ふと、目を覚ますとそこは、馴染みある俺の家だった。
・・・
は?
「なッッッ!!」
うつ伏せの状態から無理やり全身を持ち上げ、部屋の中を見渡す。
そこは、あまりにも見慣れ、そして思わず涙が出るほどの懐かしさを感じてしまう、俺達の家だった。そうしてふと気付けば俺の身体は、『アンリマユ』のものではなく、本来の俺の身体へと変わっていた。今までのは全部夢だったのか?・・・いや、俺は今こうして家に居る。森なんかではない。
(ハッ!せやッ!!和人は!?)
今の理想的な現実に縋っていると、弟の事を思い出しとても会いたくなった。会えたら先ず抱き締めたい、ここに弟がいるんだっていう証明が欲しい。その後は今見た夢の話をして面白可笑しく話そう。しかし周りには弟がいない。再び混乱して必死に弟を探す。ここにいないとしたら寝室と考え隣の襖を開けようとする。だが襖はビクともせず、まるで壁の一部かのように固定されていた。
「なんでや!!なんで開かんのや!!」
ガタガタと襖を開けようとしても開かず、無理やり開けようと襖を蹴飛ばそうとしたその時、
『おいおい、いい加減諦めなって。』
ケッケッケッと笑う声が後ろから聞こえる。さっきまでは誰も居ないことは確認している。不可思議な現象の連続に脳が悲鳴をあげ、後ろにいる存在は一体誰なのかを確認する為に全力で振り返る。そこには、全身の肌は浅黒く、しかしその肌の上に禍々しい紋様が浮かび、それを覆い余るほどの存在感を出している。
額と腰には赤い布を巻いて、その顔に道化のような笑みを浮かべている。その姿は先程まで俺が動かしていたであろう身体を持っていた。
「お前は、アンリマユ・・・か?」
もう既に分かりきったことを彼に問う。たとえわかっていたとしても確認したかった。すると、彼は待ってましたと言わんばかりに笑みを深め、
『おぉよ!オレが
─まぁオマエの思っている
と口にした。あぁ、今までの出来事は夢ではなかったのか。あれは実際に起こっていて、弟には会えないのか。心が痛い、とても。期待していた分、これはあんまりにも酷いんじゃないか。そうして鬱々になったが、彼が言った内容に少し違和感を感じ、反射的に問いた。
(最弱・・・
そう、俺はアンリマユをサーヴァントとして記憶しているが、彼は今呪霊と言ったんだ。そう、
「必死に考えているとこに悪いが、オレはオマエの知ってるヤツとは別の存在ってこった!まァ、別の
補足をしてくる彼に、まるで心を覗かれているような感覚を覚える。俺は考えを口には出していない。ずっと頭の中で考えていた。しかし、そん考えは筒向けで知られている。どういうことだ。
『そらそうだ、
さも当たり前の様な言い方に余計混乱する。
(俺は
何故俺と彼のような存在と一緒なんだ?殺されたりするのだろうか。
何故彼は友好的に話しかけてくるのだろうか。なにか狙いがあるのだろうか。もし、なにか狙いがあって、俺に接触しているのだとしたら、俺は抗えるのだろうか?必死で生き残るために全ての手を使い、挙句に命までも天秤にかけ、運良く生き残れたのにここで終わるのだろうか?そんなことは絶対にさせない!絶対にさせるか!!
と考えていると、
『だァァ!!ウッセェーウッセェ!!オレさっき言ったよな!?
「え、あ、ご、ごめんやで?」
あまりの険相っぷりに驚いて思わず謝ってしまう。
すると、少し間を挟んで彼は、
『とりあえずコレだけは言っとく。オレはオマエに手出しをするつもりはねぇ。ていうか出来ねぇ。』
と言った。俺が何故かを聞こうとする前に、
『身体の主導権はオマエあるからオレはなんもできねーんだよ。まァ、出来たとしても面白くねーからしねぇけどな?』
「なんで面白くないんや?」
彼の言葉を聞いてふと出た疑問を口にする。あァ?と彼が気怠げに返事をすると、
『此処はオマエの
と理解の追いつかない事を言ってきた。
_________________________
『人間誰しもどのような場所、育て方をされてどのような人格が生まれたのかは違う。コレは当たり前のことだが、どんな人間だろうとその内側には、ソイツだけの行動原理の根っこがある。それが
「な、なるほどな〜・・・」
話の内容を全部理解出来たというのは嘘になる。だが、彼にそう言われて、確かに物心ついた時からずっとこの部屋に住み、喜怒哀楽を感じ、何より此処にいるのがこの世で一番幸せだと感じていたから、あながち此処が俺の生き様という事は間違いでも無いかもしれない。
『じゃあ次にオレについてを話していくぜ?・・・とまあ早速結論から言うが、オレはオマエの思ってるヤツとは別モンだ。』
俺の知っている存在とは別という事は、fateのアンリマユの事だろう。確かに別の存在が本当なら先程の矛盾も納得がいく。だが、そんな事は有り得るのか?
『少しややこしいがオレは、ふぇいと?のオレと同じで
─それがオマエだ。
と俺の目を見てそう言った。
『その時オレはまだ自我がなかったんで抵抗はできなかったが、オレとオマエが完全に混ざりあった後、オレに自我が芽生えた。オレが自我を芽生えた時はオマエは気を失っていたが、オレは意識があった。当然、突然芽生えた自我に困惑し、ただオレが今まで何もせずに存在していただけの
─そんな時に突然、様々な情報が入り込んで来た。
『オマエが今まで受けた仕打ち、オマエの弟について、オマエの考え。膨大な量のオマエが今まで歩いてきた道筋を知った。そしてなりより、げーむの知識の中にオレと同じ存在の
─そーしてオレが出来た訳だ。
『だからオレは本物じゃあねぇが、少なくても
正直に言うと、理解出来ない。理解が追いつかない。回らない頭の中でただ一つ、聞着たいことがあった。それは、
「弟は、弟は大丈夫なん・・・?」
弟のことだ。
ちなみにこの兄弟が住んでる場所はボロアパートです