週休六日の魔帝生活   作:灰の熊猫

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意図的に職場で波風を立てるな

「――で、どうですマティウスさん? これで一通りの施設は見て回ったと思いますが」

闘技場(ころしあい)にぬるぬるのぬるま湯なルールが制定されてるのはビビったわ。タイマン限定・殺害規制・結界アリとか、おままごとやん」

「傭兵達の誇示(プレゼン)と、戦闘技術の共有がメインですからね。不死でも無いのに命を賭けられても困るんですよ」

「ちなみに事故()っちゃったらどうすんアレ」

「罰金百万(ガニィ)です。あそこに出るのは所属派閥(パーティー)の無い者が多いので、やらかすヤツは大抵差し押さえを喰らって泣きを見ますね。というか、泣かせます。私が」

 

 それからマオは、半日ほどかけて城下町の主要な施設をマティウスへ紹介していった。

 最も人が集う中央市場。魔族の戦士が集う武具商店。賢者が管理する大図書館。生活用品を主として扱う商業施設。本当にあった小綺麗な喫茶店・飲食店通り。

 マティウスが少し関心を持ったのは大図書館と、先程立ち寄った魔族の闘技場。しかし、”闘技”と言うにはそれは余りにも制限がありすぎた。

 マティウスとしては、もっと魔族達の頸と血飛沫が弾け飛ぶ大乱闘スラッシュ・アンド・クラッシャーズを期待していただけに、明確なルールが制定された狭所戦など肩透かしもいい所だった。

 

「あんまり聞きたくない気持ちもありますが、一応聞いておきます。マティウスさんが居た時代(ばしょ)はどんな感じだったんです?」

「え? 弱肉強食の二十四時間営業、自分の血は他人の死で洗い流して、死んだら自己蘇生(リザレク)ったり、強制蘇生(おきあが)らせてサンドバッグにしたり、世界が壊れたらちょっと制覇した神界(トコ)から次元(パーツ)くっつけて補修したり――」

「あはは、やっぱ聞いちゃいけなかったヤツですね。十秒前の私を殴れ、私」

 

 わかりきっていた文化の違いに、マオは渇いた笑いを浮かべる。その瞳に光は宿っていなかった。

 地獄だ。言葉だけで地獄が展開されている。朝から夜が明けたその先でも常に殺し合い、死亡は流血と同じ価値、死者は終わりを否定され続ける。修羅の国は全日フルオープン・満員御礼だ。

 マオは一瞬その時代を想像し、瞬時にイメージを放棄する。これ以上考えるのも嫌だったが、一瞬でも考えてしまった事すら嫌だったからだ。

 昔は昔、今は今。それでいいでしょ。マオは優れた頭脳全てを駆使し、思考放棄(にげること)を選んだ。

 

「ま、いかにミニチュアサイズとはいえ闘争は闘争、暇がありゃまた見に行くかのー……マオちゃん、そん時はまた入場料(カネ)頼むわ……」

「いや、金はいくらでも出しますけど……凄いヒモっぽい発言ですね……相応の仕事はしてもらうので、別にそんなへりくだる事は無いんですが……」

 

 マティウスが頭へ下げる姿を、マオは限りなく微妙な顔で見やる。今日の町案内における出費は、当然の事ながら全てマオの財布から出されたものだった。

 復活したばかりのマティウスが金を持っている筈も無い。が、”魔帝”は勇者の撤退という誰にも出来ない仕事を成し遂げており、金銭の出費など気にする必要は一つたりとも無い。

 そんな偉大な存在が、女に金をせびっている。しかし魔帝の存在を公表出来ない以上、その有り様は正しい。実態と現状の乖離に、全ての元凶たるマオはなんとも言えずにいた。

 

「そういえば、大図書館にも興味持ってましたよね。なんか意外です」

「フッ、情報も戦いの内に入るからね……スマン方便だわ。我は暴力に関しては全知全能だったし、こうして限定復活でもせん限りは興味ゼロスポットだったわ」

「知ってます、知ってました。だから意外って言ってんです」

 

 まぁ一般レベルの金銭のやり取りで済み、かつマティウス自身がそこまで体面を気にしていないので、その問題は無視しても良い。

 それよりも、闘技場はともかく図書館に対してマティウスが興味を見せた事が意外中の意外だった。本人も認める通り、”魔帝”としての彼は純粋なる暴力の化身としか思えない。

 そんな人種が図書館で(ちえ)を求めるなど、『意外な一面』という一言で納得するのはマオにとっては難しかった。っていうか何の裏があるのか、と勘繰っていた。

 

「マオちゃんのやってる魔法とか、勇者ちゃん達の力とか。どーも、我の時代と随分体系や生態が変わってるみたいだからのー。どーせ我は戦えないんだからこの際、億年ぶりに読書とかいう時間効率の悪い趣味に手を出すのもアリかなって」

「全読書家を敵に回す発言やめません? 愛書家の一人としてちょっと怒りますよ」

「スマン我って無敵だから『敵に回す』って言葉わからんわ」

「いっそ清々しい程に凄まじく高位の無反省!」

 

 はっはっは。いつも通り頭を抱えるマオを笑いながらも、マティウスの言葉に嘘は無かった。

 この時代の魔法は、魔帝時代のモノとは根本的に異なる。起こす規模で言えば圧倒的に古代の方が強いのは間違い無いが、自動魔法などという婉曲な技術は存在しなかった。そんな事するぐらいなら分身と加速を重ねて連続して詠唱しろ、って感じだった。

 加えて、原則この時代には”詠唱”が無い。かつての魔法は長ったらしい詠唱が必要であり、実の所くっそ面倒だった。敵に『こいつ何言ってんだ』と思わせる程のレベルの早口と滑舌が求められていた。

 最も大きな違いは、人間その物だ。()()()()()()()()()。魔帝視線からすれば全て等価値の強弱ではあるが、その能力はかつて滅ぼした人族とは雲泥の差だった。

 まぁ、退屈凌ぎのテーマにはなるやろ。その程度のモチベーションだったが、絶対的な力を持つ存在からの興味がゼロでは無いというだけでマオが驚くには十分な事だった。

 

「さて、そろそろ日も暮れますし帰りますか。当分の食材も買い込みましたからね」

「ほーい。……あ」

「ん、どうしました?」

「――そうやなぁーっ! 帰るかマオちゃんっ! 我と! 一緒に! 住む! 愛の巣にっ!」

「なんて事しやがんですかこの野郎!!」

 

 すぱーん、とマオがマティウスの後頭部をぶっ叩く。発言の直後コンマ秒でマティウスの言葉の意図は裏まで理解した、しかしその判断は残念ながらコンマ単位ですら遅すぎた。

 周囲の魔族全てがこちらを見て、目を見開き唖然としていた。野郎、なんて事考えやがる。マオは互いの上下関係を忘れる程に、マティウス本日最大の 爆弾発言(いたずら)へ怒りを抱いた。

 ”マオ”が王女であるのは公然の事実だ。それと同棲していると高々に叫ぶなど、たとえ酒に酔った出任せだろうが有り得ない。一応変装している事で一般魔族である以上不敬にはならないが、マオを強く支持し過ぎている住民からの私刑すら考えられるからだ。

 が、叫んだ男はその蛮行をやってのけ、隣に立つ肝心のマオ本人も殴っただけで否定していない。有り体に言って、この光景は男の発言を事実と認めているのと同義だ。

 

(――誤魔化しは出来ない。完全な嘘と言い包めようとすればむしろ真実味を後押しする。そもそも発言を確かめるべく、私達が共に帰る姿を追ってくる者がいるなら、”私が嘘をついてまで隠そうとした”という行為その物が牙を剥く)

 

 刹那。マオの思考だけを残し、世界の時が止まる。光の速度で回る思考の車輪が、世界を置き去りとしていた。

 ここは最大の分岐点だ。”マオ”がマティウスと同居している事など、いずれ割れる事だ。戦争の避難民として案内し、面倒を見ている。それが本来想定していた一時凌ぎ(いいわけ)だったが、この監視生活を続けるならいずれボロは出ただろう。

 しかし、いっそ本当に親しい関係であると見せるのも当然問題だ。王女と気兼ねなく同居する者など、次期魔王のポジションを王女が認めていると取られかねない。多くの者がそう邪推する事は確定だろう。

 

(――遠縁の親戚……ダメだ、”なら強い魔族なんだろう”と兵士や傭兵に取られ詮索される。そもそも、魔王軍がここまで攻め込まれているにも関わらず、今まで手を貸してこなかった親戚などおかしい)

 

 回る。回る。止まった時の中で、”魔王”は独り動き続ける。保身、ただその為だけに。

 切羽詰まった時の魔王の思考速度は、あらゆる魔族をぶっちぎりで超越している。慕っていた父が死んだ時には、自分が魔王就任時の支持率を上げる事を真っ先に考えた。魔帝の制御が不可能と見るや、瀕死の重傷を負っていながら速やかに隠蔽する方針を確定させた。

 あらゆる可能性を思索し、駄目な考えは即時に棄てゆく。瞬時にして入った極度の集中状態(ゾーン)の中で、冷静な思考は全速を保ち続ける。

 須臾の入る余地すら許さぬこの時だけ、魔王は自己保身の世界の頂点に立っていた。

 

(――軍関係者、アウト。兵へ紹介する事になる。避難民、アウト。これだけ元気な避難民などいない。無言で去る、一番アウト。これまで全ての可能性を個々人に邪推される)

 

 一つ一つ、言い訳が思考の自重で潰れていく。その度にむしろ魔王の頭は軽くなっていった。

 八方塞がり、状況は最悪。しかしそんな事は、勇者を相手にしている現状となんら変わりない。どれだけ絶望の淵に追い詰められようと、関係無い。結局やるかやらないか、それしか道は無い。

 どんな関係であったとしても、マオとマティウスという二人が勘繰られる。ならばどうする。

 ――ならば。まともな言い逃れが出来ないなら、その()()()を棄てるだけだ。

 

「えい」

「えっ」

 

 瞬間。マオは、マティウスの腹に神速の手刀をぶち込み、背中まで貫通させた。

 

(”不滅”を切って下さい)

(え、いいけど)

 

 続けて、ギリギリ聞こえる程の指示を届け。マオが腕を引き、手刀がマティウスの体内に留まる程度にまで戻される。

 ブチ抜かれているマティウスの背中から、夥しい程の血が飛び出し始めた。

 

「……あっはっは! やだなぁマティウスさん、いくら()()()()()の人でも、言っていい事と悪い事はあるんですよ? まぁ、やさしいマオちゃんは許してあげますけどね!」

 

 満面の笑顔を見せつけながら、マオは先程大鬼を気圧した殺気の蜃気楼を立ち昇らせつつ、腹部を抉り取っているマティウスへフレンドリーに話しかける。

 マティウスを『戦争で疲れて狂った人』と婉曲的に言いながら、並の魔族なら致命的となるボディーブローを埋め込み続ける。マオの殺意に満ち溢れた所業に、周りからの注目の色が一瞬にして恐怖に染まった。

 

(少し痛かった、って顔して下さい)

(ほーい)

 

 そしてマオが魔法陣をマティウスの腹部へ展開し、腕を身体から引き抜く。腕一本分貫通した重傷は、マオ自身の治癒魔法で瞬く間に治された。

 合わせてマティウスは、あいててー、と胡散臭い演技をする。が、その大根に等しい演技はマオの殺気と治癒魔法の速度に気を取られ、傍からはあまり目立たなかった。

 

「……はぁ。全く、あまり変な事言わないで下さい。これでも私、結構強い魔族なんですよ?」

「あーメンゴメンゴ。ここまで怒ると思わなかったわ、ちょっとしたジョークだったんや」

「マティウスさんは町に()()()()()()()()()()から仕方無いですね。()()()()()()()()()()()んですから、今回はこれで手打ちにしといてあげます」

 

 腕と道に散らされドロドロにへばり付いたマティウスの出血を、直ちに水魔法で浄化して真水にしながらマオはそう言ってのける。

 城下町にやってきたばかりで”王女”を知らない狂人を、公開処刑一歩手前の所業によって咎める。暴力を基本的に肯定する魔族にのみ通じる、全力全壊のハッタリ。それがマオの取った手段だった。

 

「それじゃ、最後にハイムへ案内します。全く、()()()()()()()()()()なんですから、早く一人で生活出来るようになって下さいね?」

 

 その上で、()()()()()()()()()()()()()()()()。あくまで短期間だけの手助け、緊急措置と観衆に思わせる。殺害一歩手前のインパクトで注意が最大に達している今の内に、話を一気呵成に重ねる事で周囲の思考の余地を奪う。

 その場全員の思考が戦慄で停止している間に、マオは踵を返してマティウスをハイム方向へと連れて行く。その場の後に残ったのは、今しがたの光景に対する畏怖の静寂のみだった。

 

  ◆  ◆  ◆

 

「――……ふう。とにかく、凌げましたか」

「やるやんマオちゃん、流石に想定外の対応だったわ。顔真っ赤にして恥じらいながら『ちがいますちがいますちがいますー!』って反応を期待してたんやけどなー」

「知っていますかマティウスさん。人は追い詰められすぎると一周して冷静になるし、弱者はそこでさらに手段を選ばなくなるんです」

 

 普段は温厚な王女による魔族の大半殺し。その惨劇に対してその場に立ち会った住民達が遅れて反応し始め、俄に沸き立つ騒ぎに吸われる様に大通りの魔族達がそちらへ向かっていく。

 自然と道から人気(ひとけ)が薄れ、周りに誰も居ないのを見やってからマオは大きく溜息を吐いた。

 

「はっはっは、戦争後遺症と来たかー。あながち間違いじゃないってのが中々芸術点高いやん、我じゃ無けりゃガチギレ案件よ? あそこに戦争後遺症のお方が実際いりゃ、お気持ちモンやん」

「あの一瞬、私は止まった時の中で周囲の魔族を全員確認しました。あの場に最前線から戻ってきた兵士は無し、重傷を負った経験のある傭兵もいません」

「どういう空間把握能力を発揮してん? ってか、住んでる魔族の事全員知ってるん?」

「何の為に私が町に降りて来てると思ってるんですか。前々から住んでいる民の事など、全て記憶しています。名を覚えるというのは、想像以上に好印象なんですよ?」

 

 魔王のスペックを戦闘以外にフル活用しているマオを、マティウスが愉快そうに笑う。

 事実、マティウスは戦争で狂った魔族なのは現代的には確かだ。破壊と殺戮を好悪を超えた当然の常識として考え、()()()()()戦争内での自分の活躍を訴え、来た場所は不確かな新住人。

 成程、これは狂人と言われても仕方無い。マティウスは凄まじく不当にして不名誉な称号を取得しながらも、面白くて仕方無いとばかりに笑い続けていた。

 ちょっと癇癪を起こせば世界を滅ぼす。そんな存在であるとこの世の誰よりも把握しているにも関わらず、命知らずなギリギリのラインまで踏み込んでくる。こんな面白い存在は、恐らく現世で魔王しかいないだろう。

 ()()()()()()()()()()。魔帝が魔王を滅ぼせば、この世界で唯一自分を愉しませる玩具(もの)が無くなる。その感情を知った上で、マオはここまで踏み込んだ発言をしていた。

 

「すごい貶しちゃったのは申し訳無いとは思っています。しかし、今回の事で逆にマティウスさんはどんな事を言っても『あ、こいつホラ吹いてんだな』という発言の自由を得た筈です」

「あーなるほど、それを強く印象付ける為にあんな騒ぎになるレベルまでキレた風に見せたんか。マオちゃん、我のカミングアウトから秒でそこまで考えたのん?」

「不自然な点もあったでしょうが、咄嗟の考えとしてはベターだと思いましたので」

「うーむ判断スピードの極み。褒めて遣わそう、うりうり」

「ちょ、撫で回さないで下さい! 髮が乱れるじゃないですか!」

「うりうりうりうり」

 

 背丈の差を利用し、マティウスは上から一方的にマオを撫で回す。背丈的に丁度マティウスの肩の高さにマオの頭があるので、めちゃくちゃ撫でやすかった。

 マティウスによる魔帝スケールの発言は、常識から破綻というか破滅しているレベルだが、本人的には一切嘘を言っていない。平然と価値観の違いをわざわざポロポロ零し、言い直す気はカケラ程も持ってない。

 しかしそこに”戦争の被害者”という肩書を上書きし、あの現場に居た者がそれを噂で伝達していけば。魔帝のトンデモ発言全ての真実味が薄まり、狂人の戯言として流される事となる。

 とびっきりの悪意(いたずら)の効力を、瞬時に切り返して逆転させた。成程、これは”王”だ。自分とは全く別方向の傑物で、かつ面白く可愛らしいこの”弱者”は、この時を以て魔帝時代を含めたトップクラスのお気に入りと見做された。

 

「やった後に言うのもなんですが、痛みは大丈夫でした?」

「まぁほぼ確信してたと思うけど、我基本痛みは百パーカットしてるから無問題よ。あ、”不滅”を切って傷を作って出血させるのは上手い発想やったね。ちぱちぱ」

「朝の”不老”の説明で、時間を無効化()()()って聞いた時から、権能は任意に限定出来ると考えていましたので、そうなるだろうとは思ってました。真面目にクイズ答えておいて良かったです」

 

 勇者どころか神々の攻撃に対しても傷一つ負わず、血一つ流さなかった相手に傷を負わせる。その唯一の方法は、マティウス本人に傷を許させる、という事だ。

 権能によるあらゆる対外の絶対否定を、本人が失くす。”不滅”を失くせば、同時に”損傷の否定”が消えて傷を与える事が出来る。

 そして”不死”がある限り、魔帝は何をされようが死ぬ事が無い。腹では無く心臓をブチ抜いた所で、余裕で生き残っていただろう。つくづく酷い能力だったが、今回はそれに助けられた。

 

「ちなみに血が出なかったらどうするつもりだったん?」

「考えていませんでしたが、恐らく炎で焼いて傷口を塞ぎつつ、治癒しながら拷問するみたいな形になったと思います」

「はっはっは、外道やん」

「マティウスさん程じゃないです」

 

 ふふっ。アドリブでその場を凌ぐ事に必死にされ、完全に疲れ切っていたマオはいっそ笑いが込み上げてきていた。

 もうさっさと帰ったら寝たい、そう思うレベルだった。しかしマティウスは欠片も家事が出来ない以上、帰った後の家事(しごと)はやり遂げなければならない。

 おかしい、私一応魔王なのに。確かに一般魔族として暮らせる様にと想定はしていたが、立場上伴侶を得るつもりも、相手がここまでロクデナシとも考えていなかった。

 時に現実は想像を超越する。戦争内で常に”最悪”を想定し続けてきた身ではあったが、まさかこんな方向の”最悪”があるとは思っていなかった。

 これ私後世で伝説になってもいいでしょ。しかし魔帝の存在を隠蔽しなければならない以上、語られぬ事も無い物語なのだろう。嗚呼、なんて悲しい、なんて切ない――。

 

「あ、晩メシなにー?」

狼猪(ボーア)の肉巻き、彼岸櫻(アビスフルール)の根と葉の煮込みスープ、銀シャリです」

「新婚一発目なんだしもっとバーっと行こうぜぃ? ってか、最後のは文字通り銀の米なの?」

「白米です。白米は銀より重しです。私の夕食は米類、例えそれは神にも変える事能わずです」

「なにその信念」

 

 それはそれとして、マオは揺るがぬ食事への信念を抱き、二人で帰宅した。

 




Tipsその7
闘技場:
一対一の公開模擬戦による賭博場。個々人の種族・実力・実績によってグレード分けされており、それぞれで賭けレートと賞金が違う。
殺害はルール違反だが、高位の治癒魔法使いによって部位欠損ぐらいはなんとかなるので即死攻撃以外は許される。傭兵・軍兵スカウトマンの溜まり場でもある。

大図書館:
”大魔導王”と名乗った昔の魔王によってかつて作られた図書館。
禁書以外ならレンタル可能、高位の書物になる程に貸出料は増える。本には追跡魔法がかかっており、借りパクをした者は賢者の手で処される。転売なら最高刑は無期懲役。



嘘と冗談を履き違えてはいけない。
親しき仲にも礼儀あり、トラブルの種まきはダメだぞ。
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