【美少女】なんか知らんのだが部屋にウマ耳ウマ尻尾の美少女が現れたんやが【降臨】 作:カフェイン中毒
「……」
男は黙りこくっていた。というのも目の前の4人のウマ娘のせいである。いや、せいというのはおかしいのではあるが。巡り巡って責任はすべて男にあるというのが現在の男の考えであり、つまり目の前で美しい瞳から涙をこぼしているのもまた自分のせいだという考えだからである。
「トレーナーさぁん…会いたかったデェス…」
男を確認した途端に崩れ落ちてしまったエルコンドルパサー。
「…ああ、よかった…」
姿勢良く立っていたが隣で泣いているエルコンドルパサーを慰めるうちに自分も泣けてきてしまったらしいグラスワンダー。
「うぅ…へっぽこ、なんで先に死んじゃったの!おばかっ…」
会うなり男の胸に力の入ってない拳をぽすぽすとぶつけるキングヘイロー。
「トレーナー、くん…」
そして、呆然自失とその場から動かずにはらはらと涙を流すテイエムオペラオー。
ゴールドシップからの連絡という名のドロップキックからの鯖折りハグというある一部の趣味嗜好を持ってる人間からすれば羨ましいと口を揃えて言うであろう仕打ちを受けた男は変な方向に曲がってしまった腰をアグネスデジタルに元に戻してもらって仕事を須藤に丸投げした。あとで時給を上げねばと思いつつすぐさま準備を済ませてまっていたところにこれである。頭を抱えたくなったがそうなってはいけないので男は三女神像を胡乱なまなざしで見た後に事態の収拾に動くのだった。
まず男がするべきなのは全員を慰めて精神状態を回復させることではあるが、男は一人しかいない。一人一人と向き合い彼女らを安心させることは纏めてやれるようなことではない。ゆっくりと時間をかけて彼女らを男が見る必要があるのだ。今はとにかく、安心させることが先決だろう。
男は手元の端末を操作する。とすぐにどたどたばたばたと音がして玄関がバンッ!と壊れないかと言わんばかりに大きな音を立てて開かれる。男があらかじめ連絡を入れておいた彼女らと仲がいいウマ娘たちだ。スペシャルウィークにセイウンスカイ、ハルウララ、タイキシャトル、メイショウドトウ、フジキセキが慌てて出てきている。
「エルちゃん!グラスちゃん!キングちゃん!オペラオーさん!こっちに来たんですね!」
「スぺちゃん…」
「ヘイ!エル!頑張ったデスね!今はゆっくり休むことデス!」
「あ、タイキ先輩…」
「キングちゃん!キングちゃんだ!大丈夫だよ!私が一緒にいるからね!ね!」
「ウララさん、ありがとう…」
「オペラオーさん、大丈夫ですか…?あの、頼りないかもですけど私が一緒にいますから…」
「…あ、ドトウ…こんな、不甲斐ないところを…」
泣いていた4人のウマ娘は現れた知り合いを見てほっと息をついた。だが男の背中にはじっとりと汗が出ている。男の視線の先にいるのは、テイエムオペラオー。フジキセキとメイショウドトウに囲まれて力なく笑っている彼女を見た男の脳裏には大音量で警鐘が鳴っている。精神状態は、今回来た4人の中では一番悪いかもしれない。
聞いていた話と状態が違いすぎる。いつでもポジティブで自信満々なナルシスト、とてもそうは思えない。メイショウドトウ達が彼女と別れたここ数ヶ月で一体何があったのか、他の3人は友達の顔を見て笑っている。笑えているのだ。テイエムオペラオーだけは違う、口角は上がっていてもその瞳には何も映していない。フジキセキも呆気にとられて彼女を見ていることから彼女にとっても予想外の事態なのだろう。
「トレーナーさん、あの」
「分かってる。フジ、とりあえず中に入ろう。話はそれから…うおっ!?」
取り急ぎやることを後回しにして時間を確保しようと考えていた男の頭の上にバサバサッと一匹の鷹が降り立った。甲高い声を上げたその鷹を見たエルコンドルパサーが反応する。
「マンボ!良かった、一緒に来れたんデスね!」
一か八か一緒に来れるか試したのであろうエルコンドルパサーが嬉しそうに手を差し出すとマンボと呼ばれた鷹は男の頭を無遠慮に踏みつけて飛び立ち、そこに降り立つ。若干爪が刺さった頭を撫でながら男は玄関を開けて中に彼女たちを案内するのだった。
「はーっはっはっは!!!恥ずかしいところを見せたねトレーナー君!この通りボク、テイエムオペラオーは不死鳥のごとく蘇ったさ!心配無用だとも!」
ワタワタと新入りが来た事により再会を済ませたウマ娘たちの相手をした男が自室に引っ込み書類の整理をしていると騒がしく自室の扉が開いてテイエムオペラオーが姿を現した。若干頬が上気しているところを見ると風呂にでも入って気持ちを切り替えたらしい、が残念ながら男には通じなかった。
隠すのが上手い、と男は思った。なるほどこれなら確かに芝居がかっていてオーバーでポジティブなナルシストに見えるだろう。わざわざ報告しに来たあたりに男は彼女の心の悲鳴を聞いた気がした。男は立ち上がってケトルの中からお湯をマグカップに注いでティーバッグを入れる。そのまま個人掛けのソファーに彼女を促す、表面上自信満々な顔をしたテイエムオペラオーはすとんといい感じにソファーに収まった。
ドアの前に相談中の札をかけた男がドアを閉めて程よくカップの中に色づいた紅茶を持って彼女の向かいのソファに腰掛ける。そして男はテイエムオペラオーの目をじっと見つめる。確かに着いた直後の伽藍洞のガラス玉のような瞳ではなくそこには確かな光がある。奥底にある感情を雁字搦めにする理性の光が。
「テイエムオペラオー、無理しなくていいぞ」
「??何をだい?確かに来た直後のボクはいささか情けなかったかもしれないが今はそんなことはないさ。なにせボクは世紀末覇王だからね!キミが育てた最高に美しいウマ娘を見れば記憶の一つや二つすぐさま戻るだろう!」
頑なだな、と男は熟考した。一見すれば確かに元気になったと言えるかもしれない。だが男は着いた直後の彼女が本当のテイエムオペラオーだと確信をもっている。自信満々なナルシスト、世紀末覇王という仮面が作り出した彼女の外面。男がいなくなってからも彼女は変わらなかったとメイショウドトウが言っていた。太陽のように明るく笑い他を励ましていたと。
「オペラオー」
「っ!?」
男が彼女の名前を縮めて呼んだ途端に彼女の肩が跳ねる。おそらく、前の男は彼女をそう呼んでいたのだ、目を合わせているかと思ったがやはりそんなことはないようで彼女の瞳は男ではなく男の後ろを見ているようだった。気づかれないように男を見ないようにしていたのだ。
「俺を見ろ」
「…本音トークは苦手なんだ」
「そっか、でもお前の今の状態を俺は放っておくわけには行かないぞ。なにせ俺はお前らのトレーナー、らしいからな」
「トレーナー、君…」
「なあオペラオー、俺は前の俺のこともお前たちのことも知らないんだ。だけどな、知らなくてもそんなひどい顔した女の子を大丈夫って言ってるから放っておいていいよねなんて思うほどクズになったわけじゃない。ゆっくりでいいんだ。何があったか、教えてくれよ」
「っ!…ずるい、ずるいよ。知らないっていう癖に、ボクのこと覚えてない癖に…!ボクの欲しい言葉をくれるなんてっ…トレーナー!」
ぽた、ぽたとテーブルの上に雫が落ちる。それが涙だと気付いた途端、男の胸にテイエムオペラオーが飛び込んできた。机を乗り越えて男の胸に飛びつきわんわんと泣きじゃくるテイエムオペラオーを男は優しくなだめる。かちゃん、と男に飛びついた時に頭から落ちたらしい王冠が、乾いた音を立てて地面に転がった。
340:他称トレーナー
というわけでテイエムオペラオーを何とかなだめすかすことが出来たんだけど…マジで前世の俺どうなってんの?スパダリなの?完璧人間なの!?なら車ごときで死んでんじゃねーよバカチンがあああ!!!
341:名無しのファン
重すぎて笑えない
342:名無しのファン
なに?イッチが死んでからターフが怖くなったって
343:名無しのファン
それを外面強化することで周りに悟らせないように無理やり走ってたとか…
344:名無しのファン
いかんなこれ。しかもこれで一人目だって?
345:他称トレーナー
ちょっとグラスワンダーが次ヤバそうなんよな…
346:名無しのファン
今回流石にグズグズすぎないか…?
347:他称トレーナー
ゴルシちゃん曰く流石にやばそうなので急いでどうにかしたほうがいいと判断したらしい。もちろん来る来ないは本人の意思なんだけどやっぱり周りの方もやばいってのは薄々気づいてたみたい。うーん俺が原因なのに俺が解決するとかひでえマッチポンプだ。
348:名無しのファン
重いんだよぉ!
349:名無しのファン
あの、つまりは…?
350:他称トレーナー
ああ、ほらあの…キングヘイローがそうなんだけど…彼女面倒見がよくて学園で慕ってるウマ娘が沢山いたらしいんですよ。けどさ?俺が車に負けてからやっぱり沈んじゃったらしくて…それでウララが俺のところに来ちゃったから、色々考えちゃったみたいよ
351:名無しのファン
え、まさかそれって
352:他称トレーナー
事情を知らないウマ娘たちだったからぼかして説明したらしいんだけど…「行くべきです!」って説得を受けちゃったんだって。私たちは大丈夫ですから!って。そんな人一生に一度会えるかどうかわからないですよ!ってさ。
353:名無しのファン
事情を知らないからこそ言えることだけどな…自分がいなくなって大丈夫なのかっていうのを見越した言い方じゃん
354:名無しのファン
こんなので夏合宿大丈夫なのか…?
355:名無しのファン
と、とりあえず新しくウマ娘が来た事はまだ漏らさない方がいいな、イッチも写真とか動画とかあげるなよ
356:他称トレーナー
そうだな、暫く練習はともかく動画関係は撮りためを使おうと思うよ。夏合宿の日程は調整するけどやると思う。あー…ミスティと遊んでこよ
357:名無しのファン
イッチもお疲れやなホンマに…
358:新人広報
スレの流れが重くなると困るそうなのでネタ提供しろとのお達しを受けてきましたどうも新人です
359:名無しのファン
よう新人
360:名無しのファン
イッチ…そんな気遣いせんでもええねんで…
361:新人広報
今日はそうですね…スーパークリークさんのお話をしましょうか
362:名無しのファン
ママ~
363:名無しのファン
お前のママではないが
364:名無しのファン
お母さん力が高すぎる
365:新人広報
皆さんがご存じの通りスーパークリークさんは魔性の母性の持ち主です。ご本人も子供が好きみたいですからね。
366:名無しのファン
保育園にウマ娘が遊びに行ったときのスーパークリーク違和感なさ過ぎて笑ったわ
367:新人広報
ここ最近はウマ娘のことも周知が進んでURAの地元ならどこに出かけても違和感なく溶け込めるようになったわけですが、彼女が出かけるとなぜか3回に1回は迷子に遭遇するんですよねえ
368:名無しのファン
そうなの?www
369:名無しのファン
迷子ホイホイwww
370:名無しのファン
田舎っておおらかだから子供だけで遊んでたりとかよく見るんだよな。危ないからやめて欲しいんだけど
371:新人広報
出かけるたびにそうなるもんだから彼女ここら辺の地理に社長より詳しいんですよね…
372:名無しのファン
ぶっはwwwww
373:名無しのファン
そうかイッチって元は引きこもりだからかwww
374:名無しのファン
つまり迷子のお父さんお母さんを探しているうちに詳しくなったと
375:新人広報
そうなんですよ。見知らぬ子どもから「あ!おうまのおねーちゃん!」と挨拶されて「は~~い」って答えてますよ。社長なんかぎょっとして「え?いつの間に?」みたいな感じでwww
376:名無しのファン
うーんこれは保母さん
377:鉄人
あの子お料理も上手なのよね…カレーなんて私よりおいしいのよ?私中華とはいえプロなのに。
378:競馬で全財産を溶かす男
懺悔します。社長を膝枕して耳掻きしてました。許されざる蛮行です
379:服飾屋
代表さんの仕事量からすればその程度の役得あってもいいんじゃない?
380:競馬で全財産を溶かす男
まあそうだけど、独身独り身からすれば辛い…辛くない?
381:名無しのファン
おまえはまずギャンブルやめろ
382:名無しのファン
競馬で全財産を溶かしてるから彼女ができないんだ
383:競馬で全財産を溶かす男
俺のライフワークを奪うな
384:名無しのファン
だめだこりゃ
どうも作者です。ちょっと時間が取れたので投稿させてもらいました。夏合宿の前の話ですね、なぜ順番が前後したかと申しますと思いっきり曇らせるつもりだったので先に元気な姿を描写しておけば読者さんが安心できるかと思ったからです。
今回ヤバかったテイエムオペラオーですが、いくらあんなポジティブモンスターでもやっぱり一人の女の子であってほしいという作者の願望です。はい、趣味ですね趣味。
あえて言うなら世紀末覇王がただの女の子に戻る話みたいなもんです。これオペラオーか?と言われてもワイの中のオペラオーは最強無敵のナルシストの殻を被る一人の女の子なのです。そっちも本性なのはそうでしょうけどね
ではでは次回にお会いしましょう。更新予定日は不定ですが、またいつか。
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