絶望的世界にアーチャーの力を持った男がいたら 作:九九八十七
しばらく、ベットで休むといくらか楽になった。
「ふぅ...ありがとう、おかげで楽になったよ。」
「いえ、お気になさらないでください。でも本当に大丈夫なんですか?」
「始めてセラフを使ってちょっと調子に乗りすぎただけだから。」
流石に浮かれすぎた、もう少し効率的にやらなくちゃな。
実戦でこうなっちゃお荷物確定だ。
おっと、そういえば言わなきゃいけないことがあったな
「この前は助けてくれてありがとう。おかげでこうして生きてる。」
まさかこんなに早く機会が来るとは思わなかったが、どうやら運がいいらしい。
「い、いえ!蒼井は当然のことをしたまでです!」
「...貴方が無事でいてくれてよかったです。」
...女神かよ
あ、名前を聞いてないな
「じ、自己紹介してなかったな。本日からこのセラフ部隊に所属する、佐藤拓海です。これからも、その、よろしくお願いします。」
「私は29Aの蒼井えりかです!ええ!明日から一緒にがんばりましょうね!」
蒼井えりか...うむ、何というか、本当に...
「可愛いな、いやほんとに。」
思わず口に出してしまった。
ヤバい、引かれたかな。
「ポカーン( ゚д゚)」
ポカーンってしてるう!
「え、ちょ大丈夫?!おーい、聞こえてます?ごめんなさい変なこと言って!」
「っは!す、すみません。ポカーンとするのが癖でして...」
「そ、それに可愛いなんて言われたの初めてで...」
Oh...toutoi
「そ、そういえば私佐藤さんに聞きたいことがあったんです!」
おっと、現実に戻らなきゃ
「ああ、なんでも聞いてくれ。」
「えっと、戦闘中に沢山のセラフを出してましたよね。爆発させたり、増やしたり。あれはどういうことなんでしょう?」
さて、どう答えるべきか...ここは
「ああ、魔法だよ魔法。チンカラホイってね。」
あっさりと言ってみる。
説明も難しいしこのほうが楽だ。
「ポカーン( ゚д゚)」
しまったあ!さすがに省きすぎたあ!
ええっと...そうだ!
蒼井の目の前に手を差し出す。
――――投影、開始
心の中で唱える
「...?」
蒼井は不思議がっている。
プルプルと大げさに腕を震わせググッっと腕を伸ばし
ポンッ!!
一本の薔薇を投影する。
「わっ!」
薔薇を差し出し握らせる。
「種も仕掛けもございません。」
スルスルと糸を引っ張ると次々に旗が出てくる。
「...今はこれが精一杯。」
「ふ、ふふふふっ、これじゃ手品ですよ!」
っ...笑う姿も可愛い。
「まあ、物を造ることぐらいしかできないんだけどね。」
「それでも凄いですよ!魔法なんて物語の中の話だけかと。」
「世の中には知らないことがいっぱいあるんだよ。」
「他に聞きたいことがある?」
「あっ、もう一つ」
”なぜあの時一人で戦ったのですか"
◇
「なぜあの時一人で戦ったのですか」
そう彼に問う。
いくら、不思議な力、魔法を使えるにしてもあの時は、キャンサーに攻撃も通らず。
私たちの到着が遅れていたら恐らくは...
「俺が戦ってなきゃ、襲われていた人は死んでいた。」
「そうかもしれません。ですが、貴方も...」
”それでも助けなくちゃ”
「それに、俺が死んで誰かが助かるなら差し引きはとれているでしょ?」
当たり前のように答える彼に、思わず言ってしまうのだった。
◇
「それは間違っています!」
蒼井は涙を浮かべながら叫んできた。
「誰かを助けたい、その思いは間違っていません。でも!」
”自分より他人のほうが大切、そんな生き方は間違ってます!”
...分かっている。
けど、
「心配してくれてありがと、でも自分で決めたことだから。」
やり通さなくちゃな。
「なら、明日からは私たちを頼ってください!もう仲間なんですから。」
自信たっぷりに言うその姿に少し見惚れてしまった。
「うん、ありがとう、蒼井。」
「はい!改めてよろしくお願いしますね、佐藤さん!」
そうやって俺たちは握手を交わすのだった。