丸藤翔のやり直し   作:交響魔人

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原作知識はかなりの情報アドバンテージですが、裏を取らないのはまずい気がします。
今回、アモンの扱いが悪いです。申し訳ございません。


セブンスターズ集結と、分派のイースト校における活躍

 洞窟の奥。

 複数の男女が集まり、暗いモニターをじっと見つめる。

 突然、モニターが輝き、その場にいる男女の姿があらわになる。

 

 

 

 仮面をつけた長身の青年。長いコートを纏った青年。ひげ顎でスキンヘッドな筋骨隆々の大男。

 

 金髪で死人のように白い肌で、白いドレスを纏った女性。

 

 異彩を放つ、奇妙な容姿の宇宙人としか言いようのないモノ。

 

 そしてフードを被り、仮面をつけた男。

 

 

『セブンスターズよ。今日は新たなメンバーを紹介する。』

「これで、揃うわね。セブンスターズが」

 

 紅一点の女性がつぶやく。

 

 

『来るがよい。』

 

 ゆっくりと歩いて来たのは、狂竹。

 入学試験で不合格にされ、丸藤翔に言いがかりをつけて敗北し、進学した高校でも孤立し、編入試験を受け、今度は筆記で落ちた少年。

 

 

「…彼は?」

『狂竹。なんでも予言の力を持っているという。』

「予言だと!」

『いかにも。この者は、我々セブンスターズと三幻魔に関する情報すら握っていた…。さぁ、言い当てて見せよ!』

 

 

 そういわれた狂竹だが、内心大混乱に陥っていた。

 『予言』と全然違うからだ。

 

 

「え、えっと…。仮面の奴!」

「ほぅ、私か」

「ダークネス!」

「…正解だ」

 

 狂竹は、別の男に目を向ける。

 

 

「そして、フードの男!」

「…ふむ」

「アムナエルだろう!」

「正解。」

 

 

 だが、残りのメンバーは『予言』に出て来たメンバーとの特徴と一致しない。

 

「え、ええい。金髪の女」

「私か。」

「カミューラだな?」

「…私はマリアーナ・ガスパーニュ。カミューラが吸血鬼という事は?」

「知っている」

「私の事は外したけれど、カミューラを知っているなら、その『予言』とやらは的外れでは無いみたいね」

 

 

 赤い、血のように赤い瞳が狂竹をじっと見つめる。

 

 

 

「ダガ、この中でも指折りの実力者を言い当てたあたり、あながち的外れでもナイ…」

 

 奇妙な宇宙人がつぶやく。

 

「ジツニ、興味深い。私は光の洗礼を授かりしモノ。ワレには個体名称がアルが、人間には発音デキナイタメ…『ジュラル』と呼ぶがイイ。」

「あ、ああ…」

 

 

 長いコートを纏った青年が口を開く。

 

 

「俺は百野真澄。初代デュエルキングとデュエルしたことがある、伝説の決闘者だ」

 

 そう告げる青年を、鼻で笑う筋骨隆々な大男。

 

「何がおかしい!」

「ただデュエルしたことがあるというだけで、満足か。勝った事があるなら伝説と名乗っていいだろうが…。私は、ドクター・コレクター」

 

 

 

『…狂竹よ。お前の予言とやらはさほど宛てにならないようだな』

「ぐっ…」

『まぁ良い。お前の『予言』では、鍵の守護者に誰が選ばれる?』

「それは、遊城十代、三沢大地、万丈目準、天上院明日香、丸藤亮、クロノス・デ・メディチ、大徳寺だ!」

『ほぅ。遊城十代は選ばれると確信しているが…。』

「…とりあえず、仲間になるから俺に『幻魔の扉』をよこせ!」

『何?』

「無理もないな、何せ相手モンスターを全て破壊し、その後、墓地のモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する魔法カードなんだからな!」

 

 

 なにそれ、怖い。

 生まれも育ちも異なる男女とモニター越しの老人は、同じ感想を抱く。

 

 仮面の青年が再起動して口を開く。

 

 

「…発動コストと条件はなんだ?」

「ねぇよ。負ければ幻魔に魂を取られるってぐらいだ」

「サンダー・ボルトは禁止カードだし、ライトニング・ボルテックスは制限カードだぞ…。情けない。強力なカードに頼らねば戦えないというのか」

「何だと!」

 

 ダークネスは、激高する狂竹を一瞥して黙らせる。

 

 

 

 そんなモニター越しの老人の言葉を聞きながら、アムナエルは考え込む。

 予言は大外れだが、自身とダークネス吹雪を言い当てた事は事実。

 

 それにしても、言動が残念過ぎる。こんな事なら、多少無理をしてでも斎王という人物を引き込んでおくべきだったか…?

 

 

 

 アムナエルが考え込んでいる間。

 マリアーナはドクター・コレクターに話しかける。

 

 

「そういえば、ドクター。貴方って指名手配されているんでしょう?」

「ああ。忌々しい事にな」

「だったら、手伝ってあげましょうか?」

「ほぅ?」

「死んでしまえば、もう追われる心配は無いわ。」

 

 

 絶句するドクター・コレクターと、思わず突っ込む百野真澄と光の宇宙人。

 

 

「いやいや、根本的な解決になっていない!」

「…リカイフノウ。」

 

 

「何を言っているの?私はそうやって乗り切ったわ」

「…は?」

 

 

 IQ200の天才をもってしても、その言葉の意図する事が飲み込めない。

 

「私の魂は既に霊体に昇華してあるわ。そして、この肉体を死霊術をベースに私の意思で動かしているの。どう?生きているようにしか見えないでしょう?脈をとってみる?」

「…本当だ。瞳孔も開いている…うむ、医学的には既に死んでいるはずなのに…。」

「気に入ったなら、どう?貴方なら生前に術を施してもいいわ」

「私は、人間だ。最後まで人間であり続ける。」

「あら、残念。この中だと唯一、私の術で『あり続ける事』が出来そうな見込みがあったのに。」

 

 

 

 その会話を、モニター越しで老人が聞いていた。

 マリアーナ・ガスパーニュをセブンスターズに勧誘した時…彼女のアジトで発見されたのは。

 

 

 発狂して使い物にならなくなってマリアーナの手によって『処分』される者。アンデッドに成り果てた自分の現状に絶望して心が壊れてしまい、命令を遂行するだけの『人形』に成り果てた者。

 そういった『モノ』を積み上げておきながら『次は成功させるわ』と平然と呟く彼女の術を、我が身で試す気にはなれなかった。

 

 自らの肉体すら、アンデッドモンスターにしていた事を知ったときは、アムナエルでさえ警戒心をあらわにしていた。

 

 

 

 

「…『予言』ではどちらが勝つ?」

「メンバーが5人も違うから、もうわからん。『予言』ではセブンスターズが敗れたが」

「そうか。精々気を付けるとしよう」

 

 

 仮面の青年は薄く笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻。デュエルアカデミアの分校、イースト校にて。

 一組のデュエリストが対峙する。

 

 飄々とした態度を崩さない小柄な少女に対するは、眼鏡をかけた知的な少年。

 ただし、青年の方には余裕が無く、鋭い眼を向けている。

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

アモン ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

彩羽 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

「僕の先攻。手札から天空の使者 ゼラディアスを墓地に送り効果発動!デッキからフィールド魔法、天空の聖域を手札に加え、発動!」

「天使族、か」

「マンジュゴッドを通常召喚して、効果発動!デッキから儀式魔法、高等儀式術を手札に加えて発動!僕はデッキから神聖なる球体を3枚墓地に送り、手札から神光の宣告者を守備表示で特殊召喚!さらに、墓地に天使族が4体いる事で、大天使クリスティアを特殊召喚!クリスティアの効果発動、墓地から天空の使者ゼラディアスを手札に戻す!」

「手札に天使族が1枚確定かぁ…」

「ターンエンドだ」

 

 

 

アモン ライフ4000

手2 フィールド 神光の宣告者 大天使クリスティア マンジュゴッド 

    魔法・罠 天空の聖域 

彩羽 ライフ4000

手5 フィールド 

    魔法・罠 

 

 

 

「…ドローの前に聞いておくけれど。雲魔物デッキはどうしたのかな?」

「ああ、あのデッキか。」

 

 

 アモンは事も無げにデッキケースを取り出すと、それを彩羽の足元に向かって投げ捨てる!

 軽い音を立てて壊れる留め金。

 

 デッキケースから、40枚のカードが散らばる!

 その所業に、彩羽の表情が凍り付く。

 

 

「…え?」

「君に無様に負けるデッキなど、もう必要ない。この新しいデッキのテストプレイ相手としても力不足だった。」

 

 

 

 途方もなく冷たい眼でアモンを一瞥した後、彩羽はデッキに手をかける。

 今、理解した。この男は、もう一度叩き潰さなければならない。

 

 

「ドロー。手札から、サイバー・ドラゴン・コアを召喚。効果発動、チェーンは?」

「何?!分派がサイバー流の…いや、コアは墓地発動効果があるが、僕の場には大天使クリスティアが居る。余計な事をさせる前に止める!神光の宣告者の効果発動!手札の天使族、ゼラディアスを墓地に送って、サイバー・ドラゴン・コアの効果を無効にして破壊!」

「…永続魔法、サイバー・ダーク・ワールドを発動!デッキから墓地に存在しないサイバー・ダークを手札に加える効果があるけれど、チェーンは?」

 

 アモンは一枚の手札を見つめながら、告げる。

 

「いや、通そう」

「サイバー・ダーク・カノンを手札に加えて、効果発動!手札から捨てて、デッキから機械族のサイバー・ダークを手札に加える、チェーンは?」

「通してやろう。精々出来るのは貫通効果と攻撃力を半分にしてのダイレクトアタックと300バーンだけだ」

「サイバー・ダーク・エッジを手札に加える。おろかな埋葬を発動、デッキから比翼レンリンを墓地に送る。チェーンは?」

 

 

 イライラを隠そうともせず、アモンは告げる。

 

「…通す」

「サイバー・ダーク・ワールドの効果発動!1ターンに1度、手札のサイバー・ダークを通常召喚できる。サイバー・ダーク・エッジを召喚。墓地から比翼レンリンを装備して、元々の攻撃力を1000にして、そこにレンリンの攻撃力1500を加算して、攻撃力は2500になる。チェーンは?」

「…通してやろう。そいつは攻撃力を半分にして、ダイレクトアタックが出来る。比翼レンリンで二回攻撃を付与しているが、想定内。天空の聖域が僕を守ってくれる。」

「ふーん…。その手札、天使族じゃあないんでしょ。」

「何を根拠に。」

「まぁ、それはもうすぐ明らかになるけれど。バトル、サイバー・ダーク・エッジの効果発動!攻撃力を半分にして、ダイレクトアタックが出来る!」

「攻撃力1250など敵では」

「手札から速攻魔法を2枚発動!」

 

 彩羽が発動した2枚の速攻魔法を見て、アモンは愕然とする。

 

「サイクロンと、リミッター、解除…」

「チェーン、出来るかな?」

 

 

 冷静な仮面が剥がれ落ち、アモンは崩れ落ちる。零れ落ちた最後の手札は。

 

 

「王宮のお触れ、か。」

 

 

 制圧布陣を敷き、その上で王宮のお触れを伏せずブラフとして持つ事で神光の宣告者によるプレッシャーをかける。戦略として間違っていなかった。だが。

 砕け散る天空の聖域。その残骸をすり抜けたサイバー・ダーク・エッジがアモンのライフを0にして、デュエルは終わった。

 

 

 周りを見渡す彩羽。だが、分派に入ろうという眼をしている生徒は一人もいない。

 

 どうしてこうなっちゃうのかなー、と思いつつ、彩羽は散らばった雲魔物デッキを回収してその場を去る。




 幻魔の扉が登場したころのOCGって、ライトニング・ボルテックスが制限なんですよね。その時期にあの効果はインチキかと。


 次回!セブンスターズ襲来!人知れず学園の危機に土門教頭が立ち向かいますよ!
 …彼が応援される気配が感じられないのは気のせいかな?
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