絶望的世界にアーチャーの力を持った男がいたら   作:九九八十七

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1日目 午後① 握手

 しばらく、ベットで休むといくらか楽になった。

 

 

 「ふぅ...ありがとう、おかげで楽になったよ。」 

 

 「いえ、お気になさらないでください。でも本当に大丈夫なんですか?」

 

 「始めてセラフを使ってちょっと調子に乗りすぎただけだから。」

 

 

 流石に浮かれすぎた、もう少し効率的にやらなくちゃな。

 

 実戦でこうなっちゃお荷物確定だ。

 

 おっと、そういえば言わなきゃいけないことがあったな

 

 

 「この前は助けてくれてありがとう。おかげでこうして生きてる。」

 

 

 まさかこんなに早く機会が来るとは思わなかったが、どうやら運がいいらしい。

 

 

 「い、いえ!蒼井は当然のことをしたまでです!」

 

 「...貴方が無事でいてくれてよかったです。」

 

 

 ...女神かよ

 

 あ、名前を聞いてないな

 

 

 「じ、自己紹介してなかったな。本日からこのセラフ部隊に所属する、佐藤拓海です。これからも、その、よろしくお願いします。」

 

 「私は29Aの蒼井えりかです!ええ!明日から一緒にがんばりましょうね!」

 

 

 蒼井えりか...うむ、何というか、本当に...

 

 

「可愛いな、いやほんとに。」

 

 

 思わず口に出してしまった。

 

 ヤバい、引かれたかな。

 

 

 「ポカーン( ゚д゚)」

 

 

 ポカーンってしてるう!

 

 

 「え、ちょ大丈夫?!おーい、聞こえてます?ごめんなさい変なこと言って!」

 

 「っは!す、すみません。ポカーンとするのが癖でして...」

 

 「そ、それに可愛いなんて言われたの初めてで...」

 

 

 Oh...toutoi

 

 

「そ、そういえば私佐藤さんに聞きたいことがあったんです!」

 

 

 おっと、現実に戻らなきゃ

 

 

 「ああ、なんでも聞いてくれ。」

 

 「えっと、戦闘中に沢山のセラフを出してましたよね。爆発させたり、増やしたり。あれはどういうことなんでしょう?」

 

 

 さて、どう答えるべきか...ここは

 

 

 「ああ、魔法だよ魔法。チンカラホイってね。」

 

 

 あっさりと言ってみる。

 

 説明も難しいしこのほうが楽だ。

 

 

 「ポカーン( ゚д゚)」

 

 

 しまったあ!さすがに省きすぎたあ!

 

 ええっと...そうだ!

 

 蒼井の目の前に手を差し出す。

 

 

 ――――投影、開始

 

心の中で唱える

 

 

 「...?」

 

 

 蒼井は不思議がっている。

 

 

 プルプルと大げさに腕を震わせググッっと腕を伸ばし

 

 ポンッ!!

 

 一本の薔薇を投影する。

 

 

 「わっ!」

 

 

 薔薇を差し出し握らせる。

 

 

 「種も仕掛けもございません。」

 

 

 スルスルと糸を引っ張ると次々に旗が出てくる。

 

 

 「...今はこれが精一杯。」

 

 「ふ、ふふふふっ、これじゃ手品ですよ!」

 

 

 っ...笑う姿も可愛い。

 

 

 「まあ、物を造ることぐらいしかできないんだけどね。」

 

 「それでも凄いですよ!魔法なんて物語の中の話だけかと。」

 

 「世の中には知らないことがいっぱいあるんだよ。」

 

 「他に聞きたいことがある?」

 

 「あっ、もう一つ」

 

 

 ”なぜあの時一人で戦ったのですか"

 

 

 

 「なぜあの時一人で戦ったのですか」

 

 

 そう彼に問う。

 

 いくら、不思議な力、魔法を使えるにしてもあの時は、キャンサーに攻撃も通らず。

 

 私たちの到着が遅れていたら恐らくは...

 

 

 「俺が戦ってなきゃ、襲われていた人は死んでいた。」

 

 「そうかもしれません。ですが、貴方も...」

 

 

 ”それでも助けなくちゃ”

 

 「それに、俺が死んで誰かが助かるなら差し引きはとれているでしょ?」

 

 

 当たり前のように答える彼に、思わず言ってしまうのだった。

 

 

 ◇

 

 

 「それは間違っています!」

 

 

 蒼井は涙を浮かべながら叫んできた。

 

 

 「誰かを助けたい、その思いは間違っていません。でも!」

 

 

 ”自分より他人のほうが大切、そんな生き方は間違ってます!”

 

 

 ...分かっている。

 

 けど、

 

 「心配してくれてありがと、でも自分で決めたことだから。」

 

 

 やり通さなくちゃな。

 

 

 「なら、明日からは私たちを頼ってください!もう仲間なんですから。」

 

 

 自信たっぷりに言うその姿に少し見惚れてしまった。

 

 

 「うん、ありがとう、蒼井。」

 

 「はい!改めてよろしくお願いしますね、佐藤さん!」

 

 

 そうやって俺たちは握手を交わすのだった。

 

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