冴えないヒロイン達が幸せになり冴えたヒロイン達になるハナシ 作:ゆーーーー
加藤恵のフラグ展開に試行錯誤していました。
私はEGOISTIC-LILYという同士サークルで柏木エリとして同人活動をしている。活動のメインはその時有名なアニメの二次創作、主に凌辱系のイラストを描いている。
描いている絵が18禁だし昔学校でヲタバレしてトラブルがあったので今は基本的にヲタクということを隠して学校生活を送っている。
表向きには美術部として活動していているが第二美術準備室を私物化している。そこでは趣味の絵を描いたりしている。
普段は美術部のエースとしてコンテストに出す絵などを描いている。表の顔を意識して学校の友達とは接している。表の顔は丁寧な言葉遣いで上品な趣味と会話を。
秋にかつて学校でヲタバレして絶縁した幼馴染の安芸倫也と高校になって多少の復縁をしたのだがその安芸倫也が紹介してくれた友達の上郷喜郷と仲良くなり今は第二美術準備室で2人で今期のアニメ事情に関して談義している。
このアニメが今期の覇権アニメかな?という事でラフスケッチを描いている。
「おー!上手い!!まさか生で柏木エリ先生の絵を描いてるとこを見れるとは!」
「私の事はえりりでいいわ。あまり学校でその名前を出してくれると嬉しいわ。」
「あぁ、ゴメン。嬉しくてつい。」
「ずっと読んでくれてたんだっけ?私の本。それは嬉しいけど。まさかこの学校に倫也意外にもファンがいたとは。」
意外、と感じる。描いてる作品が18禁だし年頃の男子には刺さるのかもしれないが。18禁という特性上高校で話題に上がる事が少ないからファンを認識しずらい。
即売会で顔を合わせるか、元からの知り合いかでもない限り難しいだろう。
「安芸には感謝しないとな。あ、またバイト欲しい時は言ってくれ!安芸はどうやら忙しくてもう手伝いは難しい、って言ってたから。」
冬コミ前に安芸倫也の手が借りれなかった為に彼の紹介で知り合った上郷喜彦に手伝ってもらったのだ。
「あー、そうなんだ。じゃ、またお願いしようかしら。委託販売で新しく販売する分の原稿を今描いてるとこだから今日からさっそく頼んでもいいかしら。」
「おう!まかせろ!今日からか!1回家帰ってもいいか?」
「勿論よ。突然頼んだんだし。終電までに来てくれると嬉しいわ。」
「分かった。そうするよ。」
☆
「ここのコマのベタお願い。」
「オッケ。あとこれ、さっき頼まれたとこ。ベタ塗れたから確認お願い。」
「描けたのはそこに並べておいて。後で確認する。」
深夜澤村スペンサー英梨々邸にて同士活動が行われている。
18禁のイラストを描いているその手伝いだがイヤらしさは一切無い。
最初に手伝いに行った時はほんのちょっとだけ、そういう下心が無いことも無かったが。
今は昔の学校のジャージであろうラフな服に身を包みひたすらに原稿を描く柏木先生の怒涛の指示に応えるのみである。
「よっしー、ここのベタ塗り次宜しく。」
「はい来た。」
任せてもらえるのは今の所ベタ塗りだけなので指定された箇所を黒く塗りつぶしていく。
最初はベタも苦労していたが段々と慣れてきた。
「塗れたからここ置いとく。」
指定のコマのベタ塗りを終え並べておいてくれと言われた箇所に原稿を並べる。
「もう塗れたの!?早くなったわね。よっしーは絵を描く才能あるんじゃない?」
「いやいや。俺に絵を描く才能なんて。」
「よっしーが描く機会があったら私が手伝うわ。」
「機会があれば頼む。えっとよっしーは決定でいいのか?呼び方。」
「ダメだったかしら?フルネームとかより呼びやすいからいいかな?と思ったけど。」
「全然。これからもよっしーと呼んでくれ。」
あだ名がついた。何となく近づけた気がする。
ラフな格好をしているがえりりは学園の二大女神と呼ばれるくらいの学校きっての可愛さと美しさを持ってる人だ。
通常なら話しかけることすら恐れ多い人である。
その人からあだ名で呼んでもらえるなんて是非もない。
全校の男子生徒から羨まれる事間違いなしな事である。
「俺はえりり、って呼んでいいか?」
思い切って下の名前で呼びたい、そう伝える。この許しが出たらもしかしたら学校では背中に気をつけた方がいいのかもしれん。
「いいわ。これだけ手伝ってもらってるんだし。その呼び方で。」
何の取り柄も無い俺だが安芸倫也と友達になれて良かったと心底思った。まさか澤村スペンサー英梨々とこんなにも仲良くなれるとは。
「あまり学校で仲良くしてるとこ見られたくないし話がしたい時は第二美術準備室か家に来てくれると嬉しいわ。」
「分かった!そうするよ。その時はまた連絡する。」
「ありがとう。理解してくれて嬉しいわ。これをネタに脅されてもおかしくないのに。受け入れてくれてありがとう。」
「それはえりりの同人のように?」
「えっと、そういう事ね。そういう妄想が好きでこんな作品を書き出したんだし。この方が売れるから、というのもあるけど。趣味じゃなきゃここまで描けないわ…」
心做しかえりりはそう言い顔を赤くしながら俯いている。
「えっと、それなら遠慮なく。」
俺はえりりの言葉にのった。
まだ夜は長い。
☆☆☆
春休みはあっという間に過ぎていった。
流れとは言えよっしーと仲良くなり今後の同人を描く上での研究を重ねることができた。
毎日のように家に来てもらってたのによっしーは疲れ知らずのような体力をみせて私も満足した。
そんな春休みを終え迎える新学期。私達は2年生になりクラス替えが行われる。
私はG組。よっしーはB組。倫也もB組だった。
「同じクラスじゃ無くても?家で会えるし!美術準備室でも会えるし。」
誰に言うでもなく1人愚痴るのだった。
☆
「よー!安芸!今年も同じクラスだな。宜しく頼むぜ。」
俺は今年も自身をオタクに押し上げた師匠の安芸倫也と同じクラスになった。
「宜しく。上郷。最近どうよ?」
「ぼちぼちかな〜。3月の模試も判定はイマイチだったけど点数は上がってるから徐々に手応え掴めてきたかな!」
「おいおい。模試!?まさか安芸の口から勉強の話が出てくるとは。アニメの話が出ない安芸は安芸なのか!?」
「最近は勉強しかしてないからな〜。チェックはしてるけど語れるほどアニメは見れてないな〜。因みにオススメは?」
「まさか俺が安芸にアニメを教えることになろうとは!今期の覇権アニメはな…」
休み時間は今期のアニメの話をした。安芸が勉強とは。
どういう心境の変化だったのだろうか。
☆
新学期が始まってしばらくした日の授業前。隣の席の女の子から声を掛けられる。
「あの、安芸君。次の授業だけど教科書見せて貰ってもいいかな?」
唐突にこれまで特に交流があった訳じゃない隣の席の子に突然話し掛けられてビックリした。
「いいけど。なんで名前!?」驚いて名前を知ってる理由を聞いてしまった。
「去年は隣のクラスだったけど。色々有名だったから名前を知ってただけだよ〜。突然ゴメンね〜。」
語尾を伸ばし気怠そうな感じで謝られる。
謝られた気はしないが俺の名前、ってこんな名も知らぬ隣のクラスの女子にも轟いていたのか、と気恥ずかしくなる。
「えっと、君の名前は?」
俺の名前を知ってる事は聞けたが肝心の女の子の名前を聞けなかったので名前を聞く。4月だし名前を聞くのはそんなに不自然では無いだろう。
「あー、私の名前教えてなかったね。私は加藤恵と言います。宜しくね安芸君。」
「宜しく。えっと、机くっつける?」
「ありがとう。それじゃあ。」
この次の授業では席をくっつけ同じ教科書を見ながら受けた。
☆
「凄いね安芸君は。ノート凄い書いてた気がするけど。」
「あぁ、色々とね。勉強が遅れてるから覚えたい事とか理解できなかったとこメモっておいて後からの復習にも役立てるし。気になった事はノートとってる感じ。」
「ふーん。なんか大変そうだけど勉強頑張ってね〜。」
加藤恵は「凄いね。」と言ったが本当に『凄いね』と思っているか感じられないような感情が篭っているのか曖昧な相槌だった。
こういう子もクラスにいるんだな、というのが最初の印象だった。クラスの女子同士で休み時間は話しているし恋バナもそこそこしている感じリア充かな、という印象。
俺とは遠い位置に存在するのかもしれない。
春休みに霞ヶ丘先輩と付き合いだしたことはここでは置いておくものとする。
☆
「学校の近くにこんな喫茶店あるんだね〜。」
「私も初めて来たわ。昼休みにしか会えないのは余りに寂しいし。まだそこまで部活忙しくないし。たまにはこういうとこでゆっくりしたいじゃない。」
「いいと思うよ。えりりのサークルは次いつが忙しい?」
「私のサークルはまた委託の販売の為に描いてるから。次は夏コミかな。夏前はまたよっしーに手伝ってもらうわよ!」
任せとけと相槌を打ちコーヒーをごくり。
「それまでにじっくり研究しないとな!」
「そうね。よっしーには頑張ってもらわないと。」
お互いに同士の為の研究を考えて顔を赤くしてた気がする。
その後はえりりの愚痴を聞いたりして今日のところは解散かな?などと考えてると。
キャッキャウフフしながら男女が2人喫茶店に入って来た。
1人は俺達が通っている豊ヶ崎学園の制服を来てる女子高生だ。
男の方は少し年上に見える気がする。
「あの2人ってカップルかな?」
「さっき入って来た2人?」えりりが顔を寄せて小声で囁く。
「年の差ありそうだから援交かもね。」
俺はいきなりの囁きに驚きながら。
「ウチの学校の学生が!?」
「案外やってるもんよ。女の子は色々とお金が掛かるのよ。ウチの学校はほら。バイトも禁止だし。」
「そんなもんか?」
「そういうものよ。あの2人がそうなら面白いじゃない?あ、今年の夏の同人のネタ思い付いた。」
援交が実際にあるのかは分からないが空想のネタとしては面白いのかもしれない。
☆
クシュン。くしゃみをしてしまったらすかさず従兄の圭一君に「あ、誰かが噂してるかも?」と冗談を言いながら笑ってる。
「もう〜。誰が用事ある、って呼び出したの〜?用がないなら私帰るけど?」ちょっとわざとらしく頬を膨らませてみる。
「ゴメンゴメン。」
「で、用事って何?私も今日から学校始まったから忙しいんだけどな〜。」
「実はこの前友達と話した時俺が従妹いる、って話になってな。」
「大学の友達と?それで?」
「俺ら皆彼女出来たことない奴で集まってるから『女の子と話してみたいな』って話になってな。恵のとこの友達とか呼んで食事会とかどう?」
「食事か〜。」「勿論俺達の奢りで。どう?」
「うーん…友達に聞いてみる。」
「ありがとう。できればでいいからさ。」
「期待はしないで待っててよ〜。」
そんな感じで従兄の圭一君と食事会の打ち合わせをしてこの日は解散した。
☆
去年秋からバイトしだしてもうそろそろ半年。もう慣れたものである。学校終わりに出勤し2〜3時間自分のデスクに座りパソコンで来年に放送する予定になっている不死川書店原作のアニメが決定ホームページの作成を行っている。
バイトの俺は手伝い程度の物だが。『ここはこうした方がいいのでは』というアイデアを出しながらも多少htmlを打っている。
この日の退勤時間が来てしまったので退勤時間をタイムカードのシステムに打ち退勤の挨拶をしてオフィスを出る。
ちょうど出た所で霞ヶ丘先輩から電話が来たので出る。
「霞ヶ丘先輩、今オフィス出たとこなのでもう少し待って貰えますか?」
「もうオフィス出たならちょっと待ってもらっていい?私も今日編集部で打ち合わせだったのよ。」
「そうだったんですか!?それなら言ってくれれば良かったのに。分かりました。待ってますよ。」
暫く不死川書店のオフィス前で待っていると霞ヶ丘先輩が出てきた。
「先輩。打ち合わせお疲れ様です。」
「倫也君、待っててくれてありがとう。」
「いえいえ。遅くまでお疲れ様です。」
「ありがとう。これから帰って勉強?倫也君も大変ね。」
「いえいえ。これから執筆活動の詩羽先輩程じゃないですよ。」
「あら、初めて名前で呼んでくれたわね。ありがと。」
クールに返しているけれど顔を多少顔を赤らめているのが街灯の暗い中でも多少伝わってきた。
「いえいえ。付き合っているのにいつまでも苗字ってのも変だとずっと思ってて。」
「付き合ってるのに『先輩』って敬称ついてるのも何とかして欲しいわね。」
「勘弁してくださいよ〜詩羽先輩。ようやく名前で呼び出したとこなのに。」
「呼んでくれる日を楽しみにしてるわ。」
「それじゃ、また後でリモートで。」
「ええ、また後で。」
乗る地下鉄が別れるので駅で別れ地下鉄に揺られ家に帰ってきた。
詩羽先輩が家に着いて準備を終えて連絡が来たので今日もSKIPを繋いでリモート勉強会を行ったのだった。
☆☆☆
ゴールデンウィークを控えた最後の登校日。学校は何となく浮ついている。
やれ旅行だの遊びだの皆楽しそうに連休の予定を話している。俺も詩羽先輩と会って勉強会をしながら過ごすゴールデンウィークを思い浮かべながら連休前の最終日を過ごしていた。
以前授業で教科書を忘れて教科書を見せた事のある隣の席にいる加藤恵が女友達何人かで話しているのが耳に入った。
「明日から休みだからさ。明日の夜に従兄とその大学の友達と会って食事ってかんじなんだけど〜どうかな〜?」
「私はいいよ!大学生でしかも医大の人達とか絶対将来有望じゃん!」
「明日の夜だよね〜、私もいいよ。将来とかは分かんないけど頭良さそうなのは確かよね〜。」
「従兄も城北医大の4年って言ってたかな?だから医者になるには時間がかかるって言ってたよ〜。」
どうやら明日大学生の人達と食事会という所か。教科書見せた時は礼儀正しい感じがしたけど結構遊んでる子なのかな?席はたまたま隣だけど交流無いからな〜。結構遊んでる子なのか!?まぁ、遊んでる子が学校で礼儀正しくても別に違和感は無いのだが。
俺の中のリア充イメージが学校ではあまり礼儀正しくしていないだけだ。固定観念で人のイメージを決めるのは良くないかもしれない。
だけど見ず知らずの人を含めて会う感じが合コンのイメージが抜けない。どうしても合コンに集うウェイ系のパリピ学生と一緒になって盛り上がる女子高生達をイメージしてしまった。
☆
「今日の勉強会はここまでにしましょうか。」
「そうですね。今日は休んで明日に備えますね。明日は池袋のいつものカフェで大丈夫ですか?」
「そうね。明日は10時にいつものカフェで。休みだから会って勉強会できるわね。私に会えるの嬉しい?」
「そりゃ勿論。詩羽先輩に会えるの楽しみですよ!」
「私もよ。それじゃまた明日ね。」
今日も学校終わりのバイトを終えて家に帰り詩羽先輩とオンラインで繋ぎながら勉強会をしていた。勉強会を3時間で終えてSkipの通話画面を切りヘッドセットを外す。
勉強会を始めてから会って勉強会をしている日以外はこうしてSkipで顔を見ながらってのが恒例になっている。
遠距離恋愛という程の距離ではないがお互い忙しい身で同じ学校なのに毎日は会えないのでこういう顔を見ながら話せるのは有り難い。
付き合って5ヶ月経ってこうして毎日交流を持ててるのが嬉しい。とはいえ明日会えるのを楽しみにして床についた。
☆
「はぁ〜。」従兄の恵一君に誘われて参加した食事会の帰りだけど溜息しか出ない。
ドラマやら何やらやクラスの女子達が『今日はハズレだわ〜』なんて話している様子を見た事や聞いた事があるが今日のはハズレだったのだろう。私かすれば何だかな~という感じだった。
学校で誘った友達達はちゃっかりお持ち帰りされたようでいつの間にか食事会から気付いたら居なくなってて何となく残された私達は解散になった。
「じゃ、俺達も。」と誘われもしたがお断りして今駅へ向かって帰るとこ。
ちょっと気になってるケーキ屋さんに寄ってみよう。よし!と1人で気合いを入れてやけ食いでもしてみようかと拳を小さく握ってみる。
ちょうどそんな時正面から歩いてきた人が私に声を掛けてきた。
「あれ?ひょっとして恵ちゃん?」
「え?」道端だし誰かに声をかけられると思っていなかったので驚いてしまう。よくよく顔を見てみると昔よく遊んでいた近くに住んでたと何となく思い出す。
「え〜!久し振りじゃん!!まさかこんなとこで会えるなんて思わなかったよ〜。」嬉しそうに話し掛けてくるからさっきまでのモヤモヤが吹き飛んでしまう。
「親の転勤で引っ越したんじゃなかったけ?どうしたの〜!?ゴールデンウィークだから遊びに?」
小さい頃の記憶をなんとか引っ張り出して湧き出た疑問をそのままぶつけてみる。そう。昔は近所だったから遊んでいたが小学校に入学する前に親の転勤で北海道に引っ越したはず。
「そうだよ〜。実家は北海道。こっちの高校に入学して寮で暮らしてるんだ〜。」
「え!?折角のゴールデンウィークなのに実家に帰らないの?というか高校生で寮生活なんて蓮くん凄いね〜。」会話しながら何とか蓮という名前を思い出してさり気なく使ってみた。
「あはは。親に連絡したら忙しいだろうし帰ってこなくていいぞ、って帰省は断られちゃった。まぁ学校休みでも予備校とかあるし断られなくてもこっちにいるつもりだったけど。」
「凄いな〜。休みの日でも勉強するんだ〜。私が同じ立場なら絶対実家に帰ってたかも。」
良かった。蓮くんであってた。遊んでたのが何せ小学校に入る前だったから記憶が曖昧だったから自信は無かったけど。
会話も自然に続いてるし今更名前間違ってるとか無いはず。
「あー、ま。普通ならそうかもね。予備校通うのは出会い求めてって人も結構いるけど。うち男子校だから。無料で通えるとこも結構あるんだよね。」
「え!?無料って凄いね?って出会い求めて予備校行ってるって…予備校って出会いあるの??」
当然の疑問だ。勉強しに通うとこ、ってイメージしかない。そこで知り合ったどうこうってイメージが全然無い。
「男子校に通ってるだけなやつよりはあるんじゃねーの?知らんけど。」笑いながら答えられた。馬鹿にされた感のある答え方されたけど。
「あ、立ち話もなんだしどっか店入ろうか?」とちょうど道の反対側にあるコーヒーショップを指差す蓮くん。
「だね〜。そうしよっか。」
従兄に誘われた食事会はハズレだった事に感謝し久し振りに再開した蓮くんとの会話を思いっきり楽しんでやる。
☆
「え。蓮くん蓮見高校通ってるの!?」
蓮見高校は都内随一の中高一貫の進学校だ。確か東田大学の進学率が日本で1番高いことが多くて有名な高校だ。昔よく遊んでた幼馴染がそんな所に通ってるなんて驚きだ。
「そうなんだよね〜。早く親元離れたくて頑張っちゃった。」笑いながらそう答えるが反抗期とも取れる台詞だか反抗期とは違う雰囲気を感じる。
「それにしても蓮くんが蓮見高校に通ってるの面白いね。そこに通う為に付けられた名前みたい。」
「それは偶然だと思うけどね〜。さすがに。親が先輩な訳じゃないし。読み違うし。」
「親が蓮見高校の卒業生なら“れん”じゃなくて“はす”って名前だったかもね〜。」
「いやいや、名前ではすってなんか変じゃん!」苦笑いしながら軽く手で肩を叩く蓮くん。軽く夫婦漫才みたい、と思って不意にキュンとしてしまった。
「ははっ。どうしたん?そんな顔赤くして。もしかしてボケじゃなくてホントにそうだと思った?」
更に顔が赤くなるのが分かる。もう、何でそんな事言うの。昔は異性を意識せず遊んでいた幼馴染が久し振りに会ったらすっごいタイプな感じに成長していてドキドキしているやつだ。
「もう〜。これは違うやつだよ〜。」
「え?マジで?」蓮くんは嬉しそうに顔を輝かせる。
「あ、でもクラスの男子がこの前話してたけど幼馴染って恋愛で勝てないこと多いらしいよ〜。」クラスで今年たまたま隣の席になってその人が友達と話していたのが偶然聞こえたアニメの話をしてみる。
☆☆☆
精一杯の照れ隠し。勝てないって言ってたけど、これは勝てるかもしれないとドキドキが更に高まってしまいまともに会話できた記憶が残って無くて。
気付いたら自分の部屋のベッドに横たわってたけどスマホに入っている蓮くんの連絡先を見つめニヤニヤしてしまう。
そして何となく何も無いのにラインをしてしまう。特に意味は無いけどチャットを送っては帰ってくるまでのドキドキを楽しむのだった。
加藤恵フラグ立ちました。
次話では氷堂美智留を登場させる予定です。
氷堂美智留のお相手もオリキャラ予定となっています。