以前僕は少し息抜きをするために、カフェに行くことにしたッス。
表サイバー流がやっているカフェCRVと、裏サイバー流がやっているカフェCDIPがあるッス。
まずは、表サイバー流のカフェCRVに行くッス。
「いらっしゃいま…なんだ、レッドの男子か。」
「昇格してから出直してきなさい!」
た、態度悪いッス!アルバイトとはいえ、これは問題っス…。
才災師範が経営していたカフェは接客にすごく力を入れていたのに…。
「あの。」
声をかけるも、対応せずに去っていくッス。
仕方なく席につくと、女子生徒達は僕をにらむと厨房に引っ込むッス。
これでは、注文すら出来ないッス…。
一分後。さっきの女子生徒に加えて、三つ編みの女の子が出てきたッス。
「こいつです!東雲(しののめ)さん!」
「押し入ってきて、居座るんです!」
「ええっ?!」
む、無茶苦茶ッス!
「もしかして、秋津とタッグを組んでいたという…」
「丸藤翔っス」
「どうしてこんな事を?」
「違うッス!カフェに来ただけで、なんでこんな扱いを受けなければいけないんスか!」
その言葉を聞いて、考え込む東雲さん。
「東雲さん!私達と覗き魔レッド、どっちを信用するんですか!」
揺らいでいた東雲だが、その言葉にデュエルディスクを構える。
「構えなさい。ここはデュエルアカデミア。言いたいことがあるなら、デュエルで勝ち取るべき。」
「…ああもう、受けてたつッス!」
「「デュエルッ!!」」
翔 ライフ4000
手5 場
東雲 ライフ4000
手5 場
「先攻はあんたよ!このオシリスレッド!」
「やっちゃってください!」
女子生徒が喚く。
「どうする?私はどちらでも構わないけれど」
「先攻は貰うッス。僕のターン。僕はモンスターをセット、カードを一枚伏せてターンエンドッス。」
翔 ライフ4000
手3 場 セットモンスター 伏せ1
東雲 ライフ4000
手5 場
「私のターン、ドロー!相手の場にのみモンスターが存在することで、手札からサイバー・ドラゴンを特殊召喚するわ!」
「っつ!」
サイバー・ドラゴンが立ちはだかるッス。
「バトル!サイバー・ドラゴンでセットモンスターを攻撃!」
「ジャイロイドは1ターンに1度、戦闘では破壊されないッス!」
「なら、メインフェイズ2に入る!私は手札から永続魔法、未来融合-フューチャー・フュージョンを発動!次の私のスタンバイフェイズに、融合デッキから融合モンスターを一体選択し、その融合素材を墓地に送る。ターンエンド。」
翔 ライフ4000
手3 場 ジャイロイド 伏せ1
東雲 ライフ4000
手3 場 サイバー・ドラゴン 未来融合(0)
「僕のターン、ドロー!僕は、スチームロイドを召喚!このカードは攻撃する時、攻撃力が500ポイントアップするッス!バトル、スチームロイドでサイバー・ドラゴンを攻撃!」
「…」ライフ4000から3800
「なんでアイツ、ジャイロイドを攻撃表示にして攻撃に参加させないのかしら。」
「決まっているでしょ、オシリスレッドよ」
「それもそうね」
周りの女子がヤジを飛ばすけれど、無視するッス。
「カードを1枚伏せて、ターンエンド!」
そんな翔の態度に女子生徒が喚き始める。
「私達を無視するなんて!」
「オシリスレッドのくせに生意気よ!」
反応したらしたらで文句を言うだろうし、頭が痛くなってくる翔。
翔 ライフ4000
手3 場 ジャイロイド スチームロイド 伏せ2
東雲 ライフ3800
手3 場 未来融合(0)
「…私のターン、ドロー!未来融合、1ターン目!私はデッキからサイバー・ドラゴンを2枚、プロト・サイバー・ドラゴンを3枚、サイバー・ドラゴン・ツヴァイを3枚、速攻のかかし、超電磁タートル、マシンナーズ・フォートレス、マシンナーズ・ギアフレームを墓地に送る!」
「超電磁タートルに、マシンナーズ・フォートレスはともかく、速攻のかかしを墓地送りッスか?!」
「マシンナーズ・フォートレスはともかく、攻撃力0の機械族に注目?」
「オシリスレッドだからでしょ。東雲さん、私達とのデュエルでも超電磁タートルを墓地に送るけれど、効果を使ったことなんて一度もないし。」
女子生徒達がヤジを飛ばすけれど、東雲さんが怪訝な表情を浮かべるッス。
というより、超電磁タートルの効果を使われたことが無いって…。どうやら東雲さんとあの女子二人には相当な実力差があるみたいッス。
「本当にオシリスレッドなの…?その答えはこれよ!私は魔法カード、貪欲な壺を発動!墓地のサイバー・ドラゴン3枚と速攻のかかしとサイバー・ドラゴン・ツヴァイをデッキに戻して2枚ドロー!」
「そうか、貪欲な壺で戻せるからッスか!」
「そうよ。私はサイバー・ヴァリーを召喚して、ターンエンド!」
翔 ライフ4000
手3 場 ジャイロイド スチームロイド 伏せ2
東雲 ライフ3800
手4 場 ヴァリー 未来融合(1)
「僕のターン、ドロー!僕は、スチームロイドを守備表示に変更。ターンエンド!」
翔 ライフ4000
手4 場 ジャイロイド スチームロイド 伏せ2
東雲 ライフ3800
手4 場 ヴァリー 未来融合(1)
「私のターン、ドロー!未来融合の効果でキメラテック・オーバー・ドラゴンが特殊召喚される!でも、その代償としてサイバー・ヴァリーと未来融合は墓地に送られ、それによりキメラテック・オーバー・ドラゴンも墓地に送られる。」
「……」
「ここで私は、スナイプストーカーを召喚!」
「させないッス!罠発動!落とし穴!」
「スナイプストーカーが!ターンエンドよ」
翔 ライフ4000
手4 場 ジャイロイド スチームロイド 伏せ1
東雲 ライフ3800
手4 場
「僕のターン、ドロー!来たッス!魔法カード、魂の解放!そちらの墓地から、超電磁タートルとマシンナーズ・フォートレスとスナイプストーカーとサイバー・ドラゴン・ツヴァイ2枚を除外するッス!」
「?!」
「スチームロイドとジャイロイドを攻撃表示に変更!そして、ジャイロイドに装備魔法、デーモンの斧を装備!」
「そんなっ!」
「バトル!スチームロイドとジャイロイドで、ダイレクトアタック!」
「きゃあああああああっ!」ライフ3800から2000、2000から0
何とか勝てたッス。
「し、東雲さんが、いや、東雲が負けた?!」
「逃げるわよ!」
逃げていく女子生徒だけど、僕はもう関わる気になれなかったッス。
「…どうやら、僕は招かれざる客だったみたいッス。邪魔して悪かったッス。」
「ま、待って!ねぇ、ちょっと!私が厨房で豆腐とひき肉を混ぜている間、このフロアで一体全体何があったの?!」
加害者も被害者もいなくなった喫茶店で、東雲は頭を抱える。
なによりスタッフがバックレた為、フロア管理とメニューの仕込みも一人でしなければならない。
「と、とりあえず頭数を集めないと…」
東雲は急遽、サイバー流関係者に連絡を入れる。
数日後。翔は裏サイバー流のカフェに行くことに決めた。
また同じような事が起きるかもしれないが、それなら入店直後に回れ右すればいいからだ。
だが、そんな事は無く。
席に案内されて、紅茶とスコーンを注文して待つ事数分。
「お待たせしました~」
きっちりと、身なりを整えた女子生徒がスコーンとジャム、それに紅茶を持ってくる。
「ごゆっくり。」
紅茶とスコーンを味わっていると、ラーイエローの男子が入店してくる。
「黒杉先輩、卵サンドイッチセット一つ、飲み物はアイスコーヒーの加糖をジョッキで…あれ、丸藤か?」
「黒庭君?!」
相席してもいいか?と聞かれたので頷くッス。
「どうだ、分派のカフェは。」
「初めてきたけど、居心地が良いッス」
「そうだろう。」
「お待たせしました~」
ドン、と置かれたのは分厚いサンドイッチ。
たっぷりと挟まれた卵サラダに肉厚のベーコン、粗挽き胡椒で味付けされていて、対面の僕の所まで匂いが来るッス。
アメリカ人が好んで食べて居そうな大きいのが置かれたッス。
「腹が減った時は、一度食べてみればいい。購買部のドローパンなんて目じゃないぞ。」
「…次に来た時に楽しみにしておくッス。」
早々に食べ終えると、黒庭君は僕が食べ終えるのを待っていたッス。
話がある、という事でカフェの外に出ると…。
「噂で聞いたんだが、本家の東雲にノーダメージで勝ったというのは本当か?」
「その通りっス」
「東雲は未来融合で機械族を大量に墓地に送り、貪欲な壺などで手札を補充して戦う堅実なタイプの決闘者だ。何より常に防御も怠らない、バランスの取れた決闘者。それにノーダメージで勝ったのか…。」
突然、黒庭君の纏う空気が変わるッス。
「…丸藤!この俺と今!この場でデュエルしろッ!」
「く、黒庭君?!」
かなり突然だったが、挑まれて逃げるほど翔の腰は軽くない。
「「デュエルッ!!」」
翔 ライフ4000
手5 場
黒庭 ライフ4000
手5 場
「先攻は貰うッ!」
「構わないッス」
「俺のターン!俺はフィールド魔法をセット!」
「へ?」
「魔法カード、手札抹殺を発動!互いに手札を全て捨てて、捨てた枚数分、ドローッ!」
一体、何を狙っているッス?
「俺はサイバー・ダーク・ホーンを召喚!墓地のハウンド・ドラゴンを装備!これで攻撃力は2500!さらに、伏せたフィールド魔法、ブラック・ガーデンを発動ッ!」
「?!な、なんなんスか!」
変な庭が辺りを埋めつくしたッス。
「…オシリスレッドだからカード知識は無いかと思えば、月一試験ではラーイエローの俺以上の成績を修めている…。お前という決闘者が、俺にはまだ判別できない。だからこそ!敢えてッ!このフィールド魔法の説明はしないッ!」
「えええっ?!」
む、無茶苦茶な事を言い出したッス!
「だが、今後!お前とこの学園でデュエルする時、お前がカード効果の説明を求めたら必ず答えると、天地神明に俺は誓うッ!ターンエンドだッ!」
翔 ライフ4000
手5 場
黒庭 ライフ4000
手2 場 サイバー・ダーク・ホーン ハウンド・ドラゴン ブラック・ガーデン
か、考えるッス。フィールド魔法は、普通、自分の場のモンスターに恩恵をもたらすッス。攻撃力を上げたり、融合召喚の補助をしたり。
モンスターへの攻撃を阻害する、光の護封陣というのも…?!
「…もしかして、このフィールド魔法は。場の召喚されたモンスターに何かしらのデメリットを付与するんスか?効果を無効にする、表示形式を変更…。だから、サイバー・ダークを召喚する前に一度セットした…。」
黒庭君から答えは無かったッス。でも、茫然とした表情が全てを物語っていたッス。
「…丸藤。お前は一体…。」
「魔法カード、死者蘇生を発動!墓地より、ユーフォロイドを守備表示で特殊召喚!」
「ここで、ブラック・ガーデンの効果発動!」
「さぁ、何が来るッス!」
ユーフォロイドにツタが絡みついたッス!
「場にモンスターが召喚・特殊召喚された時!そのモンスターの攻撃力を半分にする!」
「厄介っスね…」
「さらに、そのモンスターから見て相手の場に、ローズ・トークンを攻撃表示で特殊召喚する!」
「という事は、そのローズ・トークンの攻撃力が半分に…ならないッス!?」
「ローズ・トークンだけは別だ。なんでも、モンスターの命を養分に花を咲かせる花園という設定だとか。だったら咲いた花の命を養分にするのはおかしいだろう?」
「まぁ、それはそうッスね…という事は。僕はモンスターをセット!これはどうッスか!」
反応は無いッス!
「…流石に見えないモンスターの命を養分には出来ない。ちなみに、ブラック・ガーデンは反転召喚には対応していない」
「よし、僕はカードを一枚伏せてターンエンドっス!」
翔 ライフ4000
手3 場 ユーフォロイド セットモンスター 伏せ1
黒庭 ライフ4000
手2 場 サイバー・ダーク・ホーン ハウンド・ドラゴン ローズ・トークン ブラック・ガーデン
「丸藤、今の洞察力で俺は確信したッ!」
「な、何を?」
「お前は強いッ!にも拘わらず自分自身に自信が無いみたいだが…翔という名前のように、大きく成長する時が来る!だから俺は、そんなお前に勝ちたいッ!俺のターン、ドロー!ユーフォロイドはリクルーター!」
「気づいていたッスか」
「バトル!行け、サイバー・ダーク・ホーン!セットモンスターを攻撃!」
「ジャイロイドは、戦闘では破壊されないッス!」
「だが、サイバー・ダーク・ホーンには貫通能力が備わっているッ!」
「っつ!」ライフ4000から2500
「バトルは終了、ローズ・トークンを守備表示に変更して、ターンエンドだ!」
翔 ライフ2500
手3 場 ユーフォロイド ジャイロイド 伏せ1
黒庭 ライフ4000
手3 場 サイバー・ダーク・ホーン ハウンド・ドラゴン ローズ・トークン ブラック・ガーデン
「僕のターン、ドロー!僕は場の二体のモンスターをリリース!」
「?!最上級モンスターだと!だが、どんなモンスターだろうと、ブラック・ガーデンからは逃れられないッ!」
「アーマロイドガイテンゴー、アドバンス召喚!効果発動、場の魔法・罠カードを全て除外するッス!」
「何っ!だが、ブラック・ガーデンの効果により、攻撃力は半減!さらにローズ・トークンを俺の場に特殊召喚する!」
よし、これで切り抜けたッス!
「…って、ブラック・ガーデンが無くなってもモンスターの攻撃力は戻らないんスね」
「養分は吸い取られたままだからな」
「装備魔法、巨大化を発動!攻撃力は半分になっているッスけど、これで攻撃力は2700に…?」
あれ?
「ま、待てッ!なんで攻撃力が5400になっているッ!」
「あっ!巨大化は元々の攻撃力を二倍にする効果だから…。」
「…まさか、こんな形で突破されるとは…さぁ来い!」
「バトル!アーマロイドガイテンゴーで、サイバー・ダーク・ホーンを攻撃っス!」
「…流石だなッ、お前はそのデッキの力を引き出せているッ!」ライフ0
デュエルには勝ったッスけど、想像以上につかれたッス。
「…悪かったな。試すような真似をして」
「別にいいッス、気にしていないッスよ。」
「こんなに強くてどうしてそんなに自信が…。いや、それは俺が踏み込んでいい領域じゃあ無いな。」
「初めて、分派とデュエルしたッス」
「そうか、どうだった?」
「表サイバー流の人とは全然違ったッス。かなりトリッキーな戦い方をするんスね。面白いッス」
「それは良かった。」
僕、あれから少しは、前に進めたっスかね?
ちなみに、後日。不適切な対応をした女子生徒二人はカフェのバイトをクビになりました。前作の才災だったら普通に「君たちの勤務態度はリスペクトに反しています」と言って破門しています。いや、才災でなくてもクビにするでしょうが…。
キメラテック・オーバー・ドラゴンを一般門下生に使わせられるので、ようやく未来融合&貪欲な壺を使う門下生を出せました。未来融合&オーバーロードフュージョンのワンショットキル狙いの方が爆発力がありますが。
次回は分派とサイバー流の一幕をお届けします。他人視点から見た丸藤翔、果たして単なる落ちこぼれの少年に見えるでしょうか?
またと、ある遊戯王GXの二次創作で面白い試みをしている授業があったのでその要素を取り入れています。