冴えないヒロイン達が幸せになり冴えたヒロイン達になるハナシ 作:ゆーーーー
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高一冬休み。世間ではクリスマスで盛り上がっている中俺は1人で部屋に籠り勉強をしている。
日本トップに当たる東田大学や西羽大学に向けて勉強していた。
勿論勉強だけでなくたまに休憩がてらアニメを見る時間も作っているが見るアニメの量はかなり減らした。
不死川書店で広報のバイトをしている為同社の連載作品だけを追い掛ける。
豊ヶ崎学園は東京都にある進学校だが特段偏差値が高いという大学では無い。そこに通う俺は現在試験の順位は半分よりもやや低いくらい。
趣味のアニメを見る時間に多大な時間を費やしていた為学校の授業中に寝てしまう上家で勉強などあまりした事がなかった。
そこから日本トップの東田大学や西羽大学に通おうと思うとかなり無茶をしなくてはいけない。
今は趣味の時間を大幅に減らしてでも勉強時間の確保をしながら高一の授業の振り返りをしながら基礎を固めている。
勉強に熱中していたが肩が凝り集中力が切れてきた。台所へ行き水を飲んでゆっくりと深呼吸をする。
「東田大学……か。こんな所にいる俺がそこへ入る学力なんてついて行くか!?」
国立東田大学に受かる為には5教科7科目必要になる為私立大学を受けるより勉強する範囲が圧倒的に多い。ここまでの出遅れを悔やみたくなるがまだ2年ある。
高3のこの時期までに学力を上げればいい。まだまだこれからだ、と思い頑張るしかない。
霞ヶ丘先輩の所属する不死川書店を目指して今は頑張るしかない。
そう考えポジティブシンキングしながら部屋に戻り勉強を再開する。
気が付いたら日付を変えてから時間が1時間も経っていた。
そろそろ寝るか。そう思って机から立つと着信が鳴りスマホに霞ヶ丘先輩からの着信を伝える。
出てみるとすかさず霞ヶ丘先輩は応答した。
「あら、この時間でまだ起きてたの。アニメランニングかしら?」
「いえ、勉強していたらこの時間になっていまして。そろそろ寝ようかと思ってたところです。」
「勉強?珍しいわね。安芸君からその言葉を聞く日が来るとは思わなかったわ。一体どういう風の吹き回しかしら?」
本当に驚いた、というような声音で霞ヶ丘先輩は驚いていた。
「不死川書店の先輩に東田大学や西羽大学に進んだ方がうちに入りやすい。って言われまして。」
「東田大学!?またそれはどういう風の吹き回しかしら?あなたがそんな大学に入りたいなんて言うようになったのね。」
「目指すだけなら誰にでもできると思いますよ?実際に入れるかはさておき。まぁ、この前初めて模試を受けてみたんですけどE判定だったんでまだ記念受験に近いですけどね。」
「あら、まだ安芸君は高一なんだから何とかなるわよ。何か悩みはあるかしら?」
「そうですね。バイトをしているから塾とか予備校に通う時間しか無いんですよね。学校の授業と自主学習だけで足りるでしょうか?」
「なるほどねぇ〜。確かに東田大学入る人は予備校通ってる人が多いんでしょうけど……」
暫くの沈黙。俺は口を開こうとしたら霞ヶ丘先輩から思わぬ提案を頂いた。
「私が勉強を教えようか?毎日は無理だけど土日くらいなら教えてあげるわ。…あ、オンラインでいいなら平日の夜でも教えられるわ。どう?」
「え!?それって先輩の執筆活動の邪魔にならないですか!?土日毎週会えるなんて嬉しい提案ですけど。」
「問題ないわ。私だってまだ高校生なんだから執筆活動しながら勉強してるわ。その時間をちょっと割くだけよ。それに教えるのも勉強になるしちょうどいい復習になるわ。」
「それじゃ、明日から早速オンラインでお願いしてもらってもいいですか!?」
俺は勢い込んで霞ヶ丘先輩の提案にのった。
「必ず不死川書店に入社して先輩の作品を売上を上げる手助けをできるよう頑張ります!」
今の目標を伝える。
すると多少の沈黙があり霞ヶ丘先輩から「そう。頑張りなさい。」
と言われた。
先輩が応援してくれてるしもっと頑張ろう!!と決意し床についた。
☆
ビックリしたわ。
まだ鼓動が高鳴っているのが自分でも分かる。
私の1人目と言えるようなファンで同じ高校の後輩だった安芸君に『私の為に』って言って貰えるなんて。
それにしても、明日から早速リモートで勉強を教える事になった。
「毎日通話出来るし会えるって事よね。」
そう呟くと毎日安芸君と通話できる事を想像して顔が赤くなっていくのが分かる。
冷静になりなさい。安芸君にこんな姿見せれないわ。
最初は『妙な後輩がいるな。』その程度の気持ちだった。
だけど高校でバイトをする為教師に粘り食い下がる彼を見て私は執筆活動の励みにしていた。
その彼がなんと次は図書室に私の連載作品を図書室に置く為に今度は食い下がっていたのだ。
そして初めて行われた握手会では朝から列の最前線で待っていてくれた。
最初は感謝を伝える為にライン交換しただけだった。
だけど話をする度、連絡を取り合う度に彼の存在は大きくなっていく。
私は勿論作品を読んでくれているたくさんのファンの為にという思いがあるが『彼の為に』という思いが強い。そして彼からも『私の為に』と言ってくれた。
「よし!」声を出しより一層執筆に熱が入るのだった。
☆☆☆
「あー、成程。そこをそうするといいんですね。」
翌日からパソコンでSkipで霞ヶ丘先輩に通話をして分からないところは聞きながら勉強を教えなてもらっている。
「それじゃ教えたとこを意識しながら練習問題解いてみて。」
霞ヶ丘先輩に教えてもらいながら勉強していると進みや理解が捗るな、と思いながら黙々と練習問題を解いていく。
霞ヶ丘先輩の方からはカタカタとパソコンのキーボードを打っている音が聞こえてくる。
先輩も執筆活動しながらも俺に勉強を教えてくれてる、その事実により集中しながら練習問題を解いていく。
暫くして問題を解き終え一通り見直し終わると「終わりました。」と伝えると先輩と答え合わせをしていった。
「正解。正解…」練習問題の採点が終わると間違った所の復習として説明をしてくれる。
「理解が早いわね。地頭はいいみたいね。」
間違った問題の説明を終えると褒められたのでビックリしながらも嬉しさが込み上げてくる。
「ありがとうございます!でもまだまだです。それにしても執筆活動をしてるのにこんなに勉強できるなんて凄いですね!」
「朝から夜までずっと執筆している訳じゃないわ。それに、作家というのは連載が無いとただのニートよ。学歴があればいざという時何とかなるかもしれないでしょ?」
「そうなんですか。にしても凄いですね。先輩は早応大学を目指してるんですよね?」
「あら、そんな事誰に聞いたのかしら。安芸君のエッチ。」
揶揄いながらそう言われた。俺は誤解を招いてしまったと思い慌てて反論する。
「いえいえ、不死川書店で風の噂を聞いただけですよ。エッチなんてそんな」
「冗談よ。そうね。早応大学に行く事になりそうかしら。」
☆
「今日はここまでにしましょうか。」
「はい!ありがとうございます!」
「明日池袋に待ち合わせましょうか。」
明日は土曜日なので会って教えて貰いながら勉強を教えて貰う日になっている。
「池袋ですね。分かりました。」
「最初に書店に寄っていいかしら?」
「大丈夫ですけど。書店?本でも買うんですか?」
「えぇ。読書は必要よ?集中力上がるしね。それに安芸君に問題集とか参考書勧めたいしね。」
「俺の為に?ありがとうございます!」
「目標に向けて安芸君が頑張ってるし少しでも良いのを選びたいじゃない?」
「ありがとうございます!それじゃ明日池袋で。」
「えぇ。じゃ、お休みなさい。」
「お休みなさい。」
通話を切ると信じられない気持ちが大きかった。明日池袋で会う。これってデートじゃ?
明日を思うと興奮で暫く眠れなかった。
☆☆☆
どうしよう。昨日の夜何を着ていくか決めたのにいざ朝着てみるとなんとなく違う気がする。
私服で会う機会は何度かあったけど2人で会うのはほぼ始めて。どうしようか?
気取り過ぎるのは良くないだろうか。
自然な格好にしようかな。こっち着た方が印象いいだろうか。
町田さんに相談してみようか。
やはり自分で決めるべきだろうか。
アレコレ悩んでいたらあっという間に待ち合わせ時間に間に合わない時間になってしまった。
遅刻の連絡をしなければ。なんで着ていく服でこんなに悩んでいるんだろうか。
これではまるで恋する乙女じゃないか。
☆
「あ、霞ヶ丘先輩どうしたんですか?」
そろそろ待ち合わせ時間に間に合わなくなると思ったので勉強道具を纏めて出発の準備していたら霞ヶ丘先輩から着信が鳴った。
「ゴメンなさい。準備に時間かかるから30分程遅れると思うわ。忙しいのにゴメンなさい。」
霞ヶ丘先輩に本当に申し訳なさそうに謝られたので慌てる。
「いえいえ。女の人の方が準備に時間かかるんですからゆっくり準備してきてください。慌てなくて大丈夫ですから謝らないでください。」
俺も遅れないように急ぎ目に準備して待ち合わせの池袋へ向かう。
憧れの霞ヶ丘先輩と池袋で会える。こんな嬉しいことは無い。今日という日が終わらなければいいのに。
でもいざ会う時間が近付くと緊張する。
駅に向かう道程がいつもより遠く感じる。
☆
なんだかんだ待ち合わせ時間ピッタシに着いてしまったので駅ナカのコーヒーショップでコーヒーを飲みながら本を読みつつ待つ。
霞ヶ丘先輩から『そろそろ到着する。』という連絡をもらってコーヒーショップを出て待ち合わせ場所に再度向かう。
待ち合わせ場所で会った霞ヶ丘先輩は制服で会っていた普段とは違い今日は私服。じっくり考えてくれたであろう私服は意外にもふんわりしていて普段知的なイメージの先輩とのギャップがいい。
「先輩、私服似合ってますね。可愛いですよ。」
思わず褒めると霞ヶ丘先輩は顔を真っ赤に染めて俺まで顔を真っ赤に染めてはずかしがってしまった。
それから書店に行き霞ヶ丘先輩がチョイスしてくれた問題集や参考書、現文を解くのに役立ちそうな小説を選んでくれそれらを買う。
かなり重くなってしまったので一旦駅のコインロッカーに預けて喫茶店に入り勉強をする。
教えて貰いながら俺が問題を解いている間に先輩が執筆活動をしていくスタイルは昨日Skipで行ったリモートでの勉強会と一緒だったが面と向かって会ってるのでは効率が違う。
しばらくしてから休憩がてら甘めのカフェオレを飲みながら霞ヶ丘先輩に話しかける。
「そういえば今日は忙しいところありがとうございます。会って勉強会するのはリモートよりなんかいいですね!こう、言葉では言い表せないですけど。」
曖昧に言葉を濁らせながらも楽しさを伝えると先輩も分かってくれたようで嬉しそうに反応を示してくれる。
「そうね。安芸君とこうして会っていると私もいつもより集中できているし。それに、こうしてると恋人同士みたいだしね。」
霞ヶ丘先輩が何か照れながら小声で話していたがタイミングがいいのか悪いのか俺は慌ててカフェオレを飲んでむせてしまった為聞き逃してしまった。
「ゲフンゲフン。すいません。霞ヶ丘先輩ちょっとむせてしまいまして。えっとなんて?」
聞き返したがそっぽを向いて誤魔化されてしまった。「漫画やラノベの難聴主人公じゃないんだから。」と小言を言われ返す言葉がなかった。
☆☆☆
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまった。
今日はこれでお別れという事で喫茶店を出て駅に向かった。
だけど何となく会った時に『可愛い』って言われてときめいたり。
何度か会ったことはあったが完全にプライベートで会ったのは今日が初めてという事だったり。
お互いが口にはしなかったが『初デート』という認識を持っていたり。
そんな色々な気持ちが巡り途中の公園で先を行く彼の手を掴み引き止めてしまった。
「待って。」このまま帰したくない。このまま帰したらもしかしたらもうこの関係が続かないような。そんな気がして思わず引き留めてしまった。
不思議な顔で安芸君は私を見つめる。
何か、何かを伝えなきゃ。じっと安芸君の目を見つめる。
言葉が緊張なのか、フラれるかもしれない恐怖なのか分からない。でも何故か声が出ない。
それでも声を出す。小説やアニメみたいに綺麗じゃなくてもいい。私の気持ちを彼に伝えたい。心からそう思った。
「行かないで。安芸君、いえ倫也君。私、貴方に伝えたい事があるの。」
鼓動が早い。心臓があまりに早く動くもんだから胸から飛び出していきそうな、そんな勢いを感じる。
「貴方が好きなの。好きな事に一生懸命で。真っ直ぐ私に向けるその視線と熱意で私をいつだって見てくれてる。」
倫也君は驚いた目で私の目を見つめる。
その顔に驚きはあるがショックな顔では無さそうだ。
「だから、次会う時は私の彼氏として会って欲しいの。」
握った手を離されることは無かった。
一大決心で言った私の告白を聞いて倫也君は繋いだ私の手を引き寄せハグされた。
そして優しく見つめられ、私はそっと目を閉じる。
確か彼は彼女なんて出来たことないし童貞だろうと思う。
だけどここは言葉は必要ない。優しい彼の唇がそっと私の唇に合わさった。
☆☆☆