人間殴ルーラーとドチートと凡夫どもが逝くFF人理修復(夢想姉妹視点)   作:神代リナ

5 / 8
はい、FGOの二次創作です。
他の作者と共同で作った作品なので、別オリジナルマスター視点も良かったら見てくれるとありがたいです。


本編序章 炎上汚染都市冬木
第一話 燃える街


 目の前には燃え盛る冬木の大地が広がっている。

 

 ごうごう。

 

 ごうごう。

 

真っ赤な炎が燃え盛る

 

 まるであの日の血のような真っ赤な炎が

 

 あぁ、この特異点はなんて悲しい/美しい世界なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……体内時計がそろそろ起きる時間だと私に訴えかけてくる。

 いやだ、私はまだお布団を手放したくない。

 

「……さん、姉さん、起きてください」

 

「……あと5分」

 

 私が起きろと訴えかけてくる理性と戦っている所に、私の妹が理性側で参戦する。

 これで1対2。

 どうして、私が劣勢なのだろうか? 私はただ生物の本能(睡眠欲求)に素直に従って寝ているだけなのに。

 

 こうなったら、徹底抗戦だ。

 そう固く決心し、顔が隠れるくらいまで布団に深く潜り込む。

 しかし……

 

「馬鹿なこと言わないでください。姉さんがそう言って5分後に起きたことないでしょう? ほら、早く起きてください。今日は初の実戦任務があるのですから」

 

 我が妹は鬼畜である。

 なんと、布団を無理矢理取り上げやがった。

 鬼! 悪魔! 魔女! 

 

 生地の薄い寝巻きじゃ少々寒い。

 ……仕方ない、起きるとしよう。

 

 私は瞼を開けると、私の顔を覗き込んでいる薄い金色の髪を持つ少女の顔が目に入る。

 髪色こそ違えど、私と良く似た、ただ少しまだあどけなさの残る顔のこの少女、彼女は夢想姫華。私の血の繋がった妹だ。

 

「おはようございます、姉さん」

 

「おはよ、姫華。毎日、わざわざ起こしに来てくれてありがとう」

 

「ふふっ、どういたしまして。さて、早く身支度を整えて来てください。朝食の用意をしておくので」

 

「ん、分かった」

 

 歯を磨いて顔を洗った後、私は何の服を着ようかなーと考える。

 うーん、今日はすぐ後にオルガマリーの説明会があるしちゃんとした服着るか。

 そう思い、私は魔術協会から貰った魔術礼装である魔術協会制服を着る。

 

 装備は……一応拳銃(M19)とコンバットナイフは今から持っておこう。

 よしっ、準備万端。

 

 身支度も終えたので私のマイルームのど真ん中にある小さなテーブルの前に座る。

 

「姉さん、こちらを」

 

 妹が少し少なめのフレンチトーストを持って来てくれた。

 ちなみに手作りである。

 まったくありがたいものだ。

 

「ありがとう、いただきます」

 

 持ち上げるとポタポタと蜂蜜が滴り落ちるフレンチトーストを一切れ食べる。

 ん〜。甘い、美味しい。

 

「姉さん、甘いもの好きですよね」

 

 ……もしかして、顔にモロに出てた? 

 だったら、ちょっと恥ずかしいかも。

 

「ま、まぁ、ほら……脳に必要な栄養だってブドウ糖だし。生物としては普通だし?」

 

 一体私は何を言っているのだろうか……? 

 冷静に考えるとそう思ってしまった。

 

「あまり甘いものばかり食べていると……太りますよ」

 

「アッ」

 

「虫歯にもなりますし」

 

「もうやめて……お姉ちゃんのHPはもうゼロよ」

 

 もう一撃目で私はダウンしてるよ……。

 死体撃ちはマナー違反、ダメ絶対。

 

 さて、それはそうとフレンチトーストも全部食べ終わったことだしブリーフィングを聞きに行きますかね。

 

 私は立ち上がる。

 

「ご馳走様。悪いけど片付けてもらっても良いかな?」

 

「えぇ、勿論。姉さんは早く説明会へ行って来てください」

 

 よしっ、じゃあレッツゴー! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さーて、説明会が終わったら、とある特異点に調査しに行くまでの空き時間何をしようかなー、なんて考えながら説明会の会場である中央管制室へと向かってる途中……

 

「ッッッ!! な、何……今の……」

 

 突如、何やら凄い悪寒を感じた。

 そう、まるでそれはあの夜に感じた濃厚な死の予感のようだ。

 あの夜……

 

脳裏に思い浮かんだのは。

見るも無残な死体となっている母と父。

その死体はもはや原型を残しておらず。

そして、血濡れた手で姫華の頭を撫でる私。

そんな光景であった。

 

 ……中央管制室に行くのはやめよう。

 

 しばらくは……いつものあそこで様子を見よう。

 何もなければ、後からレイシフトすれば良い。

 言い訳は適当に体調が悪いって事にでもしておこう。

 ちょうど今、病人のような顔をしてそうだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……先客が居た。なんだ、ドクターか。なら問題無しっと」

 

 私が勝手にいつもの退屈な訓練をサボるための避難場所にしている未だ空き部屋である最後のマスターの部屋。

 そこに入ると既に白衣を着た若い男が寛いでいた。

 

「なんだとはなんだい、なんだとは……」

 

 彼の名前はロマニ=アーキマン。

 医療部門のトップにして、私と同じくこの部屋でサボる常習犯である。

 それでいいのか、医療部門。

 

「いやぁ、だってロマニだし」

 

「君、酷くない? まぁいいけどさ……にしても、今日は説明会があったはずだけど……あぁ、顔色が少し悪いね。今回は本当に体調不良による休みって訳かい?」

 

「そう言うこと。多分、少し休めば治るよ。これは精神的なものなんだから」

 

「……そっか。あ、(ミオ)ちゃんもこれ、食べる?」

 

 そう言うと男は日本でならどこでも売っている饅頭を指差す。

 ……ここに来るまでの間でかなり落ち着いてきたし、食べようかな? 

 

「じゃ、貰おうかな。いただきますっと」

 

 うん、おいしい。

 やっぱり、餡子は最後だね! 

 

「にしても、今まで任務に関することはサボらなかった君が今ここに居ると何か不思議な気がするなー」

 

「私自身も違和感があるよ。あくまで、つまらない講義しかサボって来なかったからね」

 

 あの訓練、マジでつまらないんだよね。

 もう既に時計塔に行く前には習得している魔術しか使ってはいけない上に特に何かその基礎魔術の使い方の応用とかもない。

 私にとっては退屈極まりないという感じ。

 まぁ、あくまで私がBチームに割り振られたからこんな講義を受けさせられてるんだけどさ。

 はぁ、Aチームの予備じゃなくてちゃんとしたAチームに割り振られたかった。

 

「にしても、なんでマリスビリーは君を……」

 

 そこまでロマニが話したところで、会話を遮るようにこの部屋の扉が開けられる。

 やっば。まさかオルガマリーにバレたか? 

 

 ……そんな事は無かった。

 部屋に入って来たのは量産型日本人みたいな顔をした少年が2人と赤色の髪でサイドテールを作った少女が1人であった。

 

 少年の方の1人はよく知っている。名前は伊勢村誠三(いせむらせいぞう)、お世辞にも腕がいいとは言い難いが魔術師の1人で私と同じカルデアのマスター候補の1人だ。ちなみに所属はCチーム。

 彼はそれなりに付き合いのある人間である。

 

 まぁ、伊勢村君は知り合いだからいいとして、ボサボサの髪をしている少年とサイドテールの少女は見覚えがない。誰だろうか? 

 

「はーい、入ってま、って、こら! 

 ここはボクのサボり場だぞ!? 

 誰のことわりがあって入ってくるんだい!?」

 

 いや、ロマニ……サボってることを自白してどうするのさ。

 

「いや、ここ新入り達の部屋。

 アンタのサボり部屋なんてあのヒステリック説教女が許す筈ないでしょ?」

 

 伊勢村君、全くもってその通りです。

 まぁ、彼はオルガマリーにチクるような人でもないし、大丈夫だろう。

 にしてもそうか。彼らが最後のマスターか。

 これで、48人揃った……いや、揃えたって訳か。

 

「いや、まあそうだけど……ん? 新入り? 

 あー、ついに最後の子が来ちゃったかぁ……」

 

「これで私たちの隠れ蓑も終わりね。次はどこに行く?」

 

「どうしたものかなぁ……あっ、澪ちゃんの部屋は?」

 

「……レディーの部屋に男が入るなっての」

 

「冗談だって、冗談。そんな睨まなくても……」

 

「コホン、それはともかくとして2人には自己紹介をしないとね。

 いやあ、はじめまして。

 予期せぬ出会いだったけど、改めて自己紹介をしよう。

 ボクは医療部門のトップ、ロマニ・アーキマン。なぜかみんなからDr.ロマンと略されていてね。

 理由は分からないけど言いやすいし、

 君も遠慮なくロマンと読んでくれていいとも」

 

 実際、ロマンって響きいいよね。格好いいし、

 どことなく甘くていいかげんな感じがするし。

 と、続けるロマニ。

 

 そういえば、どうしてロマンと略されているのだろうか? 

 確かに謎である。

 

 まぁ、それはさておき私も新入りの子達に自己紹介をするとしよう。

 ……彼ら、多分魔術師じゃないね。

 明らかに魔力量が少ないし、なんというか魔術師の顔をしていない。

 じゃ、簡単めかつラフな感じでいっか。

 本来、魔術師相手ならちゃんと名乗らなきゃだけど……

 

「で、私の名前は夢想澪(むそうみお)。Bチームに所属してて、魔術はそこそこ使えるよ。ま、魔術とかカルデアのことで分からない事があったら気軽に聞いてね〜。あと、私の妹の姫華(ひめか)もここにいるからもしよければ仲良くしてあげてね」

 

 と笑顔で言う。

 

「はぁ、一応言ってきますけど、新入りにあんま変なこと吹き込まないで下さいね。

 じゃ、俺は装備取ってくるんで」

 

 と言って、伊勢村君は出て行く。

 

 そして、残された新入り2人は僅かに緊張しながら自己紹介をする。

 

「「俺(私)は藤丸立香です! これからよろしくお願いします!」」

 

 ……見事にタイミングが被ったねぇ。

 ていうか

 

「君たち、名前がまったく同じなのか⁈ 澪ちゃん、日本人の名前っていうのはこういう事はよくあったりする?」

 

 2人ともまったく名前が同じじゃないか。

 これはロマニが驚くのも無理はない。

 

「いやぁ、中々ないよ……これは珍しいね」

 

 まぁとりあえず自己紹介も終わったし、私もここから出て行くかな。

 

「これからよろしくね、藤丸君に立香ちゃん。さて、2人の部屋にいつまでも居るのもあれだし、私もそろそろ出て行くよ」

 

 さて、部屋から出た訳だが……。

 今のところ、何も起きてないし、どうやら私の直感は外れたらしい。

 はぁ、これ私がただサボっただけじゃん。

 せめて、レイシフトには間に合わせるとしよう。

 

 レイシフト開始まであと5分くらいってところか。

 走れば間に合うだろう、幸いにも最低限の準備は出来てるから。

 

 そう思い、走り出そうとした瞬間。

 

 照明が落ち、一拍遅れて爆音が響いた。

 

 また一瞬、脳裏にあの光景が思い浮かぶ。

 

 そのせいで、爆発の衝撃で尻餅をつく。

 イテテテ……

 とりあえず起き上がる。

 

『緊急事態発生。緊急事態発生。

 中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。中央区画の障壁は90秒後に閉鎖されます。

 職員は速やかに第二ゲートから退避してください。繰り返します。中央発電所、及び中央ー』

 

 アナウンスが鳴り響く。

 ……火災が発生だって? 

 一体何が……

 

 そうだ、姫華が無事かどうか確かめなきゃ! 

 もし姫華が無事ならば、あの子は私を探そうとするはず。

 

 姫華が私が居ると思っている場所は……中央管制室だ。

 私は今、あそこのコフィンに入っているはずなんだから。

 実際には、嫌な予感を信じてサボっていた訳だが……。

 

 姫華を探しつつ、()()()()他の生存者を探そう。

 私は中央管制室に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは……酷い」

 

 中央管制室につくとあたり一体が燃えていた。

 爆発の影響か、瓦礫がそこら中に転がっている。

 

 ……コフィンは血まみれ。

 AチームやBチームのみんなももう……。

 

 ……頭が痛い。考えるのをやめよう。

 今は姫華。とりあえず、姫華を探そう。

 無事なら、ここに来ているはず。

 

 そんな希望を抱いて、私は中央管制室の中を歩き回る。

 

 何やら、アナウンスが鳴っているがまったく言葉が頭に入ってこない。

 

……もし、姫華が無事じゃなかったら? 

 

 やめろ。

 

……もし、最愛の妹があの夜の両親みたいな無残な最後を迎えていたらお前は何を思う? 

 

 やめろ。

 

……もし姫華が居なくなったら、お前に何が残る? 

 

 やめろ。

 

 やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ……。

 

「……澪、さん?」

 

 声がした方を向くと、瓦礫に身体を押し潰されて大量に血を流している少女がいた。

 

「……マシュ、ね」

 

 私の友達、マシュ・キリエライト。

 ……この傷じゃ、もう助からないだろう。

 それに、今は姫華を探さないと……。

 

 私はマシュを無視して、再び歩き出そうとする。

 ……おかしい。

 私は姫華さえ無事なら、あの子が笑ってさえくれればそれで良い。

 そういう人間だったはず。

 

 なんで、マシュの前に座って、彼女の手を掴んでいる? 

 何故、治癒魔術を行使した……? 

 私は……。

 

 とりあえず、マシュに治癒魔術を行使し終えたので手を離す。

 

「ごめんなさい、私にはこれしか出来ない……きっと、助けが来るから、それまで一緒に待ってようか」

 

 おおよそ、カルデアに来るまでの自分が見たら信じられないような顔をするであろう台詞がスラスラと口から出てくる。

 

 ……きっと、突然の事に気が動転しているのだろう。

 私は……私には姫華しか居ない、必要ない。

 

「いいえ。私の方ではなく……姫華さんの所へ……向こうに……行くのをさっき……」

 

 なんと、マシュが姫華のいる場所を教えてくれた。

 ……さて、その方向に行くか。

 

「分かった。ありがとう、マシュ」

 

「いいえ……こちらこそ……」

 

 ……私は再び歩き出す。

 私にはマシュを助け出すことが出来るかもしれない手段があるには……あった。

 時間を掛ければ、どうにかなったかもしれない。

 ごめんなさい、貴女は私を恨んでいい。

 私が貴女を…… 殺したんだから

 

 また、殺した。

 

 ……そうね。

 

 しかも、今度は別に悪い人じゃなかったのに。

 

 ……そう、ね。

 

 ねぇ、……って思ったんでしょ? 

 

 ……れ。

 

 そう思ったんでしょ? 正直になりなよ。

 

 ……まれ。

 

 お前はやっぱり……。

 

 黙れ! 

 

 黙れ。

 

 黙れ。

 

 ……黙っ……てよ。

 

「……さん、姉さん!」

 

「あ、れ? 姫華?」

 

 気がつくと、目の前には姫華がいた。

 彼女は私の肩に手を置いて、身体を揺すっていた。

 

「はぁ、やっと気がつきましたか。……無事で良かった、姉さん」

 

 ……姫華は顔にかすり傷が一つある程度で他に外傷はない。

 彼女の着ているカルデアスタッフ用の制服にも多少ススが付いているくらいで血が滲んでいたりはしない。

 

 ……無事だ。

 姫華は無事だった。

 ……良かった。

 本当に……本当に良かった。

 

「私も……姫華が無事で良かった」

 

 ふと、カルデアスの方を見ると、カルデアスは真っ赤であった。

 ……つまり人類の痕跡がない、か。

 

「人類が……滅びたの?」

 

 姫華が不安そうに呟く。

 

「大丈夫。姫華、あの時約束したでしょう?」

 

 貴女のことは……なんとしても守るって。

 

『レイシフト開始まで あと3』

 

「そうでしたね……姉さん、手を……握ってくれませんか?」

 

 私はそっと姫華の手のひらを握りしめる。

 

『2、1。全行程、完了。ファーストオーダー 実証を 開始 します」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ」

 

 私は何処かの地面に寝転んでいたようだ。

 瞼を開き、起き上がる。

 

「ここ、は」

 

 あぁ、そうだ。

 確か姫華を見つけたあと、レイシフトに巻き込まれたんだ。

 

「ってか……何、これ……?」

 

 目の前に広がって居る景色に思わず驚く。

 

 ……生きている人なんていない。

 というか全てが燃えている……。

 この場所そのものが死んでいる。

 

 レイシフトに巻き込まれたとしたらここは冬木にある特異点。

 まぁ、特異点なら実際の冬木市と景色が多少違うのは分かる。

 

 だけどこれは……あまりにも……。

 

 ごうごう。

 

 ごうごう。

 

真っ赤な炎が燃え盛る

 

 まるであの日の血のような真っ赤な炎が

 

消えていく("消失"する)消えていく("消失"する)

 

この世界の人が消失する、人類史が消失する。

 

消失は良い。消失することは良いことだ

 

 あぁ、この特異点はなんて悲しい/美しい世界なんだ。

 

 ……クソッ。

 

 こんな世界が美しいわけないだろう……! 

 

 落ち着け、落ち着け、私。

 

()()()()()()()()()! 

 

 ……よし。とりあえず大丈夫だ、落ち着いた。

 

 さて、とりあえず一瞬に来たはずの姫華を探そう。

 

 ……案外早く見つかった。

 少し歩いた先に、足元がふらついており顔面蒼白な姫華が立っていた。

 そういえば、姫華……レイシフト適正低いんだった。

 

「うぅ、姉さん……すみません」

 

 ……とりあえず、歩くのも辛そうなのでおんぶすることにした。

 

 あ、目の前にスケルトンが複数いるね。

 まぁスケルトンくらいどうとでも……あ、手が塞がってる……。

 …………逃げるか。

 

 とりあえず、逃げるのに邪魔な位置にいたスケルトン一体に膝蹴りをかまして撃破、そのまま全速力で逃げ出す。

 

 走る。

 

 走る。

 

 走る。

 

 ……うわぁ、まだ追っかけてくるよ……どうしよう……。

 あ、前方に誰かいる。

 

 私の前方にはスケルトンを殴り飛ばして、次々と撃破している筋肉ゴリラ……いや、男性がいた。

 

 彼は伊音奏楽(いおとそら)。私と時計塔時代から交流のある変人……間違えた、魔術師だ。彼もまたカルデアのマスター候補である。

 

「伊音くーん、たーすーけーてー」

 

 

 

 

 

 ……伊音君の助けにより私はなんとかなった。

 とはいえ、まだ伊音はスケルトンと殴り合っているが。

 ま、彼から大丈夫でしょ。スケルトン程度には負けやしないさ。

 

「いやー、助かったよ。ありがとう、伊音君。今度日本酒でも奢るよ」

 

 確か、夢想家の倉庫から引っ張り出して来たものの、カルデアで飲む気にならず隅っこに追いやられているまぁまぁお高い日本酒が私の部屋にあったはず。

 あれでも渡すとしよう。

 ……え? 私の年齢? ……18だけど純粋な人間じゃぁないから大丈夫、大丈夫。

 

 伊音君がちょうどスケルトンを狩り尽くしたタイミングで複数人の人間がこちらへと来る。

 

 彼らは……カルデア所長であるオルガマリー・アニムスフィアに伊勢村君、藤丸君に立香ちゃんそれに……マシュ⁈

 

 何やらサーヴァントみたいな感じになってるけど……無事だったんだ、良かった。

 

 これで私達は6人の味方と合流出来た。

 これだけ居ればこの特異点をなんとか出来るかもしれない。

 

「ちょっと嘘でしょう!? 

 なんでよりにもよってコイツらなのよ! 

 しかも1人レイシフト適正基準値に達してない子までいるし! Aチームはどこに行ったのよ!?」

 

 オルガマリーがいつもの如く、ヒステリーを起こしている。

 ……ヒステリーさえ起こさなければ良い人なんだけどなぁ。

 

「今頃コフィンでオギョーギ良く死にかけてるでしょーよ! カドックさんとかオフェリアさんとか真面目連中は特に!」

 

 ヒステリーを起こして騒いでいたオルガマリーは伊勢村君にそう言われると頭を抱えて始める。

 

 あぁ、カドック君にオフェリアは……。

 確かにあのコフィンの状態じゃあ、ね。

 昨日まで彼らと普通に話してたからちょっと……辛いな。

 

 ……まぁ、引きずってもしょうがない。

 今はとにかく、この特異点をどうにかしよう。

 死んでいった彼らのためにも。

 

 まずは言い争っている伊勢村君とオルガマリーを落ち着かせないと。

 

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて。今、言い争っても……」

 

「医療トップと仲良くサボってた人は黙ってて下さーい」

 

 ……ダメだこりゃ。

 

「て言うか! 今までスルーしてたけど! 

 なんでアンタみたいなしゃんとしてないのがマシュと契約してるのよ!」

 

「使える奴がこぞって行方不明だからでしょうが! 大体、限りなくパンピーの俺より魔力ない奴ら魔術世界にまきこむアンタにしゃんとしてないとか言われたくないわこのタラズ!」

 

「タラズ!? 私がタラズですって!?」

 

「現状に文句垂れるばっかでそこでぐったりしてる夢想妹やなんとか会話にはついて行こうとしてる補欠共と違ってお荷物にもなってない!」

 

「な、なぁ!」

 

「現状に文句言うばかりなのはマスターにも当てはまるのでは?」

 

 ナイスマシュ! 

 マシュの突っ込みによって、ようやく二人の言い争いはとりあえず終息した。

 

「ああ、そうだな。取り敢えず移動しよう。

 誰かさんが喚き散らしてくれたおかげで敵も集まってきてるだろうし」

 

 伊勢村君の意見に全員が同意し、私たちは移動を開始した。




今回、めんどくさい主人公書きたいって思ったらこうなった。

もし、評価とお気に入り登録をしてくださるとありがたいです。あと、感想はご自由に。批評でも構いません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。