【美少女】なんか知らんのだが部屋にウマ耳ウマ尻尾の美少女が現れたんやが【降臨】   作:カフェイン中毒

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掴めぬ影、巡る思い、秋の木漏れ日

1:夢の続きが見たいファン

秋の天皇賞が近いですな

 

2:夢の続きが見たいファン

ですなぁ

 

3:夢の続きが見たいファン

そしてレジェンドレースも近いですな

 

4:夢の続きが見たいファン

んだなあ。セイウンスカイがばっちり菊花賞を決めてくれたおかげで大外縛りが消えたんだよな。

 

5:夢の続きが見たいファン

それよ。これでウマ娘の本気と競走馬の追い比べができるわけよ

 

6:夢の続きが見たいファン

ダスカの秋華賞もイッチバーンで終わってたのにウマ娘に勝てる馬いるんけ?

 

7:夢の続きが見たいファン

わからん……

 

8:夢の続きが見たいファン

ぶっちぎりで勝ってるからな今のところ

 

9:夢の続きが見たいファン

でもイッチが先行か逃げウマ娘ばっかりでレジェンドレース組んでるのって差し追い込みが危ないからなんだよな?

 

10:夢の続きが見たいファン

せやな。でも先行でもある程度大丈夫なのはライスたんとボーノたんとダスカァァァのレースで証明されたし

 

11:夢の続きが見たいファン

気持ち悪い呼び方をするな

 

12:夢の続きが見たいファン

ヴォエッ!

 

13:夢の続きが見たいファン

ウマ娘を穢すなこのスカポンタン

 

14:夢の続きが見たいファン

当たり強くない?

 

15:夢の続きが見たいファン

いやだってその……次の秋天って俺にとっては特別でして……現場にいたんすよ俺

 

16:夢の続きが見たいファン

競走馬にドラマに悲劇はつきもの、よくあることなんだけどさぁ……

 

17:夢の続きが見たいファン

さすがにあれは残るって。ライスシャワーの時もそうだったから

 

18:夢の続きが見たいファン

わかるマン

 

19:夢の続きが見たいファン

いやマジでそう。ススズがレジェンドレース出るってなった時、ライスシャワー出走発表の時並みに心臓がきゅってなった

 

20:夢の続きが見たいファン

正直ライスシャワーを宝塚記念に特別出走させるって言ったときイッチ正気か?って思った

 

21:夢の続きが見たいファン

関係者の中でもまだいろいろ整理済んでないかもしれない問題だもんなあ

 

22:夢の続きが見たいファン

かといって俺らは一ファンだしそもそも

 

23:夢の続きが見たいファン

ライスシャワー自身が出たいっていえばそれは止められないわけで

 

24:夢の続きが見たいファン

そういわれたらあのイッチが止められるはずもなく

 

25:夢の続きが見たいファン

ライスシャワーはあの淀の坂を駆け下りてくれたけど、サイレンススズカはどうなるか

 

26:夢の続きが見たいファン

杞憂民でありたい。心配だけで終わってほしい。無限にそう思う。

 

27:他称トレーナー

ワイもそう、いつもそう、全面的にそう

 

28:夢の続きが見たいファン

お前もかイッチ

 

29:夢の続きが見たいファン

ブルータス風に言うな

 

30:夢の続きが見たいファン

どこぞの魔人みたいな言い方で登場するな

 

31:夢の続きが見たいファン

なーイッチよぅ。マジでやるん?ほんとにやるん?大丈夫なん?

 

32:夢の続きが見たいファン

人間の悪いところ=前例があると怖気づくところ

 

33:夢の続きが見たいファン

しかたないね

 

34:他称トレーナー

正直その類の心配とか恐怖って俺があの子たちをレースに出すたびに思ってるんだけどさ

 

35:夢の続きが見たいファン

まあ、そうだよな。むしろそれくらいかそれ以上じゃないとあれだよな

 

36:夢の続きが見たいファン

全国のトレーナーあるいは師匠はきっとみんなそう

 

37:夢の続きが見たいファン

とりあえずイッチが楽天的じゃなくて安心した

 

38:夢の続きが見たいファン

このイッチがウマ娘のレースで楽天的だったことなくない?

 

39:夢の続きが見たいファン

だいたい最悪以上のケース想定して動いてる気がする

 

40:他称トレーナー

だって何かあったらやばいし

 

41:夢の続きが見たいファン

ド正論。かといって負けるって思ってるわけじゃないんだよなこいつ

 

42:他称トレーナー

あの子たちが負ける時ってウマ娘同士かそれこそ不測の事態か俺がやべえって思う馬……例えるなら今レジェンドが乗ってる馬とかだし

 

43:夢の続きが見たいファン

ああゴングドラム君ですね

 

44:夢の続きが見たいファン

皐月賞前に覚醒してくれてればなあ

 

45:夢の続きが見たいファン

N億回言われてるからもうええやろ

 

46:夢の続きが見たいファン

んでイッチ今日はどうしたんじゃ。もうすぐお前秋天のレジェンドレースやろがい

 

47:他称トレーナー

それよ、それなの、それなんです

 

48:夢の続きが見たいファン

何こいつ3段活用はまってんの?やかましゃあなので本題から入ってどうぞ

 

49:他称トレーナー

スズカの秋天のレジェンドレース、日本の象徴が見に来ることになってるんですけどどうしたらいいんですか

 

50:夢の続きが見たいファン

は?

 

51:夢の続きが見たいファン

いやちょっとまてまてまて

 

52:夢の続きが見たいファン

そこはもっとこう段階があるじゃん?国会議員とかからスタートじゃないせめて?

 

53:夢の続きが見たいファン

いやその確かに天皇賞だけども、そうだけども!

 

54:夢の続きが見たいファン

なにがどうしてそうなる

 

55:夢の続きが見たいファン

うわマジじゃん。宮内庁が発表しとるやんけ

 

56:夢の続きが見たいファン

ええ……

 

57:夢の続きが見たいファン

イッチ何でそうなったかkwsk

 

58:他称トレーナー

では説明に入らせてもらうんですけど。もともとレースの名前が天皇賞じゃない?だもんでレジェンドレースじゃないほう、つまりはいつものレースだと陛下がご観覧することもあるやん?

 

59:夢の続きが見たいファン

せやな

 

60:夢の続きが見たいファン

ここ最近はなかったよなー

 

61:夢の続きが見たいファン

しゃーねーべお忙しいんやから。でも見るなら確かにレジェンドレースじゃなくて競走馬の方みるべきよな?

 

62:他称トレーナー

いや競走馬の方も見るらしいよ今年は。春天も見に来るって。なんでもここ最近の競馬の盛り上がりを見て経済が好転し始めてるじゃん?なんか知らんけど持ってる日本株の価値爆上がりしてるし円の価値も上がってるし

 

63:夢の続きが見たいファン

そりゃおめえ……ウマ娘に重課金するやつがあふれ出してるし

 

64:夢の続きが見たいファン

あとお前がン億円規模で金動かしてるし、グッズ展開とかほうぼうの企業といろいろやってるから需要と供給がいい具合に釣り合ってきてるんだろ

 

65:他称トレーナー

うんそう。その起爆剤となったウマ娘をきちんと見ておきたいってことらしい。これ言ったらあれだけどウマ娘、今無国籍状態だから。上の方の判断で逮捕やらなんやらは止まってるみたいだけど。

 

66:他称トレーナー

それで、一応陛下は日本の象徴だから……ウマ娘たちを認めるか否かってところじゃないかな。いやそれは俺の想像だけど。無論憲法で陛下は何の権利もないけどさ、でも日本国民に害をなすかどうかは見極めたいんだと思う。

 

67:夢の続きが見たいファン

なるほどなあ……ウマ娘を理由にして外国にあれこれ言われても困るもんなあ。先んじて動いておくわけか。

 

68:夢の続きが見たいファン

イッチ的には上の方からお話とか来てないん?

 

69:他称トレーナー

そらきてるよ。何の話かなんて言えないけど。もちろん政治家の人たちもみんな仕事してる。だけど、前例がないから慎重になってる。異世界の人間じゃない生き物。だけど異世界じゃ人権を保持していて人間と同格の扱いを受けている生き物だぜ?

 

70:夢の続きが見たいファン

難しい話だあ。だから、象徴が見に行くのか。異世界の代表に日本の代表ってかたちでか

 

71:夢の続きが見たいファン

俺たちはウマ娘が何か悪いことをするなんざ微塵も思えないが、それを考えるのが上の仕事だもんな。つらいよなあ

 

72:他称トレーナー

ちなみに俺担当の政府職員は第一声は必ず謝罪から入るゾ。むしろ謝るべきなのはこっちだけど

 

73:夢の続きが見たいファン

まあいい意味でとはいえ日本かき回してるしな

 

74:夢の続きが見たいファン

ねえ知ってる?この前の小学生なりたいものランキングの8位にジョッキーもしくは厩務員はいったんだぜ?

 

75:夢の続きが見たいファン

圏外からの大躍進で圏

 

76:他称トレーナー

とまあそれが陛下が来る理由かな。推測7割だけど。ちなみにだがこちらをどうぞ。

【男にぎゅぅっと抱き着くサイレンススズカ。尻尾も足に絡めている】

 

77:夢の続きが見たいファン

んぎゃわいい

 

78:夢の続きが見たいファン

唐突な全体攻撃やめろ

 

79:夢の続きが見たいファン

なんですかこれ

 

80:他称トレーナー

スズカが秋天走りたいって言ったのを許可したらこうなった。とてもかわいいんだが、この後30分ほどこのままで実に困ったのを覚えている

 

81:夢の続きが見たいファン

なんだぁ……テメェ……

 

82:夢の続きが見たいファン

一般ファン、キレた!

 

83:夢の続きが見たいファン

なんで急転直下で喧嘩売りに来たんだこいつ

 

84:夢の続きが見たいファン

おう言い値で買ってやるよ表でろゴルァ!

 

85:他称トレーナー

シリアスな話が続くとかわいいものを見せてかわいい空気にしたくて……ほらほら

【スペシャルウィークの口元をハンカチで拭うサイレンススズカ】

【マチカネフクキタルの周りをぐるぐる左回りに回るサイレンススズカ】

【一陣の風になったサイレンススズカ】

 

86:夢の続きが見たいファン

超許した

 

87:夢の続きが見たいファン

うーんかわいい

 

88:夢の続きが見たいファン

最後のだけブレッブレでわらう。そんだけ速いんか。

 

89:夢の続きが見たいファン

スぺちゃん両手にサンドイッチ掴んでるの可愛すぎる

 

90:夢の続きが見たいファン

フクちゃんが困惑してるの珍しいな。いつもだったらススズが突っ込む側なのに

 

91:他称トレーナー

で、秋天のことなんだけど。レジェンドレースのほうね

 

92:夢の続きが見たいファン

はい

 

93:夢の続きが見たいファン

落差よ落差。落としてあげて落としてんじゃないよ

 

94:他称トレーナー

当然だけど勝ちに行く算段だし、スズカ本人もやる気ものすごいことになってる。お前らの心配が的中することはないようにするから

 

95:夢の続きが見たいファン

おう、俺らにも応援させろや

 

96:夢の続きが見たいファン

応援しかできないけどな、やれることはやらせてほしいんや

 

97:夢の続きが見たいファン

応援なら任せろーバリバリ!

 

98:夢の続きが見たいファン

ヤメロ

 

99:夢の続きが見たいファン

まあ、いろいろひっくるめて楽しみだよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すーっ、ふー、とサイレンススズカは静かに深呼吸をする。レジェンドレース「天皇賞秋」……その控室の中にて彼女は精神を研ぎ澄ましていた。いつもは物静かで控えめなサイレンススズカは、事レースというより走るという行為自体になると人が変わる。

 

 いつまでもいつまでも、あの景色を……前に誰もいない朝靄のように曖昧で、春風のように心地よいあの景色を、先頭の一番を誰にも譲りたくないから、私がそれを独占したいからと。だからレースでは常に逃げる、それが彼女のレースだ。レースコントロールじゃない。そんな難しいことは考えない。自らの両脚の赴くままに走るのだ。

 

「そういえば、トレーナーさんが今日は天皇陛下と皇后陛下がいらっしゃってると言ってたような」

 

 白と緑の勝負服で椅子に座っていたサイレンススズカはハタと自らの片翼を担うトレーナーのことを思い出して、彼が言っていたことを思い出し……レースには関係のないことだったとそれを頭の中から追い出した。

 

「そう、そうだわ……誰が見てても関係ない。トレーナーさんとあの人が見てくれてれば大丈夫」

 

「スズカ、用意終わってるか?」

 

「はい、トレーナーさん。あ、豊騎さんも一緒だったんですね」

 

「うん、やっぱりこのレースで君が走るとなるとどうしても、ね。代表さんに無理を通させてもらったんだ」

 

「……そう、ですね」

 

 苦笑いをする豊騎を見てスズカはやってしまったわと顔に出さずに思考した。彼女自身、よく見る夢がある。アグネスタキオン曰くスズカたちウマ娘が受け継いだウマソウルが見せるウマソウル自身の体験。前世の記憶……らしいがスズカ自身はよく理解していない。

 

 それでも、それでもだ。その夢の中では一度たりとも天皇賞秋を超えたことはなかった。必ずレース中に、脚が壊れる。乗せていた豊騎を放り出さないことだけに必死になってレースどころじゃなくなり……ぷつんと途切れる。

 

 今回、レジェンドレースと題されたいくつかのレース、競走馬との対決に際して天皇賞秋があることを知った瞬間にサイレンススズカは必ず出場したいとトレーナーに直訴した。例え選抜レースが起こされようともすべてを抜き去る覚悟で。

 

 自らのウマソウルを持っていた競走馬の悲劇を改めて知った。夢は現実だったのだと、打ちのめされていた関係者の想いを知った、背負いたいと思った。人を背負わぬウマ娘が背負うのは、誰かの夢であることを彼女はよくよく知っているから。

 

 行こうか、と差し出されたトレーナーの手を取ってスズカは立ち上がる。蹄鉄シューズの調子も、体の調子も最高潮だ。まるで、あの夢のように。ただ一つ、夢と違うのは……サイレンススズカはウマ娘であるということだ。男が担当した他のウマ娘と同じように、最高最速の脚をもつトレーナーの誇りそのものであるということ。それはすなわち、負ける気なぞ最初から皆無ということである。

 

 

『やってまいりました、あのころの夢、あのころの熱狂を思い出しますレジェンドレース「天皇賞秋」。今を時めく優駿が伝説に挑みます。そして私の夢、あなたの夢を背負うのは挑戦者かはたまたウマ娘か。出走馬を紹介いたします。まずは1枠1番、ウマ娘サイレンススズカ』

 

 行ってきなさいと送り出されたサイレンススズカは最後に豊騎の手を握って、トレーナーに微笑んでから歓声を受けながらゲートに収まる。あの夢と、ファンたちにとってはあの日の枠順と同じ。はじめて大外の縛りから解き放たれたウマ娘のレースは、一番内側からになった。

 

 紹介されていく16頭の競走馬たち。あの夢の時は確か12頭で、なぜか隣にメジロブライトがいたんだったかなと思い出しているぽややんとしたサイレンススズカを隣の騎手が見下ろしていた。彼から見えるサイレンススズカは、ただの女の子だ。ただの女の子なのに、オーラが、立ち姿が、纏う空気がなぜか、重圧を発しているように思える。

 

 ちらり、とサイレンススズカはゲートから見える観覧席を見る。トレーナーと豊騎、ウマ娘たちが応援している席のさらに上に……穏やかな顔をした老人と貴婦人が連れ立っていた。あの方たちがそうなのね。とサイレンススズカは微笑んでから前を向く。

 

 同時に競走馬の紹介が終わり、サイレンススズカの意識が切り替わる。深く深く沈みこむように入り込んでいく。周囲の音は消え去り、声援はなく、実況も遠く、見えるのは閉ざされたゲート。コンセントレーション、今この身はただ走ること、あの景色にたどり着くために。

 

 バカン!と音をたてる前に、ゲートが動き出す瞬間にサイレンススズカはロケットスタートを切った。大外に行く必要はない、一番内側で一番前に。他の馬がスタートした瞬間にはもうすでに2馬身の差がサイレンススズカとの間に開いていた。

 

『逃げますサイレンススズカ!やはり逃げる!あのレースのように!2番手は―――』

 

 見えない、まだ見えない。あの景色はどこに、まだ先に―――――。1コーナーを曲がりさらには2コーナーまで一瞬で到達する。後ろは見ない、見えるのは前のみ。見たい、見たい、見たい!あの夢の先に、あのぷつんと途切れた暗闇の先に!あの人を連れて行く!

 

『1番手サイレンススズカ後続まで9馬身です!圧倒的!そうです!これが異次元の逃亡者!長い逃亡から今戻ってきています!後続も上がってきています!』

 

 3コーナー、ここだ。あの夢では、越えられなかった曲がり角。でも今は違う、見ていてほしいサイレンススズカと自分の胸の内に震える魂、ウマソウルに呼びかける。あなたにもいた、代え難い相棒が。私にもいるんです、あなたにおけるあの人のように、すべてをゆだねられる人が―――!!

 

 胸の内から湧き上がる鼓動、瞬間視界が開ける。3コーナーを超えて、夢を超えて見えた。先頭のあの景色、寸分たがわぬあの夢と同じ景色が。このまま――――っ!!

 

 見えた景色に喜色ばんだサイレンススズカの顔が曇る。後ろから抜かれた、そんなまさか……!後続はもっと後ろにいるはず、誰だ、私の景色を犯したものは……!

 

「わ、たし……?」

 

 果たして一歩先を走っている競走馬を瞬時に彼女は理解した。自分だ、自分が走っている。呼び起されたウマソウルが形を持ったのか、彼女にはわからなかった。そしてその背には、あの日と同じ勝負服を着たあの人がいた。

 

「負けるかぁぁぁぁーーーっ!!!!」

 

 それを理解した瞬間サイレンススズカは柄にもなく叫んだ。自分が連れてきたんだ、あのサイレンススズカは。ずっと夢を見ていたのは彼がこの3コーナーより先を走りたかったから。それが果たされたから彼は、自分にしか見えない彼らが走り出したんだ。

 

 彼の心残りを叶えられたのは嬉しい。だけど、それとこれとは別問題だ。もはや後ろの競走馬たちよりもサイレンススズカの敵意は前を走る前の自分に向けられた。譲らない、譲るわけにはいかない。あの人が誇るウマ娘であるために、あの人に勝利を報告するために。

 

 サイレンススズカの瞳が燃える。熱く鼓動する心臓に破裂しそうな肺、砕けそうな脚、しびれる手。それらを総動員して領域に入る。加速する、ウマ娘の限界の先へ。

 

 彼女にしか見えない彼と並ぶ、横目同士が交錯する、込められる感情は同じだ。さすがは自分、されど勝つのはオレ()だと。観客にも見えた、サイレンススズカと追い比べをしているあの馬は……!

 

「スズカ……そこにいるのか……!」

 

「スズカっ!負けるな!」

 

 客席にいる二人の男は同じように呼びかける。ただ、呼びかける対象は別々だった。聞こえるわけもない声援は、しかし確かに届いている。魂の追い比べはデッドヒートに変わる。それでも、それでも……!

 

『ゴーーール!走り切りましたサイレンススズカ!異次元より返ってきた逃亡者に大きな拍手を!栄光の日曜日です!』

 

「わたしの……勝ち……!」

 

 息も絶え絶えなサイレンススズカが減速して大外のラチにもたれかかり後ろを振り向く。その瞬間、ブルルッと鼻を鳴らす音がして、振り向いた先にいるのは遅れてゴールしていく馬たちだけだった。

 

「ふふ、ふふふ……逃げられちゃった。ああ、でも……気持ちよかった」

 

 胸の中央を抑えて笑い声を漏らす、あの景色は見えなかった。だけど、あの追い比べはそれに並ぶくらい気持ちがよかった。体力なんて一滴も残ってないけど、出し切ったときはいつもこう。ああ、そうだ。そうしなきゃ。

 

 サイレンススズカは右手を天に伸ばす。一本ではなく二本、Vサインだ。一本は自分に、もう一本は胸の内の彼に。駆け寄ってくるトレーナーと豊騎にも同じくサインを送る。集中が途切れると聞こえていなかった大歓声が耳を貫いて思わずサイレンススズカは首をすくめてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

639:夢の続きが見たいファン

しんだ

 

640:夢の続きが見たいファン

もうむり

 

641:夢の続きが見たいファン

超えたなあ、3コーナー

 

642:夢の続きが見たいファン

というか、途中で見えたよな?

 

643:夢の続きが見たいファン

何が?俺なんも見えんかったんだけど。ちな中継民

 

644:夢の続きが見たいファン

ワイ現地民、見えた。サイレンススズカ号が走ってた

 

645:夢の続きが見たいファン

同じく、隣も実況も言及してるから現地に行ったやつは見えたのかも

 

646:夢の続きが見たいファン

なんでもいいよ、帰ってきたんだな。帰ってこれたんだなっていうのでもう十分よ

 

647:夢の続きが見たいファン

胸が苦しいわ。ライスシャワーのレース見た時と同じだ。

 

648:夢の続きが見たいファン

沈黙から栄光になったね日曜日……!

 

649:夢の続きが見たいファン

ファッ!?陛下が下りてきた!?

 

650:夢の続きが見たいファン

え。まじ?

 

651:夢の続きが見たいファン

あわててイッチが頭下げてるwwwそりゃそうだ

 

652:夢の続きが見たいファン

いいお方なのははみんな知ってるからなあ

 

653:夢の続きが見たいファン

何話してるんだろ

 

654:夢の続きが見たいファン

さあ?でもきっと悪いことじゃないだろ

 

655:夢の続きが見たいファン

むしろレースがやばすぎたから陛下も興奮してるのかも

 

656:夢の続きが見たいファン

ありうる

 

657:夢の続きが見たいファン

ススズがイッチの陰にちょこんと隠れてるの可愛い

 

658:夢の続きが見たいファン

しかし10馬身差か……ウマ娘ってやっぱやべーな。というかサイレンススズカやばすぎるだろ最高速どうなってんねん

 

659:夢の続きが見たいファン

3コーナー超えたら加速したの何なんですか

 

660:夢の続きが見たいファン

でもあの追い比べが見れたのは得した気分

 

661:夢の続きが見たいファン

あっ!ススズと陛下が握手した!

 

662:夢の続きが見たいファン

あー、引っ込んじゃった。

 

663:夢の続きが見たいファン

俺は見逃さなかったぞ。ススズが引っ込む瞬間イッチの手に尻尾を巻き付けていたのを……!

 

664:夢の続きが見たいファン

見逃さなかった人!!

 

665:夢の続きが見たいファン

しかしまあ、ウィニングライブやるんけ?

 

666:夢の続きが見たいファン

ススズにそんな余裕ないように思えるな、息も絶え絶えって感じだったし

 

667:新人広報

どうも、社長の代わりに連絡事項を伝えます新人です。

 

668:夢の続きが見たいファン

ようきたなさっさとジャンプしろや

 

669:夢の続きが見たいファン

ちゃりんちゃりんいうとるのお?ええ?

 

670:夢の続きが見たいファン

カツアゲかよ

 

671:新人広報

社長が謁見で現在使い物にならないんだけどとりあえずウイニングライブの話から。スズカちゃんがやるって言ってるのでやります。時間は30分後で曲目は彼女の個人曲になります。

 

672:夢の続きが見たいファン

ライスシャワーの時と同じか!

 

673:夢の続きが見たいファン

そっかーイッチが許可出したってことはケガとかあるわけじゃないんやな!

 

674:夢の続きが見たいファン

えかったえかった……!もう俺3コーナー超えたときから涙が止まらんでな……!

 

675:夢の続きが見たいファン

現地いるんだけどあの追い比べ始まったときからもう吹っ飛んでなんも覚えてない

 

676:夢の続きが見たいファン

現地行けばよかったアアアアア!!!

 

677:夢の続きが見たいファン

なんだろう、マウントとるのやめてもらっていいすか

 

678:夢の続きが見たいファン

どやぁ

 

679:夢の続きが見たいファン

戦争だろうが……!!そんなことしたら……!

 

680:夢の続きが見たいファン

はぁ、心臓がまだバクバクしてる

 

681:夢の続きが見たいファン

ほんそれ

 

682:夢の続きが見たいファン

無事に終わっただけでもう感無量よ

 

 

 




えー石を投げないでもらえると嬉しいですごめんなさい許して。一応、一応これが秋の天皇賞レジェンドレースサイレンススズカのお話です。ライスシャワーの時も思ってたんですけど、こう私が表現するにはちょっとおこがましすぎるかなって思ってます。でもリクエストも出てたしいつか書きたいと思ってたので形にしました。

 ではまた次回に。感想評価よろしくお願いいたします。

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