古龍たちは自らの死期を悟ると、死に場所を求めて海を渡る。
己の肉体をおちつけ、新たな生命へエネルギーを分け与える場所。荒れ狂う天候によって人どころか古龍たちですら簡単にはたどり着けない場所。
それこそ、長い間謎に包まれていた『新大陸』である。
およそ100年に1度、古龍たちが新大陸を目指し海を渡る現象を、人間たちは『古龍渡り』と呼称。
その古龍渡りが10年という極めて短いスパンで行われ始めたことに疑問を持った人間たちは、その原因が新大陸にあるのではと仮定し調査団を派遣。新大陸の隅々まで調べ古龍や新大陸に生息するモンスターたちの生態を調査することとなった。
しかし、彼らはまだ知らなかった。
スパンが短くなるよりも昔。ちょうど、とある王国が滅び去った時期に、人知れず新大陸へと向かっていた龍がいたことを。
新大陸付近の海上にて、凄まじい嵐があった。
雨は突風によって岩をも削る弾丸と化し、波は荒々しく水上水中にあるものを破壊し引きずり込んでいく。
そんなこの上ない悪天候の中、空を行くものが一つ。
ボロボロの身体を雨に打たれ、激風にさらわれそうになりながらも、大きさの揃わぬ2対の翼を懸命にはためかせて新大陸を目指す黒い龍。
その名はミディール。貪欲なる龍。
生物として規格外の存在である古龍ですら、渡りきれる個体は少ないという古龍渡り。それを重傷を負った身体で行うのは無謀どころか不可能である。
翼には穴が空き、雨に打たれる身体からは未だに血が吹き出している。風に負け、海に落ちるなどしてしまえば大抵の生物は助からないであろう。しかし、彼に失敗することなど頭に無かった。
いや、もはやその程度のことすら理解できるほどの知能を持っていないと言うべきか。
真実にたどり着いた一人の人間は既に喰われ、その手記も大部分が焼けてしまった。それ故に彼の生態に行き着く者が現れるのは遠い未来の話だろう。
欲望、祈り、死のエネルギーは溜まりすぎた。
モンスターの『闇』であればまだ良かった。生きることを最重要事項としている生命から得られる物は死の際に放出されるエネルギー以外は微々たるものなのだから。
しかし、人間は高度な知能を持つ。それ故にモンスターよりも強く、様々な欲望を持つようになる。あらゆることを成すにもエネルギーが必要。邪なことに扱われるエネルギーはそれ相応の変化を見せ、澱んだものと化す。
あの一件によって、数多の人間が死んだ。人間に育てられたことで過剰な闇を摂取していた彼は、災厄との戦いで重傷を負い栄養またはエネルギーを必要とした。
その結果、人間たちが死んだ際に放たれた膨大な量の『闇』を吸収し過ぎてしまったのだ。
その頃より、彼はまとまった思考を失ってしまった。ただ、唯一残ったモノのために活動するのみ。
そのために、新大陸に行く必要がある。死期など悟ってはいない。しかし、古龍渡りを行う必要があった。
たとえそれがどれほど愚かしい行為だとしても、己の生命を脅かすものだとしても、彼にはまだ死ぬつもりは無い。
そう、まだ彼は
右へ左へ風に揺らされながら、彼はひたすら新大陸目指して進んでいく。そして、ようやく大地の姿が豪雨の中に見え始めたその時。
全身を激しく打つ衝撃、後に駆け巡る焼かれるような痛み。遅れて轟音が彼を海へと叩き落とした。
雷が、空高く飛んでいた彼に落ちたのだ。海へと落ちた彼は激流にさらわれ、右へ左へ、上へ下へともみくちゃにされた。
あまりの流れに通常の生命であれば四肢は引きちぎられ、押し潰されてしまうほどの猛り狂う海流。それは彼の傷に侵入し、さらにはその身体をバラバラにせんと力を掛けた。
しかし、彼は古の龍の末裔であった。
激流に飲まれ、身体を破壊されながらも、その細身からは考えられないほどの力で海水をかき出した。
一度かけば身体が海流から抜け、二度かけば身体が浮上し、三度かけば上半身が海上へと飛び出した。
渦や津波に身体を持っていかれそうになるも、両前足を勢いよく海面に叩きつけることで海から大部分が抜け、四枚の翼を大きくはためかせることで完全に海から飛び上がった。
迎えるのは豪雨と突風。しかし目的地はもうすぐそこだ。
彼は再び嵐の中を飛んでいく。彼にとって
人間性は闇の蟲。しかし闇は格差たる火の一側面に過ぎない。火が起こったからこそ闇は生まれ、その闇から生命が誕生したのだ。
死体の傍に浮かぶ人間性、しかしネズミなどの生物や怪物に至るまで内に持っている蟲。それは火が起こったことによる呪いであり、しかしどこか優しく、暖かい。
それ故に禁忌の代物、触れれば狂い果てるのみ。
ミディールにMODの動きを取り入れていい?
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そのままのミディールで!
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いいよ、暴れて
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MODとか絶対ダメ