─ここは、オマエがいた年代より1600年程前の世界なんだよ・・・。
俺の頭の中で有り得ない、いや、信じたくない情報が反響し続ける。
だが、その真実について理解し、受け入れる事が出来るのは架空の世界の人物だけだろう。彼が言っていることは真実であることは彼が俺自身なので嫌でも分かる。分かりたくなかった。この短時間で多大なストレスを受けたせいか、頭が痛い。吐き気が止まらない。
俺が必死に吐くのを我慢してようとして手を口に押さえていると、
『・・・このザマじゃあ話は続けられねぇなあ。別にそう急ぐ必要もねえ。オレは心が海並に広いから落ち着くまで待っておいてやるぜ。』
「いや、大丈夫や。さっきも休んだし、それに休んだる暇はないから。」
『・・・分かった。じゃあ続けるぜ?』
「ごめんな?・・・ありがとう。」
彼は少し眉をひそめたが、すぐさま真剣な面持ちになった。
『さっきも言った通り、この世界はオマエの知ってる世界よりだいぶ前の平行世界だ。オマエの記憶通りなら古墳時代か?オレがただこの世界をさまよっていた頃、確かに自我がなく存在しているだけだった。だがオレは
─要は、オレは人類が生息しているトコだったら何処でもいるんだぜ?
「何それチートやん。」
『それがそうとも言えないんだよなぁコレが。』
反射的に出てしまった言葉を、彼は否定する。
『確かにオレはどこにでもいるおかげで、
─具体的に言うと、オレ達の呪力量が完全に元に戻っても前の十分の一くらいだな。
『オレが今でもできることは、人間がいる場所の様子をボンヤリとだが知ることが出来ること、所謂ネットワークだな。』
「いや、それでも十分やろ。」
『・・・話は逸れたが、自我がなくても他のオレの情報が流れ込んで来るから今の人類の様子を識っていた。その情報とオマエの記憶と照らし合わしてみたら見事に一致していた。』
─・・・ここまで変わっていなかったら、もしかしたらオマエの世界でも呪霊がいたかもな?
ケッケッケっと彼は笑う。
『そんでここは古墳時代、大体1600年前だ。だから単純に考えたらあと1600年経てば元の時代に戻れるわけだ。』
─
(会いたいか・・・やと?そんなん決まってる!!)
「たとえ!!たとえ何千何万年待たなくてはならなくても!俺は、この世で一番大切な弟を!俺の幸せを絶対に護ると俺に、そして
すると彼は、口笛を吹き、
『オマエイカれてんな!!』
と腹を抱えて笑いだした。
そして暫くすると、
『そうじゃねぇと面白くねぇ。』
そう笑った。
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『・・・さて、そろそろお目覚めの時間だぜ?』
「なんやて?」
すると突然、オレの視界が急にボヤけてきた。 四肢の感覚が鈍くなってきた。五感もまるで機能しない。まるで夢心地の様な感覚だ。
『 レらの が目 めようとしてんだろ。何も シなことじゃ ぇ。』
彼が何かを言っているが、ノイズが走って聞こえない。意識がどんどん遠のく。何も見えない。聞こえない。
ただ、俺はこれだけは彼に伝えたくて、
─これからもよろしくな。
と心の中で思うと、
少し間が空いて、
─・・・よろしくな、
そう聞こえた瞬間、俺の意識が完全に消えた。