「こんなことになるとは思ってもいなかった」
昨日はとても波乱万丈な一日だった。昨日だけで大きな事が変わってしまった。その原因は二人のウマ娘。キタサンブラック、サトノダイヤモンド。
この二人にトレーナーになって欲しいと申し込まれて……『仮』という形だが一応、了承した。トレーナーになってまだそこまで時間が経っていないから普通に考えれば二人のウマ娘の担当になるのはダメだ。それに個人的には選抜レースとかにも何度か顔を出して色々と見てからスカウトしようと考えていた。相手のウマ娘にとっても自分の夢を叶えるための第一歩となるわけだからトレーナーの選びも重要。
だから慎重に選んだ方が良いと思うから二人のウマ娘にもそう言い聞かせたけど彼女たちの意志は固いようで一歩も食い下がる感じはなかった。そして最終的に僕が食い下がる形で決着した。
そしてそれだけなら僕はまだ良かったんだけど…
「トレーナーさん!!今日はからよろしくお願いします!」
「よろしくね……それでキタサンブラックは何で僕の膝に座っているのかな」
今の状況を簡単に説明するのだったらキタサンブラックが僕の膝に腰を下ろしている。本人は当たり前のように座っているけど。
「トレーナーさんのお膝は私のものです!!」
「いや、君のものになった覚えはないと思うんだけど…そしてサトノダイヤモンドは何でそんな目で見ているの?」
サトノダイヤモンドは僕の斜め後ろぐらいで頬を膨らましながらこちらを見ている。そしてその眼がとても怖い。こんな風に見つめられる経験などそうはないはず。
「なんでもありませんよ。ただ私もトレーナーさんのお膝に座りたいなと思って見ていただけです」
え、キミもか。この二人と『仮』トレーナーとしての契約を結んだのは間違いだったかもしれない。だけど今更、後悔をしたとしても遅い。もう契約を結んでしまったわけだし、今から辞退したいと言ってもこの二人が手放してくれそうにもない。
「ダメだよ、ダイヤちゃん。ここは私の特等席だから」
「ずるいよ~私だってトレーナーさんのお膝に座りたいのに…」
僕の膝にそんな座るだけの価値はない。それに普通は仮とはいえ担当のウマ娘を膝に乗せるなんてことをしないだろう。だけどこの二人は当たり前のように座ってこようとしている。
「じゃあ、キタサンブラックが降りればいいんじゃないかな。元々、僕の膝に乗る必要はないしね」
「いやです!!」
キタサンブラックは部屋に響くぐらいの大きな声で否定した。僕とキタサンブラックは近い事もあって耳がキーンとする。
「ぜっ~~たいに退きません。トレーナーさんに退いてと言われても退きません!!私はここから動きません」
「いや、そうは言ってもね。キタサンブラックもサトノダイヤモンドも今日からトレーニングを行うからどっちにしてもここは退かないと始められないよ」
「う~~たしかに……これじゃあ、トレーニングが……うう~ん」
キタサンブラックは本気で悩んでいるようで腕を組みながら唸っている。いや、そこは悩む必要性ないよ。トレーニングを重要するのが普通じゃない。僕の膝にそこまでの価値はないというのに。
「そんなに悩まなくても」
「悩みますよ!だってトレーナーさんのお膝に座っていたし、トレーニングもしたいですし」
その後もキタサンブラックは悩み続けて最終的に一日目はトレーニングをする事なく終わってしまった。本当にこれからが思いやられる。