【美少女】なんか知らんのだが部屋にウマ耳ウマ尻尾の美少女が現れたんやが【降臨】   作:カフェイン中毒

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ウマ娘と文化祭 2

 「海夢さん海夢さん、お時間よろしいのですか?」

 

 「もちもち!あと少ししたら着替えに行くけどね~」

 

 「新菜っちうぇーい!夏以来だね!バイブス上がってる~?」

 

 「え、えーと……うぇ、うぇーい……?」

 

 「あー、五条君。ヘリオスは「元気だった?」って聞いてるだけだよ」

 

 「そ、そうなんですね……?」

 

 席を立ったウマ娘たちが目的の人物である二人を囲んで話し出す。アグネスデジタルはミスコンでコスプレをするならば時間がないのではないか?と海夢に聞くが、どうやら海夢曰くまだ時間があるので会いに来たとのことらしい。ぎゅっぎゅとニシノフラワーをハグして解放した海夢はアグネスデジタルとコスプレトークを始めてしまう。

 

 打って変わって新菜はハイテンションギャルのダイタクヘリオスに絡まれており両手をあげさせられてハイタッチを敢行された挙句ぐるぐると周りを回られて四方八方から話しかけられている。海夢とはまた違うギャルっぷりに新菜はタジタジで助けを求めるようにメジロパーマーに目線をやっている。メジロパーマーは苦笑しつつも通訳と手助けをすることにしたらしく新菜のほうに歩いていった。

 

 「ご馳走様、美味しかったよ。ありがとう」

 

 「ひゃ、ひゃいっ。ありがとうございましたぁ!」

 

 一人残されたフジキセキは外れの辛いたこ焼きのダメージが抜けきらないのか舌をペロッと出して手でパタパタと仰ぎつつ使っていた席を片付けてごみを回収用の袋の中に入れた。ついでに係の女生徒へのリップサービスを忘れないところにこのいたずらウマ娘の質が悪いところがよく表れているだろう。女性なのにイケメンというギャップに最早いろんな意味でヤバいことになってるのかもしれない。

 

 「とりあえず、騒ぎになりそうだからここはお暇しようかポニーちゃんたち。騒がせてごめんね?」

 

 「いえいえ全然!アタシみんなにあえてチョー嬉しいし!ミスコン期待してて!」

 

 「もち!ウチらも海夢っちマジナンバーワンに応援しちゃうから!んで、そろそろ取りに行かないとまずい系?」

 

 「時間的には、そうですね。一回須藤さんの所に戻らないと……」

 

 「皆さん、何か御用事があるんですか?」

 

 「んー?ウチら一応文化祭のゲスト枠だからね!トレーナー風に言うなら……お仕事?」

 

 「あっちょっ!ヘリオス!それ言っちゃダメ!」

 

 「えっ!?あっ!……今のオフレコで……」

 

 無理です、とその場にいるウマ娘以外の思考が一致した。主目的である海夢と新菜に会えた以上これ以上の長居は無用というフジキセキの号令で帰り支度を始めるウマ娘たち、実際教室の窓から興味津々の一般客や生徒が覗き込んでおりウマ娘であるということが分かった途端に携帯を構えるものもいるほどだ。今更撮られたところで痛くもかゆくもないウマ娘たちでも若干うざったいことには変わりはないのだ。

 

 帰り際の雑談でポロっと失言をしたダイタクヘリオスとそれをアシストしてしまったニシノフラワーが口を押さえる。三十六計逃げるに如かず、とあわただしくウマ娘たちは教室を後にする。ウマ娘たちが去った途端に、文化祭でウマ娘が何かをしてくれるということを理解した生徒たちに興奮が伝播していく。

 

 高校生にとって競馬という賭け事は中々に縁遠いものだが一番流行に敏感な生き物であろう高校生がニュースやらネットやらで話題をかっさらっているウマ娘に関心を抱かないわけはない。レースのことはいまいちわからなくてもウイニングライブはよくわかる。要は高校生にとってウマ娘とはアスリートの前にアイドルやシンガーに近い認識を持たれているわけだ。

 

 

 

 

 「もーヘリオス!トレーナーからサプライズだって言われてるじゃないのさ!」

 

 「ごーめんごめん!海夢っち達にあえて嬉しくてさー!マジ口がスリップしちゃったし!」

 

 「まあまあ、過ぎたことを悔やんでもしょうがないよ。あとは、私たちが期待以上のことをすればいいさ」

 

 帽子を緩く被ったウマ娘たちは校舎を脱出し、人の流れに逆らって小走りで校門につながる道まで出る。そこでようやっと止まった5人、メジロパーマーがダイタクヘリオスのポカに腰に手を当てて緩く怒るとダイタクヘリオスも手刀を切って彼女なりに真剣に謝った。もともと自分たちがいる時点で何かあるというのは勘ぐられると思ってはいたのであまり気にすることではないが、一応の注意である。

 

 女3人寄れば姦しいとは言うが、5人寄ったらなおも姦しいだろう。わいわいと会えてよかった終わったら凸ろうと雑談に花を咲かせていると前方できゃーーっ!と悲鳴が聞こえる。帽子の下のウマ耳でその音を捉えた5人はすぐさまその方向を見やると緩い坂道になっている校門の道で転んだらしき女性と、転んだ時に手を放してしまったらしいベビーカーが坂道を下って行ってしまうところだった。もう坂の半ばほどまで行ってしまっている。

 

 このままでは車が走っている道路にベビーカーが飛び出る――!とフジキセキが走る体制を取った瞬間、遅れて状況を察した周囲の悲鳴に被さる様にドカンッ!と爆発じみた音を立てて隣にいたニシノフラワーがスタートダッシュを切った。それから数瞬おくれて他の4人もベビーカーに向かって走り出す。

 

 スタートについていけなかった帽子が地面に落ちる、スプリンターのニシノフラワーの加速力はマイルから中距離をかけるほかの4人より強く、さらに下り坂も得意だ。すぐさまベビーカーを追い抜いて回り込み、受け止める。シューズについた蹄鉄がすれる勢いでブレーキをかけたニシノフラワー、追いついた4人がそれに加わって校門前ギリギリでベビーカーはその勢いを完全にゼロにした。

 

 「ま、間に合いましたぁ……!」

 

 「ま、マジ焦ったし……!」

 

 「レースよりもひやひやした……!」

 

 「せ、セーフです!ギリギリですけど!」

 

 「この驚きはいらないかな……」

 

 5人がそれぞれ遅れてやってきた冷や汗と共に今起こったことに感想を言い合っていると、ベビーカーの中からキャッキャと笑い声が聞こえる。どうやら中の赤ん坊は何が起こったのかをいまいち理解していないのかそれとも豪胆なのか笑っているようだ。5人は無事そうでよかったと胸をなでおろす。5人が一息ついてるとぱち、ぱちとまばらに拍手が響いて、やがてその場にいた観衆全員が拍手を始める。

 

 「ああ!ありがとうございました!!何とお礼を申し上げていいか……!」

 

 「赤ちゃん、無事でよかったです。でも一応、病院に行った方がいいかと」

 

 母親らしき女性はしきりに頭を下げて礼を言った。ウマ娘たちにとっては当然のことをしたまでなので間に合ってよかったというだけで、実際結構ギリギリだったので冷や汗が止まらないのが現状である。追いつくことは簡単でも止まるのが間に合わなかったかもしれないからだ。生徒が教師に連絡を入れたらしく慌てた様子で教師が走ってきている。

 

 それじゃ、私たちはこれでとニシノフラワーの帽子を拾ったフジキセキがぽふんと彼女の頭にそれを置いて校門を出ていく。それに他4人も続いて、近くの駐車場で待っていた須藤の車の中に荷物を置いて、代わりに銀色のアタッシュケースをそれぞれ出すのだった。

 

 

 

 

 校門でウマ娘がすさまじいスピードで走ってベビーカーを助けたという情報が学校中に広まるのは想像に難くない、のでアタッシュケースを持ったウマ娘たちは須藤と教師の協力を得て裏口からもう一度校舎内に侵入することに成功した。今回学校からもし来ていただけるなら文化祭に一つ花を添えて頂けないかという話を男が受けたので、ウマ娘たちはステージに立つことになっている。

 

 ステージ衣装に着替えるため、人通りも少なく体育館にもつながっている廊下に位置している被服室を更衣室として使ってほしい、という話を予めされていたので5人はそのまま被服室に向かい、引き戸を開けた。

 

 「あれ?海夢っちたちじゃん。おっかしいなー」

 

 「はい、先生方の話ではここで合ってるはずなんですけど……」

 

 「うわ、またウマ娘に会えた!ってあれ?この教室使う感じなん?」

 

 ドアを開けて闖入してきたウマ娘たちに反応した男子生徒、どうやら海夢と新菜のコスプレに興味津々なようである程度着替えた海夢とその前に新菜が座っており、これからメイクをする様子だ。そんなところでウマ娘たちが入ってきたものだから集中が切れたんじゃないかとアグネスデジタルは顔を青くしたが、それ以上に新菜の顔が青いので思わず話しかけてしまう。

 

 「あのー?五条さん、どうかされましたか?」

 

 「その……もしかしてこの教室、使われるんですか?」

 

 「ええまあ、はい。学校側からここで着替えをしてくれというお話でして。あ!でもそのまま続けてくださっても大丈夫ですよ。あたしたちは先にメイクから初めて海夢さんのコスプレが終わってから着替えればいいだけなので」

 

 「ん、とりあえず始めちゃおうか。ごめんね騒がしくして」

 

 「いえ……」

 

 青い顔をしたままの新菜、彼の頭の中では集中してメイクを施したかったので無人のこの教室を選んだのだが、クラスメイトが興味を示し集まってきて尚且つここが使われる予定の教室で会ったことのダブルパンチで集中できずにふらふらの状態になっている。そして、ミスコンの時間も迫ってきている焦りが彼の視野を狭くしていた。

 

 「はい、五条君深呼吸」

 

 「えっあの……パーマーさん……?」

 

 「ちょっとだけお節介。まず一つ、私たちもここにいる誰も君を邪魔したいわけじゃない。2つ、君が今一番したいことをよく思いだして。3つ、君の目の前にいる人、ちゃんと見て」

 

 空気のよく読めることで定評のあるメジロパーマーが、アタッシュケースを置いて新菜の肩を強めにバン、と叩いた。加減したとはいえウマ娘の力で叩かれた新菜の身体は大きく傾いで、それを何とか元に戻した時新菜はハッとした。そうだ、そうじゃないか。

 

 「ごじょー君、大丈夫?」

 

 期待に答えたい。喜多川さんと、クラスのみんなの。こんなに強烈に一番になりたいと思ったことなんてなかった。その一番がたとえ自分じゃなくてもいい、目の前のこの人を、俺が一番にするんだ。パンっ!と大きく自分の頬をはたいた。そして手拭いを額にきつく巻く。

 

 「大丈夫です。始めましょう」

 

 その顔は、まさに職人のものだった。

 

 

 

 

 『1年5組!喜多川海夢さんです!どーぞーーーー!!!』

 

 「パマちんナイスアシストだったね!新菜っち、マジヤバかったじゃん!」

 

 「んー、本当にお節介だったと思うけどね。私の言葉が無くても、多分五条君はああなってたよ、多分」

 

 「ふおおおおおおっ!海夢さんすごいですね!ほんとに別人のようです!」

 

 「五条さんとてもメイクがお上手でしたね!変身してるみたいでした!」

 

 「んん、よく似合ってるね。立ち姿も男性のものだし、最後まで考えに考えたんだろうな。んー、すごいね」

 

 体育館の2階、キャットウォークにてウマ娘たちはドラマのホストのコスプレをしている海夢を見つめていた。海夢の身を包む衣装は素晴らしいもので、ファッションには一家言あるキングヘイローやカレンチャン、ゴールドシチーが新菜がURAに来た際に見せたものを素直に褒めるほどの完成度が元々あった。当然今海夢が着ている服もまた、今までのミスコンの参加者が着用していたものとは一線を画すものであった。

 

 新菜と海夢のメイクを見届けたウマ娘たちは慣れた手つきで自分たちのメイクを済ませた。あとは着替え、といった段階で新菜たちは察して退出してくれたのでそれも迅速に終わらせ、体育館にすっ飛んできてミスコンを観戦していたのだ。流石に生徒や観客に混ざると本来の趣旨が薄れるので別となったが、海夢は恐らく気づいているのだろう。ちらっとアグネスデジタルの方を見て、気を取り直して受け答えをしている。

 

 「凄い存在感だね、あれを超えるのは難しいかな」

 

 「インパクト凄いですからねえ、というよりもタイムリーですか。放送して間もないですからね、あのドラマ」

 

 「キングが泣いて見てたね、そういえば」

 

 「グラスさんも涙ぐんでましたよ?」

 

 「チケゾーっちは号泣だったじゃん!」

 

 「……それはいつものことだね」

 

 海夢のクラスが一丸となってアピールの手助けをする。海夢が審査員の生徒会長を抱き寄せて、顔を覗き込んで1位を要求した。ダイタクヘリオスはその様子にひゅ~~と口笛を鳴らして盛り上げている。まだそのドラマを見ていないフジキセキは帰ったら見ようか、と心の中のメモ帳に書き込む。そうこうしているうちにミスコンは終了、どうやら海夢が最後だったらしい。

 

 「ん、ポニーちゃんたち。お仕事の時間だよ。ヘリオス、お願いね」

 

 「おっけまる~!久しぶりにうでがなったぜい!」

 

 フジキセキの号令で全員がキャットウォークを降りて舞台裏に移動した。青と白と金の衣装に身を包む5人、スカートスタイルなのがニシノフラワーとアグネスデジタル、パンツスタイルなのがダイタクヘリオスとメジロパーマー、フジキセキだ。腰にある蹄鉄型のアクセを揺らしてスタンバイする。

 

 『なんと!結果発表を前にしてスぺシャルゲストが来てくれました!お願いします!』

 

 「うぇいうぇいうぇいうぇーーーい!!みんな、楽しんでるーーー!?URAからウチらウマ娘!遊びに来たよ!バイブスあげて盛り上がってこーー!」

 

 事情を聞かされてない放送部員のマイクを持ったノリのいい若い教師が合図を出すと軽快なミュージックが流れ出す。曲は「Make debut!」ウイニングライブ専用衣装を煌めかせて登場したウマ娘たちに呆気にとられた高校生たちだが、すぐにわああああっ!と盛り上がって声援を送る。

 

 センターはダイタクヘリオス、彼女の手によって体育館でも響きやすく、乗りやすい形にミックスされた音源に乗せてウマ娘たちが歌う。体育館の袖で海夢が手を振って楽しんでいる。ダイタクヘリオスの視線の先では新菜も、手拍子を入れて盛り上がっているのだった。

 

 ライブ後の結果発表では、海夢が見事1位を獲得し、ダイタクヘリオスに担がれて祝福されたのは、余談である。




 文化祭編終了です!余談ですがこの後ヘリオスが歌い足りないと全員どころか須藤君も巻き込んでカラオケに転がり込んで海夢たちと遭遇してデュエットしたりしてます。

 次回はまたネタ募集から何か書ければなと思います。ネタもまだ募集中ですのでよかったらどうぞ
 
 https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=291652&uid=88429

K2編少し続けていい?

  • ええで
  • あかん
  • 掲示板やれ

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