【美少女】なんか知らんのだが部屋にウマ耳ウマ尻尾の美少女が現れたんやが【降臨】   作:カフェイン中毒

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 医療漫画「k2」とのクロスオーバーです。掲示板はありません


スーパードクターとウマ娘

 「健康診断とワクチン接種を行います」

 

 「ワケワカンナイヨー!ホラミテボクラケンコウダモン!」

 

 朝のミーティングにて一堂に会したウマ娘たちの前、本日のトレーニングについて説明し終えた男は連絡事項としてそう発表した。その瞬間、半狂乱になったトウカイテイオーがすさまじい勢いで男の顔面にセミのように抱き着いた。鳴ってはいけない音が首からした男は根性で踏みとどまる。ちなみに他のウマ娘の反応であるが大多数は青ざめ、ナリタブライアンはドアを開けて逃げようとしたのを最愛の姉に捕まり、エアグルーヴは若干冷や汗をかいており、尻尾がうなだれている。そして我らが生徒会長シンボリルドルフに至っては……涙目で耳が垂れていた。大丈夫か生徒会。

 

 ほぼ全員の頭に絶不調と付きそうな様子を見た男は苦手なんだろうなあ、と思いつつ流石にこれは譲れないと決意している。何せ今まで、男の眼力によりウマ娘たちは怪我のけの字もなく、病気のびの字ですら欠片も見なかったのだが、いつまでもこれを放っておくわけにはいかないのが男である。ウマ娘たちの健康のためならば、いくら嫌われようと、たとえ手足をもがれようと何でもする所存なのだ。その覚悟は推して知るべし。

 

 そう、つまり……ウマ娘たちのスポーツドクター、あるいはかかりつけ医を作らなくてはならない。この状況が何時までも続くほど楽観視は出来ないのだ、だが……ウマ娘を診察できる人間などこの世界にはいない。アグネスタキオンというジョーカーがいないでもないが流石にそれは可哀想、なので男は最終手段を切ることにした。

 

 執務室にて男は細くて四角いケースを取り出す。男の祖父の遺品の一つである。中に入っているのは医療用メス、まるで何でも斬り裂けそうな鋭さを何年たっても保ち続けるそれの柄には「K」のイニシャルと11の番号が割り振られていた。

 

 

 

 「わー、凄いのどかなところですね!」

 

 「ねー、こういう日はお昼寝でもしたいなあ」

 

 「ノゥ!こういう日こそB!B!Q!デース!」

 

 「私は断然実験だね。ところでモルモット君、今ここでこれを飲んでみてくれないかな?」

 

 「却下。というか毎日やってるんだよタキオンの実験は。今光ったら困るの」

 

 数日後、男の姿は隣村であるT村にあった。自家用車がちょうどオーバーホールが必要になった挙句、代車はすべて出払っていたせいで車移動が出来なかったので、バスだ。隣村と言っても山中にあるT村と呼ばれる場所は、男が住む町からはバス一本の距離にかかわらずかなり隔絶された環境と言っていいだろう。

 

 男が連れているのはニシノフラワー、セイウンスカイ、タイキシャトル、アグネスタキオンの4人である。なぜこの4人なのかと言えば……医者に苦手意識がないからだ。今から行く村には凄腕の医師がいると祖父から聞かされていた男は、メスを頼りにしてここにやってきたのである。つまり、その医者に健康診断とワクチン接種、そしてかかりつけ医になってもらえないかと頼んでみようとのことである。

 

 立春の陽気に誘われたポカポカ陽気、バスを降りた男たちを待ち受けていたのはのどかな農村、と言ったところ。自然が好きなニシノフラワーやセイウンスカイは目を細めて喜んでいる。ちなみに全員帽子を被り、尻尾を隠している。なぜかと言えば話題になったウマ娘でも、種族が違うのだ。この村は閉鎖的であると祖父から聞いている、耳と尻尾が生えた人型生物が闊歩しようものならそれは凄い騒ぎになってしまう。

 

 「うーん、携帯の電波が弱いな」

 

 「ま、地図はバス停から持ってきてるわけだし、ゆっくり行きましょ、トレーナーさん」

 

 キャスケット帽をかぶったセイウンスカイが麦わら帽子を被ったワンピース姿のニシノフラワーをぽふぽふと撫でながら男にそう提案する。いかにもアメリカンなホットパンツにTシャツのタイキシャトルはカウボーイハットが決まっているし、アグネスタキオンに至っては普通の私服に勝手にエアシャカールから拝借したというニット帽を被っている。被れれば何でもよかったのかもしれない。

 

 「あんれまあ別嬪が何人も、あんだら……こんな僻地に何の用だがね?」

 

 「こんにちは、すいません……ここらに診療所があると聞いてきたのですが……このメスの持ち主を知りませんか?」

 

 「こんれは……あんだら、K先生の患者かね?」

 

 「いえ、実はこれは祖父の形見でして……腕のいいお医者様だと聞いております。少々、お願いしたいことがあって探しているのですが……」

 

 農道を歩いていく男たちに声をかけたのは年配の老婆だ。どうやら畑仕事の最中らしく、手には鎌を持っている。鈍った日本語は男にとっては聞き馴染のあるもので、ウマ娘たちもたまに方言が出るスペシャルウィークや方言丸出しのユキノビジン、タマモクロスを思い出しているらしい。老婆は男が取り出したメスを見るとうんうん、と頷いて地図を持っているか、と聞いた。男は停留所にあった紙の村の地図を広げると老婆はここだべ、と地図のある一点を指さす。男はそこにボールペンで丸を付けて礼を言った。

 

 「気にせんでええ、K先生は優しい人だぁ。きっと力になってくれる、なんもねえとこだが、ゆっくりしていきな」

 

 「ええ、ありがとうございました」

 

 「チヨさあああん!まずい!地滑りだ!タカのやつが巻き込まれた!」

 

 「!?K先生は!?」

 

 「もう来てる!だけど……」

 

 慌ててきた老人が老婆に捲し立てている。どうやら何かあったらしい、地滑りということは自然災害、救助要因が必要なはずだ。男たちは目を見合わせて頷きあう。ウマ娘の馬力なら重い岩でもどかすことができるだろう、こんな山奥の村だ、救急車が来るまで時間がかかる。急がないといけない。

 

 「すいません!事故か何かあったなら人手がいるでしょう!?お手伝いします!」

 

 「そっか!こっちだ!でも、間に合わねぇかもしれねえ……」

 

 男たちが移動した先には、確かに地滑りがあったらしく家一軒が土砂に飲み込まれていた。村民が集まっている中、ひときわ目立つ白衣の男が二人、跪いて何かをしている。急いで男たちが近づくとそこには……家の大黒柱らしい太い丸太に押しつぶされている老人の姿があった。奇跡的なバランスで柱の隙間に入っているようで、手をこまねいているらしい。

 

 「すいません、何がありましたか!?」

 

 「……君は?」

 

 「この村の医師に用があったものです。ですけど今はその人を助けましょう。引っ張り出せないのですか?」

 

 「難しいんです。柱に腰を真横から潰されていて、さらには足もねじる様に何かに潰されてるらしく……引っ張れないのです。柱も両端に重りがあるせいで人力じゃ持ち上げることもできず……このままじゃ出血多量で……」

 

 「内臓破裂も起こしている可能性がある、一刻も早い救助が必要だが……重機が今、ばらしていて動かないのだ」

 

 なんてことだ、と男とウマ娘の顔が青くなる。まさかこんな現場に遭遇するなんて……と男が考えこもうとしたときに、クイと袖がひかれる。視線を向けるとニシノフラワーが男の袖を引っ張っている。もうこの際ウマ娘がどうとかそういうのは言ってられないだろう。男は頷いて白衣を着た30代半ばほどの医師に話しかける。

 

 「何とかできます、邪魔しないでもらえるならば……柱をどけましょう」

 

 「どうする気だ」

 

 「この子たちがどけます。黙って見ててください」

 

 「バカいうでねえ!こんな重い柱がそんな細い女、しかも子供にどかせられるわけねえべ!邪魔するんだったらけえれ!」

 

 「……フラワー、潜って背中で持ち上げてくれ。タイキはこの人の隣で、タキオンも。スカイはフラワーを手伝って」

 

 「はいっ!」

 

 怒る老人を無視して男はウマ娘たちに指示を出す。小柄なニシノフラワーが挟まれてる老人の隣に潜り込む、セイウンスカイとタイキシャトル、アグネスタキオンも黙ってスタンバイをする。医師によく似た白衣の青年が危ないからやめてください、というのを医師が止めた、その目は救助者だけを見ている。男もウマ娘たちに加わりせーのっ!と合図を出す。

 

 「んんっ……!」

 

 ニシノフラワーがくぐもった声をあげて腕立て伏せの態勢で柱に力をかけていくとぐぐ、と柱が持ち上がっていった。同時に浮いているところに手をかけた男と3人が気合を込めて柱を持ち上げる。すると重い音を立てて柱が持ち上がる。村民たちがあり得ないものを見るような顔でウマ娘たちを見る中、医師だけは冷静に大きくあいた隙間に身をくぐらせて老人の足を挟んでいる木材の隙間に手を突っ込んでこじ開け、足を引き抜くとそのまま老人を引きずり出した。

 

 「救助成功!」

 

 「スカイ!フラワー引っ張り出せ!ゆっくりおろすぞ!」

 

 「了解!」

 

 「ど、どかしちまった……!」

 

 「ば、ばかな……!?」

 

 セイウンスカイがすぐさまニシノフラワーを引っ張って柱の下からだし、それを確認した男たちはゆっくりと柱を下ろして地面に置いた。ぱんぱん、とセイウンスカイがニシノフラワーの盛大に汚れてしまったワンピースをはたき、ハンカチで顔を拭ってやってる。全員が無事なことを男が確認していると。

 

 「一也!すぐにオペがいる!診療所に運ぶぞ!」

 

 「は、はい!」

 

 「車まわしてきただ!はよ乗ってけれ!」

 

 「すまない!貴方たち、あとで診療所に来て欲しい!そこで改めて礼を!」

 

 「いえ、とにかく助けてあげてください!」

 

 甲高いエンジン音がして、軽トラックが現場に横付けされる。運転席から顔をだした壮年の男に促されて、医師と青年は早口に何かの処置をしながら荷台に患者と一緒に乗り、去っていった。残った男たちは村民からの奇異の視線にいたたまれなくなって、その場を立ち去ろうとする。

 

 「待ちな!礼をまだ言ってねえ。タカを助けてくれてありがとう、診療所に行くならあとで車出す、一番頑張ったその小さい子が可愛そうだ、銭湯貸切るから風呂入ってけ」

 

 「んだ!別嬪が汚れちまったらもったいねえ!」

 

 「すいません、有難く頂きます……!フラワー、ごめんな。お気に入りだったんだろ」

 

 「いえ、命には代えられませんから。助かってほしいです……!」

 

 「心配いらねえ、K先生なら助けてくれる、絶対だ」

 

 どうやらあの厳しそうな医師はこの村に置いてかなりの信頼を勝ち取っているらしい。確かにウマ娘という規格外の存在の力を前にして完璧に冷静さを保ち救助と応急処置を続ける……並みの神経ではない。探している医師というのは彼だろうか?だが、それにしては年齢が合わない、祖父が残したメスは20年近く前のもの、あの医師はどう見ても40代は超えてない、辻褄が合わないのだ。

 

 

 

 

 

 「ここが診療所だべ。すっだら、オラはここで」

 

 「すみません、服まで頂いて……」

 

 「きにするでねえ!お古で悪いが、家に帰ったら雑巾にでもしてくれればええ」

 

 「いえ!ちゃんと大事に着ます!とっても気に入りました」

 

 「そっか、そっか。んじゃあ、K先生によろしくな」

 

 不死の湯、という銭湯にウマ娘4人を放り込み、さっぱりしたウマ娘たちが上がってくる。そしてなんと、村民の一人から今回の救助お礼だと言われかなり質のいい花柄の着物を貰ったニシノフラワーが帽子を被ったままくるくると着物を確認するように回っている。何でも孫娘が使っていたものの一つらしい。貰っていいのか、と尋ねると貰ってくれ、とのことなので有難く頂くことにした。まだまだ幼いニシノフラワーが笑顔でお礼を言うと村民の男はデレデレと顔を崩して会釈、去っていった。

 

 そこで診療所に案内してもらうと、年季の入った建物の横にやたらと近代的でかなり新しい建物が併設されている建物に案内された、どうやらこれが診療所らしい、男は落ち着いてトントントン、とドアをノックするとは~いと女性の声がしてドアが開かれる。ドアを開いたのは眼鏡をかけた小柄な女性だ。

 

 「どうされました?」

 

 「お初にお目にかかります。実はこの村のお医者様に用事がありまして……現在オペの最中だと思いますけど、良ければ待たせてもらえませんか?」

 

 「ええ、構いませんが……私宮坂詩織といいます。研修医です」

 

 「ありがとうございます」

 

 「お茶をお持ちしますね」

 

 診療所の中はかなり綺麗に整頓されていて、清潔感があった。木の椅子に腰かけさせてもらった男たちは、何するでもなく待つことにする。何せあんな大事故の手術だ、何時間もかかって当然、すでに風呂と着替えなどで2時間近く経過しているが、そんなすぐ終わる怪我でもないだろう。そう男たちが考えていると診療所の奥の扉が開いた、するとそこからさっきの医師と青年が手術着を脱ぎながら出てくる。

 

 「先生!容体は!?」

 

 「問題ない。事故発生からすぐに救助が間に合ったおかげで出血量は想定よりも多くなかった。骨盤が骨折しているが、内臓の破裂はなかった。足は整形がいるだろうが……リハビリで動かせるようになる」

 

 「よかったぁ……あの、お客様が」

 

 「ああ、分かっている。先ほどは救助に協力していただいて非常に助かった。一つの命を助けることができた、貴方たちのおかげだ」

 

 「いえ、この子たちが頑張ってくれたおかげです」

 

 「そう、そのことだ。あの柱は人間が動かせる類のものではない。彼女らはなんだ?そして君は何者だ?」

 

 嘘をつくことを許さぬ、という男の鋭い瞳が男たちを貫いた。

 




 製作の経緯
 そういえば健康診断ネタやってねえ→k2が無料だったので読む→余りの聖人の多さに脳を焼かれる→勝手に手が動く→完成

 次の話で終わります。でもドクターKいればウマ娘が怪我してもなんとかしてくれそう。ブラックジャック並みの安心感

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