人間殴ルーラーとドチートと凡夫どもが逝くFF人理修復(夢想姉妹視点) 作:神代リナ
これからも頑張って投稿していきたいと思うので、よろしくお願いします。
「……えぇ、私が貴女マスターよ」
彼女……モルガンにそう言う。
そう、これからの私は本当のマスター……モルガンのような大英雄を従えるのが私に務まるか少々不安だが、頑張って行こう。
「これで契約は完了です、マスター」
……口調が丁寧になってる。
さっきまで、割と高圧的だったのに。
「どうして口調を変えたの?」
割と気になったので、素直に聞いてみた。
「お前の正式なサーヴァントになったからです。私も、立場は弁えています……それに、たまには誰かに仕えるというのも悪くない」
お前呼びは変わらない……。
まぁ、何はともあれ私を一応主として認めてくれているのは嬉しい。
モルガンと、今後もやっていけそうだ。
んー、それにしても性格がヤバいと伝えられているあのモルガンが割とまともだとは……キャスタークラスで召喚されてるから?
ん? 伊勢村君がいる方をモルガンが見てる……凄く複雑そうな表情で。
伊勢村君が召喚したサーヴァントに何かあるのかな?
「モルガン、どうしたの?」
「……パーシヴァル」
彼女は、そう呟いた。
あぁ、伊勢村君が召喚したあの騎士さんは円卓の騎士パーシヴァルなんだ。
それは、複雑だねぇ。
「……今も、円卓は憎い?」
なんとなく、そう聞いてしまった。
「……憎くない、と言えば嘘になる。けど……かつてほどの憎しみはありません」
いつの間にか、モルガンは元の表情に戻っていた。
その濁った瞳で何を見たのだろうか?
何を見たら、変わったのだろう?
少し気になった。
が、今はまだ聞く時ではない。
そんな気がしたので、この事は聞かないことにした。
さて、召喚を終えた私たちは、互いのサーヴァントの情報を交換してから今後の方針について話をする。
「要のランサーとシールダーのマスターが一番ザコの俺、ってのは不安だが、役者はどうにか揃ったか」
オルガマリーから姫華を回収し、再び背負いながら話を聞く。
ちなみに姫華は先ほどまでは起きていたが、今は眠ってしまっている。
……確かに接近戦が得意なサーヴァントは伊勢村君のパーシヴァルとマシュのみだ。
そう、
私は、この点に関してはそこまで不安視していない。
伊音君が居るし(彼の化け物っぷりは時計塔時代に散々見た)、私も頑張ればサーヴァント相手でも防戦ならなんとかなるだろう。
ただ、この事は今は口にしないでおこう。
伊音君の事は、彼自身が言うべきだし、私の方は……あまり知られたくないし。
とはいえ、一応自分のサーヴァントには教えておいた方が良いだろう。
《モルガン、私のスペックってそっちは分かる?》
サーヴァントとマスターの間で繋がっているパスを利用して、モルガンに対して念話でそう聞く。
《大体分かります。にしても、マスターがそもそも純粋な人間じゃないのは少し驚きました。それに起源覚醒者……中々面白いですね。あと、先ほどからこちらを見ているサーヴァントの対処はどうしますか?》
教えるまでもなかった。
ていうか、パスを利用して勝手に漁られていた。
これ、プライバシーの侵害では?
それはさておき、どうやらサーヴァントがこちらを覗き見しているらしい。どうりでさっきから視線を感じる訳だ。
《とりあえず様子見、敵かも分からないヤツを刺激したくないし。ただ、何かあったら直ぐに交戦できるようにはしといて》
《分かりました》
「問題ないわ。高位のサーヴァントとは言え、ランサークラスはコストパフォーマンスが売りよ。例え二騎と契約してても、キャスター二騎のアシストが有れば、この特異点でなら、問題ないはずよ」
と、オルガマリーが言う。
ふむ、確かに私が隠している事を抜きにしても問題はないか。
「あれ? 意外ですね。セイバーで呼べなかったこともっとネチネチ言うと思ってたのに」
うん、伊勢村君……私も思った。
オルガマリーも成長してるんだなって……。
お姉ちゃん、嬉しいです。
「私だって現状ぐらい把握しています。あなたの魔術師としての程度を考えれば、ランサーでも円卓の騎士を呼べたなら充分以上です」
「それに元々あなたには……」
「お言葉ですがレディ、それ以上は我が主への侮辱行為だ。もし続けるなら、さっきからこちらを覗き見てくる輩共々、許すわけにはいきません」
パーシヴァル、中々の堅物だねぇ。
円卓の騎士ってみんなそうなのかな?
「構わんパーシヴァル卿。すべて事実……ってちょっと待て。今お前なんて言った?」
おー、やっと伊勢村君も気づいた気づいた。
伊音君は……どうだろ? ひょっとしたら、気づいてたかもしれない、言わないだけで。
と、私がさりげなくポ○キーを食べながら、心の中ではしゃいでいると
ようやく先ほどから隠れていたサーヴァントが姿を見せる。
「流石は円卓の騎士。完璧に気配を消していたんだが、キャスタークラスの俺じゃあ見破られるか」
そう言って電柱の上から飛び降りたのは、青いフードを被ったドルイドの衣装の男だ。
口ぶりから察するにキャスタークラスのサーヴァントかな?
杖も持っているし。
一応、彼のスペックを見てみる。
マスターならサーヴァントの大まかな情報は読み取れる。
……まぁ、無難にキャスタークラスっぽいステータスだね。
「どう抗うのかと思ってみていたが、まさか聖杯戦争とは別口でサーヴァントを召喚するとは」
という事は、彼自身は……。
「そう言うあなたは、この"冬木の聖杯戦争"のサーヴァント、という訳?」
と、私はキャスター(?)のサーヴァントに尋ねてみた。
キャスターは大きく頷くと、口を開く。
「ああ。今となっちゃあ、俺が唯一のまともなサーヴァントだよ。
まあ、マスター抜きで現界してる時点で、まともとは言い難いが、奴らに比べりゃ些細な話だ」
どうやら、元々この地で行われていた聖杯戦争は、今や中々イカれた聖杯戦争へと変質してしまっているらしい。
「奴ら?」
「他のランサーとかのサーヴァントって事?」
今度は藤丸たちが尋ねる。
「ああ。その辺もっと詳しく説明したいところだが、まずは移動しよう。
思ったよりも奴が近い」
そう言ってキャスターは、市街地の方を見た。
よく耳を澄ましてみると、火の音に交じって、何かが壊される音が聞こえてくる。
「なんの音かしら?」
と、オルガマリー。
中々、ダイナミックな破壊音だ。
とんでもないバカ力を誇るサーヴァントがいるのだろうか?
「バーサーカーが暴れている音だ。俺以外のサーヴァントは全員、あるやつの制御下にあるはずなんだが、元々狂化スキルがあった上におかしくなったからか、他に要因があるのかまでは分らねえが、ただただ暴れまわるだけの暴走状態でな。出来るなら、視認できる距離にいるべきじゃない」
キャスターの話を聞いて、あの馬鹿でかい破壊音の正体に納得がいく。
ただでさえ、狂化スキルのあるバーサーカーがさらに狂化されたと来たか。
……戦うとしたら、厄介ね。まぁ、戦うことはないだろうけど。
「それ、こっちを見つける可能性って……」
立香ちゃんが尋ねると、キャスターは顎に手を当て考える仕草をする。
「アンタらの移動速度次第だが、無くはねえな」
「じゃあ、殺すか」
……前言撤回。
どうやら、バーサーカーと戦うことになりそうだ。
伊音君も無茶する……今更か。
思わず、私も苦笑い。
「え? アンタ今なんて……」
伊勢村君たちは、もはや驚いている。
まー、彼の戦闘を見てない人はそうなるか。
私は、散々時計塔で見たし、何だったら彼と戦った事もある。
ほんと彼は……色々な意味で破格だよ本当に。
なんて思ってるうちに、サイドチェインのかかった電子音で構成された音楽が響く。
伊音君の使う音楽魔術だ。
歌詞の内容をそのまま現実でも引き起こす魔術。
発動条件が厳しいものの、その分強力な魔術だ。
「一生は束の間、一日は一瞬、やりたいことやれる時間なんて甘えと社会は言った。
けどそれでもエンジン全開で進むのさ、きっとそれこそが挑戦だから!」
歌い始めた伊音さんの体に周りを舞う楽譜が青く光り、吸い込まれていく。
ふーむ、とりあえず防御魔術は貼っとこう。
嫌な予感がする。
「
……ただ、全員を守るために広く貼ったから、この防御魔術が耐えられるかは分からない。というか、多分壊れる。
「この曲.聞いたことあるわ」
「所長、知ってるんですか!?」
マシュがオルガマリーにそう聞いた。
オルガマリーは少しずつ思い出す素振りをしながら答える。
「少し前に作曲していた曲よ。リズムよく凄く速い曲調だったと思う。確かこの曲の名前.あ」
彼女は目を見開き俺たちの方へ向きかえる。
「全員、防御姿勢!!」
なんかヤバそうだ。
となると、さっき貼った防御魔術は少々頼りないので、姫華単体にさらに防御魔術をかける。
私とか他の人が多少傷を負うのは別に構わないが、姫華には傷一つ付けたくない。
「どういうことだ?」
モルガンがそうふてぶてしく聞いた後に、オルガマリーは余裕のない声で答える。
モルガンも流石に、音楽魔術なんて特大変化球魔術は知らないらしい。
ちなみに、私も彼に会うまで知らなかった。
普通なら、通常魔術を使った方がいいからね。
「この曲、今は違うけど原案が"マッハ3"! ここら一帯にソニックブームが来る!」
「うっそでしょ伊音君」
ごめん、それは流石に想定してなかった。思わず口に出てしまった。
というか、普通の人間はそもそもマッハ3の速度に耐えられないはずなのだが……まぁ彼は普通じゃないから大丈夫か。
「滅茶苦茶だ────!」
どうやら、伊勢村君も同感らしい。
そして、慌ててキャスターたちも防御魔術の発動を始めた。
パーシヴァル卿も本気で肉体を固め、後ろの藤丸'sを守る。
……マッハ3のソニックブームにはさっきの防御魔術じゃ耐えられないね。まぁ、仕方なし。補強する時間もないし、なるようになれ。
あとは、キャスター達に任せよう。
とりあえず、防御姿勢を取るだけ取る。
「できない分からない知らないなんて言ってられるか。音を超え、夢を超え、光に向かって今走り始めろ!!」
瞬間、我らカルデア一行に強烈な衝撃波が走った。
やや遅れて轟音が突き抜ける。
私の身体に小さな瓦礫が当たる……。なんとかなったね。
やっぱ全体防御魔術は耐えられなかったか。まぁ、キャスター達の防御魔術のおかげで、なんとも無かったけど。
どうにか体制を整え、さっきまで彼がいた場所を見ると、半径5mの荒れたコンクリートが地盤沈下を起こしていた。
……えげつな。
「あわわわわ、マスターがすっ飛んで行ってしまいました」
慌てて追いかける紫式部。
式部さん、追いつけるかな?
「人間とは?」
パーシヴァル卿も、困惑の声を上げた。
サーヴァントすらもステータス次第では出来ない高速移動だ、そう思うのも無理はない。
ちなみに……彼のカラクリには心当たりがあるが、あまり詳しく嗅ぎ回ると多分私が消されるので放置。
「伊音君はね、いつもこんな感じ。なれた方がいいよ」
一応、ここにいる全員に釘を刺しておく。
彼と共に任務を遂行するなら、このくらいは日常茶飯事だろう。
覚悟しといた方がいい。
「あ、はい」
パーシヴァル卿は困惑しながらも、私の言うことに頷く。
藤丸'sやモルガン、そしてオルガマリーさえも、絶大な破壊痕に息をのんだ。
「これだけの事が出来て、何故伊音さんはAチームではないんでしょう?」
思わずと言った感じで、マシュがそう呟く。
まぁ、強いは強いけど制御が出来てないならダメなのさ。
「マシュちゃん、いくら速いからと言って、曲がれないドラッグマシンをモトクロスレースに出す馬鹿が居ると思うか?」
と、伊勢村君が言う。
なるほど、良い例えだ。
「ああ……なるほど」
どうやら、納得したらしい。
それは何より。
「……ん、姉さん。さっき、何やらとんでもなく大きな音が鳴った気がするのですが……」
背中で姫華がモゾモゾと動く感覚がした後、姫華がそう言った。
具合は、どうだろうか?
そろそろ、背負ったままというのも辛いところではあるんだが。
「おはよう、姫華。まーた、伊音君がしでかしただけ。今度は、マッハ3の速度ですっ飛んで行ったよ」
「それはまた……相変わらず、愉快な方です」
恐らく微笑みながらそう言う。
「……それで、体調は?」
「もう少し、かかりそうです」
「そっか」
もう少し、か。
ならば、それまでは背負ったままで何とかしないとね。
片手でかつ遠距離からの攻撃に使えそうなのは……ガンドに魔弾入りのM19……もうちょっと何かないかな?
そう思い、上着のポケットを漁ってみると……。
「宝石……か」
大粒の、真っ赤な宝石が1つ出てきた。
多分、いつかポケットに突っ込んだままになっていたものだろう。
魔力は……あるね。
術式も刻まれてるけど……解読するの面倒臭いし、使えれば何でも良いや。
どうせ、目潰しとか拘束とかそこらでしょ。
「姉さん、その宝石……」
「マスター、伊音とやらを追うらしいですよ」
と、モルガンが言う。
おっといけない、そっちの話を聞いていなかった。
さてさて、私も行きますか。
「うん、私たちも行くよ!」
宝石を握りしめたまま、伊音君の後を追い始める。
「Vaaaaaa!!」
「おお、唸るねぇ」
おー、派手にぶつかった。
マッハ3ということは秒速千メートル以上。
通常の人間ではその光景を正確に見ることは出来ないのだが、幸か不幸か人間の範疇を逸脱している私の動体視力は正確に伊音君がバーサーカーに足から突っ込んでいく光景を捉えた。
その攻撃は、バーサーカーの肉を多少エグる事しか叶わなかった……いやまぁ、魔術師がバーサーカークラスのサーヴァントと戦えるのがそもそもおかしい気がするが。
「Vaa!!」
黒い靄みたいなのを纏ったデカブツことバーサーカーが、起き上がって咆哮を上げる。
「まじゅつのちからってすげー……」
「先輩、お気を確かに。気持ちは分かりますが、なんとか意識を持ってください!」
「これサーヴァント必要でした?」
「言うな立香ちゃん。こんなことができる魔術師は圧倒的少数だ」
なんて伊勢村君御一行が言い合っているのが聞こえる。
まぁ、一応援護するかな。
「伊勢村君、バーサーカーに一応1発軽めなのぶち込む」
返事は聞かずに、私は手に握られていた宝石に魔力を込めて指で弾く。
綺麗に真上に宝石は赤く輝きながら登っていき……そして、運動エネルギーを使い切った宝石は再び私の目の前へと落ちてくる。
手を銃の形にする。
そして、ガンドを無詠唱で撃ち、そのガンドは宝石に当たる。
そのまま、宝石はガンドの力でバーサーカーの方へすっ飛んで行く。
ま、こんなもんかな。
どうせ、効果は大したものじゃないけど……。
「姉さん……あれ、超強力な爆破魔術が組み込まれた宝石ですよ」
「へ? ……ヤッバ」
背中から聞こえた声に思わず背筋が凍る。
姫華の言うことが正しければ……。
「これ.澪の爆破ガンドじゃねえか!」
うん、伊音君も言うんだ。
もう、間違いないねちくしょう。
あぁ、落ち着け。落ち着くのよ、夢想澪。
結果として、全員助かれば良い。
まずは、モルガンに念話をしよう。
《モルガン、やらかしたからカバー頼める?》
《はぁ、早速ですか。私は何をすれば良いですか?》
《パーシヴァルと式部さんに防御魔術を》
《分かりました》
《悪いね》
あとは……っと。
「
これは置換魔術の応用。
対象の肉体についた怪我を全て私に移す呪いだ。
もちろん、今回の対象はここにいる生身の人間全員。
要するに対象は、姫華、伊勢村君、藤丸's、そしてオルガマリーだ。
伊音君は多分耐えるか回避するから大丈夫だろう。
ほーら、やっぱり伊音君は大丈夫だった。
「あ、伊音君。飛べもするのか」
とはいえ、まさか羽生やして空に飛んで逃げるとは思わなかったけど。
私がそんなこと言った瞬間に冬木市に、耳が破壊され、目が焼け、全てを焼き尽くすようなキノコ雲を伴う爆発が起こる。粉塵が舞い、そして一帯にあったものを更地へと変えていく。
そのすぐ後、猛烈な痛みが私を襲う。
呪いは、ちゃんと機能したらしい。
「■■■■」
伊音君が何か言っているが、よく聞こえない。
鼓膜が破れたからだ。
周りの景色がよく見えない。
目で見た情報を処理する部分の脳みそがちょっと消し飛んだからだ。
声が出ない。
首の一部が抉れて、空気が外に出てしまうからだ。
足元は、朱色の液体で水たまりが出来ていた。
……だが、それらの傷は急速に治っていく。
魔術刻印と
さて、身体機能を取り戻したので、辺りを見回してみる。
うん、誰もケガはしていない。
私は無事にケジメは付けられたって訳だ。
いやぁ良かった良かった。
……うへぇ、口の中が鉄の味でいっぱいだ。
あと、ちょっとまだフラフラするけど……まぁ、大丈夫だろう。
「
とりあえず、呪いは解除しよう。
これ以上食らったら、流石の私も意識が飛びかねない。
《随分と無理をしたようですね、マスター。まぁ、自業自得ですけど。……大丈夫ですか?》
《ん、大丈夫。あなたは?》
《この程度で死にませんよ》
《だと思った》
目視で確認はしていたが、モルガンも無事だ。
良かった、良かった。
さて、宝石魔術は一応バーサーカーを数秒程度硬直させる事は出来たらしい。次は……何もしない方がっと。
おや?
「紫式部! 一回こいつを誘導しろ!」
「ま、マスター?」
ふむ、手に黄金のハープを持った伊音君が式部さんに指示を出しているが、式部さんはあまり理解していないっぽい。
誘導……楽器……音楽魔術……あぁ、なるほど。
そう言う事か。
私は、伊音君の方を向いて頷く
「式部さん、伊音君の魔術は音楽演奏と歌です。しかも自分で楽器を弾くということは相当威力の高い.確実に当てられるよう足止めをしてあげてください!」
「は、はい!」
どうやら通訳に成功したらしく、式部さんは東洋魔術と思われる術を放ち、それがバーサーカーの体にぶつかる。
「Vaaaa!!!」
しかし、どうやらあまり効いていないようだ。
ちっ、化け物め。
なら、モルガンに。
「させるか!」
モルガンに念話をしようとした瞬間、パーシヴァルがバーサーカーの攻撃を防ぐ。
ナイス、パーシヴァル!
「助かる! そして三十秒後、全員撤退してショック姿勢を取れ!」
と伊音君が叫ぶ。
……大技かな?
まぁ、言われた通りにしよう。
「踊り狂うは不遜なる者、いつしか夢見た者の影.」
歌詞が聞こえる。
そして、30秒が経つ。
「姫華、走るよ! モルガンも!」
私はそう叫ぶと全力で走り、恐らく射程圏外と思われる仲間たちが集合している場所へとたどり着く。
「怪我したばかりの身体には堪えるよ、まったく……」
「これに懲りたら、もう無茶はしないでくださいね……姉さん」
そんな姉妹話をしていると……。
「雷霆の怒りここにあり」
という伊音君の声が聞こえた。
その瞬間。
伊音君自身とバーサーカーに強力な雷が落ちてくる。
あれは……とんでもない魔力量だ。
キャスタークラスのサーヴァントの宝具にも匹敵するかもしれないレベルの。
ていうか、また制御してないのね。
自分自身にも当たってるじゃない……。
「伊音──ー!?」
ほら、伊勢村君も叫んでるし。
「おい、大丈夫なのかあれは」
モルガンだって心配するレベル。
「いや、大丈夫。あれくらいであの化け物は死なないわ」
オルガマリー、慣れて来たじゃん。
これが人類の適応能力ってヤツか。
と、オルガマリーのすぐ後ろにも雷が落ちてくる。
「ヒィィィ!?」
……まぁ、うん。
それには、慣れないよね。
「はぁ!? あれ、味方にも当たるのかよ!!」
キャスターは怒鳴りながらルーンを構える。
そう、全くもってその通り。
私は、満面の笑みを浮かべながら口を開く
「いい? 伊音君はね.制御できないのよ、自分の魔術」
《マスター大丈夫か?》
《もちろん。伊音君のクセは読めてるからね》
「くっそ硬かった.」
しばらくして雷が止んですぐ後、髪や服がアレなだけで身体自体は無傷の伊音君が姿を表す。
……はぁ、幾らあの黒いモヤのせいで弱体化してるとはいえ、バーサーカーのサーヴァントを単騎で倒すとはね。
彼の実力は、分かってたとはいえちょっと夢みたいよね……何度見ても
「神代の神と変わらんな」
神か……あながち、モルガンのそのセリフは的を得てるかもしれない。
あら?
伊勢村君……目が潰されてるわね。
安全地帯に入ったら、治癒してあげないと。
「……姉さん、もう降ろしてください」
「大丈夫なの、姫華?」
「はい……だいぶ良くなりました。ありがとうございます」
「いやいや、礼なんて要らないよ」
私は、降りやすいように中腰の姿勢になる。
……ふう、これで私達も全力を出せる。
「姫華。夢想家の本気、見せてやりましょう」
「えぇ。もちろんです、姉さん」
私たちは、お互いの目を見ながら不敵な笑みを浮かべた。
伊音君に負けてちゃ居られないからね。
伊音と夢想姉妹は色々特殊なので……はい()