ワノ国に三日ぐらい滞在した後に僕はワノ国を出た。さすがに自分も海軍に所属している身である上に中将というそこそこ上の立場にいるからね。勿論、カイドウさんやヤマトくんには事前に挨拶を済ませてある。前に一度だけヤマトくんに挨拶をしないで出てきた事があったんだけど、どうやら僕がワノ国を出た後にひと悶着あったらしくて今度は絶対に挨拶をしてくれとカイドウさんから言われている。
「アーベル中将!!」
「あ、はい!!」
「話を聞いていましたか?」
「…う、うん。きいてたよ…アインさん」
「その感じだと全然聞いてませんでしたね」
明らかに僕に対して呆れている目の前の女性は…アインさん。前まではNEO海軍の幹部としてゼファー先生を支えていた。だが、そのゼファー先生は戦闘の末に亡くなってしまった。
僕もゼファー先生……『Z』と麦わらの一味を一網打尽にするために海軍から招集をされていて近くまで軍艦に乗って来ていた。正直、僕は手を下すつもりもなかったからその行く末を見守るために最後のエンドポイント『ピリオ島』の近海で事が終わるのを静かに待っていた。そして砲弾の音とかが止んだので、そろそろ終わったかと思い始めた時に事は起こった。
海を自転車で渡りながら軍艦に近づいてくる人の影を発見したのだ。そしてそんな事が出来るのは元海軍大将のクザンさんのみ。そしてそこで事の顛末などを色々と聞いて、僕はアインさんとビンズさんを引き取る事にした。正直、海軍の一部の人からは色々と反対されはしたが、最終的には押し切った形で認めてもらった。
そして現在に至る。
「うん、ごめんね」
「まあ、いいですよ。中将が適当に聞き流しているのは今日が初めてじゃありませんから」
確かに僕は色々と考えたりしていて人の話をよく聞いていない事が多い。それで海軍のお偉いさんに怒られたりしたことも一度や二度じゃない。自分でも直そうとしているんだけど、一向に改善されそうにないんですよね。
「中将がワノ国に滞在している間に様々なことが起こっていました。まず、一つ目として王下七武海に関して。王下七武海のトラファルガー・ローとドンキホーテ・ドフラミンゴが王下七武海を脱退しました。この二人がほぼ同じタイミングで七武海を脱退したのには何か関係があるのかについては分かっていません」
トラファルガー・ローに関しては王下七武海に加入の目的が分からなかった。王下七武海はこの二年で入れ替えが頻繁に行われている。そして最終的にトラファルガー・ローは海賊の心臓と引き換えに王下七武海に入った。それほどの土産を用意して王下七武海に加入しようとした理由は今でも分からないが、アインさんの話を聞く限り、王下七武海の肩書はいらなくなったようですね。
「二つ目に麦わらの一味とハートの海賊団が海賊同盟を結びました」
「本当に色々と起こりますね。これじゃあ、世界経済新聞はネタに困らないでしょうね」
「そんなに驚かないんですね」
「正直、マリンフォード頂上戦争から二年の月日が流れて、新世界の勢力図は大きく変わっていますよね。そうなれば安定が崩れていくのは目に見えていたことですからね。様々な僕たちの予想を上回るようなことが起こってもおかしくないですよ」
明らかにエドワード・ニューゲートもとい白ひげが亡くなってから新世界は荒れ始めた。白ひげが支配していた土地を巡っての争いや、白ひげが居なくなったことで今まで少し遠慮していたものなどが『ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)』を見つけるために動き出していたりする。そしてそれらが起こる事によって予想も出来ないような事が起こり始める。
これはあくまで個人的な予想なのだが、ここまで世界の均衡が壊れている時は絶対に何か大きなことが起こるのではないかと思っている。世界を驚かすような何かが起こる……とおもう。正直、これに関しては予想だから正しいのか間違っているのかは時間が経たなければ分からないんだけどね。
「これからの新世界は何が起こるか分からない。用心しておくに越したことはないですね」