古龍が現れれば、あらゆる生物は古龍の力を恐れその場から離れる。
古龍もそれらに対し興味を抱かず、その力を振るうことは滅多に無い。
古龍同士が対峙した場合も、どちらかが凶暴な性格の持ち主でも無い限り戦いが起こることは無い。
しかし今、古龍たるクシャルダオラとミディールは殺気を隠そうともせずに向き合っている。
本来、クシャルダオラは縄張りを通ろうとする者すらも追い払わず通らせるほど戦いに興味を持たない。しかし、縄張りを激しく荒らす者を許すほど穏やかでもない。
風を荒らげながら空から見下ろすクシャルダオラ。対し、ミディールもまた新たに現れた獲物をじっくりと品定めしていた。
ミディールが糧としているのは生物の欲望や死の際のエネルギー、すなわち闇である。その量を測っているのだ。
クシャルダオラを観察していたミディールは、ふと足元で動くものを視界の端に捉えた。
「ギ…グ……」
まだ息絶えていなかったバゼルギウスだ。自分の命を奪おうとする相手、そして現れた古龍。それらから必死に距離を取ろうと這いずっている。
せっかくここまで弱らせたのだ。大型飛竜の中でも上位に位置するバゼルギウスは上級のご馳走、逃走などミディールが許すはずもなく。大きく右前足を振り上げ、バゼルギウスの頭部に振り下ろした。
埋まる頭部、地面に広がる亀裂がその威力を物語っている。動かなくなったバゼルギウスを満足気に見下ろすミディール、しかしそれは対峙している存在への侮辱、瀕死のバゼルギウスを仕留めるよりも優先度が低いと示す行為であった。
それもそのはず、クシャルダオラのような古龍はその強大な力ゆえに戦うのも稀。他の生物に大した関心がなく、生きるに困らない。つまり、常に満たされているために欲望が少ないのだ。
さらには長寿、そして純粋に力の量が生物の持つ死のエネルギーを超えているために、所持している闇がかなり少ない。
ミディールからしてみれば、食いごたえだけある栄養価の低い食材。吸収できる闇ならば凶暴かつ古龍のような自然エネルギーを持たないバゼルギウスの方が圧倒的に多いのだ。
当然、そんなことは露ほどにも知らないクシャルダオラ。殺気を放つ者の前で、よそ見どころか死に損ないを一蹴するという愚行。それを見逃すことなどありえない。
クシャルダオラがミディールへと突進した。クシャルダオラから完全に視線を外していたミディールが吹き飛ばされ龍結晶にぶち当たる。
「ゴガアァァッ!!」
やっとクシャルダオラへ注意を向けたミディールが咆哮する。それに対するクシャルダオラの応えは、口から溢れ出した風の激流であった。
ミディールの身体は細く、四枚の翼の面積はかなり広い。風のブレスはミディールの身体を攫い再び龍結晶へと叩きつけた。
「ゴガアアァァァッッ!!」
これに激怒したミディール、口に火炎を溜め一息に吐き出した。粘着性を持つ火炎は凄まじい速度と範囲でクシャルダオラへと突き進む。
クシャルダオラは翼を数度はためかせ、空へと舞い上がる。すると、そこに風が集まり始め瞬く間に竜巻が形成された。
火炎は竜巻に巻き取られ、クシャルダオラが一鳴きするとミディールへ直進。たちまち火炎の竜巻に取り込まれてしまった。
「ゴアアアアッ!」
しかしミディールも古龍。竜巻を無理やり突き破り、脅威の脚力で跳び上がりクシャルダオラへと掴みかかった。
クシャルダオラは鋼鉄と同じ性質を持つ甲殻を持つ。そのためかなりの高重量であり、そこへミディールが組み付いたことで重みを増したため、翼を酷使しなければならなくなる。
結果、動きが鈍ったクシャルダオラの頭部へミディールが前足を一薙ぎする。衝撃を受けたことでクシャルダオラは地面へと落ちた。
追撃を加えるため、後ろ脚で立ち上がり右前足を振りかぶるミディール。しかし、クシャルダオラが身体を中心とした風の爆発によって後ろへと倒されてしまった。
「ギルァァアアアンンッ!」
怒ったクシャルダオラが頭部を下げながら突進し、起き上がろうとするミディールの腹下へ頭部を潜り込ませ放り投げた。
地面に転がったミディールへ、追い討ちで空気弾を何度も吐き出した。地面や結晶を抉るほどの爆発がミディールを打つ。さらには苦しみの声をあげるミディールの翼に噛み付き、一際巨大な龍結晶へと放り投げた。
ミディールは龍結晶を破壊しながら地面へと落ちていく。クシャルダオラは纏う風を強めながらゆっくりと近づいた。
地面へ落ちたと同時に、ミディールが頭を上げクシャルダオラへと火炎を吐き出す。投げられた時には口に溜め始めていたのだろう。不意を突いた攻撃にクシャルダオラは驚くも、纏っていた強風を用いて『風の鎧』を展開。ミディールの火炎をかき消した。
決死の策も破られたミディール、しかしクシャルダオラは手を緩めない。再び竜巻を起こし、上空からミディールの背後へ回り込み尻尾で薙ぎ払う。
周囲の龍結晶ごと竜巻の中へと吹き飛ばされたミディールは、竜巻にもみくちゃにされながら共に舞い上がった龍結晶の破片に打たれた。
「ギルァアアンッ!」
クシャルダオラの攻撃は止まらない。風と龍結晶に裂かれながらも吹き上げられたミディールへ、風のブレスを吐き出した。ブレスに打たれたミディールは竜巻の底へと叩き落とされ、再び裂かれながら吹き上げられていく。
何度も風のブレスを吐き出したクシャルダオラは、深くミディールを押し戻した後に一度地面へ降りた。流石に自身の超重量を支えながら長時間飛び続けるのも疲労が溜まる。
注意深く竜巻を見ながら降り立ったクシャルダオラ。そろそろ日も暮れる、放置して寝床に戻ろうかと翼を広げたその時。
何かを感じたのか竜巻へ素早く視線を向けた。だんだんと竜巻が黒く変色し始め、中心部が暗く発光し始めた。身をかがめ、何時でも動ける体勢にする。
竜巻の発光が一際強くなった時、一筋の光線が空に放たれ竜巻を吹き飛ばした。中から姿を現したのは、身体中に破片が突き刺さりながらも衰えぬ殺気を放つミディール。その口元には暗い光が点っていた。
悪寒が走る。あの光は喰らうと不味い。そう直感したクシャルダオラは空へと飛び上がった。
しかし退避は間に合わない。ミディールが光を溜め終わった時点で、既に遅い。
地面へ俯いていたミディール、その口が一瞬激しく発光し再び光線が放たれた。後ろ脚で立ち上がったミディールが首を動かし、光線を吐き出したままクシャルダオラへと顔を向ける。
クシャルダオラは必死に光線から逃れようと空中を舞うが、首を動かすだけのミディールと重い身体を支えながら飛ぶクシャルダオラとでは消費する体力とかかる力の量が違いすぎた。
光線がクシャルダオラの腹を一閃、まるで両断されたかのような激痛をおぼえたクシャルダオラが地面へと落ちる。そこへ再び光線が走り、着弾した地面と共に黒い光の爆発がクシャルダオラを包んだ。
「ギルルァァアアアンンッッ!??」
悲鳴をあげるクシャルダオラ、甚大なダメージを受け、これには堪らず脚を引き摺りながら逃走を始めた。
「ゴガアアァァァッッ!!」
ミディールは光線を吐き止みクシャルダオラを追い始めた。今にも倒れそうな傷を負っているが、そんなものは関係ない。生命を殺し、奪うことこそ今の最優先事項。身体を省みて弱ったクシャルダオラを見逃すなど、選択肢には無かった。
脚を引き摺りながら、邪魔な龍結晶を破壊しながらクシャルダオラを追う。その目には狂い果てた執着の光が点っていた。
この回書くためだけにクシャルダオラの動きを確認するために何度もムービー見て何度も討伐した。づがれだ。
今回のクシャルダオラの参考にしたステータスは探索時の物を採用。
クエストと探索時のステータスってあんなに違うんですね……。
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