bonus stageの映画公開初日の朝イチで見ました。
映画前にグッズ買わなくてもなんとかなるでしょって慢心したら、ゆんゆんの大きめのキーホルダーだけ売り切れてました。
ゆんゆん推しとして失格ですね。
仕事帰りに歩いて帰っている途中、随分と車のライトが近くまで来ているなと思い振り返るとトラックが目前に迫っていた。
朝早くから、この深夜近い時間まで働いて疲れ切っている状態の急展開に俺は……。
なんとか対応することが出来た。
恥も外聞もなく、悲鳴か雄叫びかよく分からない声を上げながら、無理矢理身体を動かして飛び込むようにして跳んだ。
それでギリギリ避けることが出来た。
本当にあと少しで死んでいた。
その事実に腰が抜けそうになったが、明日も仕事だという現実の方が俺には重要だったらしく、事故の有り様を横目で確認しつつ身体を引きずるようにして帰ることになった。
あれで死んでたら、もしかしたら異世界転生でもしてたかもな、なんて笑えない冗談を思い付くぐらいには余裕が出てくるほど日数が経った頃。
俺はとんでもないやらかしをした。
寝坊である。
時計を見て、考えて、もう一度時計を見て、また考える。
そして段々と現実を知り、頭を抱えた。
血の気が引く、というのは多分この瞬間が一番分かりやすい……と思う。
そして、俺は会社に連絡した後、急いで支度をして家を出た。
原付に跨り、飛ばしていく。
誤解しないでほしいが、俺は交通ルールはしっかり守っていた。
急いではいたが、信号を無視したりは決してしなかったのだ。
信号が青の道を通ろうとした時、急に視界がブレた。
……後にして思うが、多分信号を無視した車が横から突っ込んできたんだと思う。
何故後にして思ったかというと、この衝撃の直後に視界が真っ暗になっていたからだ。
そして────。
「うわっ、なんだ!?」
「えっ!?」
「なに!?」
原付を運転してたはずなのに、何故か俺は立っている。
原付はどこに行った?
というか、ここはどこだ?
辺りは暗く、ほとんど見えない……ここはなんなんだ?
「えっと、どちら様?」
「あれ、もう次の死者が来ちゃったのかしら?」
少し離れたところにはジャージ姿の少年と人間離れした美貌の女性がいた。
不穏な言葉が聞こえた気がしたが、俺はそれどころではなかった。
「そこのお二人さん、ちょっと聞きたいことがあるんですけど、ここはどこですか?」
何故だかあぁと何かを察するジャージ少年。
面倒臭そうな顔をする美女はそのまま面倒臭そうに口を開いた。
「はぁ、何が起きてるか分からないけど、まあいいわ。二人まとめてでも問題ないでしょう」
「あの、俺めちゃくちゃ急いでて……」
「急ぐ必要は無いわ。あなたはもう死んでるから」
「…………は?」
何を言ってるんだ、こいつは。
「あなたは…………ちょっと手元に資料がないから名前も死因もわからないけど、とりあえずここにいるってことは死んだってことなの」
「…………」
……見てくれはかなり良いが、中身はとんでもないヤツだったらしい。
さて、近くにいる少年はどうだろう。
現状の把握とこの激ヤバ女と同類かを試す意味でも俺はジャージの少年に視線を向けた。
「……信じられないかもしれないけど、本当だよ。俺も死んだ時っていうか、その直前の記憶があるし……死んだ時の記憶は無くて助かったけど」
おいおい、まじか。
このジャージ少年も同類かよ?
いや、でも嘘ついてる様には見えない。
でも、確かに俺はさっきまで原付に乗ってて、急に視界がブレた後にここにいた。
まさか……事故で?
本当に、死んだのか?
「さっさと次行きたいし、進めるわよ。私の名前はアクア。日本において若くして死んだ人間の魂を導く女神よ」
信じるも信じないも、状況は最悪だ。
もし死んでたとしたら、俺は終わりだ。
死んでないのなら、俺はこのヤバい二人とこの空間から逃げないといけない。
「あなたたちには二つの選択肢があります。ゼロから新たな人生を歩むか、天国的なところへ行っておじいちゃんみたいな生活をするか」
どちらにしても、今の俺にはどうしようもないから、少し様子を見てみることにした。
少年はちゃんと自称女神の話を聞いてるみたいだ。
「でもね、実を言うと天国ってね。あなた達が想像しているような素敵なところではないの。ゲームや漫画の娯楽も無し。肉体が無いから美味しいものを食べたり、エッチなことだって出来ない。天国にはなーんもないの。永遠に日向ぼっこみたいな生活をするような場所なの」
「へぇ〜……」
少年の何とも言えないリアクションを見るに、リセットも天国も嫌そうだな。
ちなみに俺も同意見だ。
「そんな退屈なところ行きたくないわよね? そこで一つ良い話があるのよ! あなたたち、ゲーム好きでしょ?」
ジャージ少年が返事をする前にアクアは続ける。
「その世界は長く続いた平和が魔王の軍勢によって脅かされていた。人々が築き上げてきた生活は魔物に蹂躙され、魔王軍の無慈悲な殺戮と略奪に皆怯えて暮らしていた」
芝居がかかった説明口調。
その様子をちょっと引き気味で見る俺達。
特にそんな俺達には気にしないでマイペースに進めるアクア。
「そんな世界だから、みんな生まれ変わるのを拒否しちゃって人が減る一方なのよ。それで、ほかの世界で死んだ人なんかを肉体と記憶をそのままにして、そのままで送ってあげたらどうかってことになったの」
「でも、送られても殺されちゃうんじゃ意味ないだろ」
「だから大サービス! 何かひとつだけ好きなものを持っていける権利をあげているの。とんでもない武器だったり強力な才能だったり」
……あー、これは、つまりアレだ。
異世界転生か。いや、転移?
まあ、どっちでもいい。
これが本当なら、あのアホな冗談が現実になったことになる。
なんてことだ、何でこんな冗談だけは身に降りかかってくるんだよ。
「記憶を引き継いだまま人生をやり直せる。しかもなにか好きなものを一つだけ持って。異世界の人にとっては即戦力になる人がやってくる。ね? お互いにメリットのある話でしょ?」
…………そろそろ現実を受け入れなきゃいけない頃かもしれない。
恐らく、俺は本当に死んだ。
そうじゃなければ、この空間はあまりにも現実離れしている。
暗いはずなのに、アクアや少年はもちろん、座ってる椅子や机もはっきり見える。
それなのに先は見えない、どこまでも続いてるように感じる。
しかも今、アクアが少年に説明をするために何もないところから本を取り出した。
頬をつねる……普通に痛い。
夢のパターンもない、そもそもこんなリアルな夢はあり得ない。
「で、あなたは……名前聞きそびれてたわ。あなた名前は?」
「……白銀光」
「そう、それでシロガネヒカルさんは結局どれを選ぶの? ゼロから人生をやり直す? 天国に行く? それとも私が言った世界に行く?」
……選択肢はほぼ一つみたいなものだ。
今まで何かを為せたことなんてないけど、だからってそのまま自身を終わらせる気はない。
「あんたが言った世界に行くよ」
「そう、じゃあ選びなさい! あなたたちに何者にも負けない力を一つ授けてあげましょう!」
能力やら武器やらが書いてあるチラシのようなものを紙吹雪のようにばらまく女神様。
俺達はそのチラシを眺めながら何にするか考え始めた。
「…………」
少年もかなり熱心な様子だ。
さて、何にしようか。
ここはオーソドックスに魔法だろうか。
存在する魔法を全て使えるとか。一撃必殺の魔法とか。
それとも武器か、才能か。
こんなの悩むに決まってる。
正直これからの人生がかかってると言っても過言ではないだろう。
「ねー、早くしてー? どうせ何選んでも一緒よ。引き篭もりのゲームオタクに何も期待はしてないから」
「オ、オタクじゃないからっ! 出掛けてて死んだわけだし、引き篭もりでもないから……っ!」
隣の少年のまさかの事実が発覚してしまった。
うーん、別に引き篭もりでも何でもいいけど、これから魔王がいる物騒な世界でやっていけるのだろうか。
「そんなことどうでもいいから早くしてー。他の死んだ人の案内だってまだまだあるんだからー」
アクアは椅子に腰掛け、こちらを見もしないでポテチをパリパリ食べている。
こんな態度取られたら誰でもキレるわ。
まあ、俺は特になんか言われてるわけじゃないからいいけどね。
「……早く決めろってか? じゃあ決めてやるよ。異世界に持っていける『もの』だろ?」
『魔剣ムラマサ』ねぇ……。
ちょっぴり居合道の経験があるが、刀の扱いはかなり難しい。
始めた頃は納刀しようとする度に模造刀の先が手に何度も突き刺さったものだ。
……うん、別にしよう。
魔剣でうっかりやらかして突き刺さったりでもしたら、俺が死ぬかもしれないし。
「じゃあ、あんた」
「ん。それじゃ、この魔法陣の中央から離れないように……今なんて?」
うーん、『怪力』か。
シンプルに強そうだけど、これはどうなんだ?
あのアクアの説明からして、恐らく俺がこれから行くのは剣と魔法の世界的なファンタジー世界だろう。
それなのに、剣も魔法も使わないのはどうなんだろうか。
ラーメン屋でパスタ食べてる感じ?
いや、流石にそこまでじゃないか。
「承りました。では、今後のアクア様のお仕事は私が引き継ぎますので」
「えっ」
「ちょ、え、え、嘘でしょ!? いやいや、いやいやいや! ちょっと、あの、おかしいから! 女神を連れて行くなんて反則でしょ!? こんなの無効よ、無効!」
……なんか騒がしいな。
ていうか何だこの、魔法陣?
なんか光ってんだけど。
え、なにこれ。
「佐藤和馬さんの希望は規定に則り受諾されました」
いつの間にか神々しい感じの天使みたいなのがいるんだけど。
え、集中して吟味してる間に何が起きてんのこれ。
「いってらっしゃいませ、アクア様。無事魔王を倒された暁には迎えの者を送ります」
「ねえ、待って! 私、女神なんだから癒やす力はあっても戦う力は無いんですけど! 魔王討伐とか無理なんですけど!!」
「フフフ、散々馬鹿にしてた男に一緒に連れてかれるってどんな気持ちだ? あんたは俺が持っていく『もの』に指定されたんだ! 女神ならその神パワーとかで精々楽させてくれよ!」
「いやあー! こんな男と異世界行きだなんて、いやあああああ!!」
めちゃくちゃ慌てふためいているアクアとそれを見て満足気な少年。
ていうか、なんかすごい嫌な予感がする……。
「さあ勇者よ! 願わくば数多の勇者候補からあなたが魔王を倒すことを祈っています。さすれば神々からの贈り物として、どんな願いでも叶えて差し上げましょう! ……さあ、旅立ちなさい!」
「わあああああーっ! 私のセリフ──ー!」
足元の魔法陣の光が更に光を増していく。
嫌な予感は更に加速していく。
「あの、まだ俺選んでな────」
厳かに天使が告げる中。
アクアは泣き叫び、少年は高笑う。
俺は最後の抵抗に魔法陣の外へ出ようとしたが、見えない壁に阻まれた。
そして、俺達は魔法陣の明るい光に包まれていった。
小さめのゆんゆんのキーホルダーは買えたから別にいいけどね。
小さい方が可愛いし、むしろこっちの方がいいっていうか。大きいと邪魔になるかもだし、ジャラジャラして大変かもしれないから、誰かに渡した方がいいかもしれません俺とかね。まあ俺はいいんですけど。別に全然どっちでもよかったし、まあ譲り受けてもいいっていうか買えないこともあるっていうかいや別に買えなかったことを気にしてるわけでもないし悔しいとか後悔とかじゃなくて何でゆんゆんだけかなっていう気持ちがねなきにしもあらずかなって他にいたやんみたいなめぐみんとかじゃないのそういうのって何でよりによってみたいなねいや別に全然いいけどね全然気にしてないんですけどやっぱり疑問は拭い切れないかなってまあゆんゆんは可愛いのでしょうがないかしょうがないよねでもじゃあなんで小さい方のキーホルダーは買わなかったんだろうね妥協するなよ小さい方が可愛いだろむしろ小さい方が可愛いだろまあ俺はそっち買ったんですけどねあえて大きい方はなかったけどあえて小さい方を選択したってわけというわけで別に全然気にしてないんですけど大きい方のゆんゆんのキーホルダーを持ってる方は俺にくれてもいいかなってそんな感じです。