焼け爛れた手記   作:サンサソー

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墓標の底に深淵あり

事の発端は二日前。

 

瘴気に含まれる微生物たちは、平時のようにエネルギーと栄養を蓄えていた。そして、最下層にて住まう主の元へと捧げようとしていた。

 

屍肉の山にて眠る主たる屍套龍ヴァルハザク。これもまたエネルギーと養分を喰らい微睡みに甘んじていた。

 

しかし、一度谷が揺れた。まるで巨大な物が落ちたかのような、重い響きだった。

 

その後に異変はすぐさま現れた。

 

瘴気の反応が次々と途絶えていく。さらには戻ってきた瘴気から得られるエネルギーが極端に減ってきた。

 

ヴァルハザクは生命維持のためのエネルギー摂取を、瘴気に一存を委ねきっている。

そのために、この異変は今後の生命活動に関わる一大事なのだ。

 

そのためにこの二日間、重い腰を上げ自身のいる下層から上層にかけて、足を運び原因を探していた。

 

そしてついに見つけたのだ。元は酸の水が湧いていた場所、そこは泉も岩肌も黒く変色し暗い光が漂っている。

 

その中心に、黒い塊があった。

 

ドロドロとした光とも炎とも似つかないオーラを纏い、極限とも言えるほどにまで脱力している龍が一体。龍結晶の地より帰還した闇喰龍ミディールである。

 

寝ている訳では無い。外内部から集めた闇を用いて、体内にある龍結晶を溶解・吸収しているのだ。そのほとんどはすでに取り込まれ、鋼龍との戦いで負った傷も完治している。

 

それどころか、少々身体が大きくなっている。大型の肉食竜から通常古龍並へ。龍結晶のエネルギーと闇を多量に取り込んだことでさらに身体が成長したのだ。

 

ミディールの目が開く。ヴァルハザクという古龍の気配。クシャルダオラを喰い逃した彼にとっては、その同等たる気配を感じたことで気が立ち始めた。

 

そんなことは知らぬ。自分の方がより怒っている。

 

「ギュルルァァアアアンンッ!!」

「ゴガアアアァァァァッッ!!」

 

ヴァルハザクが後ろ脚で立ち上がり、殺気を撒き散らしながら咆哮する。対して、ミディールもまた起き上がり翼を広げ咆哮で応えた。

 

まず動いたのはミディール。口から火炎を吐き出し、前足で周囲を薙ぎながら突進を開始した。

ヴァルハザクは全身に纏った瘴気を活性化させ、こちらもまた突進。

 

結果、ミディールの火炎は活性瘴気によってヴァルハザクに届かず。前足が振るわれる前に胸部へとヴァルハザクの頭部が激突、その衝撃でミディールが後退した。

 

ヴァルハザクは前へ前へと進み続ける。しかし、そのまま地面へと押し倒されるわけもない。

 

ミディールが右前足でヴァルハザクの頭部を掴み、その強大な膂力で地面へと引き倒した。そして後ろへ振り返りざまにヴァルハザクを地面に擦り付けながら投げ飛ばした。

 

「ギュガァガッ!?」

 

壁へと激突し泉へと落ちたヴァルハザク。着水した瞬間、変色した泉へ接触した部分に激痛が走った。

 

驚いたヴァルハザクが翼をはためかせ飛び上がり、脚や胴体に付いた水滴を払う。触れた部分は少々ボロボロになっており、泉の中には黒い何かが無数に蠢いていた。

 

「ゴァァアアアッ!」

 

戦いの最中に余所見など、ましてや思考するヒマなどない。飛んでいると言っても、ここは洞窟の中。ミディールは少し立ち上がるだけで十分な高度を確保し、ヴァルハザクへと左前足を叩き付けた。

 

「ギュルルルァァアアアンンッ!?」

 

泉へと叩き付けられたヴァルハザク。水の中で蠢いていた蟲どもがヴァルハザクを喰らい始めた。

 

ミディールは暴れるヴァルハザクを押さえ続け、ジワジワと喰われる激痛にヴァルハザクは悲鳴をあげた。

 

瘴気がミディールへと襲いかかるも、内に潜む闇が顔を出し喰らっていく。瘴気が効かないことをすぐさま理解したヴァルハザクは、脚と尻尾で水面を叩くことでミディールの顔へ水をかけた。

 

生物は液体が顔に飛べば反射行動をとる。目を瞑り顔を背けたミディールの隙を突き、ヴァルハザクは拘束から脱出。今度は鋭い爪でミディールを切り付けた。

 

ヴァルハザクの爪はとても鋭利。獲物へと深く広い傷を付けることで大出血を招くことができる。

 

しかし、ミディールの荒い鱗はボロボロの割にとても硬い。さらには闇が内を回り切り裂かれた肉の傷を物理的に塞ぐことで出血をさせない。

 

ヴァルハザクにとって、ミディールはこれ以上無い天敵となっていた。

 

しかし、傷は傷。痛みもあれば動きづらくもある。それは確かにミディールにダメージを与え、みごと堪忍袋の緒を切った。

 

「ゴガアァァアアアッッ!!」

 

ミディールが地面へと火炎を吐き出した。舐めるように広がる火炎はヴァルハザクの活性瘴気によって届かない。

有効打が無い状態でどう戦うか、と思考しつつ警戒していると、ミディールに変化があった。

 

ミディールの吐いていた火炎が、前触れもなく光線に切り替わった。

 

ミディールが首を動かし、驚愕していたヴァルハザクへと光線が向けられた。

咄嗟に躱そうとするが、ミディールが光線で一閃する方が早かった。

 

屍肉が焼き切られ、甲殻が削られる。ついで黒い光の爆発がヴァルハザクを包み込んだ。

 

「ギュルァアアンッ!?」

 

たまらずヴァルハザクが通路へと逃げる。ミディールは光線で薙ぎ払うも、通路の向こうへと消えたヴァルハザクには当たらなかった。

 

ミディールは一度()()()()()()()、その場に脱力する。彼は大した闇も持たないヴァルハザクを追うよりも、まず内のエネルギーを吸収しきることを優先したのだ。

 

全ては果たすため。

 

目を閉じ、体内の闇の循環に全力を注ぐのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

瘴気の谷と陸珊瑚の台地、その中間にヴァルハザクはいた。傷が痛もうが疲れ果てようが、彼は休むことなく走り続けている。

 

彼は生まれて初めて恐れを抱いた。古龍たる自分が、初めて心の底から恐怖を抱いている。

 

「ギュルガアッ!!」

 

再び身体を削られた。もっとスピードを上げなければ。

 

ヴァルハザクを追い、まとわりつくモノが複数。白い目のような光が浮かぶ黒い精。生命あるものを喰らい書き換える闇の蟲。

 

理解が出来ない。得体の知れない物が、圧倒的上位者であった自分をジワジワと喰らう。それがもたらす恐怖は計り知れない。

 

ヴァルハザクは逃げて逃げて逃げ続けた。蟲が見えなくなろうとも、彼は走り続けた。

 

やがて疲労で脚がもつれ、倒れ込んだ。すぐさま周囲を見渡すが、あの黒いナニカの気配は無い。

 

疲れ果て、余力も少なかったヴァルハザクはその場で眠りについた。

初めて抱いたものに困惑を、そして敗北という屈辱を感じながら。

 

まるでヴァルハザクを労わるように、木漏れ日が彼を包みそよ風が撫でる。()()()()()()()()()で、彼は癒しの時間を手に入れたのだった。

 

 




追う者たち

古い魔術を元に生み出された上位の闇術。
生み出された闇は意思を持つかのように
目標を追い続ける。
それは何かの情念の塊のようなものである。それは怒りであり、あるいは愛かもしれない。

主人公の武器どれにする?

  • 片手剣
  • 双剣
  • 大剣
  • 太刀
  • ハンマー
  • ランス
  • ガンランス
  • スラッシュアックス
  • チャージアックス
  • ライトボウガン
  • ヘビィボウガン
  • 操虫棍
  • 狩猟笛
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