土門教頭が襲われた。犯人は、セブンスターズとの事。
「由々しき事態です。サイバー流の総力を持ってセブンスターズを討伐しなければ」
人格面において多大な問題があり、何より自分の地位を狙っている土門教頭。
鮫島校長としては、校長職に執着する気はない。時期が来ればクロノス教諭に譲っていいと考えている…。
だが、デュエリストとしての腕は相応に評価していた。その土門が敗れるとなると…。
鮫島校長が決断するが、その丸藤亮はまたしても、丁重に断りを入れねばならなくなり、その対応に苦慮。
他のサイバー流門下生に鍵の守護を任せようと思ったのだが、闇のゲームという情報がサイバー流の父兄に伝わっており、猛反対に合う。
「闇のゲームではありますが…。いったいどこから情報が…」
無論、鍵の守護をサイバー流門下生で固められては困る影丸理事長の差し金である。
おまけに、二年生は修学旅行の準備で忙しい。
「こうなれば、分派や1年生を…」
鮫島校長は、決断した。
「…オベリスクブルー3年、浦塞 恭子。入ります。」
「よく来てくれました。貴女は…。この学園に伝わる伝説のレアカードについて知っていますか?」
「噂程度は」
「この島には、三幻魔というカードが封印されています。その封印を解こうと挑戦してきたものが居ます。その名は、セブンスターズ。」
「7人、ですか?海馬オーナーの顔に泥を塗るには、桁が足りないのでは?」
「彼らの狙いは海馬コーポレーションの面子を潰す事では無く、三幻魔。それを守るには、鍵を賭けたデュエルを行う必要があります。」
「鍵を壊すわけにはいかないのですか?」
「鍵を壊すと、三幻魔が不完全に解放されるとか。倒すことも封印することも出来なくなっては、学園の閉鎖を視野に入れねばならなくなります。」
「それは…。」
「どうでしょう。鍵の守護者になってくれませんか?」
「…鍵もまた、7つですか?」
「はい。」
「…セブンスターズに土門教頭が襲われたと聞いています。」
「ええ。闇のゲームだとか。」
「本家の門下生も、参加させて頂きたい。もとは同じ流派であり、学園の危機である以上、求められれば力を貸します。ですが、分派にのみ危険を押し付けるのは承服しかねます。」
「わかっています。本家からも人員を出すと約束しましょう。」
なんとか一つを任せることは出来た。だが…。
「…一年生には、荷が重いですがやむを得ません。」
鮫島校長は、実技試験で抜群の成績を上げた生徒を選抜する。
遊城十代、三沢大地、万丈目準、織主陽樹、秋津美香、丸藤翔。
「一応、亮には話を通しておきましょう…。」
一件目のお断りが成功し、報告に戻った丸藤亮は激怒した。
「師範!闇のゲームなら俺が行きます!」
「亮、君の気持はわかる。だが」
「翔は一度昏睡状態になった!もう二度と翔と話せないのかと…。あの地獄をもう一度味わうくらいなら!」
「…セブンスターズの一人は、判明しています。」
「何?!」
「実技試験で、マナーを守っていない事で不合格になった少年です。フェリーで移動するときに押しかけてきて、翔君に対し名指しでデュエルを挑んだとか」
「そんな事が…。」
「亮。セブンスターズになり、アカデミアに襲撃を仕掛けた少年。…翔君を鍵の守護者に選ばなかったとしても、個人的な恨みで仕掛けてくるかもしれません。」
「師範…。」
「鍵の守護者とすれば、学園でも守れます。」
「お言葉ですが、師範。教員に鍵の守護者を任せるわけにはいかないのですか?」
「…影丸理事長から、アカデミアの上層部にセブンスターズと通じている者が居ると連絡がありました。」
「?!裏切者が…」
「教職員の誰が敵で味方か不明。私は教職員を信じていますが…。」
亮を説得した鮫島校長は、選抜した生徒を呼び出し、鍵の守護を頼む。
「一人は3年生の浦塞先輩か。二年生は…修学旅行だったな」
「闇のゲーム、か…。」
「だが、考えようによっては貴重な体験ができる。俺は受けます。」
「皆さん。事件が終了したときには、皆さんの要望を私の権限で一つ、叶えましょう。」
「それって、寮の昇格も…」
「勿論です。降格処分になりそうな時に一度だけ、降格処分の取り消し権というのも約束します。」
こういう職権乱用は使いたくない鮫島校長だが、闇のゲームの危険性を鑑みればまだ飴が足りないレベルだ。
「皆さん、この時点から戦いは始まっています。くれぐれもご用心を…?」
全員のPDAにメールが届く。
「浦塞先輩からッス!」
内容は情報共有しておこう、という話だった。
空き教室に集まった一年生を見渡す浦塞。
「…一年生ばかりだね。念のため聞いておくけれど、気は確かかな?闇のゲームは作り話では無いよ?」
「浦塞先輩も経験したことがあるんスか?」
「しばらくの間、不眠症になったよ。闇のゲームは、通常のデュエルと違って怪我したり、場合によっては命にかかわる。そうなると、慎重なプレイングになる。それ自体は悪い事ではないけれど、ブラフに引っかかって好機を逃すという事にもなりかねない。だから、私から言えるアドバイスは一つ。決してあきらめず、自分の感覚を信じる事」
「感覚を、信じる…。」
三沢君は、ピンと来ていないみたいッス。
「理詰めの決闘者なら、深呼吸して心を落ち着かせる事。言っておくけれど、闇のゲームが始まったらどちらかしか助からない。相手が知り合いだったとしても、自分を優先して。君たちの家族は君たちに生きていてほしいと思うだろうからさ」
思い思いに、戦いに向けての心構えやデッキ調整に入る一同。
「翔。闇のゲームならばライフを回復するカードや、攻撃を凌ぐカードを増やした方がいいのよね?」
「…そうは思わないッス」
「えっ?」
「闇のゲームは、すごいプレッシャーッス。時間をかければ疲弊するのはこっちッス。」
「だけど、条件は相手も同じ」
「だったら質問するッス。闇人格のバクラとマリクが、自分の仕掛けた闇のゲームで僕たちより先に倒れてくれると思うッスか?」
自分から仕掛けておいて、闇のゲームのプレッシャーに負けて倒れこむバクラとマリクの姿を何とか想像しようとする秋津だったが。
気合と意地で起き上がってくる光景しか思い浮かばなかった。
「…絶対にありえないわ。」
「そういう事っス。」
「短期決戦、一択かしら?」
「という事を想定して、罠を張る可能性もあるッス。僕たちは、いつものようにデュエルするべきッス。下手に戦略を変えるのは良くないッス。」
その二人の会話を聞いていた十代と万丈目は、場所を変える。
「闇のゲーム、か」
「…お前は信じられるのか?」
「遊戯さんが乗り越えて来たんだ。嘘だとは思っていない」
「俺には実感がわかない。」
十代と万丈目は、土門教頭がかかわった月一試験で不完全燃焼で終わった後。口直しがてらデュエルを行った。
フリーチェーンで逃げるディアバウンド・カーネルこそ倒せなかったが、結果は十代が制した。
その後、負けっぱなしは性に合わない万丈目は【光と闇の竜】デッキを持ち出して再戦。この時は万丈目が制した。
それから、寮を超えて二人は時折話をするようになった…。
「遊城」
「影丸?どうしたんだ?」
「闇のゲームを行うと聞いた。相手がどんなデッキを使ってくるか不明」
「そうなんだよなぁ。まぁ、どんなデッキが相手だろうと、俺は俺のデュエルをする。」
「それこそ、闇のゲームを制するために必要な事。だけど、色々な相手とデュエルしておけば戦術の幅が広がる事は事実」
「それで…」
光海が連れて来た女子生徒に、ここで目を向ける十代。
「こうして話をするのは初めてだったな。私は鳥羽。」
「俺は遊城。デュエルしてくれるなら、始めようぜ!」
「…まぁ、私のようなデッキを使う決闘者が闇のデュエリストとして立ちはだかるとは思えんが…。」
「「デュエルッ!!」」
十代 ライフ4000
手5 場
鳥羽 ライフ4000
手5 場
「先攻は貰うぞ?」
「ああ、いいぜ!」
「では。私の先攻!私は永続魔法、ヒステリック・サインを発動。」
「ハーピィデッキか!」
「私は、ハーピィ・クィーンを召喚!フィールド魔法、ハーピィの狩場を発動!ここで、魔法カード、万華鏡-華麗なる分身-を発動!ハーピィ・レディ・SBをデッキから特殊召喚!」
「狩場を発動しているから、自分の魔法・罠カードを破壊しなければならないが…」
「委細承知、ヒステリック・サインを破壊!これでエンドフェイズに、ヒステリック・サインの効果が発動する。さて、私の場に元々のカード名が異なる鳥獣族モンスターが2体以上存在するため、ライフを600払って魔法カード、翼の恩返しを発動!」ライフ4000から3400
「な、なんだ?!」
「それほど強力な魔法カードではない。カードを2枚ドローするだけだ」
「ええ~!いいなぁ!E・HEROにもほしい!」
「カードを2枚伏せてターンエンド!エンドフェイズ、ヒステリック・サインの効果でデッキから「ハーピィ」カードを3枚まで手札に加える!ハーピィの狩場、ハーピィ・クィーン、ハーピィ・レディ・SBを手札に加える!」
十代 ライフ4000
手5 場
鳥羽 ライフ3400
手3 場 ハーピィ・クィーン ハーピィ・レディ・SB ハーピィの狩場 伏せ2
「俺のターン、ドロー!俺はE・HEROエアーマンを召喚!効果発動、デッキから」
「ライフを1000支払い、永続罠発動!スキルドレイン!」ライフ3400から2400
「げげっ?!」
「これで、エアーマンの効果は無効となる!」
「なら、魔法カード、融合を発動!場の風属性のエアーマンと手札のオーシャンを融合!現れろ、E・HEROアブソルートZero!」
「効果は無効になっているが…」
「バトルだ!アブソルートZeroで、ハーピィ・レディ・SBを攻撃!」
「罠発動!バージェストマ・ディノミスクス!」
「な、なんだぁ?!」
「手札を一枚捨て、場の表側表示のカードを選択!選択したモンスターをゲームから除外する!ハーピィの狩場を捨てて、アブソルートZeroを除外する!」
「くっ、だけどアブソルートZeroの効果発動!場を離れたことで、ハーピィ・レディ・SBとハーピィ・クィーンを破壊!」
十代は手札を見つめ、そして相手の場に発動しているハーピィの狩場に目を向ける。
「俺はこのままターンエンドだ!」
十代 ライフ4000
手3 場
鳥羽 ライフ2400
手2 場 ハーピィの狩場 スキルドレイン
「…これは。気づいていないな、十代の奴」
「初見で気づくのは難しい。」
「へ?」
二人の声を聴いて、何か失策したかと思う十代。
「私のターン、ドロー!ハーピィ・クィーンを召喚」
「出て来たか!だけどこれで鳥羽は選択しなければならないぜ!ハーピィの狩場か、スキルドレインのどちらを破壊するのかをな!」
「何故だ?」
「何故って。ハーピィの狩場の効果は」
「私が召喚したのは、ハーピィ・クィーンであって、ハーピィ・レディでは無い」
「…んん?」
本来ならば、ハーピィ・レディとして扱う効果があるが、それはスキルドレインで無効になっている。
「バトルだ、刈り取れ、ハーピィ・クィーン!ダイレクトアタック!」
「だけど、まだライフは残…」ライフ4000から1900
速攻魔法が、発動される。
「速攻魔法、スワローズ・ネストを発動!場のハーピィ・クィーンをリリース。デッキからハーピィ・クィーンを特殊召喚!ダイレクトアタックだ!」
「そん、な…」ライフ0
「ハーピィデッキに、スキルドレイン…。まだまだ、俺の知らないコンボがあるんだな。ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
「こちらこそ、楽しかった。」
雑談を交わし、それぞれ寮へ戻る。
その夜。セブンスターズの先陣が、アカデミアを襲撃する…。