モチベが上がります!
あの後、何とか掃除を終わらせた俺はすぐさま魔術の実験を再開した。
「ガウゥ!(フライ!)」
ーフワァァー
まず初めに失敗しても被害が小さそうな『フライ』と言う空を飛べる呪文を唱えてみた。
この実験は見事成功した。
俺の巨体は風船のようにフワフワ浮かび上がり翼をはためかせれば、あっという間に数十メートル程浮かび上がった。
「ガォォォォォ!!(やっほー!!)」
翼をはためかせながら夕焼けに照らされた空中を飛び回った。
移動速度はどんどんと上がっていきあっという間に音速を超えた。
「グガァァァ!?(いてぇえ!?)」
音速を超えた辺りで目の前に飛び込んできた翼竜にぶつかり顔面に痛みが走った。
「グァァ…(うぅ、酷い目にあった)」
俺が涙目になっている中、俺と衝突してしまった哀れな翼竜はバラバラになって地上に落ちていった。
「グゥゥ…グガァァ(すまん…次からは前を見て飛びます)」
空を飛んだ時の興奮から目覚めた俺は、先程と打って変わって、ゆっくりと寝床の場所まで戻った。
寝床の周囲には小さな恐竜がかなりの数集まって生活していた。
ほとんどは虫や魚を食べる恐竜らしいが中には草食恐竜らしき生物も見えた。
「グァァ〜(帰ってきたぞ〜)」
ーキーキー!ー
言葉が通じているかは分からないがチビ達は俺の方向を向いて鳴いている。
まるで犬のように見えるが多分威嚇しているんだと思う。
「グゥゥゥ…(とりあえず、寝るか…)」
俺は改めて広くなった寝床で眠りにつこうとした。
まだ日は完全に落ちていないがそう遅くないうちに暗くなることだろう。
「グガァァァァァ!!!」
「ッ!?(何だ!?)」
眠ろうとした俺だったが突然聞こえてきた大きな音に眠りを邪魔された。
その音は巨大な肉食恐竜の声と思われ周囲にいたチビ達は俺の背後に隠れてしまっている。
「グガァァ、ガゥゥ!(とりあえず見に行くか、フライ)」
ノッシリと起き上がった俺は足元のチビ達を踏まないように声が聞こえた方法に飛んで行った。
「ガウァァ!(あれか!)」
「ガァァァ!!!」
「ブォォォォ!!!」
俺が見つけたのは群れで逃げる大型の草食恐竜とそれを追いかける大型の肉食恐竜の姿であった。
「ガゥゥ…(あれは確か…)」
肉食恐竜の方はよく分からないが草食恐竜の姿には覚えがあった俺は、かつての記憶を掘り起こして必死に名前を思い浮かべた。
「ガウゥゥ!(イグアノドンだ!)」
思い出した俺はその恐竜の名前を叫んだ。
思い出せた事を喜んだ俺だったが…あの肉食恐竜にはお気に召さなかったらしい。
「グガァァァ!!!」
「ガ?ガァァァ!?(え?こっちに向かってくる!?)」
俺が叫んだことで威嚇してしまったらしく、あの肉食恐竜は俺に向かって噛み付いてきた。
咄嗟のことに避けることも出来ず俺は噛まれた。
「グッ、ガ?(いたっ、くない?)」
「グゥゥゥ!!」
こちらに噛み付いてきた恐竜は必死に俺の体を食いちぎろうとしているが俺の硬い鱗に阻まれて一向に食いちぎられる気がしない。
「ガァァァ!グガァァ!!(鬱陶しい!いい加減離れろ!!)」
「ギァァァ!」
俺が腕を振り上げ鋭い爪で切りつけると、噛み付いてきた恐竜はおもちゃのように勢いよく倒れた。
まぁ、大きさも俺と比べたら大したこと無かったし当たり前だが…。
「グガァァ!」
「ガァァァ…(やっと行ったか…)」
俺に倒された恐竜はしばらくしてから立ち上がりこちらを威嚇してから去っていった。
気づけば襲われていたイグアノドンの群れの姿も見えなくなっており、周囲に俺以外の大型生物は存在しなくなっていた。
「グガァ…(帰るか…)」
俺は哀愁の漂う巨体をゆっくりと飛行させ寝床に戻った。
結構、俺の初戦闘は中途半端な状況で終了を迎えてしまったと言う事実だけが残った。