予想以上に更新が遅れました。遂にあの人物が登場です。
一方、守護者たちが話してる頃、ミューズはモモンガからアルベドの設定を変えてしまい。
R-18行為が可能か確認のためとはいえ胸を揉んでしまった事を伝え、何故か感情が高まると精神が安定する事を話した。
話を聞いたミューズは…。
(「確かにタブラさんに許可なく設定を勝手に変えたのは悪い事かもしれないけど…元がビッチだからなぁ」)
アルベドの元の設定を聞いて流石にないわぁと引いていた。
(「それに精神が安定するか。アンデッド特性の精神作用無効のせいか?」)
アンデッドの種族特性やモンスターテキストの影響なのか、それとも他の要因なのか情報が少な過ぎて分からない。
「うぅっ!悪気はなかったんです! 出来心だったんです!」
話を終わったモモンガは罪悪感とミューズに嫌われるじゃないかと不安で一杯だった。
「モモンガさん、そんなに気することはないですよ」
「ですが…タブラさんに申し訳ないです」
「あの人なら、それはそれでギャップ萌えとか言いそうですよ」
「いや…流石にそれは…言いそうですが」
首を捻りながらタブラさんなら言いそうだなと思った。
「そうですよ。≪NTRですか!萌えますね≫って言いますよ」
「ぷっ!ミューズさんタブラさんの声で言わないでください」
ミューズは老若男女問わず声真似を出来る特技があり、この特技をネタにギルメン達を驚かしたり笑わせていた。あの頃を思い出してモモンガはついつい笑ってしまった。
(「ふぅ、モモンガさん気がまぎれてよかった。しかしアルベドが私に殺意を向ける理由が未だに分からない」)
最初は
モモンガからアルベトの元の設定を聞く限り長文だった以外妙なところは無く。敵意を向けられる理由が分からない。
(「アルベド本人に聞くのが一番手っ取り早いけど…リスクが高い」)
話がこじれて最悪戦闘になって、どちらかが死んだ場合、モモンガが悲しむ。
(「極力戦闘は避け話し合いで解決したいが…最悪始末するとしても理由が必要だ。敵に殺された、または操られたため仕方なく始末しただが…大切に思っているNPCが失ったらモモンガさん悲しむだろう」)
モモンガを悲しまない前提で考えるとやはり始末する前提だと難しい。またアルベドが自身に殺意を向けている事も言えない。もしかしたらモモンガが設定をいじったせいかもしれないと分かったら罪悪感で潰れてしまうからだ。
アルベトの対処について考えてるとわざとらしく咳払いしながらモモンガが話かけてきた。
「こほん!話は変わりますが、これからどうしますか?」
「んっ!あぁ…そうですね今後の事を考えるとやっぱり、今より上質な装備を揃えたいですね」
アルベドの事もあるがこの世界の生物の強さが分からないので戦闘になった場合いまの装備では心もとない。
引退する時に最強装備は売り払っても交換に使うのも好きにしてくれとモモンガに渡したので、恐らくもう存在しないので少しでも使えそうな装備があれば助かると考えてたが予想外の事を言われた。
「それならミューズさんの当時の装備、宝物殿に保管してあるので直ぐに取りに行きましょう」
「えっ!残っているんですか」
とっくに売り払ったか交換に使ったもんだと思っていたので流石に驚いた。
「当然ですよ。ミューズさんとの大切な思い出の品ですし、戻って来てくれた時の為に取っといたんです」
「モモンガさん…ありがとうございます」
モモンガは嬉しそうに言うが、ミューズは申し訳なさで一杯だった。自身をこんなに思っていてくれたのにモモンガをずっと一人きりにしてしまっていたのだから。
「いえいえ、じゃあ宝物殿に向かいま…あっ!!」
「どうしました!?」
突然モモンガが何かを思い出したように大声を出して羞恥の思念を感じた。
「あの…そのぉ…装備はまた今度でもいいですか?」
「えっ!?流石に今の装備では心もとないので…」
「そうですよね…ですよね」
モモンガがさっきまでノリノリだったのに急に渋りだし元気もなくなったのでミューズは困惑していた。
「モモンガさん急にどうしたんですか?」
「えっと…ほら宝物殿には俺が創ったNPCがいるじゃないですか」
「確かパンドラズ・アクターでしたっけ?」
「そうです…パンドラズ・アクターです」
「パンドラズ・アクターがどうかしたんですか?」
「えっ!!だってほらあいつの設定って」
「???」
急に元気がなくなった理由がパンドラズ・アクターにあると分かったが、理由が分からない。
想像してみて欲しい。俺が考えた最高にカッコいいものを無作為にどかどか詰め込んで生きて動く中二病全開の黒歴史を友人に見られるなんてただの公開処刑のなにものでもない。
しかしミューズは中二病の事をよく理解していなくパンドラズ・アクターの設定を聞いた時、モモンガさんこういうの好きなんだなって思ったくらいだ。
因みに同じ病にかかっていたウルベルト等のギルメン達は絶賛だったが、他のギルメンからはギルマス患ってるなぁと思われていた。
「理由は分からないですが、モモンガさんが行きたくないならまた今度にしましょう」
「ミューズさん…」
「話は変わりますが、モモンガさんに聞きたい事があるんですがいいですか?」
「えぇ!何でも聞いてください」
モモンガはミューズの優しさほろりとしたが、次のミューズの言葉にこれは宝物殿に連れて行くしかないと思ったのだった。
「アルベドの胸の感触はどうでした?」
「えっ!」
「ほら、アルベドの胸触ったって言ってたじゃないですか。同じ男として気になるんですよね~」
「それは、その…」
「どうしましたモモンガさん?時間はたっぷりありますから詳しく聞かせて下さい」
「……やっぱり宝物殿に行きましょう」
モモンガは全てを諦め項垂れながら宝物殿に行く事にした。
正直ミューズはアルベドの胸の感触とかどうでもよかった。昔モモンガから聞いたパンドラズ・アクターは確かナザリック内でもトップクラスの頭脳を持つ設定で、ギルメンの能力を使う事もできるはずだったので是非とも味方にしときたかったのだ。
あと単純にモモンガの
「そうですか?じゃあ向かいましょう」
「……はい」
処刑の時を待つ罪人の心地のようにモモンガは絶望しながらミューズと共に指輪の力を使い宝物殿に向かった。
ミューズは宝物殿に行ったのを深く後悔した。
◇◇◇◇◇◇◇
宝物殿に転移した二人を迎えたのは眩い光だった。
そこには、仰ぎみるほど高い天井と積み重なっている金貨や宝石の数々。天空に浮かぶ星々を集めたような燦然とした輝いていた。
見るものが見れば、まさにここが黄金郷だと叫ぶような光景だった。
しかし、ミューズは別の意味で驚愕し言葉を失った。多すぎるのだ。
モモンガ一人でこの巨大なナザリック地下大墳墓を維持していたのだ、この宝物殿の入り口付近は殺風景になっていると思っていた。
しかし想像とは逆だった。山となった金貨、ところどころに埋もれ突き出た武器防具は乱雑と言ってしまえばそれまでだが、壁やら棚やらはもっとレア度の高いアイテムで埋め尽くされている。その光景がかつての…ミューズがいた時と変わっていなかった。
どれほど…どれほど彼が一人で頑張ってナザリックをアインズ・ウール・ゴウン守って来てくれたのか理解し、ミューズは申し訳なさが募ってきた。
「行くぞ俺…さぁ行きましょうミューズさん」
「…はい」
アインズは自身の黒歴史に会う覚悟を決め、ミューズは行くのが怖くなった。宝物殿の奥が自身が想像した光景だったらと不安に駆られていた。
二人は毒々しい薄紫色をした空気の中を進み出した。ブラッド・オブ・ヨルムンガルド…この罠は毒無効化のアイテムや能力がないと即死に到るという恐ろしいものだが、アンデッド種のモモンガとミューズは<妖精の保護膜>で効果を受けないので何の問題もない。
アインズは<
金貨の山を越えると幾つかの扉が並んでいた。しかし、それを扉と形容してよいものだろうか。扉の形をした、底なしの闇を思わせるような暗闇が壁に張り付いていた。
「確かここは、武器庫に繋がる扉でしたっけ?」
「そうです。隣が防具系であれが装飾具系ですね」
モモンガに言われ当時の記憶が蘇ってくる。
「源次郎さんが各用途ごとに分けてくれてましたね」
「はい。自分の部屋は汚部屋って言ってましたが、喜んで整頓してましたね」
「そういえば源次郎さんにエントマのイメージに合う声を出して欲しいって頼まれましたっけ」
「初耳ですね」
「最初は茶釜さんに頼んだみたいですが、途中で他の人に頼んでくれと言われたみたいです」
「???また何でですか?」
「付き合って分かったんですが、イメージに少しでも合わないと違うそうじゃない、そこはもう少し甘い声でとかやっぱり別の声色でとかとにかくこだわりが強くて…さすがに3時間ぶっとうしは辛かったです」
「うわ~、それは何というかお疲れ様でした」
流石のモモンガも引いた。そりゃあ茶釜さんも途中で辞めたくなるわって思った。
源次郎は独自のこだわりをもつ人物で、レア度の高いアイテム類の整理整頓も一種の彼のこだわりだったのだ。そんな彼のこだわりに付き合わされたミューズにモモンガは合掌した。
このままモモンガと昔話に花を咲かせたかったが、当初の目的は自身の装備とパンドラズ・アクターを味方に引き込む事なので残念だが話を戻すために口を開いた。
「すみませんモモンガさん脱線してしまって」
「いえいえ、大丈夫です」
モモンガは自身の黒歴史に会う事を忘れ純粋に楽しかった。まるであの頃に戻ったように楽しかったが直ぐに精神が沈静化し心の中で舌打ちした。
(「ちっ!せっかくミューズさんと楽しく話してたのに邪魔だな」)
しかしその感情すらも抑制されていたのをミューズは感じていた。
(「モモンガさんまた感情が抑制されたみたいだな。何とかしてあげたいな」)
混乱している時など冷静になれるのはいいが、今みたいに楽しい感情まで抑制されるのは辛いだけだ。解決するためのアイテムが宝物殿にあるかもしれない。
新たな目標もできミューズも宝物殿に行く覚悟を決めた。
「ミューズさん、パスワード覚えていますか?」
「う~ん…すみません覚えていません」
頻繁に出入りしていた者ならともかく、久しくナザリックを訪れていないミューズが覚えていなかったのは仕方なかった。
モモンガも宝物殿に来るのは維持コストを稼いだお金を納めるときぐらいで、ここまで来ないので記憶が曖昧だ。
「確か…かくて汝、全世界の栄光を我がものとし、暗きものは全て汝より離れ去るだろう」
キーワードに反応し、壁になっていた暗闇の塊が霧散する。
光量が抑えらられた奥へと続く通路の先には黒曜石を磨いたような床面が見え左右には無数の武器が綺麗に整頓された上で、見事に並べられていた。
「行きましょう!」
「はい!モモンガさん!」
二人は気合を入れて奥に進んでいく。
ミューズは視線だけ辺りを見回しながら、自身の想像通りであることを確かめていた。
宝物殿の光景は自分達が引退した時と変わらない。あの頃のままだった。モモンガ一人でここを維持していたはず、なのに、自身の装備やギルメンと集めたアイテム類に手をつけずにナザリックを維持していたのだ。
それがどれほど大変で辛かったのか想像しミューズは締め付けるほど胸が痛かった。
回廊を進んで行くと、開けた長方形の部屋に出る。壁にはアイテムは配置されておらず待合室の役目があるのか、がらんとした部屋に置かれているのはソファーとテーブルの一セットのみだ。その奥に通路が見えるが、ミューズはその通路の記憶にはなかった。
その時、ソファーから人影が立ち上がった。
その外見は異様のもので、水を吸って大きくなった死体の体に頭はタコが取り付いたような邪悪な姿をしていた。
「ばかな!? た、タブラさん!? 」
ミューズは驚愕の声を出し、それに反応するようにタコのような顔をククッと傾けて見せる。
「はぁ…。もう良い。パンドラズ・アクター。元に戻れ」
見たくなかった自身の黒歴史にモモンガは、命令しつつ溜息をついた。
その瞬間、タブラの姿をしたそれはぐにゃりと形を歪めていき、やがてディティールが明確になっていく。黄色の軍服にギルドサインの帽章が付いている制帽を被り、丈の長いマントを羽織り長く伸びた4本の指と、顔は黄色の卵のようにツルリと輝いており、毛は一本も生えていない。顔はペンで丸く塗りつぶしたような黒い穴が3つあるだけだ。
「ようこそおいでくださいましたぁ~。私の創造者にして至高の御方であるぅ、んん~モモンガ様ぁ!」
カツンと踵をあわせ鳴らし、オーバーアクションで右手を帽子に添えて敬礼する。
この者こそモモンガが創り出した宝物殿の領域守護者パンドラズ・アクター。100LVのNPCでありプレアデスの一人であるナーベラル・ガンマと同じ
その能力は四十五の外装をコピーし、その能力を80%程度を使用できギルドメンバー全員の外装をコピーしている。
「…久しいな、パンドラズ・アクター。その…元気そうだな」
「はあぃ。元気にぃやらせていただいていただいていおりまぁす」
大きく腕を振りながら胸に手を当てながらお辞儀する。その仕草はいちいちオーバーリアクションで芝居かかっている。その姿を見るたびモモンガの精神HPはガンガン削られていきミューズに見られている羞恥心でさっきから精神安定が発動しっぱなしだ。
「元気でよかったですねモモンガさん。久しぶりだねパンドラズ・アクター」
「おぉ~!!!これは至高の四十二人であるミューズ・ノウスさまぁ~!!再びお会いでき、このパンドラズ・アクター
そう言いながら片手を天に伸ばしもう片方を胸に当てた後、クルクル回り始め最後にミューズに片手を差し伸ばして止まった。
その光景を見たモモンガは両手で顔を覆いながら悶絶した。
(「うぎゃあぁぁぁぁぁ!!やめて!!なぜ回転する!!ドイツ語をやめてくれえぇぇぇぇぇ!!」)
最後のドイツを聞いた瞬間ないはずの心臓が止まった感覚がした。パンドラズ・アクター恐るべし、存在だけで対モモンガ用最終兵器になる存在だ。
モモンガの
(「まるでミュージガルを見てるようだな」)
他の者が見たらドン引きレベルだが特に引く事もなく昔係わったミュージカル舞台を見ているようで懐かった。なぜモモンガが羞恥しているか分からなかった。
他のギルメンに言われていたが、ミューズは少しズレているというか天然の所があった。
(「モモンガさん精神安定が追い付いていないなあ。パンドラズ・アクターから敬愛・歓喜・忠誠心を感じるが何か違和感がある。」)
今まで受けたNPCの思念とは少し違う感じがしたが、その正体は不明で警戒にあたる。それでもパンドラズ・アクターを味方にしたかった。
(「タブラさんの変身した姿と癖は完璧だった。一瞬本当にタブラさんが居たようだった」)
その演技力と能力はやはり味方にしたく。これからパンドラズ・アクターをどうやって対アルベト用の味方に引き込むか考えていると、モモンガが少し立ち直り当初の目的を話し始めた。
「…パンドラズ・アクター。ミューズさんの装備全てを持ってきてくれ」
「はっ!!かしこまりましたぁ。直ちに霊廟より持って参りまぁ~す」
そう言ってパンドラズ・アクターは向かうが聞き捨てならない言葉を聞いた。
(「霊廟なんだそれは??」)
言葉の意味のままだと誰かを祀る場所だが、その対象は普通に考えるとギルメン達だ。自身が居た時はなかった。確認するのが怖い…しかしモモンガと向き合うためにも確認しなければならない。
「あのモモンガさん…装備は私が取りに行ってもいいです?」
「えっ!!いいですけど…」
モモンガは自身が造ったアヴァターラをミューズに見られるのは恥ずかしいが既に一番の黒歴史を見られたのでこれ以上失うものはないと少し自棄になっていた。
「パンドラズ・アクター。やはり私達で取りに行く。お前は待機していろ」
「
「がはっ!!」
モモンガは会心の一撃を受けた。
二人はパンドラズ・アクターに指輪を預け最奥の霊廟に向かった。
そんな二人を顔が見えない程深くお辞儀しながらパンドラズ・アクターは見送った。
◇◇◇◇◇◇◇
霊廟の通路を歩く足が異様に重い。
モモンガと一緒に歩みながらミューズは重く息苦しかった。
怖い今すぐ逃げ出したい。この先は自分がけして踏み入ってはいけない禁忌…領域だ。
進んで行くとそこには見知った装備を纏った、とても不格好なアヴァターラが鎮座していた。
歪でとても寂しそうな、モモンガの心を映した歪な人形達。
寂しさと、少しの期待を込めた人形達。
ギルメン達の帰りを待って、何一つかけさせることなく残し、待ってくれていた象徴。
仲間達へのその揺るぎない想いが、愛が、形を成してそこに存在している。
モモンガの想いの結晶を題材に歌を作りたい欲求に駆られたが直ぐにそんな自身に険悪した。
(「最低だ…私が書いてはいけない、いやきっと書けない領域だ」)
仮面の下ミューズは顔を歪めていた。自分はモモンガの何を見ていたんだろう。いや何も見えていなかったのだ。
(「どの口で…どの口で友人なんて言えるんだ」)
アヴァターラを眺めていたミューズに勘違いしたモモンガが話しかけてきた。
「不格好でしょう。ミューズさん達のカッコ良さ全然表せなかったんです。すみません」
そう言いながら恥ずかしそうに頬をポリポリ搔いていた。
「…そんな事ないです。謝らないで下さいモモンガさん」
謝るのは自身の方だ。
自身のアヴァターラを見上げながら血が滲むほど手を強く握り締めるミューズを見てモモンガが慌てて話掛けてきた。
「み、ミューズさん大丈夫ですか…あぁ、血が出ているじゃないですか!!直ぐに手当てしないと!!」
ミューズを心配し、優しく出血した手を握ってきた。
「…大丈夫です」
モモンガに握られた手を振り払う。優しくしないで欲しい。貴方に優しくされる資格なんてない。
「そっ、そうですか…あっ、あのアヴァターラから装備を外しますね」
「…はぃ」
(「急にどうしたんだろう。やっぱ許可なくアヴァターラを造ったのマズかったか!?…嫌われたかな?」)
モモンガはミューズに嫌われたんじゃないかと不安になったが、気を紛らわすためにアヴァターラから装備を外す作業に集中した。
「どうぞミューズさん」
「…ありがとうございます」
ミューズは装備を受け取っていいか悩んだ。その資格が有るのかと。モモンガならきっと‶当たり前じゃないですか"と言ってくれるだろう。
これは罪の証だ、だから身に着けよう罪人の服のように、己の罪を晒すためにも。
仮面をずらし袖で乱雑に涙を拭い、モモンガから装備を受け取った。
(「泣く程喜んでくれたんだ。残しといて良かった」)
一瞬ミューズが泣いて居た事に驚いたが、モモンガは勘違いし嬉しそうだ。そんなモモンガから思念を感じ悩んだ。
(「私は…貴方に何をしてあげられるだろうか」)
◇◇◇◇◇◇◇
あれから少しして霊廟からモモンガとミューズが出て来た。
モモンガは普段と変わらない神器級の装備だが隣のミューズの装備は明らかに先ほど身に着けていた物とはランクが違った。
衣服は、白のYシャツに黒のベストで胸には自身のエンブレムが白糸で縫われている。その上から黒いロングコートを羽織っている。コートの背中から妖精の羽が出ており、白色でギルドサインが描かれている。
両腕には手錠型のブレスレットと黒の革手袋を着用している。耳には音符のピアスをしている。
ミューズの装備は殆が神器級で、ピアスとブレスレットに関しては世界級にも匹敵する装備である。
因みにアイテムのランクは上から神器級、伝説級、聖遺物級、遺産級、最上級、上級、中級、下級、最下級と9段階に分けられている。
二人が霊廟の通路から現れた瞬間もの凄い勢いでパンドラズ・アクターが駆けて来る。両膝を着けてブレーキを掛けているが勢いは殺せず、スライディングしながら二人に迫って来る。
モモンガは驚きのあまり顎が外れんばかりに口を開いたまま固まってしまった。ぶつかるかと思った瞬間、どうやったか分からないが物理法則を無視してモモンガ達の手前で止まった。
パンドラズ・アクターの奇行にミューズも唖然と固まっている。そんなミューズにパンドラズ・アクターは膝を付いたまま何かを求めるように片手をミューズに伸ばし、もう片方を胸に当てながらもの凄い早口で話しかけてきた。
「おぉ~!!そのお姿は私の創造者でぁる~モモンガ様の隣にいた頃のお姿であります。このパンドラズ・アクター感動のあまり言葉出てきません。お二人の姿を見た全ての神々はその威光にひれ伏すでしょう!!まさに、まさにぃ~至高の至高のお姿ぁ~」
「あっ、ありがとう」
流石にミューズも引いて言葉を失ってしまい、モモンガは完全に唯の骨になっている。
色々ツッコミが多すぎて頭が追い付かない。どうやって止まったの?めっちゃ喋ってるじゃん!とか。
「不肖パンドラズ・アクターこの感動を歌にて表したいと「ちょっと待ってい!こっち来い!」
復活したモモンガはパンドラズ・アクターの顔をアイアンクローして捕まえ、部屋の隅の方に引きずっていく。
八つ当たり気味に軍服の両肩を壁に押さえ付け、パンドラズ・アクターの顔の横に手をと突いた。いわえる壁ドンだ。
「あっドン……!」
パンドラズ・アクター緊張感がない声がしたがモモンガは鬼気迫る勢いで<絶望のオーラ>を出しながら小声で話をしている。
そんな光景を唖然とミューズは眺めていた。
(「なんか…うん…凄かったな、後モモンガさんパンドラズ・アクター嬉しそうですよ」)
モモンガがパンドラズ・アクターに壁ドンした瞬間喜びの思念を感じたのだ。
少ししてモモンガがぐったりとした姿でパンドラズ・アクターと戻ってきた。
「はぁ…ミューズさんお待たせしました」
「いえいえ…大丈夫ですか?」
「なんとか…」
流石に中二病の黒歴史の破壊力と恐ろしさを知った。もしモモンガの立場だったら自身も悶絶していただろう。
精神的にきているモモンガに悪いが今後の為にもパンドラズ・アクターにまた会う許可を貰わなければならない。
「あの~モモンガさん、またパンドラズ・アクターに会いに来てもいいですか?」
その瞬間モモンガの時が止まった。
「えっ!!それは…勘弁して下さい。お願いします」
モモンガは土下座する勢いだったがミューズは心を鬼にしてお願いする事にした。
「お願いします。何だか着想が湧いてきそうなんです」
「えっ!アイツでですか?…それは恐ろし過ぎるんですが!!」
モモンガは自身の黒歴史にはもう二度と会って欲しくない。出来れば永久に封印しときたい。
渋るモモンガに仕方ないので最終手段を取る事にした。
「
「ぐふっ!ちょっ」
「
「ぐはっ!やめ…」
「
「いやぁぁぁ~!!もう勘弁して会っていいです。会っていいですから」
「
「NOoooooooo!!」
◇◇◇◇◇◇◇
あれからモモンガはうつ伏せに沈んでしまい。流石に悪乗りし過ぎたと思い慰めていたが、ちょいちょいパンドラズ・アクターが心配して介入してくるのでその度モモンガが沈むので予想以上に復活に時間が掛かった。
「ごめんなさいモモンガさん。流石に悪乗りが過ぎました」
「いいんです。もういいんです。円卓に早く戻りましょう」
モモンガは少し不貞腐れていた。
「パンドラズ・アクターまた会おうね」
「はい!お待ちしておりますミューズさまぁ~」
パンドラズ・アクターはお辞儀をし、二人は指輪の力を使い宝物殿を去って行った。
二人が去った瞬間パンドラズ・アクターの目がギラリと光った。