希死念慮   作:オコゲ

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リメイクしました!やっぱり一番の見せ場なんで・・・。





『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』

とはいえ派手に啖呵を切ってしまったが、この絶望的な状況は変わらない。それに俺は今まで喧嘩などをした事がなく、武道なんか以ての外だ。そして両手にはどう使えばいいのか分からない武器たち・・・。目の前には架空の世界にしか存在していなさそうな化け物。正直、俺は詰んでいる。

 

 

(やけど、俺は絶対諦めん!!)

 

 

そう俺自身を奮い立たせていると、化け物はその恐ろしく大きな口を開け、悍ましい程の鋭利な歯をコチラに向けたと思うと、涎を撒き散らしながら俺に喰らいつくため、飛び掛ってきた。

 

 

 

(目を逸らしたら死ぬ!!)

 

 

死の恐怖によって目を逸らしそうになるが、もし逸らしたら次の瞬間にはこのおぞましい口に切り刻まれて終わりだろう、と理解していた為、必死で相手の動きを見る。

 

 

「よッッと!」

 

 

全身の筋肉をバネのように使い、全力で右へローリングをし、何とか避ける。

瞬時に後ろを振り返ると、喰らう相手を見失った化け物はそのまま後ろにあった木へとぶつかり、モゾモゾと蠢いていた。

 

 

(・・・ハッ!?今や!!)

 

 

回避出来たことに安堵して気が緩んでしまったが、戦いはまだ終わっていないことに気付き、体勢を整える。そして、

 

 

 

 

「死に晒せやボゲぇ!!」

 

 

俺が今出せる全力の速度で右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)を振りかざし、力任せに振りかぶる。

 

しかし、

 

 

「なッッ!!コイツ硬ぇ!」

 

 

右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)が化け物の体に触れようとした瞬間、【ナニ】か得体の知れないモノがやつの体を覆った。だが、今更武器を止めることも出来ず、そのまま振り切る。すると、まるで岩に対して斬りかかっているような感触を感じ、弾かれる。

 

 

(なんでや!?)

 

お世辞にもコイツ(化け物)の体は硬そうとは言えない。むしろ、カブトムシの幼虫の様なブヨブヨと生理的嫌悪を覚えるような表面だ。外殻などは一切なく、ただただ柔い表面が曝け出されている。しかしそんなモノ(表面)に俺の右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)は跳ね飛ばされたのだ。そんな事は普通に考えてありえない。だが相手は見たことも無い化け物。その柔そうな表面こそがコイツの防御手段なのか、それともあの【ナニ】かなのかは分からない。だが、どっちにしろ、

 

 

「こんの化け物が・・・!」

 

 

相手が化け物である事には違いない。

両の手は衝撃によりジンジンと熱が籠る。まだまだ腕は使えるが、このままでは殺せない、また弾かれるだけだ。

 

 

(どうする!?どうすりゃええんや!?)

 

 

必死に策を考えている間に、化け物が起き上がる。そして、

 

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」

 

 

化け物はまるで俺を嘲笑う様に奇声を上げる。それはもう楽しそうに。

するとまた化け物の体を【ナニ】かを纏う。その瞬間、俺に背筋が凍るような感覚に陥る。これは、この感覚を俺は知っている。そう、これは死の気配だ。

 

 

(マズい!!!)

 

 

思わず右歯噛咬(ザリチェ)と左歯噛咬(タルウィ)を前に構える。次の瞬間「え、

 

 

「え、ガフア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」

 

 

まるで全速力のトラックと衝突したような衝撃が俺を襲う。ぶつかった瞬間、奇跡的に俺自身の身体を後方へ跳ぶことが出来たが、とてつもない勢いで吹っ飛び、二十メートルほど後ろに転がり、やっと止まる。そして衝撃の次に来たのが、両腕からのまるで燃えるような痛みが全身に走った。両腕の肘から先の感覚が痛み以外感じ取られない。痛い、痛い、ただひたすらに。だが、まるで当たり前かのようにこの痛みと向き合えることが出来る。日常的にこのような、いや、もっと酷い痛みを味わっていたかのような・・・。

 

 

(だがもうアカン・・・。流石に右歯噛咬(ザリチェ)、左歯噛咬(タルウィ)は振るわれへん・・・)

 

 

たとえ常人では失神してもおかしくないような痛みを感じていても、まだ戦闘続行は出来る。出来るが、両腕がこうも壊れてしまった(粉砕骨折)ら何もすることが出来ない。まぁ、あったとしてもこの化け物に俺の剣が届くかどうか、だが。

 

 

 

(もう打つ手が無い・・・。どうする?)

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

(いや、一つだけある。あるんやが・・・。)

 

 

それは、俺の、いや俺の身体の『アンリマユ』、例外を除けば唯一の宝具、奥の手がある。

しかしそれは、発動するかも分からない。この身体がこの世全ての悪(アンリマユ)だったとしても俺はまだ、この身体について何も知らない。何が起こって俺が生まれたのか。このような(転生)をさせたのは一体誰なのか?今の俺は何ができるのか?まだ、何も知らない・・・。

だが、

 

 

(もう他に手は残ってへん。何もせずに死ぬよりは・・・。)

 

 

そう。もうこの手しかないんだ。これを発動させないと死ぬ。

・・・俺が何もせずに無抵抗でヤツに喰われる?・・・・・・・・・俺が死ぬ?

 

 

 

・・・

 

 

 

 

(そんな事は許されない・・・。俺が死ぬことは許されないんや!!)

 

 

ならばもう答えは得た。

次に俺が何をすべきかなんて考えなくても分かる。分かりきったことだからだ。化け物への勝利と俺の命を天秤に掛ける。

確かに怖い。怖くないはずがない。だがもうこれしか無い。それに、

 

 

(俺が死ななければいい(・・・・・・・・・・)。なんや、簡単な話やないか・・・!)

 

 

思わずワラッテしまう。それを不気味に思ったのか、化け物が小さい悲鳴をあげ、一歩後ろに下がる。関係ない。

(さぁ!!俺の、いやオレ(・・)の一世一代の大博打や!!)

 

 

 

何故か怯えた表情(雰囲気?)をするヤツ(化け物)へと向き、

 

 

 

 

 

「おい、オマエ・・・。」

 

オレ(・・)の声に反応して、化け物が逃げようとする。だが、もう遅い。

 

 

「いいか?今から起こることは全部テメェの自業自得(・・・・)だ!!」

 

 

嗤いが止まらない!!あぁ、なんて最高な気分なんだろうか!今なら何でも出来そうな万能感がオレ(・・)の身体から湧き出して止まらない!止まらぬインスピレーションに身を委ね、冷めぬアジテーションのまま宝具(・・)を発動する!!

 

 

 

 

 

「逆しまに死ね!『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスタ

ー)』!!」

 

 

 

 

オレ(・・)の身体から【ナニ】かが抜けるような感覚とともに、言い表せぬ満足感がオレ(・・)の中で弾け跳ぶ。多大な幸福に身を浸かっていると、ヤツの体に変化が起き始めた。

 

 

 

ヤツの醜悪な体から無数の裂け目が出来、そこから青い血が大量に噴出する。それだけでなく、ヤツの凄惨な16本の足半数が爆発した。

 

 

 

 

「ピギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 

 

突然の酷い痛みに混乱し、金切り声を上げながら地面を転がり回る。そのザマに醜怪だと吐き捨てる。もうコイツは突然の損傷に驚いて他に意識が向いていない。・・・モチロンオレ(・・)に対しても。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

オレ(・・)はすぐさま右歯噛咬(ザリチェ)を呼び出し、それを口に咥えるとオレ(・・)に残っている力を全て振り絞り、ヤツの元へと駆ける。

 

 

 

「アッ!」

 

 

最後にオレ(・・)に気付いたらしいが、もう遅い。

 

 

 

「ヒィね!!(死ね!!)」

 

 

 

 

ヤツが【ナニ】かを纏う前に右歯噛咬(ザリチェ)がヤツの脳天へと突き刺す。歯に気持ち悪い感触が伝わる。だが、ここで引いてしまったら仕留めきれてない可能性がある。そうだったらオレ(・・)が死ぬ。

そう決断し、そのまま食いつく様により深々と突き刺した。

 

 

暫くすると、ヤツの体が空間に溶けるように消え始めた。

それを見てやっと終わったんだと安心した瞬間、

 

 

「あァ・・・」

 

 

身体中の力が抜け、膝が崩れ落ち、そのまま倒れた。

 

 

もうどこにも力が入らない。あの最高だった感覚も消え去り、今あるのはただ強烈な眠気のみ。

 

 

このまま寝てはダメだ。また別の化け物に襲われたらどうするんだ。

 

そうわかっていたとしてもこの眠気は止まらない、止められない。

次第に薄れゆく意識の中、

 

 

(和人・・・、絶対に帰るから、待っとってくれ・・・。)

 

 

それを最後に、オレの意識は闇へと落ちた。

 

 

 

 

 




これがやりたかった!(満足)

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