今回は4回デュエルがあります。
月一試験の数日前。
「や、やられたッス~!!」
僕は頭を抱えるッス。圧釜先輩、オシリスレッドの3年生は…とんでもない屑ッス。
あいつ、人の部屋に入りこんで勝手に私物を使うッス。
休日の朝、美味しそうな匂いがして起きたら、勝手に部屋に上がり込んであんパンをオーブントースターで焼いていたッス。
なんで勝手に部屋に入っているのかとか、なんで僕の私物のトースターであんパンを焼いているのかとツッコミどころが満載だったッス。
でも、あんパンを渡してきたので『買ってきてくれたなら…』と受け取ったら。
2000DPを取られたッス!割り勘と言って…何が割り勘ッスか!アンパンの定価の10倍ッスよ!
もう一人の対田(たいだ)先輩は…。パックを買って出て来たレアカードはすぐに売り飛ばして金に換え、それを元手にまたパックを買ったり生活費に当てているッス。
そのためか、デッキにはろくなカードが無く、自分でも『わしのデッキは雑魚カードばかりじゃ』とのほほんとしているッス。
こうはなりたくないッス。
かつて月一試験の時、遊城はラーイエローへの昇格話が上がっていたッス。
でも今は。覗き云々で停学を受けている。つまり…
ここでしっかり良い成績を修めれば、僕がラーイエローに昇格できる可能性があるという事っス。
ろくに勉強もせず神頼みなんて無様な真似はもうしないッス。死者蘇生のカードは制限カード、二枚売ってお金に変えてしまったから…。
他の部屋を見てみると、かつての僕と同じように神頼みしている生徒が居たッス。
でも、無防備に死者蘇生というレアカードを飾っていたから…。
降格処分、玉砕指令、墓場からの誘い、にすり替えられてしまったッス。
あの時、死者蘇生を無防備に飾っていたのに、盗まれなかった僕は運が良かったんスね。
顔を上げたらレアカードの死者蘇生が、絶望的なノーマルカードにすり替えられていたことに気づいた生徒が悲鳴を上げてひっくり返ってしまったッス。
この日のために、デッキをさらに調整したッス。アーマロイドガイテンゴーが当たったッス。融合召喚を封じられても、アドバンス召喚できれば強行突破出来るッス。
最も、まだまだカードが足りないッス。もっと集めないといけないッス。
筆記試験はばっちりだったッス。手ごたえは十分。
後は、しっかり実技に備えるッス…。
職員室。
「筆記試験の結果が出ました、土門教頭」
「フン。覗き魔は赤点か。停学してこれとは、退学処分にした方が良いんじゃあ無いですか?大徳寺寮長」
「…もう少し、長い目で見てあげて欲しいのニャ」
「おや?オシリスレッドで91点の生徒がいますね。」
「鮫島校長?誰です?」
「丸藤翔君です。受験番号は低かったのですが、そこから猛勉強したのでしょう。実技試験で結果を出せば昇格というのは?」
忌々し気な顔をする土門教頭とその一派。
「いいですよ。ラーイエロー寮には空きがあります。」
「待ってください。ラーイエロー寮は埋まるかもしれません。オベリスクブルーから降格させるべき生徒がでるかも…」
職員会議後。エントランスにて。
「…というわけで、遊城は嵌められたかもしれない」
「なるほど。」
一か月たったが、ブルー女子一年生の間では覗き事件の真相究明は続いていた。
島津は先日、オシリスレッド寮生から聞いた推理に理があると判断し、友人と情報共有していた。
「ラブレターの現物はPCで印刷された物。そして新入生がパソコンのログインに必要なパスワードを教えてもらったのは入学してから5日目。新入生は学園のパソコンで印刷出来ない。印刷が可能なのは、上級生か教職員のみ…」
「だいぶ絞られて来たわね。後はログイン履歴を調べれば…」
「だが、教員のログイン履歴を調べるのは無理だ。上級生でログインした生徒を洗い出し、その上で申請するしか無いだろう。個人的な感情も混じっているが…私は土門教頭が怪しいと考えている。入学試験で恥をかかされた腹いせという動機が…。鳥羽(とば)!」
とりかかった、黒髪ロングの少女に声をかける秋津。
彼女は鳥羽 後野(とば あとの)という名前だが、名前を笑った者は例外なく痛い目にあわせている。
「少しいいか?先日の事件について」
「すまない。土門教頭先生に呼ばれているのでな。実技試験後に何時もの場所で合流しよう。」
そう言って去っていく鳥羽を見送る二人。
そっとエントランスから下をのぞき込む。生徒にデッキを渡し、回し方をレクチャーしている土門教頭を見つめる。
「試験まであと1時間も無いのに、新しいデッキを即席で回せなんて無茶にも程がある。」
「鳥羽の事だ。万丈目に勝つのが狙いだろう。」
「…前から思っていたが。何故あれほど万丈目に固執する?」
「新興勢力である万丈目グループの躍進に対し、実家とその縁者は危機感を感じているらしい。自分が鳥羽家を継いだ暁には万丈目グループを接収してやると息巻いているが…。」
伯母の人物鑑定眼を、美香は信じている。そんな人物の教えを受けるとは…。
だが、何のとりえもない人物をあの海馬瀬人が抜擢するだろうか?
まぁ、試験になればわかる事。秋津は目の前の試験に集中することにした。
月一試験会場にて。
「…僕の相手が、秋津さんッスか!」
「不満?」
「そんな事は無いッス。行くッスよ!」
秋津は翔と対峙する。オシリスレッドではあるが、その実力を直接測るべく彼女は実際に手合わせすることにした。
オベリスクブルーの生徒には、対戦相手を指名する権利が与えられる。もっとも、それで勝ったとしても実技試験の得点は×0.8の補正をかけられる。
たとえ100点をとったとしても、実技試験の最終評価は80点となる。しかも負けた場合は大きく成績に影響する。
不利になるかもしれないが、そうなった時はまた頑張って取り戻せばいい。秋津はそう考え、翔とのデュエルを望んだ。
「「デュエルッ!!」」
翔 ライフ4000
手5 場
秋津 ライフ4000
手5 場
「先攻は貰う。私は切り込み隊長を召喚!」
これは、【戦士族】っスか?それとも…
「効果発動、手札のレベル4以下のモンスターを特殊召喚!異次元の女戦士を特殊召喚!カードを一枚伏せて、ターンエンド!」
翔 ライフ4000
手5 場
秋津 ライフ4000
手2 場 切り込み隊長 異次元の女戦士 伏せ1
「僕のターン、ドロー!僕は、パトロイドを召喚!効果発動!その伏せカードを確認するッス!」
「確認…。破壊する効果では無いのはありがたいが、これは」
伏せられていたのは、炸裂装甲だったッス。
「僕は、カードを4枚伏せてターンエンドっス!」
翔 ライフ4000
手1 場 パトロイド 伏せ4
秋津 ライフ4000
手2 場 切り込み隊長 異次元の女戦士 伏せ1(炸裂装甲)
「私のターン、ドロー!魔法カード、融合を発動!場の属性が異なる戦士族二体を融合!融合召喚!鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード!」
「?!」
想定外のモンスターが出てきたッス!
入学試験の時に伯母さんが言っていたのは、このことだったんスね!
「場のモンスターのみを融合素材にした事で、二回の攻撃が可能!バトル!鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリードでパトロイドを攻撃!」
「ロイドと名のつく機械族モンスターが攻撃対象になった事で、罠発動!スーパーチャージ!これを2枚発動するッス。さらにチェーンして罠発動!イタクァの暴風!相手の場のモンスターの表示形式を変更するッス!」
「表示形式を変更されたら、追撃は出来ない…。ターンエンド」
翔 ライフ4000
手5 場 パトロイド 伏せ1
秋津 ライフ4000
手2 場 鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリード 伏せ1(炸裂装甲)
「僕のターン、ドロー!魔法カード、融合を発動するッス!手札のサブマリンロイド、ドリルロイド、スチームロイドを融合!スーパービークロイド-ジャンボドリルを融合召喚!このカードが守備モンスターを攻撃した時、貫通ダメージを与えるッス!」
「攻撃力3000…。攻撃が通ると思っているなら、攻撃してきなさい」
「ジェットロイドを通常召喚!バトル!ジャンボドリルで、ギルティギア・フリードを攻撃!」
「罠発動!炸裂装甲!これで攻撃モンスターを破壊する!」
「チェーンして速攻魔法、融合解除!蘇れ、サブマリンロイド、ドリルロイド、スチームロイド!」
「?!」
「ドリルロイドで、ギルティギア・フリードを攻撃!モンスター効果発動!このカードが守備モンスターを攻撃した時、ダメージ計算を行わずに破壊するッス!」
「そんなっ!」
「サブマリンロイド、スチームロイド、ジェットロイド、そしてパトロイドでダイレクトアタック!」
「きゃあああああああっ!」ライフ4000から3200、3200から1400、1400から200、200から0
愕然とする秋津さん。
でも、デュエルの世界は非情。僕はそのことを、地下デュエルで学んだッス。
他のデュエルを見学することにしたッス。あれは、遊城とオベリスクブルーの寺岡君ッスね。
「「デュエルッ!!」」
十代 ライフ4000
手5 場
寺岡 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻!いよし!手札から永続魔法、修験の妖社を発動!」
「何?!」
見た事がない社が現れ、十代は驚く。
「このカードが場にある限り、妖仙獣と名の付くモンスターの召喚・特殊召喚されるたびに、妖仙カウンターが乗る!いくぞ、手札より妖仙獣 鎌壱太刀を召喚!鎌壱太刀の効果!召喚に成功した時、手札から妖仙獣を召喚できる!」
「通常召喚権を増やすという事か…?」
「その通り!手札から妖仙獣 鎌弐太刀を召喚!鎌弐太刀にも同じ効果がある!手札から妖仙獣 鎌参太刀を召喚!修験の妖社に妖仙カウンターが3つ乗る!」
社に置かれている蝋燭に灯がともる。
「一気にモンスターが3体!鎌鼬は三匹が一組で行動するという伝承を聞いたことがあるけれど…。どんな効果が」
「修験の妖社の効果発動!妖仙カウンターを3つ取り除いて、妖仙獣と名の付くカードをデッキか墓地から手札に加える事が出来る!デッキから妖仙獣 辻斬風を手札に加える!カードを一枚伏せて、ターンエンド!あん?」
「えっ?」
場に出ていた妖仙獣が全部手札に戻っていくッス!
「な、なんで手札に戻るんだ!ちょっと待ってくれ!」
「あ、ああ…。」
「…ま、まさか…通常召喚したらエンドフェイズに戻る効果は、任意ではなくて強制なのか?!ま、まぁ…この伏せカードがあれば大丈夫か。」
十代 ライフ4000
手5 場
寺岡 ライフ4000
手4 場 修験の妖社(0) 伏せ1
「…俺のターン、ドロー!E・HEROエアーマンを召喚!効果発動、デッキからE・HEROオーシャンを手札に加える。」
「だったらリバースカード…?な、なんで発動しない!」
どうやら、発動条件がある伏せカードを発動しようとしているみたいッス。
「えっと。続けるぜ?魔法カード、融合!場の風属性のエアーマンと水属性のオーシャンを融合!現れろ!マイフェイバリットカード!E・HEROサンライザー!効果発動、デッキからミラクルフュージョンを手札に加える」
「リバースカードオープン!リバースカードオープン!なんで発動しないんだ!おかしい!お、俺の場に妖仙獣と名の付くカードはあるだろうが!」
慌てふためきながら、場のカードを見る寺岡君。
妖仙獣と名の付くカード?と言っても、寺岡君の場にあるのは『修験の妖社』という、妖仙獣にかかわる永続魔法だけッス。
「…ミラクルフュージョンを発動!墓地の水属性のオーシャンとエアーマンを除外!現れろ、E・HERO アブソルートZero!場に光属性と水属性のモンスターが居るから、サンライザーの効果により、俺の場のモンスターの攻撃力は400ポイントアップ!バトルだ、アブソルートでダイレクトアタック!ここで、サンライザーの効果発動!その伏せカードを破壊する!」
「妖仙獣の秘技が!うわああああ!」ライフ4000から1100
「サンライザーでダイレクトアタック!」
「馬鹿なぁあああああ!」ライフ0
「俺、お前の【暗黒のマンティコア】デッキとデュエル出来ると思って、楽しみだったんだけどな…。」
そう言って、不完全燃焼な雰囲気を漂わせながら遊城は去っていったッス。
うーん。直前になってデッキを大幅に変えたんスかね?
他のデュエルを見学することにしたッス。戦っているのは、取巻君と織主君ッスね…。
「「デュエルッ!!」」
取巻 ライフ4000
手5 場
織主 ライフ4000
手5 場
「俺の先攻、ドロー!俺は終末の騎士を召喚!効果発動、甲虫装機 ホーネットを墓地に送る!カードを一枚伏せてターンエンド!」
取巻 ライフ4000
手5 場
織主 ライフ4000
手3 場 終末の騎士 伏せ1
「俺のターン、ドロー!魔法カード、予想GUYを発動!俺の場にモンスターがいないとき、デッキからレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚!現れろ、V-タイガー・ジェット!」
「何?!」
「さらに、永続魔法、前線基地を発動!手札のユニオンモンスター、W-ウィング・カタパルトを特殊召喚!俺はV-タイガー・ジェットとW-ウィング・カタパルトを除外して、VW-タイガー・カタパルトを特殊召喚!」
「VWと来たら…」
「魔法カード、テラ・フォーミングを発動!デッキからフィールド魔法、ユニオン格納庫を手札に加えて発動!このカードの発動時の効果処理として、デッキから機械族・光属性のユニオンモンスター1体を手札に加える事ができる!」
「まさか、狙いは!」
取巻君が手札に加えたのは…
「俺はY-ドラゴン・ヘッドを手札に加えて、召喚!ここでフィールド魔法、ユニオン格納庫の効果発動!1ターンに1度、俺のフィールドに機械族・光属性のユニオンモンスターが召喚・特殊召喚された場合、そのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターに装備可能で、カード名が異なる機械族・光属性のユニオンモンスター1体をデッキから選び、そのモンスターに装備!俺は、Z-メタル・キャタピラーを装備させる!」
「YとZがそろった…」
でも、通常召喚権は使っているッス。ここからXYZにつなげるのは…。
「永続魔法、X・Y・Zコンバインを発動!行くぞ、俺は場のY-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーを除外して、YZ-キャタピラー・ドラゴンを特殊召喚!ここで、X・Y・Zコンバインの効果発動!俺の機械族・光属性のユニオンモンスターカードが除外された場合に発動できる。デッキから「X-ヘッド・キャノン」「Y-ドラゴン・ヘッド」「Z-メタル・キャタピラー」の内1体を特殊召喚する!現れろ、X-ヘッド・キャノン!」
「だけど、これで終わりでは無いな?」
「当たり前だ!俺はX・Y・Zコンバインの効果発動!俺のフィールドの融合モンスター1体をEXデッキに戻して発動できる。除外されている俺のモンスターの中から、「X-ヘッド・キャノン」「Y-ドラゴン・ヘッド」「Z-メタル・キャタピラー」を2体まで選んで特殊召喚する!YZ-キャタピラー・ドラゴンをデッキに戻し、Y-ドラゴン・ヘッドとZ-メタル・キャタピラーを特殊召喚!俺はX-ヘッド・キャノン、Y-ドラゴン・ヘッド、Z-メタル・キャタピラーを除外し、XYZ-ドラゴン・キャノンを特殊召喚!」
「一ターンでXYZとVWを特殊召喚したか!」
「当たり前だ!俺はデュエルエリートのオベリスクブルーだ!ペガサス・ミニオンだからって手加減はしない!XYZ-ドラゴン・キャノンの効果発動、手札を一枚捨て、その伏せカードを破壊する!」
「罠発動!威嚇する咆哮!このターン、相手は攻撃宣言出来ない!」
優秀な防御札ッス。甲虫装機の除去効果と展開力に注目されがちだけど、防御もきっちりしているのが織主君の強いところッス。
「だったら俺は!XYZ-ドラゴン・キャノンとVW-タイガー・カタパルトを変形合体!現れろ!VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン!効果発動、終末の騎士を除外する!」
「ノーコストで除外か。召喚条件を考えれば妥当だな」
「カードを1枚伏せてターンエンド!」
取巻 ライフ4000
手0 場 VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノン ユニオン格納庫 X・Y・Zコンバイン 前線基地
織主 ライフ4000
手3 場
「俺のターン、ドロー!俺は甲虫装機 ダンセルを召喚。墓地の甲虫装機 ホーネットを装備する。ホーネットを墓地に送って、VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンを破壊!」
「ば、馬鹿な!VWXYZ-ドラゴン・カタパルトキャノンが!」
「ダンセルの効果でセンチビートをデッキから特殊召喚。再びホーネットを装備して、このカードを墓地に送ってユニオン格納庫を破壊。センチビートの効果でギガマンティスを手札に加え、ダンセルに装備。これでダンセルの攻撃力は2400だ。バトル!ダンセルとセンチビートでダイレクトアタック!」
「フッ。おい!これで勝ったと思っただろう!」
「何?」
突如として、ダンセルとセンチビートが弾かれたように後ろに下がったッス!
「どうだ!俺は墓地の超電磁タートルの効果を発動したのだ!」
「そうか、XYZの手札コストで捨てていたのか…。ターンエンド!」
取巻 ライフ4000
手0 場 X・Y・Zコンバイン 前線基地
織主 ライフ4000
手3 場 ダンセル センチビート (ギガマンティス)
「行くぞ、俺のターン、ドロー!」
取巻君が引き当てたのは…。あっ、眼が死んだッス。
「…カードを一枚伏せてターンエンド」
取巻 ライフ4000
手0 場 X・Y・Zコンバイン 前線基地 伏せ1
織主 ライフ4000
手3 場 ダンセル センチビート (ギガマンティス)
「俺のターン、ドロー。ダンセルの効果発動、墓地のホーネットを装備して、墓地に送って伏せカードを破壊する」
永続罠、X・Y・Zハイパーキャノンが墓地に送られたッス。
「…バトル!ダンセルとセンチビートでダイレクトアタック!」
「うわああああああ!」ライフ4000から1600、1600から0
取巻君のデッキは、【キングドラグーン】を主軸に置いたドラゴン族と高打点の下級ドラゴン族を主軸にしたデッキだったはずッス。
にもかかわらず、【VWXYZ】を使うなんて意外ッス。使い慣れたデッキを使うのが普通なのに…。三沢君みたいに色々なデッキを持っているンスかね?
他の試験を見に行くッス…。あれは万丈目君と…鳥羽さんッス。
鳥羽さんは長い黒髪で、清楚な感じがする人っス。でも目つきは鋭くて、かなり勝気な性格をしているっス。
「中等部では非常に認めがたいが…負け越しで終わった。だが、ここから連勝させてもらうぞ、万丈目!」
「…月一試験の相手がお前か。」
「何が不満だ?」
万丈目君が観客席の方にちらりと視線を送ったッス。
「どこを見ている?お前の相手は私だ!」
「そうだったな。始めよう」
「「デュエルッ!!」」
鳥羽 ライフ4000
手5 場
万丈目 ライフ4000
手5 場
「私の先攻!私は、インフェルニティ・ガーディアンを攻撃表示で召喚!」
「何?お前、【スキドレハーピィ】はどうした!」
「そんな些末な事を気にしている場合か?カードを2枚伏せて、ターンエンド!」
鳥羽 ライフ4000
手2 場 インフェルニティ・ガーディアン 伏せ2
万丈目 ライフ4000
手5 場
「…俺のターン、ドロー!魔法カード、死者への手向けを発動!手札のヘルウェイ・パトロールを捨てて貴様のインフェルニティ・ガーディアンを破壊する!」
「罠発動!インフェルニティ・インフェルノ!私は手札を2枚まで捨てる事で、捨てた枚数分だけデッキから「インフェルニティ」と名のついたカードを墓地へ送る!インフェルニティ・ビーストとインフェルニティ・デストロイヤーを捨てて、デッキからインフェルニティ・デーモンとインフェルニティ・ネクロマンサーを墓地に送る!」
「手札を0にするだと!だが、そんな事をしたところでそのモンスターは…何?!」
包帯で包まれるも、平然と突き破るインフェルニティ・ガーディアン。
「インフェルニティ・ガーディアンは戦闘及び効果では破壊されない。私の手札が0枚である限り!」
「チッ…。土門の策略か。」
「土門教頭先生、だろう。先生には敬意を払うべきだ。」
「フン。俺は墓地に眠るヘルウェイ・パトロールを除外して効果発動!手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスターを特殊召喚できる!現れろ!地獄詩人ヘルポエマー!バトルだ!ヘルポエマーでインフェルニティ・ガーディアンを攻撃!」
「だが、インフェルニティ・ガーディアンは戦闘では破壊されない!」
「ダメージは受けてもらう!」
「っつ…」ライフ4000から3200
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド!」
鳥羽 ライフ3200
手0 場 インフェルニティ・ガーディアン 伏せ1
万丈目 ライフ4000
手2 場 地獄詩人ヘルポエマー 伏せ1
「私のターン、ドロー!私はインフェルニティ・ネクロマンサーを召喚!このカードは召喚に成功した時、守備表示になる。」
「インフェルニティという事は、そいつも手札が0枚の時に効果が発動するのか?」
「その通り。手札が0枚の時、墓地のネクロマンサー以外のインフェルニティを特殊召喚できる!蘇れ、このデッキのエースモンスター、インフェルニティ・デストロイヤー!」
「それがエースモンスターか!なるほど、倒しがいがありそうだ!」
「バトル!インフェルニティ・デストロイヤーで、地獄詩人ヘルポエマーを攻撃!」
「ぐっ!」ライフ4000から3700
「この瞬間、インフェルニティ・デストロイヤーの効果発動!手札が0枚で、相手モンスターを戦闘で破壊した時。相手に1600ポイントのダメージを与える!」
「なっ?!ぐあああああああっ!」ライフ3700から2100
「インフェルニティ・ガーディアンでダイレクトアタック!」
「ぐうううううっ!お、おのれぇ!」ライフ2100から900
「バトルフェイズ終了。ここで地獄詩人ヘルポエマーの効果が発動するが…。残念なことに私の手札が0枚。捨てようにも捨てる手札が無いのでは仕方ないな?」
「ええい、忌々しい!」
「はっはっは。私はこれでターンエンド!」
鳥羽 ライフ3200
手0 場 インフェルニティ・ガーディアン インフェルニティ・ネクロマンサー インフェルニティ・デストロイヤー 伏せ1
万丈目 ライフ900
手2 場 伏せ1
「俺のターン、ドロー!手札の炎獄魔人ヘル・バーナーを捨て、装備魔法D・D・Rを発動!ゲームから除外されているヘルウェイ・パトロールを特殊召喚!」
「呼び戻してきたか。だが、それでどうする?」
「魔法カード、トランスターンを発動!闇属性、悪魔族、レベル4のヘルウェイ・パトロールを墓地に送る!」
「地獄将軍メフィストか?それを出したところで」
「デッキから現れろ!ディアバウンド・カーネル!」
「?!新カードを投入していたか!」
「当たり前だ!バトル!ディアバウンド・カーネルで、インフェルニティ・ネクロマンサーを攻撃!ここで、ディアバウンド・カーネルの効果発動!攻撃力を600ポイントアップ!」
「罠発動!インフェルニティ・フォース!私の手札が0枚でインフェルニティと名の付くモンスターが攻撃された時に発動!攻撃モンスターを破壊し、墓地のインフェルニティと名の付くモンスターを特殊召喚!」
「破壊した上に、墓地のインフェルニティを蘇生する罠だと!だが、俺はディアバウンド・カーネルの効果発動!このカードを除外して、お前のインフェルニティ・デストロイヤーの攻撃力を1800ポイントダウンする!」
「ディアバウンド・カーネルには逃げられたが、インフェルニティ・フォースの効果でインフェルニティ・ビーストを墓地から特殊召喚…んっ?」
でも、墓地からインフェルニティ・ビーストが復活しないッス。
「まさか、破壊対象の相手モンスターが居ないから効果が発動しないのか?」
「お前、自分のカード効果も把握していないのか!」
「お、お前には関係ないだろう!」
「…ターンエンド、だ。」
鳥羽 ライフ3200
手0 場 インフェルニティ・ガーディアン インフェルニティ・ネクロマンサー インフェルニティ・デストロイヤー
万丈目 ライフ900
手0 場 伏せ1
「私のターン、ドロー!」
「このスタンバイフェイズに、ディアバウンド・カーネルは俺の場に戻ってくる!」
「私はインフェルニティ・ドワーフを召喚!手札が0枚の時、私の場のモンスターは貫通効果を得る!」
「何!インフェルニティだけではなく自分の場のモンスター全てに貫通効果を付与するだと!」
今までのインフェルニティと毛色が異なる効果ッスね。万丈目君も驚いたみたいッス。
「…そうは言っても。デュエルしていて手札0とかそうそうならないし、ステータスも低い。【戦士族】に投入しても活躍の場は薄いだろう。」
「…それもそうか。続けてくれ」
「インフェルニティ・ネクロマンサーの効果発動!墓地より、インフェルニティ・デーモンを特殊召喚!効果発動、デッキからインフェルニティと名の付くカードを手札に加える!私は…。」
デュエルディスクを操作し、デッキ一覧からカードを吟味し始める鳥羽さん。
デュエルディスクにはこういう機能が備わっているッス。相手が『深淵の指名者』みたいなカードを使われて、とっさに条件を満たすカードが思いつかなかった時なんかに、使う機能ッス。
「…インフェルニティ・フォースでは、場が埋まっているから墓地の蘇生効果が使えない…。インフェルニティ・ブレイクは優秀だが、ディアバウンド・カーネルが倒せない…ならば!私はカウンター罠、インフェルニティ・バリアを手札に加えてセット!」
「どうやらディアバウンド・カーネルに対抗できる効果があるみたいだな。さしづめ、手札が0枚の時、相手のカードの発動と効果を無効にして破壊といったところか…。」
手札が0枚でないと発動しないせいか、メインフェイズ1でカードを伏せているッス。
声は届く距離でも、離れていてテキストが読み取れない万丈目君は、鳥羽さんの発言から効果を推察しているッス…。
「このターンで終わらせる!バトルだ、行け、インフェルニティ・デストロイヤー!」
「ディアバウンド・カーネルの効果発動!このカードを除外して、インフェルニティ・デストロイヤーの攻撃力を1800ポイントダウンする!」
「そうするしかない!だが、これでお前の場はがら空きだ!」
「リバースカードオープン!永続罠、リビングデッドの呼び声!蘇れ、炎獄魔人ヘル・バーナー!お前の場のモンスターの数×200ポイント、攻撃力がアップする!」
「攻撃力3800!バトル中止!…インフェルニティ・ガーディアン、インフェルニティ・ドワーフ、インフェルニティ・デーモンを守備表示に変更。ターンエンド。」
鳥羽 ライフ3200
手0 場 インフェルニティ・ガーディアン インフェルニティ・ネクロマンサー インフェルニティ・デストロイヤー インフェルニティ・ドワーフ インフェルニティ・デーモン 伏せ1
万丈目 ライフ900
手0 場 炎獄魔人ヘル・バーナー リビングデッドの呼び声
「俺のターン、ドロー!スタンバイフェイズに、ディアバウンド・カーネルは戻ってくる。」
「だ、だが!お前の場にモンスターが増えた事で、炎獄魔人ヘル・バーナーの攻撃力は500ポイントダウンする!」
「そんな事は分かっている!ディアバウンド・カーネルを除外し、インフェルニティ・デストロイヤーの攻撃力を1800ポイントダウンする!」
「カウンター罠、インフェルニティ・バリア!私の場に攻撃表示のインフェルニティと名の付くモンスターが存在し、手札が0枚の時、相手の発動したカード効果を無効にして破壊する!ディアバウンド・カーネルの効果を無効にして破壊する!」
「ちっ、手札0枚という条件が必要とはいえ、随分強力なカウンター罠だな…。」
「どうだ!これでライフは削り切れまい!後は、ヘル・バーナーを破壊出来るインフェルニティ・ブレイクか、ダメージを与える事が出来るインフェルニティ・リフレクターを…。いや、インフェルニティ・デーモンの効果で手札にどちらかを加えれば…」
これでこのターンはしのげると確信したのか、次の手を考え始める鳥羽さん。
その様子を見て、万丈目君は賭けに出るッス。
「魔法カード、闇の誘惑を発動!カードを二枚ドローして、その後闇属性モンスターを除外する。」
闇の誘惑。でも、闇属性モンスターを引けなければ手札をすべて捨てないといけないッス!
「俺はジュラゲドを除外!魔法カード、アームズ・ホールを発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、デッキか墓地から装備魔法を手札に加える。デッキトップは…ダメージ・ダイエットか。俺はデッキから装備魔法、ニトロユニットを手札に加え、インフェルニティ・デストロイヤーに装備!」
「ニ、ニトロユニット?!」
「炎獄魔人ヘル・バーナーで、インフェルニティ・デストロイヤーを攻撃!」
「な、何か。何か手は…!」ライフ3200から1700
無意識に手札を確認しようとする鳥羽さん。でも、その手札が0枚であることに気づいて、愕然としているッス。
「そして、ニトロユニットの効果発動!装備モンスターを戦闘破壊した時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える!」
「わ、わあああああああ!」ライフ0
デュエルに勝った物の、万丈目君は冷たい目をしているッス。
「鳥羽。このデュエルはノーカウントにしておく」
「なっ?何だとっ!憐れみのつもりか!待てっ!もう一度、私と!」
「俺は。今のお前とは、デュエルしない。」
会場がざわめく中、万丈目君は去っていったッス…。
うーん。あのデッキ。チューナーと、シンクロモンスターが登場したら強くなりそうッス。
インフェルニティ・デーモンを能動的に墓地に送って、ネクロマンサーの効果で蘇生すればサーチ効果が使えるから。
その様子を見ていた、土門教頭は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。
(前から気に入らない秋津の姪っ子が、オシリスレッドに負けたから評判は一気に落ちる。遊城十代ごときに負けるとは、寺岡の事を買い被り過ぎていたか…。取巻については、ペガサス・ミニオン相手に負けた事で織主をオベリスクブルーに昇格させる口実になった。あのデッキはデュエルエリートなら問題なく回せることも確認できた。優秀な生徒へ送るには最適なデッキ。だが…。)
土門は、自身が構築した【インフェルニティ】を与えられながらおめおめと敗北した鳥羽に冷たい目を向ける。
(手札破壊に対し、手札0枚で効果が発動するインダストリアルイリュージョン社が開発したテーマを、この私がデッキに仕上げてレクチャーしたにもかかわらず、万丈目グループの落ちこぼれに負けるとは。)
土門は鳥羽のプレイングを酷評する。
(あの局面なら万丈目のライフは残り900、インフェルニティ・バリアでは無くインフェルニティ・リフレクターを手札に加え、効果ダメージによる勝利を狙えば勝てていたものを。フン。日本屈指の名家、華族の血を引く生まれでも、この程度か。)
「今回、ラーイエロー一年、織主君はオベリスクブルーに昇格とします。それでは気を付けて帰ってください」
土門教頭がそう締めくくった。
くっ…ここでラーイエローに昇格出来なかったのは痛いッス…。
寺岡はアニメGX三期にて「怒りの仮面」になってジムとデュエルした男子生徒です。
ちなみに、寺岡と取巻と鳥羽さんはテストプレイ無しで実技試験本番に望んでいます。テストプレイもさせずに指折りの実力者に差し向けて、負けたら内心罵倒するとかどうして教員やれているのでしょうか?私には分かりません。
…そもそも。唐突に初見のデッキを渡されて、「これで一時間後にデュエルをしろ」と言われて回せる遊戯王キャラって誰でしょう?それをぶん回して見せたのが万丈目なのですが。
万丈目の【地獄】デッキは、【悪魔族】よりにすれば割と良い線行けると思います。
次回はブルー女子組の顛末、オシリスレッド寮の一般生徒と、前世の翔の地下デュエル編を送ります。