【美少女】なんか知らんのだが部屋にウマ耳ウマ尻尾の美少女が現れたんやが【降臨】   作:カフェイン中毒

44 / 64
 皆さん予想通りのその着せ替え人形は恋をするとのクロスオーバーです。時系列的にはミスティストリームデビューの2か月前、本編のジャパンカップより半年以上後になります。

 ちなみに前編デース


アグネスデジタル、コスプレイヤーと出会う

 「トレーナーさん!!お願いがあるんです!」

 

 「それ今言わなきゃいかん?」

 

 「どーしても!今じゃなきゃいけないんですっ!」

 

 「うん、とりあえずはアイシングするから座って?」

 

 「はい」

 

 「急にスンってなると怖いんだけど?」

 

 勝負服姿のアグネスデジタルが男を前にお願いがあると声高に主張している。現在レジェンドレースを終え、勝利を収めた後の話である。男は頑張ったアグネスデジタルをうんと褒めてやろうと両手を広げて待っていたわけであるが帰ってきた彼女がこの調子なので盛大にずっこけそうになった。

 

 勘違いしてはいけないのだがレース自体を蔑ろにしているわけではない。アグネスデジタルもウマ娘、レースに対して余計な思考は持ち込まないのは勿論のことだ。だが、終わった時点で欲望が噴出してしまうことはよくある話だ。例としてはオグリキャップやスペシャルウィークなどである。御多分に漏れずアグネスデジタルもレースの高揚がもたらす酩酊感が今の言葉を発させたのだろう。

 

 とりあえずスプレーで熱を持ちほてった彼女の足をアイシングしつつ状態を観察する。いつも通り問題なしと判断した男はそわそわわくわくとしているアグネスデジタルの用事を聞くことにした。

 

 「で、お願いって何さ?」

 

 「明日!イベントがあるのですっ!なんとなんとウマ娘ちゃんの同人誌の頒布があるそうで!これはヲタクとしては是非とも見逃せない案件ですっ!イベント参加の許可をください!」

 

 「……なるほどね。ちなみに誰の同人誌とかわかる?」

 

 「あ、そこらへんはちゃんとしている方みたいで、ウマ娘という種族を扱った内容のようです。架空のウマ娘ちゃんですね」

 

 「察しがいいなあ。明日かあ……」

 

 「……だめ、ですか?」

 

 うーーーん、と男は唸る。いいと言ってあげたいのである、男としても許可を出してあげたいのだ。だが、明日は男がいない。正確にはJHAとの会合が入っているので男が付き添ってやることが出来ないのだ。こちらに来ているのは男だけだし、付き添いのウマ娘たちは明日にはそれぞれの予定が入っている。フリーなのはアグネスデジタルのみという状況で、同人イベントにゴーサインを出しても良いのだろうかと男は悩んでいるのだ。

 

 だがしかし、と男は目の前のウマ娘を見る。不安そうにじーっと男を見つめる碧玉の瞳を見た男は鋼の意思を持ちこう断ってやるのだった。

 

 「いいよ」

 

 「やったあ!さっすがトレーナーさん!私の同志です!」

 

 男がウマ娘に対してだだ甘なのは言うまでもなく、お願いをされた時点で男に選択肢が消えるのは今更な話であった。とりあえずはウイニングライブね、と男はアグネスデジタルのおでこをつん、と突っついて彼女を現実に引き戻すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 「いや~~~何とかゲットできました~~。帰ってホテルで読むのが楽しみです」

 

 翌日の事、アグネスデジタルは意気揚々と昨日のうちに男と選んだ変装用衣装に身を包み、同人イベントに突撃していた。彼女はぶかぶかのキャスケット帽をかぶりそれに耳とまとめた髪を隠し、半袖シャツ、尻尾はおおきなオーバーオールで隠している。極めつけには大きな丸眼鏡をかけている。男が手ずから選んだ変装衣装を大いに気に入ったアグネスデジタルは帰ったら自分で尻尾穴をあけて普段着として大切に着ようと決意していた。

 

 さながら探偵漫画にでも出てきそうないで立ちのアグネスデジタルは前の世界で培った嗅覚を存分に発揮し目当ての絵師のスペースを真っ先に訪れスケッチブックと新刊をお願いし、スニーキングミッションを達成したのである。今の彼女をみても美少女が歩いているとは思われこそすれまさか昨日現役競走馬を撫で切ったウマ娘だとはだれも思うまい。

 

 糖分補給用の甘いカフェオレを飲み干したアグネスデジタルは折角来たのだからと同人イベントを回ってみることにした。彼女のオタク道はウマ娘で占められているが、別に普通のアニメや漫画も好きだし、それを好きだと言っている人たちの愛の言葉を聞くのだって楽しい。好きなものは好きなのだ、その愛の発露を見たいと思うのもまたオタクの性なのである。

 

 「ふおおお~~、コスプレ、こっちもレベルが高いですね!トレーナーさんも来れたら楽しかったでしょうに~」

 

 「あの、一枚いいですか?」

 

 「あ、あたしですか!?す、すいませんあたしレイヤー参加じゃなくて……」

 

 「あ!そうなんですか!すいません失礼しました~」

 

 あまりに服装が似合っているせいかカメラを構えたカメコという人種に声を掛けられてしまいしどろもどろになりつつも断る。トレーナーからの条件として目立たないことやウマ娘であることをばらさないようにと言い含められている。男は危険な目に会ってほしくない一心での条件付けであったがデジタル自身は何の事はない、自分は普通のウマ娘なので背景に溶け込むのは得意です、と思っている。現在進行形で注目を集めているのも別のレイヤーさんへの視線だと思っているほどに鈍かった。

 

 きょろきょろと色とりどりの服を着こんだコスプレイヤーたちを眺めるデジタル、帽子と服の下では機嫌よく尻尾と耳が動いているのが分かるだろう。低身長の彼女があっちへこっちへちょこちょこと動くものだから年齢層が高いコスプレイヤーやカメコからは微笑ましく見守られていた。

 

 「おお!あれは……すばらしいですっ!」

 

 思わずデジタルは声を漏らしてしまう。彼女の視線の先にあるのはゴシックロリータのような衣装に身を包んだ紫がかった黒のウィッグを被っているコスプレイヤーと作務衣の少年のコンビだ。デジタルは実のところ割と服飾系に明るい。自ら絵を描くことが多いので参考資料としてファッション系の雑誌などには目を光らせるようにしているのだ。

 

 「ふおお……素材的には劣りますが込められた熱量は私たちの勝負服に匹敵するかもしれません……!」

 

 何よりデジタルを驚かせたのは服の完成度である。自らが纏う勝負服は職人が手作りで作り上げるこの世に二つとないものだ。ウマ娘の身体を守るためのありとあらゆる工夫が施されたそれは当然普通の服とは一線を画する完成度を誇っている。そして、コスプレイヤーの少女が着ているそれはまさに勝負服と同じ熱量が籠っているようにデジタルには見えたのだ。見学だけで済まそうと思っていたがこれは流石に声を掛けざるを得ない、写真を撮ってキングヘイローあたりに見せたら詳細に解説してくれそうだと思いながらデジタルは声を掛けることにした。

 

 「あの~~、1枚よろしいですか?」

 

 「はい!!いいですよ~~!やったねごじょー君が作ってくれた衣装のおかげだよ~~!」

 

 「い、いえ俺は……」

 

 「ってカワイッ!?むしろアタシが写メ一緒にとりたいくらい!是非是非!やった~~!!」

 

 レイヤーさんだけでいいんです、なんてデジタルには言えるはずもなくごじょー君、と呼ばれた彼にスマホを渡して撮ってもらうことになった。レイヤーさんと同じセルフィーに映るのはオタクとしてどうかと思ったがレイヤーさんが望むのなら仕方ない、と理論武装を済ませ一緒に映ることにした。慣れているどころか仕事になっている作業なのでファンサービス精神が爆発しかなり映える写り方を選択したがそれ以上にレイヤーさんが映えているのでトントンだろう、うん。とレイヤーさんが自分のスマホを見て目を輝かせているのを見てデジタルはちょっと嬉しくなるのであった。

 

 「ありがとーございます!あの、もしかしてそれコスですか!?」

 

 「やっぱりそう見えちゃうんですか……これ普段着なんです。さっきもカメコさんに声を掛けられて……大丈夫ですか?」

 

 「はぇ?あ、あれ?」

 

 「喜多川さん!?」

 

 テンション高くくるくる回っていたレイヤーの少女に若干の違和感を覚えたデジタルが尋ねると少女はふら、とふらついてしまう。少女の顔は真っ赤で汗もだらだらと流している。まだ夏ではないとはいえ彼女が着ている服の生地は分厚く通気性は悪そうだ。熱中症だろうとあたりを付けたデジタルはふらついた彼女をそのまま支えると少年の方に指示を飛ばすことにした。

 

 「熱中症かもしれません。すみませんがスポーツドリンクを数本買ってきてもらってもいいですか?屋内に入りましょう、失礼しますね。よいしょっと」

 

 「えっあっはい!……!?!?!?」

 

 「うえっ!?!?力つよっ!?ゴリラ!?」

 

 「ウマです」

 

 「はぇ?」

 

 「ななな何でもありません!とにかくお願いしますね!」

 

 少女を支えていたアグネスデジタルは軽々と少女を抱き上げる。いわゆるお姫様抱っこと呼ばれる形に落ち着いてしまった少女が素っ頓狂な声をあげて素直な感想を述べるが思わず否定してしまい慌てて誤魔化してしまった。少年の方はアグネスデジタルがまるでハンドバックでも持つかのように軽々とパートナーを抱き上げたことにフリーズしていたが自分より40㎝は小さい少女の指示を思い出して自販機の方に走っていった。それを見送ったアグネスデジタルはすたすたと軽やかな足取りで少女を抱き上げたまま屋内に入っていってしまった。周囲の視線を釘付けにするというおまけ付きで。

 

 「ここでいいですかね。座れますか?はい、タオルです。服を緩めたほうがいいと思いますのでちょっと失礼しますね」

 

 「は、はひゃ……どうしよう可愛いのに超イケメンじゃん……」

 

 手近な階段を見つけたデジタルはそこで喜多川と呼ばれた少女を下ろし、荷物の中からタオルを取り出して手渡す、背中のジッパーを少しおろしてあげると相当熱が籠ってたのか中身は汗でべたべただ。こりゃ結構きつそうですね、とデジタルは常に持ち歩いているフットケア用品の中から冷却スプレーと保冷剤を取り出して保冷剤に一発パンチを入れる。衝撃で冷えるタイプの保冷剤をタオルに包み、少女の首筋に宛がった。

 

 「これ、冷却スプレーです。わきの下とかに使ってみてください。イベント参加は初めてなんですか?」

 

 「あ゛~~~気持ちい~~~滅茶苦茶準備いいね。そう、今回がコス参加初めてなんだ!凄いね、アタシよりも若そうなのにしっかりしてる~」

 

 「あぁ、まあそれは商売道具のケアのためと申しますか何と言いますか……とにかくご無事そうで良かったです」

 

 「喜多川さん!大丈夫ですかっ!?」

 

 「あっ!ごじょー君!ごめんね、この子のおかげでだいぶ楽になったよ!でも喉乾いちゃった~あはは~」

 

 「あはは~じゃないです!これ飲んでください!」

 

 慌てた様子で駆け込んできた長身の少年、トレーナーさんとヒシアケボノさんよりもおっきいです、という感想を抱いていたアグネスデジタルをよそにごじょー君と呼ばれた少年は少女にスポーツドリンクを手渡し少女はそれをお美味しそうに喉を鳴らして一気飲みした。ぷは~生き返る~~!という感想でもう大丈夫だと判断したアグネスデジタルはお暇することにした。

 

 「じゃあ、私はこれで……お大事にしてくださいね」

 

 「あっ!まって!お礼も言えてないし!アタシ喜多川海夢!ホンットーにありがと!マジ助かっちゃった!」

 

 「五条新菜といいます。ありがとうございました」

 

 「えーっと、あーっと……デジってハンドルネームでやってます。本名はちょっと……」

 

 「デジちゃん!いいじゃんそういうの!ね、ごじょー君!てかその帽子めっちゃ可愛いじゃん!どこのやつ?何歳?学校どこ?」

 

 「喜多川さん、つよい、押しが強いです」

 

 「あ、ごめん。いや~~モデルやってるとさ?そういうの気になっちゃうんだよね。全体的にだぼっとしてるけど、そこがまたカワイイじゃん?センスあるよね」

 

 「はい、選んでもらったんですけどあたしもそう思います。帽子……どこのでしたっけ」

 

 選んでもらったもののセンス、要はトレーナーさんを褒められて嬉しくなったアグネスデジタルは海夢のリクエストに応えたくなってしまい帽子を外してブランド名がどこか確認しようとする。当然帽子を外してしまえばツーサイドアップのまま無理やりまとめて帽子の中に入れた髪と男に隠すようにと厳命されていたウマ娘の証であるウマ耳が露出してしまう。

 

 考え事に気をとられているせいかピクピクと盛大に動く耳を思いっきり目の前の二人に見せつけてることに気づかないデジタルは、よーやっとブランド名を探し終えたあたりで、目の前の二人がフリーズしていることと、妙に耳が自由なことで自分が帽子を脱いでいることを思い出した。サーッと真っ青になったデジタルは帽子を思いっきり被って半ば片言で二人に聞いてみることにした。

 

 「ナカッタコトニナリマセンカ?」

 

 「……いや、それは、無理じゃん?」

 

 「デスヨネー」

 

 ああ、トレーナーさん、ごめんなさい。とデジタルは脳内にいる男に対して心の中で謝る。心の中のイマジナリートレーナーは全く気にすることとなくデジタルに親指を立てた。毒を食らわば皿までです、とデジタルは覚悟を決めるのだった。

 

 

 




 待ってる人がいるかどうかは分かりませんがお待たせしました。着せ恋クロスは前編後編で分け、さらにもう一つくらい擦りたいなと思っておりますがそこら辺は未定ですごめんなさい。
 
 正体ばれしてしまったデジたんはどうなるのか!乞うご期待!では待て次回!お疲れさまでしたぁ!

K2編少し続けていい?

  • ええで
  • あかん
  • 掲示板やれ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。