世界会議は順調に進んで行く可能性は極めて低いと思っていた。そして世界会議に参加するのは王族の方なので不快にさせた瞬間に僕たちの首が飛んでもおかしくない。
なので王族の方とのコミュニケーションはとても神経を使うのが正直なところ。なので自分から王族の方にお話に行くことはなくて、話し掛けられたらそれに対して適切な答えを返すのが普通だ。そして出来ることなら僕も王族の方との接点は少ない方が有難い。
でも、今の僕はそれと真反対の現実に陥っている。
「あの僕はただの海兵なので…ここら辺で」
「いいじゃないですか!」
「王女様たちのお言葉は嬉しいのですが、僕もいらぬところで恨みを買うのはご勘弁したい」
予想以上に王女様方に気に入られてしまい、離れるに離れられない状況になってしまったのだ。でもこのままだと周りの男性王族の方の恨みを買うことになる。それは彼らの視線を見れば分かってしまうのだ。
こんなところで目立って王族に恨みを買うことがあればこれから生きにくい世の中になるかもしれないのだ。それはどうにかしてでも防がなければならない。
そう言って僕は王族の方々から少し離れたところに移動することにした。僕は警護のことも考えてあんまり離れるわけにはいかないものの、離れないと男性の皆さんから殺されるかもしれないですしね。
「本当にあんたの人気はすごいね」
「それは素直にありがとうございますと伝えておきます、ギオンさん」
ギオンさん。僕と同じで海軍本部中将の地位にいる人で姉御肌みたいな感じ。あんまり話す機会が多いわけではないけど、同じ中将という役職に就いていることもあって話すことはある。
今回は同じ警護に付いている。
「一発で女性陣を虜にしちまうなんて」
「そんなことありませんよ。女性の方々は物珍しい男がいたのでお話に付き合ってくれただけです」
「へぇ~私にはそうは見えなかったよ。あんたのことを知りたくてあちらからずっと質問されて、あんたはそれをどうにかかわそうとしているように見えたけど」
「そう見えたのなら助けて欲しかったですけどね」
「そんな無茶なお願いは無理に決まってでしょ。あんなところに私が飛び込んで行ったら王族の方になんて思われるか」
「…?」
「まぁ…あんたはそういう奴だよな。そういうところがあんたのダメなところかも」
「そうですかね…」
そんな話をしていると…王族の方々の方から一人こちらへと歩いて来る姿がある。
「人気者は大変だね~」
「そう思うなら手伝ってください」
「それはむりかな」
話している間も近づいて来て、もう目の前だ。
「どうされましたか、ヴィオラ様」
「あ、あのお話をされているところ申し訳ないんですけど、私も混ぜてもらっていいですか?」
「別に構いませんが」
そこでギオンさんの方に視線を向けるとそこにはもういなかった。
「僕と二人きりでお話になってしまうんですが、それでもよろしいですか?」
「はい!」
また僕は必至に表情を崩さず、質問を考えたり、当たり障りない回答を考えたりしている。そしてレベッカ様はそれでも楽しいと思ってくださっているのか笑顔を見せてくれるので僕は嫌われてないらしい。
「ヴィオラ様はとてもお綺麗な方ですね」
これは本当にそう思った。この感じだと将来は引く手あまたって感じだろう。王族の結婚はそれぞれだが、政略結婚というものもある。逆に第一王女とか第一王子以外は好きに相手を選べたりもする。
ヴィオラ様のご年齢は分からないけど、これから縁談の話も多くなってくるだろう。その時にヴィオラ様のようなお綺麗な方は世の男性にとって喉から手が出るほど奥さんにしたい存在のはずだし。
「そ、そうですか!?」
「はい、僕は初めて見た時から美しい方だと思ってましたよ。こちらからお話をするのは気が引けてしまうような方だったので、僕はヴィオラ様の方からお話し掛けいただいて、お話できたことを今でも嬉しく思っています」
「…そ、それはわたしもあなたのような方と話せてとても楽しい」
「そうですか。それは僕も嬉しいですよ」
王族相手だからいつもより過剰に褒めるようにしているけど、これは本当に効果があるのかな。最悪、多少嫌われるのはいいですけど、殺したいぐらい嫌われるようなことは避けたい。
それにしても僕がやっていることあって…本当に海軍の仕事なのかな。