丸藤翔のやり直し   作:交響魔人

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遊戯王世界の一般的なカードの価格がよくわかりません。現実世界で一番高騰していた時の価格に、100をかけた値ぐらいでしょうか…。


廃寮と、制裁デュエル!

 遊城達が、怪談話をしていたッス。

 これは…廃寮へ行くことになるっスね。でもそうなれば、制裁デュエルが待っているッス。

 

 僕は関わらないでおこう。一刻も早く、ラーイエローに昇格するッスよ!

 

 

 

 

 

 

 

 翔が、決意を新たにした翌日の夜。

 

「…天上院、こんな夜中にどうした?」

 

 落ちこぼれ、最近ではそれに加えて性犯罪者の巣窟扱いされている、オシリスレッドに負けた事で秋津の立場は悪くなっていた。

 馬鹿にされる事もしばしば。それでも、変わらず交流を持ってくれる一部の女子生徒には感謝しかない。

 

 勘違いした馬鹿な男子が交際するよう言ってきたこともあり、うんざりしていた。無論、断っている。

 しかも、とりあえずキープとはどういうことだ。人を馬鹿にするにもほどがある。

 

 そんな時、天上院が自室を訪ねてきたことで事情を聴く。

 

 

「…私の伯母は、アカデミアには黒いうわさが絶えないと言っていたが…。本当に生徒が行方不明になっているとは」

「あちこち探したけれど、いっその事、廃寮を探ってみようと思うの」

「だが、あまりにも危険すぎる。木乃伊取りが木乃伊になる、という奴だ。」

「一緒に来てほしいのよ!」

「断る。というより、天上院。これは貴女の手に余る。他の人に解決を依頼した方が…」

 

 そこまで言いかけたが、唇をぎゅっと噛む天上院の気迫に負ける。

 

「…いや、この状況になってもなお、私と会話をしてくれる数少ない友人の頼み、引き受けよう。」

「なら、行くわ…よ?」

 

 

 小さなリュックサックに、懐中電灯、ロープ、麻袋、錆落とし、プラスドライバーとマイナスドライバー、ハンマー、ペンチ、水筒を入れ、軍手を嵌めはじめる秋津。

 

 

「え、ちょっと」

「…軍手だ。予備を貸す。何せ、アカデミアが立ち入り禁止区域に指定しているのだ。即席でしか無いが…まぁ、無いよりはましだろう。後は…」

 

 

 ジャージを取り出し、秋津は告げる。

 

「…お前もジャージに着替えたらどうだ?虫に刺されるぞ。」

「わ、わかったわ…。でも、どうしてそういう物が用意してあるの?」

「伯母の教えだ。おっと、スタンガンも忘れずに…。」

 

 

 

 

 

 

 

 廃寮へ入り、中を捜索する二人。

 埃が積もっており、しばらく放置されているようだが…。

 

 

「天上院。ここの埃が少ない」

「本当だわ」

「…つまり、出入りしている者が居るという事。既に閉鎖されているはずの廃寮に。」

「何かある事は事実ってわけね?」

 

 

 うなづき、さらに捜索を続ける。

 

 

 

 障害物を持参した道具で排除し、手際よく秋津は道を切り開く。

 時間は有限。なるべくこの手の作業は早めに片付けるに限る。

 

 

 

 

 

 精巧な細工が施されている古びた扉を開ける。床の埃が積もっていることから、ここも使われた形跡がない。

 またしても外れか、と落胆する秋津だったが。

 

 

 

「…これは!兄さんの写真…!」

 

 置かれていた写真を抱え込む天上院。

 どうやら、ここに天上院の兄がいた事は確からしい。となれば、この廃寮に手掛かりがあるとはっきり分かった。

 

 ならば。

 

 

「そろそろ時間だ。引き上げよう。」

 

 

 可能な限り、通った通路を記憶を頼りに戻す秋津。完全では無いが、やらないよりはマシ。

 今回の進入がバレるまで少しでも時間を稼ぐ。そう考えていた秋津だったが…その考えは即座に打ち砕かれることになる。

 

 

 

 …やはり、断るべきだった。

 日の出を眺めながら、連行される羽目に陥った秋津は後悔する。

 

 廃寮で兄の手がかりを見つけたのは良いが、廃寮から出た直後、土門教頭の一派に身柄を拘束された。

 

『夜中に寮を抜け出して廃寮に許可なく立ち入るような、非常識な生徒はこれ以上面倒を見れない』として、退学処分にすると言われたが、何故か影丸理事長が口出ししてきた。

 

 

『我々学園上層部でも、手掛かりを見つけられていない。そんな無能ぶりを見て、大人しくしていられなかったのだろう。だが、ここはデュエルアカデミア。制裁デュエルを行い、勝利すれば無罪放免とする。兄を思う一心で行動した天上院については、制裁デュエルを受ける必要は無いが、秋津美香には受けてもらう。』

 

 

 

 

 

 

 

 数日後。

 

 制裁デュエルの話が広まったッス。でも、天上院さんは無罪放免で制裁デュエルを受けるのが秋津さんらしいッス。

 

 …どうやら僕も制裁デュエルにかかわる事になりそうッス。

 

 

「…丸藤。私と制裁デュエルにタッグを組んで出てくれないか?…頼む。負ければ退学にはなるが…。」

 

 僕の所に来たという事は、散々断られてきたという事っス。

 というより、負ければ退学にされるという条件だったら、普通だれもタッグを組んでくれないッスね…。

 

 

「オシリスレッドに負けた事で、立場が悪くなったんスよね?僕に恨みを抱いているんじゃあ無いッスか?」

「それは無い」

 

 きっぱりと告げる秋津さん。

 

「負けたのは私が未熟だったからだ。次に勝てるように努力するべき。」

「…わかったッス、引き受けるッス」

「た、助かる!この恩は必ず…!」

 

 

 気にしていないと言っていても、立場が悪くなった原因は僕にもあるッス。ここは助けるッス!

 パックを買ったら、デーモンの斧が当たったッス。7カードを抜いて代わりに入れておくッス。

 

 

「…実は、先日こんなカードを手に入れたッス。これ、ギルティギア・フリードと組み合わせると、除去効果が使えるッスよ。」

「?!いいのか?」

「4枚目以降はデッキに入れられないから、上げるッス。」

 

 

 嘘ッス。一枚しか持っていないッス。でも僕は譲る事にしたッス。

 

「…大切に使わせてもらう。重ね重ね、ありがとう」

 

 

 

 

 タッグデュエル当日。

 会場に向かう廊下に、二人の女子生徒が居たッス。

 島津さんと、鳥羽さんッス。

 

 

 

「秋津!本当に大丈夫?」

「本当にすまない。協力したかったのだが、実家から『制裁デュエルに参加したら縁を切る』と言われては…」

 

 

 どうやら、制裁デュエルのタッグを引き受けて負けたら退学処分になる、という事を先んじて親御さんに情報を流していたみたいッス。

 

 

「気にしていない。こうなった以上、デュエルで勝ち取るまで。」

 

 

 

 

 

 デュエルリングに到着したッス。

 一緒に出て来たのが僕という事で…

 

 

 

『何だよアイツ、散々断られて、挙句の果てにオシリスレッドに泣きついたのか』

『だっせー、ああなったら終わりだよな』

『というか、なんでオシリスレッドは退学にさせられると分かって参加したんだ?』

『たぶらかされたんだろう』

『うわっ、あいつあんなのが好みなのか。ウケる』

 

 

 散々な言われようッス。でも、こんなの地下デュエルでの罵声に浴びせればそよ風みたいなもんッス。

 そして、土門教頭が拳を握りしめて僕をにらみつけているッス…。

 相手は…迷宮兄弟っスね。

 

 

 

「我らに勝たねば」

「道は開かれぬ」

 

「「いざ!」」

 

 

 

「「デュエルッ!!」」

 

ライフ8000

迷宮兄 手5 場 

迷宮弟 手5 場 

 

ライフ8000

秋津 手5 場 

丸藤 手5 場 

 

 

「我のターン!フハハハハ!メインフェイズ1の開始時だ!魔法カード、強欲で金満な壺を発動する!」

「強欲で、金満?」

 

 知らないカードに、気を良くしたのか迷宮兄弟は大笑いを上げるッス。

 

 

「フハハハ!知らないようだな!ならば教えてやろう!メインフェイズ1の開始時しか発動できず、融合デッキからモンスターを3枚か6枚ランダムに除外することで、除外したカード3枚につき1枚、デッキからドローできる魔法カードだ!」

「ただし、発動後はターン終了時までカード効果でドローすることは出来ないがな。これはデュエリスト・キングダム、第一回バトルシティ、KCグランプリのいずれかに参加した古参決闘者に配られた魔法カードだ。今では大規模な公式大会の優勝賞品となっていることもある、レアカード!」

「オークションに出回ることもあるが、最低落札価格は350万以上はするぞ!まぁ滅多に市場に出回らないから、購入するのは難しいがな!ハッハッハ!」

 

 

 

 そんなカードがあるんスね…。初めて知ったッス。

 

 

「融合デッキから6枚除外して、2枚ドロー!我は手札の雷魔神-サンガ、風魔神-ヒューガ、水魔神-スーガを墓地に送り、モンタージュ・ドラゴンを特殊召喚!」

「攻撃力が決まっていないッス?」

「このカードの攻撃力は、手札から捨てたモンスターのレベルの合計×300ポイントアップする!よって攻撃力は6300!」

 

 

『すっげぇ!攻撃力6300か!』

『あれが、迷宮兄弟の新たな切り札か!』

 

 

 

「さらに魔法カード、ソウルチャージを発動!墓地に眠る雷魔神-サンガ、風魔神-ヒューガ、水魔神-スーガを特殊召喚!ただし、一体につきライフを1000失う」ライフ8000から5000

 

 

 三体の魔神が、そろったッス!

 

 

「おお!兄者!」

「だが、残念なことに我らの切り札は手札には来ておらぬ。よってカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

 

 

 

「私のターン!切り込み隊長を召喚!効果により、手札の不死武士を特殊召喚!魔法カード、融合を発動!場の地属性と闇属性の戦士族を墓地に送り、鋼鉄の魔導騎士-ギルティギア・フリードを融合召喚!」

 

 秋津さんのエースモンスターが出てきたッス。

 

 

「装備魔法、レア・ゴールドアーマーを装備!これでギルティギア・フリード以外のモンスターを攻撃することは出来ない!カードを一枚伏せて、ターンエンド!」

 

 迷宮弟のターンっス。

 

「ならば我のターン!メインフェイズ1の開始時だ!我も魔法カード、強欲で金満な壺!我は6枚のカードを除外して、二枚ドロー!」

「どちらもデュエリストキングダムの参加者だから、当然持っているか…。」

「あれ?でも、迷宮兄弟って、ペガサス会長にやとわれたプレイヤーキラーッスよね?大会参加者…?」

 

 ふと、僕は疑問に思ったッス。でも、誰も反応してくれなかったッス…。

 

 

 

「フフフ…魔法カード、召喚師のスキルを発動!デッキから迷宮壁-ラビリンス・ウォールを手札に加える。さらに魔法カード、古のルールを発動。手札の上級通常モンスターを特殊召喚!現れよ!迷宮壁-ラビリンス・ウォール!」

「守備力3000ッスか…」

 

「さらに装備魔法、迷宮変化を装備。そして迷宮変化とラビリンス・ウォールをリリースして、デッキからウォール・シャドウを特殊召喚!守備表示!一枚カードを伏せ、我はこれでターンエンドだ!」

 

 

 僕のターンっス。

 

「僕のターン!僕はモンスターをセット!カードを1枚伏せて、ターンエンドっス!」

 

 

 

『何だよアイツ、他の3人は強力なモンスターを出しているのに、下級モンスターを出して終わりかよ!』

『やっぱりオシリスレッドだ!』

 

 

 …手札を使い果たして、強力なモンスターを出すだけ、という戦術は脆いッス。

 そのことを僕は前世で思い知ったッス…。

 

 

 

 

ライフ5000

迷宮兄 手1 場 モンタージュ・ドラゴン 雷魔神-サンガ 風魔神-ヒューガ 水魔神-スーガ 伏せ1

迷宮弟 手2 場 ウォール・シャドウ 伏せ1

 

ライフ8000

秋津 手0 場 ギルティギア・フリード レア・ゴールド・アーマー 伏せ1

丸藤 手3 場 セットモンスター 伏せ1

 

 

 

「我のターン、ドロー!フフフ、ハハハハ!」

 

 

 随分と良いカードを引き当てたみたいッス。

 

「我はこのままバトルフェイズに」

「待ってもらうわ!メインフェイズ1の終了時に罠発動!鎖付き爆弾!これをギルティギア・フリードに装備!」

「攻撃力を500ポイントアップさせたところで!

「兄者のモンタージュ・ドラゴンの敵では無いッ!」

 

 

 早速使ってくれたッス!でも、ここで使ってしまうっスか…。ちょっと計算が狂ったッス。モンタージュ・ドラゴンの攻撃にこのカードを使いたかったッス…。

 

 

 

「ここで、ギルティギア・フリードの効果発動!このカードを対象とする魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動!その効果を無効にし、フィールドのカードを1枚を選んで破壊する!鎖付き爆弾の効果を無効にして破壊!」

「自分で自分のカードを破壊?!ま、まさか狙いは…」

「効果で破壊された鎖付き爆弾の効果発動!モンタージュ・ドラゴンを破壊する!」

 

 

 器用に鎖付き爆弾を操って、モンタージュ・ドラゴンの脳天にたたきつけるギルティギア・フリード!

 爆発に耐え切れず、モンタージュ・ドラゴンは破壊されるッス!

 

 

「ぬぅっ!だが、我の場には三体の魔神がいる。」

「だけど、ウォール・シャドウは次のターンで倒せるわ!」

「やれるものならやってみるがいい!その考えがいかに浅はかだったかすぐに思い知らせてくれる!ターンエンド!」

 

 

 強力なモンスターを従えているものの、僕たちの伏せカードを恐れていなかったッス。きっと、そういう防御札があるんスね…。

 

 

 

 

「私のターン、ドロー!…一枚、カードを伏せてターン、エンド」

 

 

 あまり良いカードは引けなかったみたいッス。

 

 

「我のターン、ドロー!フフフ、魔法カード、アームズ・ホールを発動!デッキの一番上のカードを墓地に送り、さらにこのターンの通常召喚権を放棄する代わりに、デッキか墓地から装備魔法を手札に加える。我は最強の盾を手札に加え、ウォール・シャドウに装備!」

「最強の、盾?」

「戦士族専用の装備魔法!これにより、攻撃表示ならばその守備力分攻撃力がアップする。ウォール・シャドウを攻撃表示に変更!」

「攻撃力4600!」

 

 

「いいぞ、弟よ!」

「バトルだ!やれ、ウォール・シャドウ!ギルティギア・フリードを破壊せよ!」

 

 

 防ぐ手段がないみたいッスね…なら!

 

 

「罠発動!魔法の筒!」

「やはり、その手のカードだったか!だが無駄だ!魔法の筒にチェーンして、罠発動!レインボーライフ!我は魔法カード、フォースを捨てる!」

「ええっ?!」

 

 魔法の筒の効果ダメージ4600がそのまま回復されたら…!

 あれ、隣で秋津さんが何か動いているッス。

 

 

「我らは高打点のモンスターを所持する。故にその手の攻撃反応罠に弱い。」

「故に、この手の防御札も用いているのだ!」

「我ら兄弟に!」

「死角なし!」

 

 

 ポーズを決め、迷宮兄弟を守るように発動した虹色のバリアが、突然砕け散るッス!

 そして、魔法の筒のエネルギー波が直撃するッス!

 

 

「「何ぃ!」」ライフ5000から400

 

 

 思わぬ反撃で、迷宮兄弟は動揺するッス。

 

 

「カウンター罠、トラップ・ジャマー!バトルフェイズのみ発動でき、罠カードの発動と効果を無効にして破壊!これでレインボーライフの効果は無効!」

「お、おのれぇ…ターンエンド!」

 

 

 

 僕のターンっス。

 

 

 

「僕のターン、ドロー!サブマリンロイドを反転召喚!このカードは、相手にダイレクトアタック出来るッス!」

「何ぃ!あ、兄者!」

「臆するな、弟よ!その攻撃が通ると思っているなら、攻撃すればいい!」

 

 

 迷宮兄が強気な態度を見せるッス。これは伏せカードで凌がれるッスね…。攻撃反応罠か、それともフリーチェーンの妨害札か。

 破壊効果の攻撃反応罠であることに賭けるッス!

 

 

「…僕は魔法カード、ビークロイド・コネクションゾーンを発動!場のサブマリンロイド、手札のスチームロイドとドリルロイドを墓地に送り!スーパービークロイド-ジャンボドリルを融合召喚!」

「攻撃力3000…。」

「だが、三魔神の前ではどれほどの攻撃力を備えていようと、敵ではない!」

 

 

「バトル!スーパービークロイドジャンボドリルで、ウォール・シャドウを攻撃!」

「大方何かを狙っているのだろうが…させぬ!罠発動!万能地雷グレイモヤ!」

「おお、兄者!」

 

 

 破壊効果の罠だったッスね!でも。

 

 

「ビークロイドコネクションゾーンで特殊召喚した融合モンスターは、効果では破壊されないッス。」

「何?!お、おのれぇ、土門め!何がオシリスレッドは大したことが無い、だ!全然違うではないか!」

「あ、兄者!こ、攻撃力はこちらが上!まだ勝負は…。」

 

 虚勢を張る迷宮弟。でも、戦意が衰えつつあるのがわかるッス!

 

 

「速攻魔法、リミッター解除を発動!これで、ジャンボドリルの攻撃力は6000になるッス!」

 

 

 ジャンボドリルが、ウォール・シャドウを破壊してそのまま突き進むッス!

 

 

「「フガアアアア!」」ライフ0

 

 

 

 

 

 

 こうして、制裁デュエルは終わったッス。

 結果論だけど、魔法の筒でモンタージュ・ドラゴンの攻撃力分のダメージを与えようとしていたら、迷宮弟のレインボーライフで防がれていたッス。

 強くなったと思っていたけれど…伝説の決闘者相手ではまだ力不足ッスね…。

 

 

 

 

 

「翔。少し、話さないか?」

「お兄さん…」

 

 

 お兄さんが、僕に話したいことがあるという。秋津さんにも声をかけており、三人で灯台に行く事になったッス。

 

 

「…俺と明日香は、よくここで吹雪に関する情報のやり取りをしていた。」

「そうだったんスね」

「見違えたぞ、翔。本当の意味で、強くなった。デッキだけでなく、心も。今のお前なら、パワー・ボンドも使いこなせるだろう」

「まだ、足りないッス。」

「…そう、か。」

 

 

 いつものお兄さんッス。でも、不思議ッス。どこか、満足そうな笑みを浮かべているッス…。

 力を補うカードなら、あるッス。パワー・ボンド…。でも…。

 

 考え込んでいると、お兄さんが秋津さんに目を向けたッス。

 

 

「それで、私に何か?」

「行方不明者について、知っていることがあれば教えて欲しい。」

「…行方不明者の手がかりを探してほしい、と頼んできた天上院の頼みを受けたら、退学させられそうになった。もうこの件についてこれ以上関わる気にはなれない。そもそも」

 

 

 肩を竦める秋津さん。

 

「私自身、伯母から聞いているのはアカデミアの上層部が真っ黒という事だけだ。まぁ、海馬瀬人がオーナーだからわかってはいた。ここまでとは思わなかったが。行こう、丸藤」

「わ、分かったッス!それじゃあ、お兄さん、またあとで!」

 

 

 

 

 歩く事数分。人気の無い森で秋津さんは立ち止まる。

 

 

 

 

 

 

「秋津さん?」

「…美香」

「えっ?」

「二人きりの時は、名前を呼んで。」

「…美香さん」

「私も」

 

 スッと近づいてくる美香さん。

 

 

「名前で呼んでいい?」

「も、もちろんッス!」

「…翔」

 

 

 そのやり取りを木陰で聞いていた丸藤亮は、こんな時に吹雪がいてくれたら相談に乗ってくれるのに…という想いを抱きつつ、寮へと帰っていった。

 

 




タッグデュエルで負ければ退学、という条件を突き付けたのは土門教頭です。
こうすれば気に入らない秋津の姪っ子のタッグパートナーに名乗り出る生徒は誰も出ないだろうという思惑がありました。翔君に粉砕されたので、この一件で翔はロックオンされました。
大徳寺先生は、最近胃薬が増えて体調がよろしくないので、廃寮に関する話はしそびれています。今回の件で廃寮の存在を知りましたが、入っただけで退学云々という話を知った十代が行くことはありません。


強欲で金満な壺は、この世界線ではこういう扱いです。古参決闘者だけが使える特殊なカードというのを出したかったので、これをチョイスしました。
執筆した後で、「この条件なら、名蜘蛛も持っている事」に気づきました。最も商才に長けているので、GXキャラが彼から買い取ろうとすればかなりふんだくられるでしょう。
…まぁ、「通行人はどいていた方がいいぜ!」と言っていたモブにも配られているので、買い取るならそちらから買い取った方が無難でしょう。



親友から「弟に彼女が出来たみたいなんだが…」と吹雪さんが相談を受けたら、黙って見守ってあげるべきと答えるのか、それとも引っ掻き回そうとするのかが気になります。
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