時空を超える猫になったと思ったら時層が違った   作:猫or人間

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外典が終わってから無性に書きたくなって書いてしまった。



第一話

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――――いつの間にか、猫になっていた件。

道路に飛び出した黒猫を助けようとして、車に轢かれたところまでは覚えてはいるが、その時感じた痛みが嘘だったかのように消えていて。

自身の状態を確認しようと体を起こそうとしたら、妙に慣れた感覚で四足歩行をしていた。

言葉を発しようとしても、「にゃー」しか言えない。

 

完全に猫だった。

 

ちなみに、野良猫ではなく飼い猫である。

額に白い模様がある黒猫で、名前はソリク。

中世風の家が並び立つ村に住む、父・母・娘の三人構成家族と一緒に暮らしている。

 

頭の中では人だった頃の言語で物事を考えているが、この世界の人達の言語は理解出来ない。

そもそも、今いるこの世界、どうやら地球じゃないらしい。

 

家族旅行で村とは規模が違う都市に連れられたことがあったが、見たことのない大きな城が建てられてたので間違いない。

ここまで立派な城だったら、現存してない場合でも何かしらの記録が残っているはずだが、該当するような城は記憶になかった。

 

「……にゃー」

 

それにしても、黒猫を助けたら自分が黒猫になるとは思ってもみなかった。

とりあえず、この世界の人語を理解することに専念する。

 

 

この世界に転生して三か月がたった。

猫なので働くこともなく勉強に時間を費やした甲斐もあって、人の言葉を少しは理解できるぐらいに到達したことで、情報を得ることができるようになった。

 

平原の方で魔物が現れた、湿原で怪しい人影を見つけた、村の自警団が魔物をとっちめた……などなど。

この世界が意外と物騒であることが分かったうえ、さらに重大な事実が発覚した。

 

「あ、()()()兄ちゃん!リリス……うちの猫が、またどこかに行っちゃったんだ……」

「またか、あのやんちゃ猫!よし、すぐに見つけ出すから、心配しないで待っててくれ」

「いつもありがとう、アルド兄ちゃん!」

 

()()()()()()で犯罪を犯したやつがいたらしい」

「馬鹿だなぁ、王様のお膝元で犯罪たあ。当然、騎士団につかまったんだろ?」

「ああ、()()()()()が直々に捕らえたらしい。」

 

……この世界、アナザーエデンだ。

 

 

 

アナザーエデン。

もともとはキロスという名の猫だった主人公のアルドが、過去・現在・未来の世界をめぐり、数多の仲間と出会い、未来世界で家族だった、キロスが人間になるときのモデルになったエデンを助け出すまでを描いたRPG。

スマホゲームとは思えないほど濃密で、かつ仲間たちの関係も緻密に組んであり、完成度がとても高い神ゲーだ。

 

まあ、今世の名はソリクであってキロスでも、アルドたちの家で飼っている黒猫のヴァルヲでもないので物語に関わることなく生きていくことができるだろう。

額の模様がゲームで見たキロスと似てるように見えるのも、妙にアルドがチラチラ見てくると感じるのも気のせいだ、そうに違いない。

だってここ、現代だし。

キロスは未来の猫だから俺とは関係ないに決まっているのだ。

 

 

そう思っていた時期がありました。

 

いつものように言葉の勉強をしながら家の外を歩いていたら、青い光に吸い込まれて何かの施設らしき場所に迷い込んでしまった。

どう考えても未来世界です本当にありがとうございました。

 

そういえば、キロスって現代の猫が未来に迷い込んだ末に名付けられたことを第一部の最後の方に明かされてたわ。

さすがに現在世界在住時の名前までは覚えてなかった。

言われてみればソリクだった気がしないでもない。

 

と、いうわけで現在はクロノス一家在住である。

父・クロノス、母・マドカ、息子・エデン。

そこに飼い猫である俺・キロスが加わった形だ。

まさにアナザーエデン本編がそこまで迫っている。

 

黒猫を助けただけなのに、終わりの見えない旅をつづける宿命のもとに生まれ変わるとか、本当に勘弁してほしい。

……かといって何もしなかったら世界が終わるから、生きるためにはやるしかないのだが。

 

方針としては、原作通りに進めること、これ一択だ。

過去現在未来の世界がかかわる以上、原作を無視した動きがどんな形で返ってくるか想像もつかない。

小さな行動の違い一つで世界終焉もあり得なくはないのだ。

世界を救うためではなく、俺は俺が生きるために原作を踏襲して生きていくことにする。

 

この決意が、全くもって無駄になるなんて、この時は思いもしなかったのだ。

 

#

 

クロノス一家に拾われて数年が経ち、娘・セシルが誕生した。

そろそろ原作開始が近づいている。

クロノスの口から"巨大時震"、"時空の崩壊"、"時空の穴"といった単語が出始めた頃には覚悟はしていた。

 

そしてセシルが産まれた今、古代に渡ろうとする一家の計画に障害物は無くなった。

計画始動の準備に取り掛かっているだろう。

 

「キロス。セシル、可愛いね!」

「にゃ〜」

 

これから時の暗闇の中で16年間孤独を過ごすことになるエデンが、まだ赤子であるセシルに手を伸ばしながら話しかけてくる。

知っていながらも見て見ぬふりをしなければならない罪悪感が俺を襲う。

 

本当であれば、計画を阻止してエデンを孤独にさせない方がいいのだろう。

数年間を共に過ごしたご主人様であるエデンとは良好な関係を築けているがために、原作通りの展開にしたくないという気持ちも大きい。

だが、阻止すれば巨大時震を止めることが不可能になり、世界はファントムの思うがままになるのは勿論、巨大時震で俺も死ぬ。

悔しいが、生きるためには計画は必要だ、止めることは出来ない。

 

「ぼく、セシルを守れるような頼れるお兄ちゃんになりたいな!」

「にゃあ」

 

純粋に夢を語るエデンを、地獄に落とすような真似をしなければならないとは。

絶対に救いに行くから、待っていてくれ、ご主人……。

 

―――そして、運命の日は訪れた。

開いた時空の穴に、俺を含む一家が吸い込まれていき……。

俺はセシルと、現代・月影の森に舞い戻った。




駄文失礼しました。
このクオリティで不定期亀更新予定とか救えねえなコイツ()
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