丸藤翔のやり直し   作:交響魔人

15 / 20
翔君が実家に帰っている間に起きた出来事です。

デュエルは無しです。



幕間 冬休み中における、サブキャラ達の行動。

 VIPルーム。格式高い調度品で整えられた部屋に、複数名の男女が一堂に会する。

 

 

「親愛なる土門に関する報告書の感想はどうだ?ラフェール」

 

 そう告げる秋津園子。

 

 

「わかっていて聞くのか」

「愚問であることは重々承知。よくもまぁ、あれでクビにならないものだ」

「デュエルアカデミアには、人材が居ないのか」

「あれはあれで、多少腕が立つ。除外軸のデッキで墓地利用を阻害。並みの決闘者では歯が立たないだろう。」

 

 

 三児の子持ちの母親にして、姪っ子の面倒も見る秋津園子。彼女の正体が、パラディウス社日本支部の元統括主任であることは、知る人ぞ知る秘密である。

 秋津家への嫁入りと同時に寿退社したのだが…。後任が千年リングに宿る邪悪な意思との闇のゲームに敗北。

 

 伝説の決闘者に加えて盗賊王という不確定要素が乱入する事態を防ぐため、療養中だった彼女は再び現場に復帰。配下と妨害工作を駆使して時間を稼ぎ…盗賊王がダーツのところまでたどり着く、という事態を防ぐことには成功した。

 

 

 最も、この戦いにより盗賊王は経験を積んで成長し、さらにディアバウンド・カーネルも強化された事でこの世界線における記憶の世界において、神官団を大いに苦しめる結果になるのだが…。

 

 

 

「影丸理事長についても、裏が取れた」

「錬金術師、アムナエル…。こいつか」

「ダーツ様の勧誘を断った無礼者。最も、そう長くは無い。」

「影丸の狙いは、不老不死か。」

「死を目前にして、受け入れたくないという駄々だな。延命治療を続けたことで、多大なストレスが蓄積しているのだろう。孫娘に幼馴染か、自分か選ばせるとは業の深い。」

「三幻魔への対処はどうするつもりだ?お前が行くのか?」

「我々は敗者だ。すでに舞台から降りた役者。今更舞台に上がるというのは、無粋というもの。」

「だが、そもそもあの島に三幻魔を封印したのは、パラディウス社。」

「ダーツ様が破れ、パラディウス社が解散し、海馬コーポレーションが接収した以上、何か起きたとしても海馬が対処すべき案件。封印を解いて三幻魔を制御できるか、失敗して破滅するかは影丸と海馬の行動次第だ。」

「あの学園には、お前を慕っている姪っ子が通っているではないか。」

「反対はした。それでも選んだ以上、何が起きても関与はしない。」

 

 

 かわいがっているにも関わらず突き放すような言い草に、青年が口を開く。

 

 

 

「なぁ、秋津。お前、今でもこんな世界、滅んでしまえばいいと思ってんのか?」

「愚問だな、ヴァロン。私が、学生時代に『人類種の寿命』という本と出会い、恩義のある教授の紹介でダーツ様と出会ったあの瞬間から、この世界は滅びるべきだという考えに変わりはない。」

「……。」

「お前がどう思おうと、すでに人類は種族としての寿命を使い果たした。持って、約300年。」

 

 

 ハイライトの無い眼で語る園子。家族にも、自分を慕う姪っ子にさえ見せた事のない表情。

 その眼はかつて彼女と対峙した盗賊王をして、警戒心を一段階引き上げた。

 

 ドーマの洗礼を浴びてこうなったのか、元々内包していた狂気だったのかは今となっては彼女自身分からない。

 

 

「…子供たちが居るんだろう。どうなってもいいと」

「ダーツ様が失敗した以上、私は世界を滅ぼす勢力に加担はしない。ただし、世界を滅ぼす勢力と敵対もしない。ダーツ様が思念体となってとどまっておられれば、世界の滅亡を望まれたはずだ。」

 

 

 黙って聞いていた青年が、烏龍茶を飲み干した後に口を開く。

 

「結局、何人集めているんだ?」

「影丸は7人のデュエリストを集めている。セブンスターズ、というらしい。」

「錬金術師アムナエルは確定しているから、あと6名か。」

「理事長の孫娘も在籍しているが…幼馴染の異性と、敬愛している祖父の大望。どちらに天秤が傾くかは不明。どう転んでもおかしくは無い…。」

 

 

 

 介入しようと思えば介入は出来るが、それをするには影丸にも、マスター鮫島に対しても縁が無さ過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 

 

 デュエルアカデミアに進学できず、地元の高校へ進学した狂竹は孤立していた。

 デュエルをすればフルバーンで焼き切るか、デュエルに勝った後で『俺のデッキには攻撃力500未満のモンスターしか入っていないんだ!』と馬鹿にして悦に入る。

 

 あっという間に、誰もデュエルしてくれなくなった。

 

 

『お前のプライドを満足させるためだけの相手なんてまっぴらなんだよ!』

『お前とデュエルしてもつまらねぇ』

 

 

(どうして、どうして…)

 

 

 元来、やや生意気なところはあったが、それでも同年代と比較して歪んでいるわけでは無かった。だが、ある時。

 

 彼は、『前世の知識』ともいうべきものを有してしまった。デュエルアカデミア本校で起きる1年間の出来事。誰も知るはずのない未来を知っている。

 彼はこれを『予言』と判断した。事実、デュエルアカデミアに関する資料と、『予言』は一致している所が多々あった。

 

 

 得難いものを得た事で、彼は一気に増長した。枕元に、見覚えのないデッキが置かれていたことも後押しした。

 『特別なデッキを与えられ』、『特別な知識を与えられた』自分は選ばれた者である。そう確信してからは早かった。

 

 

 まず、狙うべきは『予言』に出てくる天上院明日香という女子生徒だ。なかなか良い異性だ。隣にいれば、『特別な』自分の引き立て役になる!

 行方不明の兄に関する手がかりを求めているというのだが、廃寮に行けばそれが手に入る。

 

 

 そんな彼女に付きまとう邪魔なお邪魔虫、万丈目という奴は入学早々にアンティ・デュエルを行う。

 その現場を抑えて公表すれば、学園としてはオベリスクブルーだろうと退学にせざるを得なくなる。

 

 遊城十代というお邪魔虫も、怪談話をした後、廃寮へ行く。ここでタイタンとデュエルするのだが、ここでタイタンを勝たせればいい。

 レッド寮生に怪談話について興味がある、という話を持ち掛けておいて、その前後、遊城十代のデッキに何の役にも立たない、モリンフェンやハングリーバーガーなどの雑魚カードを入れる。

 あとは、タイタンによって再起不能になる。

 

 

 冬休みの時は、サイコ・ショッカーが高寺とかいう雑魚を生贄にしようとするから、それを後押しすれば、オベリスクブルー男子の枠が空き昇格しやすくなる。

 そして!綾小路とかいうバーンデッキ野郎を、デス・ウォンバットやライフ回復カード重視のデッキで倒して、天上院のフィアンセにして貰う。

 

 

 ついでに、オベリスクブルーに対してアンティルールを仕掛ける小原と大原、デュエルキングのデッキを盗むコピー野郎、神楽坂も退学に追い込む。

 

 

 別に退学に追い込んだっていい!何故なら『予言』では、高寺も、大原と小原、神楽坂はその後登場しない!つまり退学になってもかまわない、どうでもいい奴らという事!

 

 

 セブンスターズについては、ものすごく楽だ。

 鍵を託そうとしている所に乗り込み、大徳寺がアムナエルというセブンスターズであることを公表する。そうなれば、サイバー流継承者の丸藤亮が片付けてくれる。

 幻魔の扉頼みとはいえ、インチキカードを使うカミューラとかいう年増ババアは、マジック・キャンセラーとおジャマトリオ、宇宙の収縮によるロックで身動きを封じて、ボーガニアンで焼けばいい。

 

 ヴァンパイア一族の復活とか、滅ぼされた残党はそのまま滅びろ。

 三幻魔の事件を解決すれば、俺は英雄になれる!あとは、その実力でもって大商人アナシスと契約して、悠々自適の生活を送る…。

 

 

 

 そういう計画を、計画を立てていたというのに…。

 デュエルアカデミアのアホ馬鹿間抜けゴミ屑野郎教師は、俺を不合格にしやがった。

 そのあと、居てもいなくても変わらない、というかいなくなった方がよい糞雑魚チビメガネを、舐めプデッキで倒そうとしたら負けた。

 なんでだ!俺は、俺はぁ!

 

 選ばれた特別な人間だぞぉ!

 

 

 …地元高校に進学したが、特別な人間である自分は勉強などしなくてもよいと思っていたら、この前のテストで最下位だった。

 デュエルの腕があっても、今ではもう誰もデュエルしてくれなくなった…。そもそも地元高校ではデュエルの腕は成績に反映されない。

 

 こんな、こんなはずじゃあ無かった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。

 デュエルアカデミア。オシリスレッド寮のある部屋にて。

 

 

「ん~~!はぁ、疲れたぁ」

「お疲れ様」

 

 

 遊城十代は、冬休みを利用して復習と予習に明け暮れていた。

 時間があるからこそ、今できる事を真剣にやる。それが、幼馴染の光海とともに決めたルールだ。

 

 勉強は苦手だが、「わからなかったところ」「出来なかったところ」がわかるようになり、出来るようになるという楽しみを十代は光海を通じて知る事が出来た。

 

 

「光海ぃ…」

「わかった。」

 

 ベッドで横になる十代の上にまたがる影丸光海。

 

 

「んっ…んぅ…」

「…気持ちいい?」

「ああ…最高っ…」

「ここは?」

「あー…もう少し、下かな?」

「わかった」

 

 

 とはいえ、光海がマッサージしてあげているだけなのだが。

 

 

(まとまった休みでないと出来ないからなぁ…。ほほぅ…。以前よりさらに筋肉が程よくついている。うむうむ、至福…。)

 

 

 今度は交代し、光海が十代が普段使っているベッドに横たわる。

 

 

「始めるからな」

「…お願い。んっ?んぅう…」

 

 

 こちらも、マッサージしているだけである。

 最も、光海の脳内は別である。

 

 

(ああ~!十代の匂いに包まれながら、十代にマッサージされる!脳汁があふれるぅ…。ふわぁあああ…至福の、時間…!!それにしても、回数を重ねるたびに、どんどん上達していく…当方の体に慣れてきているのか?むむむっ、だとしたら…飽きてしまうなんてことにならないだろうか?だが、十代にはもっともっと当方について知ってもらいたいし、当方も十代について知りたい…)

 

 

 脳内お花畑状態の幼馴染の体をマッサージしながら、十代は。

 

 

(…光海って普段どんな事を考えているんだろう?少なくとも、こういう行為を俺以外の異性には許していないはず…。)

 

 ふと、十代は想像してしまう。自分以外の男が、光海をマッサージしている光景を。

 

(絶対に、絶対に許せねぇ)

 

 

「っつ!痛っ」

「あっ、ご、ごめん。」

「…当方は大丈夫。やわな体はしていない。」

 

 

 マッサージ中に雑念を持ったらいけない、十代は雑念を払うとマッサージに集中する。

 

 

(…びっくりしたぁ。当方、少々乱暴なのもバッチコイだが…。事前に言ってほしい。ううむ、いったい何を考えていたのか?)

 

 

 お前のことだよ。

 

 

 

(覗き云々の事件か?いや、おかげでとんびに油揚げをさらわれる、という事は無くなったのだが…。ま、まぁ、当方は?シャワー中に飛び込まれてもオッケーですけれど!いや、十代以外の異性に覗かれるというのは…)

 

 ふと、光海は想像する。十代以外の異性に裸を覗かれたら…。

 

(うん、死ねる。そんな醜態をさらしてまで…いや、でも。どれほどみっともなくなったとしても、当方は十代のそばにいたい…)

 

 そんな光海を、十代は見つめていた。

 

(…また、何か考えている。いったい何を考えているんだろう?さっきのことかな?でも、気にしていないみたいだったし…。)

 

 

 

 

 そんなやり取りを、扉越しに聞いていた大徳寺先生は、この事実を親友である影丸理事長にありのまま伝えるべきか否か、真剣に悩んでいた。

 理事長が不老不死になるためには、デュエルモンスターズの精霊を操る力が必要。そんな条件を満たしており、理事長が勝てる相手という事で十代を選んだのだが…。

 

 

 

(…二人の仲が想定以上に進んでいるのニャ。これを理事長が知ったら、計画全部かなぐり捨てて十代君を始末しかねないのニャ)

 

 

 デュエルモンスターズの精霊と心を通わせなくなっても、決闘者として死ぬわけではない。だが、これを知ってしまったら…。

 

 




前から思っていた事ですが、ドーマ編の時の闇獏良は何をしていたのでしょうか?この世界線ではダーツの別働部隊相手にドンパチやらかしていたことにしました。

割とガバガバな計画を立てていた狂竹。真夜中のアンティルールを公表したところで、オベリスクブルーである万丈目に対しては退学ではなく「制裁デュエル」止まりな気がします。初日ですけど、デュエルエリートなので退学をちらつかせるような事を学園はしないかと。

この世界線では十代とよろしくやっていますが、猫シンクロの世界線なら雷丸とよろしくやっています。
ただ、十代とよろしくやっている光景を、某レベル10の悪魔族が見てしまったら…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。