃ……」

 

「下僕として、もっとマシな利用価値を見せろ。でなければ、次に融かすのは顔や四肢だけでは済まさない」

 

「お、お任せください、ご主人様ぁ……」

 

 今まで媚びへつらうを軽蔑していたのが嘘のように、自分は機嫌を(うかが)う。

 これでいい。これが正しい道なのだ。

 自分の正道は、この方に従うためだけにあったのだ。

 そうでなければ、そうでなければ……もう何もかもが耐えられない。

 

「付いて来い、十七夜。お前に仕事をくれてやる」

 

「はい、この下僕に何なりとお申し付けください……」

 

 奴隷はご主人様の後に付き従い、城門の中へと招き入れられる。

 それこそが、自分にとっての至上の(よろこ)びなのだと言い聞かせながら。

 




今回の外伝で挑んでみたテーマは尊厳破壊。
でも、破壊され過ぎて、ご主人様は内心引いてるかもしれません。
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