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始めに2人が感じたのは違和感だった。
おかしい、時刻が来たのにサーバーダウンで強制ログアウトされない。サーバーダウンの延期?そう思いコンソールを開こうとし、開けない事に気付く。あらゆるコマンドを試してみたがログアウトはできない。異常事態だ。隣を見るとモモンガも自分と似た事を試して失敗しているようだった。
「どう言うことだ、コンソールも開けずコマンドも効かなしGMコールも使えないだと。ミューズさんはどうです?」
「こっちも駄目です…というかウィンドウすら開けないです!!」
「サーバーダウンが延期したんですかね?」
「その可能性もなくはないですね。それともトラブルで…あっ!!」
ミューズはある事に気がついて思わず言葉に詰まる。モモンガの口が動いているのだ。
「も、モモンガさん口が動いていますよ!!」
「えぇっ………!!」
モモンガは驚いて自らの口元に手を当てた。
「ミュ-ズさん本当に…口が動いています」
「一体何が起こっているんでしょう?」
2人は驚愕のあまり徐々に声が大きくなる中で2人の会話に第三者が割り込む。
「どうかなさいましたか? モモンガ様? ……ミュ-ズ・ノウス様?」
ここで事態を更に大きく変えてくる存在が現れた、NPCであるアルベドが話しかけてきたのだ。しかもアルベドから恐ろしい程の殺意の念を感じるがそれ所じゃない。
((「「「NPCが喋った」」))
「何か問題がございましたか?」
アルベルト問いを繰り返すが、不可解な事態の連続に2人は思考がフリ-ズしてしまった。
「モモンガ様失礼いたします」
アルベルトが立ち上がりモモンガのすぐ傍に寄った。
「何かございましたか?」
覗き込むように顔をモモンガに向けるアルベトからは不安の念が、モモンガからは驚愕と情欲の念が感じた。
(「んっ!?なんでそんな事を感じるんだ!?」)
アルベトは表情から読めるがモモンガは骸骨で表情が読みずらい、しかも観察をして相手の心理を読んだのではなく、テレパシーのように相手の心理が飛び込んできたのだ。
(「…そういえば妖精種のモンスターテキストに相手の思念を感じる事が出来るって書いてあったな」)
最初は驚いたがこの能力に特に違和感を感じなく、最初から備わっている体の一部の様な感覚だ。
(「違和感を感じないのも妙だが、少し落ち着いて来たから気づいたが五感を感じるのも妙だ」)
自身から芳しい花の香りが漂って来る上に空気が肌に感じる。これは明らかに異常だ五感を感じさせるのは電脳法で違法に当てはまる。確かに一部で五感を感じさせる違法電脳システムがあるが、その為には機体を違法改造しなければならい。しかし自身の機体はそんな改造を施してない。
(「もしかして昔ギルメンが話してた異世界転移!?一度モモンガさんに相談を…あれモモンガさんの感情が一気に平坦になった」)
さっきまで驚愕と情欲の念を強く感じたがいきなり思念が弱くなった。
(「これが噂に聞く賢者タイムていうやつか」)
少し冷静になって、余裕が出てきたおかげでくだらない事を考えてるとモモンガが、アルベドに話しかけた。
「…GMコールが効かないようだ」
「……お許しを。無知な私ではモモンガ様の問いであられる、GMコールということにお答えすることが出来ません」
ここで新たな異常な事が起こった間違いなく会話している。現在の技術ではNPCとの会話を成り立たせるAI技術ではまず有り得ない。
「モモンガさん一体何が起きたのでしょうか?」
「俺もさっぱりです。そうですね、取り合えず…」
『ミュ-ズさん聞こえますか?』
「えっ?」
急に頭の中にモモンガの声が聞こえたため、慌てて彼を見るが、口を動かした様子はない。
『良かった。魔法は使えるみたいです。今
『頭の中に声が響きます』
『念じるだけで会話できるみたいですね。今ミュ-ズさんの他にも運営や他のギルメンにも使ってみたんですけど、通じませんでした』
『そうですか。でも、こうして会話ができるってことは、使えないってことではないみたいですね。これからどうします?』
『とりあえず、今すべきことは確認だと思います。言葉を発するのはアルベドだけなのか、コマンドワ-ド無しで命令をして実行するかですかね?』
さすがモモンガである。状況対応能力が半端ではない。
『成程。因みにセバス達にどんな命令を出すんですか?』
『セバスにプレアデスの一人を連れて周辺地理を確認するよう命令する予定ですが、どうでしょう?』
『そうですね。…プレアデスは一人より二人の方がいいと思います。メンバーは盗賊・暗殺系で索敵や探知、罠看破が出来るソリュシャンと、蟲使いの能力で囮兼盾役を召喚し、巫術スキルで支援も出来るエントマがいいと思います』
『ナイスアドバイス。流石ですミュ-ズさん』
『いえいえ、プレアデス制作の為に素材集めとか手伝ってましたから』
モモンガは感情が高まると平坦になって冷静に物事を考えられる自分が少し怖いが、ミュ-ズが共に居て相談できる事に非常に安心感を感じている。
命令する内容が決まり、さっきから困惑と不安の念が感じるアルベドやセバス達。そんなセバスを見て、モモンガは指示を出す。
「セバスよ」
「はっ!」
「異常事態が発生している可能性がある。プレアデスのソリュシャンとエントマをつれて大墳墓から出て周辺地理を確認せよ。知的生物がいた場合は友好的に交渉してここまで連れてこい。もし帰還が困難になった場合エントマに囮兼盾役の虫を召喚をさせて情報を持って帰れ」
「かしこまりました。直ちにご命令を実行します」
セバスから強い信念と使命感の念が感じる。他の二人からも同じ念が感じられてくる。
(「モモンガさんの魔王様ロールでの命令さまになっていてカッコいいな。モモンガさんだけに任せる悪いし、私も何か言っとくか)」
軽い気持ちで気遣いの言葉を言っただけだが、予想外な現象が起きた。
「3人とも無事に帰って来るんだよ」
「僕如きに慈悲深き言葉ありがたき幸せ。必ずや無事に情報を持ち帰ってまいります」
セバスの唯でさえ鋭い眼光が更に鋭くなり。3人からより強い信念と使命感を感じ、更に深い歓喜の念が飛んでくる。アルベド以外のプレアデス達からは強い嫉妬の念を感じた。
(「普通に気遣いを言っただけなのに、なんでこんなに感情が高まったの?」)
例えるなら打ち上げ花火程度の爆発から急にミサイルクラスの爆発に変わった程であった。
表情こそ出していないが敬愛する主人からの至高の命令だけではなく、久しく現れなかった御方に、気にかけてもらえたのだ。狂喜乱舞しても仕方のなく、それを受けた者たちに嫉妬するのは当然だ。
『も、モモンガさん、セバス達凄い喜んでるんが、私変な事言いました!?』
『…いいぇ、普通に気を付けるよう言ってただけだと思いますが。と、取り合えず次の指示を出しますね!!』
社会人としての気遣いを言っただけなのに、セバス達の雰囲気に圧倒されてしまったが、このまま呆然としているわけもいかずモモンガは次の指示を出す事にした。
「プレアデスよ。セバスについていく者達を除き、他のメンバーは第九階層の守護に行け」
「承知しました、我が主よ!」
玉座の間から出て行くセバスやプレアデスを見送りながら、あの重く畏まった態度と思念はNNPC共通なのかと考えるミュ-ズだが。アルベトの様に自身に殺意を向ける存在も居ると考えるとかなり危険だ。
「…ミュ-ズさん腕を触れてもいいですか?」
「えぇ、いいですけど、何かの確認ですか?」
「はい。脈があるか確認したいです。見ての通り俺は骸骨ですから脈も心臓もないですから」
成程と思いモモンガに腕をすっと出すとモモンガが触れた瞬間、小さな音でギチリィと音とアルベドから今まで感じた事のない濃厚な殺意を感じた。
濃厚な殺意に一瞬硬直してしまたが、ピリピリするような痛みが走り反射的に腕を引いてしまった。
「モモンガさん、痛みを感じました!!」
「えっ!!もしかして
「フレンドリーファイアが解禁された!?…だとしたら危険ですね」
「えぇ、同士討ちの可能性があります…広範囲のスキル・魔法を控えて即急に確認した方がいいですね」
ミュ-ズが危惧したの同士討ちもそうだが、アルベドの存在が危険だと感じた。
(「アルベトの殺意は私だけに向けられてようだな。モモンガさんに対しては敬愛と愛欲の好意の思念しか感じない、だとしたら私がここに居るのは危険だな。」)
アルベトに襲われた場合自分だけ犠牲になるのはいいが、モモンガを巻き込むのは容認できない。なら自身はこの場を離れ安全を確保し能力を確認した方がいい。一瞬アルベトの思念が偽りの可能性も考えたが直観というか本能的な部分でまずないと感じた。
『モモンガさん、これから私が創ったNPCに会いに行こうと思うんですが、モモンガさんはどうしますか?』
『俺はもう少し確認したい事があるんで、ここに残りたいと思います。そうですね…他の階層守護者を集めるので、一時間後に第六階層に集合でどうですか?』
『いいですよ』
『何かあったら直ぐにメッセージを送って下さい。そして危険だと思ったら逃げてくださいね!!今ミューズさんの装備は現役の時の最強装備じゃないですから!!』
心の底からミューズを心配してくれるモモンガに心が温かくなる。
引退する時に最高装備をモモンガに渡したため今の装備は現役時代の装備じゃなく
『わかりました。何かあったらリング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンで逃げます』
これからの方針を軽く決まり、モモンガはアルベドに命令すべき口を開いた。
「アルベド。ミューズさんはこれから、自身が創ったNPCに会いにいく。お前はもう少し私と残って実験に付き合ってもらうぞ」
「はっ!!モモンガ様に比べ非才の身ですが全身全霊を掛けて、モモンガ様のお役に立ってみせます」
「う、うむ、そこまで気負わなくていいぞ。…では、ミューズさん後ほど」
「…はい。モモンガさん後で」
一瞬本当にモモンガさんと離れて本当に大丈夫か心配なったが。アルベドから邪魔だか失せろという不快感の念を感じたので指輪の力を起動させて目的地に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇
-ナザリック地下大墳墓 第二階層-
「ふぅ…無事成功して良かった」
転移の成功に安堵の呟きがもれた。
(「さて、目的地に向かうまで少し状況を整理しよう」)
目的地まで距離が有るので歩きながら様々な事に思考を巡らせてしていく。
(「まずは今の状況だが間違いなく話しに聞く異世界転移ってやつだろう。アバターの姿になっているが最初からこの身体で生まれて来たように違和感を感じない。」)
自身の背中に生えてる羽も動かす事が出来き違和感を感じなく、己の中に埋没している能力。スキル・魔法も全て把握でき使用できる事が分かる
(「セバス達の重すぎる忠誠心も異常だが、彼らが襲って来る事はないだろう。」)
だからといって油断はできない。何かの拍子に豹変する可能性もあるのだから。
(「…色々と情報が少なすぎる。今ある情報で一番危険な存在はアルベドだな。私に向ける殺意は本物だ」)
かつて味わって来た殺意など児戯の様に濃厚な殺意。実際リアルの身体であったなら、向けられただけで気絶か最悪死んでただろう。
(「そう考えると、体だけでなく精神もアバターに引っ張られてる可能性がある。その辺は後で検証するとして、今やるべき事は安全を確保し誰が敵味方を判断することだ」)
いくら100LVといっても、ナザリック地下大墳墓には同LVの存在が複数いる上に、LVが下でもステ-タスだけなら上回る存在が居る。
(「私だけならいいが、モモンガさんを危険に晒すわけにはいかない。その為にも彼女を味方につけないと。最悪の場合、能力を全て把握してるから対処で……着いたか、それにしても、ここに来るのは久しぶりだな」)
色々と思考を巡らしていると、いつの間にか目的地に着いたようだ。
目の前には特殊な大理石で作られた建造物があった。石は所々ヒビや欠けて壊れている。構造は半円形で、舞台の背後にはスカエナエ・フロンスと呼ばれる高い壁がある。円柱で支えられ壁面はギルドサインとギルメンのサインなどの像が収められた
ギリシャのヘロディス・アッティコス音楽堂をテーマにして造られた建造物はミュ-ズが創り出したNPCが守護する領域で廃墟の音楽堂と呼ばれている。
自身が創ったNPCが守護する領域を眺めていると、廃墟となった建物から似つかわしくない美しい歌声が聞こえてくる。
その歌声は透き通るような歌声ながら、何処か切なさを感じる。
ミュ-ズは歌声に誘われるように音楽堂の中に入っていき声の主を眺めた。目に映るのは赤いドレスを着ていて、肌はほとんど見えなく、見える部分の肌は爛れており目は赤い布で目隠をしをしている。
髪はパサパサで金髪のウェーブが掛かっているロングヘアーで、花の髪飾りを付けている。
服の上からでも分かるほどスタイルもよく。顔の造形自体は美しいのだが肌が爛れているのと髪がパサついているせいで全体的に不気味で気持ち悪い印象を受けた。
不気味な姿とは真逆の美しい歌声をだす者こそミュ-ズ・ノウスが創った、アンデッド種で100LVの領域守護者“異形の歌姫”イディア・ディーヴァ。
「(あぁ…美しい。これこそ私の理想」)
かつて自身が創り出した理想の姿が目の前にあった。容姿など関係ない、ただ美しい声で歌う存在。リアルでは叶わなかった理想に狂喜した。
歌が終わると拍手しながイディアに歩み寄って行く。
「素晴らしい歌声だったよ。イディア・ディーヴァ。久しぶりだけど私の事が分かるい?」
声を掛けられたイディアは信じられない物を見たように困惑し呆然とした。
「んっ!?私が分からないのかい?イディア・ディーヴァ??」
その瞬間はじかれた様に、イディアは跪き頭を垂れた。
「……っつ!!…申し訳ありませんミュ-ズ・ノウス様。すぐに跪き頭を垂れなかった事、そ、そして貴方様に二度と会えないと思ってしまった不敬をこの命を持ってお詫びいたします」
最初なに言ってるのこの子?と思ったがイディアから困惑、歓喜、深愛、覚悟、悲嘆、恐怖など様々な感情が流れて来る。
(「…二度と会えないか。それにしても凄い勢いで色々な感情が流れて来る。私の言葉一つで本当に自害する覚悟だな」)
今は一人でも味方が欲しいが、そんなの関係なく自身の理想が居なくなって欲しくなかった。
「…立ちなさい、イディア・ディーヴァ」
「し、しかし」
「私は立てと言っているんだ」
強めに言うと恐る恐る下を向きながらイディアは立ち上がった。今から怒られる幼子の様に震え、恐怖の感情しか流れて来ない。
そんな彼女にミュ-ズは片手を優しく頬に添えながら話し出した。
「…イディア済まなかった、君を孤独してしまって、こ」
「謝罪など…全て私が悪いのです」
「話を最後まで聞いてくれ」
「……」
途中で話に割り込んで来たがそれを遮って話を続ける。
「これからどうなるか分からないが、私は君と共にいたいと思っている」
異世界転移したとしたらリアルに戻る気は無かった。友人でギルメンのやまいこの妹、明美とは会えないし、自身の歌を純粋に喜んでくれるファン達には申し訳ないと思うが。リアルに帰っても、存在理由を否定される地獄のような日々が待っているだけだ。
この世界には
不安がないと言ったら嘘になるが、前に進むしかないのだ。
「今ナザリックに異常事態が起きている可能性がある。…一度君達を見捨てた身だが、もう一度、私と共に歩んでくれる事を誓ってくれるかい?」
イディアはこの言葉に歓喜した。もう一度もう一度、愛する御方の傍に居られる。例えこの身が滅びようと関係ない。
「…この身も心も全てミュ-ズ様、そしてナザリック地下大墳墓に捧げる事を誓います」
そう言いながら愛おしそうに頬に添えられている手に、自身の手を添えた。
「ありがとう、イディア。死が二人を分かつまで、君といる事を誓うよ。そしてまた私に歌を捧げてくれ」
「あぁ!!ありがたき幸せ」
廃墟の音楽堂にて異形の二人は新たな誓いをした。
◇◇◇◇◇◇◇
あれからイディアにセバス達が周辺確認しており、一時間後に第六階層に集合することを伝えた。
「現状はこうなっている。さて君に聞きたいのだが。私とモモンガさんに害をなす存在がナザリック内にいると思うか?」
「…我々は至高の御方々に尽くす存在です。害をなすなど恐ろしい事を考える僕はいないと思います」
イディアの言葉だと、アルベドだけ特殊な存在となる。てか至高の御方達って私達の事かなど疑問に思ったが今は気にしないことにした。
今現在、思念を感じる能力をOFFにしているため彼女が嘘を言って可能性があるが、それは、まず無いと考えている。
そもそも能力をOFFにした理由は彼女から深い愛を感じ、信じたからだ。甘いのかもしれない、だが彼女の気持ちを考えると、どうしても出来なかった。
「では私がナザリックの僕を排除しろと言ったら、それに従うか?」
「はい。ミュ-ズ様を命令はもちろんですが、命令がなくても不快な思いをさせた存在を生かしとく意味などありません。勿論それは、私も含まれます」
これはミュ-ズも驚いた。迷いなく同じ組織に所属する仲間を自身も含めて排除すると言うのだから。
「そうか、最後に、仮に…」
今から質問する内容は重要なことだ。だが内容が内容だけにためらってしまう。
「…仮に、私がモモンガさんや他のギルメンを排除しろと言ったら従うか?そして他のギルメンが命じたならそれを従うか?」
その瞬間、世界の時間が止まってしまったかのような感覚が起きた。
「み、ミュ-ズ様と至高の御方達が対立し、排除するなどと、そのようなことは万が一でもございません」
「イディア、私はそういう答えが聞きたいんじゃない」
イディアには悪いが逃げ道を塞がせてもらう。自身の命令が何処まで従うか確認する必要がある。
「……もしもミュ-ズ様と至高の御方達が、対立し排除するよう命じたなら、し、至高の御方達を排除いたします。そして恐らくですが。お隠れになった至高の御方達が直接創造された僕に命令した場合…私と同じ答えになると思われます」
つまりNPCを作った制作者の命令が第一だという事だ。これは命令する際は気を付けないといけない。
ミュ-ズに最初に跪かずに質問に答えるように命令されたが、質問の内容に恐怖し、体が震え頭を垂れ跪いてしまった。そして、ある事にイディアは察し強い怒りを覚えた。
(「ナザリック内にミュ-ズ様を危害を加える恐れがある僕がいる!!…そして、それは至高の御方の命令の可能性があるということなの!?…だとしたら、その僕を殺し…例え至高の御方だろうと確実に殺す」)
彼女の設定は他のNPCと違い少し特殊なため、他の僕からしたら恐ろしい思考にいたった。
イディアにとって自身を救い愛してる御方の為ならどんなことでもする覚悟だ。イディアにとって一番大事な事はミュ-ズ自身なのだから。
イディアから、ただならぬ気配を感じ、これは詳しく話さなければまずいと感じ話しかけた。
「イディア、はっきり言うが私はモモンガさんや他のギルメン達と敵対する気もないし、排除する気もない」
「はっ!!申し訳ありません」
そもそもどのような法則で異世界転移するか分からないが、仮にユグドラシルに最後にログインしてたのが条件だとすると、この条件に当てはまるギルメンはまずいないのでギルメン達と対立できないし、モモンガとはまずありえない。
「そして、恐らくだが君が察したように、私に危害を加える可能性がある存在がナザリック内にいる」
その瞬間おぞましい程の殺気が廃墟の音楽堂に発生した、直接向けられてないといえ、100LVの殺気の中、平然とミュ-ズは話を続けようとしたが先にイディアが口を開いた。
「恐れながら、その存在は何者でしょうか!?」
相変わらず普通の人間だったら死んでいるレベルの殺気をまき散らす彼女を前に、変わらずミュ-ズは平然としていた。寧ろ彼女の怒りを感じ楽しんでいた。
「アルベドだよ」
「…!!守護者統括のアルベド様が!!」
これは流石にイディアも驚いた。全NPCの頂点であるアルベドが至高の四十二人であるミュ-ズに危害を加える可能性を考えもしなかったのだから。
(「例え守護者統括のアルベドが無実だったとしても、関係ない。可能性が有るなら早めに芽を摘まなければ」)
そう思い立ち上がり行動しようした瞬間、正面からミュ-ズに強く抱きしめられ動きを止められた。
その瞬間さっきまでの殺気が飛散し、イディアの思考が停止した。
「イディア」
「ひゃっい!!」
愛おしい人が官能的な美しい声で耳元で囁いてくる。痺れるような、もはや性的と言って良いほどの快楽がイディアの脳髄を蕩けさせる。
「勝手な行動は許さない。アルベドが私に危害を加えるとは決まった訳ではない」
「お、恐れながら、可能性があるのなら、アルベドを、は、早く排除した方がよいと愚考しま…あぁっ」
「いけない子だ、私の命令が聞けないなんて」
背中に回してた腕をイディアの臀部に滑るように持って行き、握り潰すように強く掴んだ瞬間、電流が走ったように体が反り返り官能な声が出てしまった。
「アルベドの件は私の方で調べる。ここで聞いた話は全て忘れ、指示があるまで、アルベドとは普通に接しなさい。これは命令だ!!わかったな!?」
「か、畏まりました。全ては御身の御心のままに」
言う事が終わったのか、ミュ-ズはイディアから離れるが。イディアは先ほどの興奮が収まらないのか息遣いが荒い。官能的な状況を作ったミューズの心の中というと。
(「ヤバい…ペペロンチーノさんじゃあるまいし、自分からセクハラしてしまったぁ!!」)
酷く後悔してしていた。因みにペペロンチーノが聞いたら怒るだろう。「俺はYesロリータ!!Noたっち・みーなの」だと。
(「…生きるために、さっきみたいな事くらい、数えられない程やってきたが、喜んでやった事などないのに」)
生きるため体を売ってた時期も有ったせいか、そういう性的な事を自分から喜んでやることはなかった。
(「しかし、さっきは喜んでやっていた…彼女の困惑と性欲の感情に興奮をしてた」)
イディアの怒りの感情にあてられた辺りから、少しずつタガが外れていき、怒りのまま行動しようとした彼女を落ち着かせようと抱き着いた瞬間、完全に理性のタガが外れてしまった。気づいたら心理を認知できる能力が発動していた。
(「これは早めに調べた方がいいかもしれないなが、先にモモンガさんと合流しないと」)
自身の心境の変化も気になるが、イディアも落ち着いて、モモンガとの待ち合わせの時間が迫っている事も有るので、取り合えず後回しにする事にした。
「イディア、今からスキルで能力を変化させて、第六階層に転移して、モモンガさんと合流します」
「かしこまりました」
ゲ-ムの様にアイコンを選択するのではなく、自身の奥にある力を呼び起こしスキルと魔法を発動させる。
――
自身が納めている
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スキルでマジックキャスターのクラスに変化させて転移魔法を発動させると、目の前に半球体の闇が現れ、二人は闇の中へと歩いて行く。闇が消えると、二人の姿も消えていた。