人間殴ルーラーとドチートと凡夫どもが逝くFF人理修復(夢想姉妹視点) 作:神代リナ
さて、いつも通り退屈な授業の時間を寝て過ごして、自宅へと帰って来た訳だが……毎日やってる確認作業をしよう。
……防御用魔術は一切作動していない。
そして、結界の類いが破られた反応もない。
よしっ、誰も侵入してないね。
もう、前みたいに魔術師殺しに侵入されたらたまったもんじゃないから。
ただ、油断は禁物だ。
土日に入ったら、術式に綻びがないかきちんと調べたりもしとこう。
安全を確認した私は、玄関の扉を開く。
「ただいまー」
そう私が言ってから数秒後。
ドタバタと下に誰かが慌てて降りてくる音が聞こえ……。
「お帰りなさい! お姉ちゃん」
姫華が玄関に現れた。
……服は朝のまま。
多分、今日も姫華は学校に行かなかったのだろう。
……うん、数日前に両親が惨殺されたばかりだから仕方ない。
しばらくは様子を見よう。
「えーっと、彼女は?」
「? ……あぁ、あの使用人さんのこと?」
「そうそう。あの人はどこに居るかな?」
靴を脱ぎながら、そう聞く。
使用人さん……まぁほんとは半分正解で半分間違いか。
あの人は、
お母様もお父様も居なくなったせいで手が回らなくなった仕事と私が家にいない間の姫華の世話をして貰えるのはかなり大きい。
それなりの額のお金を払わなくてはならないとしても。
「さっき、スーパーに買い物しに行ったよ」
「そう」
今は16時、まぁ晩御飯用の買い物か。
ちょうど良かった。
「どうしてそんな事を?」
「今日も帰るのが夜中になりそうだからさ。私の分の晩御飯いらないって事をカイトさんに伝えておいて」
「……また、当主としてのお仕事?」
「うん、ごめんね。一緒に居れる時間が減って」
「……むしろ、私がお姉ちゃんに謝らないと。だって、私がナヨナヨしてるから……」
姫華が俯きながら、そう呟く。
……バカね。
貴女はまだ9才なんだから……私に、お姉ちゃんに頼っていいのよ。
「良いのよ。貴女は妹なんだから、お姉ちゃんにバンバン迷惑をかけなさい」
私は、姫華の頭を優しく撫でながらそう言う。
……罪悪感なんて、感じなくていいの。
悪いのは私。
次期当主の癖に、現当主を守れなかった私が悪い。
「……うん」
「よし、いい子だ。じゃ、私は着替えたら、仕事に行くから」
「分かった……お仕事、頑張ってね」
「ありがと。お姉ちゃん、頑張ってくるよ」
……ま、まだ表情は曇ってるけど、そもそもここ数日笑った事がないことを考慮に入れると及第点かな。
なんて、考えながら二階の自室に入る。
とりあえず、鞄をベッドの上に投げ捨て、制服を脱ぐ。
そして、クローゼットの中から仕事用の服……そう、巫女服を着る。
それから、ベッドの下から細長い木の箱を取り出す。
彼らに、夢想家当主である事を証明するには絶対にこれは必須だ。
仕事準備を終えると、私は部屋を出る。
さて、昨日の仕事は完璧に終えた。
あとは、今日の話し合い次第だ。
それ次第で、私が夢想家15代目当主になれるかが決まる。