去年の10月にまどか☆マギカ展に行った際にテンションを上げつつも色々ありモチベーションを上げることと箸休めも兼ねて、正統派 牙狼を改めて描きたいと思いあげました。
これならIS×GAROを更新しても良いのではと思いつつもこちらを書きたかったので・・・
暗黒騎士異聞は、ほむらとバラゴの奇妙な似た者同士の話もですが、こっちも一応世界観は同じです。
彼女には、二人の姉妹が居る。母親は共通しているが、父親は別の種違いである。
血のつながらない父は気にかけてくれたが、自分を見る目は他の姉妹と違い怯えと戸惑いの色を含んでいた。
理由は言われなくともわかっている。
自分の容姿が母親である”あの女”の生き写しであったからだ。
背格好、髪、顔、瞳の色、匂い、雰囲気等、全てが瓜二つであり、他人から見ても姉妹とは認識してもらえないだろう。
あの女は、世間でいう”ろくでなし”そのものであり、常に自分が中心という考えであり、他人の迷惑も考えないし、傷つけることに罪悪感を抱くことはなかった。
そんな女が”女の子”を授かったのだが、”母性”等なく、子供を産んだらどうなるのだろうかという単なる好奇心であり、愛情はなく、無関心であり、都合が良いときに家族だからと言って理不尽なことを行っていた。
彼女の父親は、それでもと”善性”を”良心”を信じていたが、最初からありもしないあの女は、何も変わらず、父が過労で倒れたら倒れたで利用価値がなくなったとしてそのまま自分を置き去りにして何処かへ行ってしまった。
あの女は、父の献身を嘲笑うように他の男との間に性懲りもなく子供を産み、そこでも同じことを繰り返していた。
自分達を捨て、他に家庭を作ったことも許せなかったが、何よりも自分達以外にも不幸を齎していたことがさらに許せなかった。
父親こそは違うが、自分の”妹たち”が傷つけられている事に耐えられなくなり、思わず飛び出しあの女を石で殴りつけていた。
鈍い音と共に”あの女”の顔が跳ね、血塗れの形相で自分を睨みつけていた。
”しきみ・・・親に向かって・・・私の顔を傷つけて・・・・・・”
”あんたのことを親だと思ったことなんて一度もない!!これ以上傷つけられたくなかったら、その子たちから離れなさい!!!!”
恐怖に引きつりながら、あの女は逃げて行った。そこで彼女は、父親違いの二人の姉妹に出会った。
”大丈夫?あなた達の名前、教えてくれる”
父親違いとは言え、自分の妹たちに好意を抱き声をかけるが・・・
”やだぁああああああ!!!”
”どうして、お母さんと同じ顔をしているの?人を傷つけて、どうして笑っているの?”
助けた姉妹の答えは”拒絶”だった・・・・・・
助けたのに何故、受け入れてくれないのか?理不尽な怒りさえも抱いたが、理由は言うまでもなかった。
自分は二人を傷つけた”母親”の生き写しだったからだ。
自分の母親に手を上げることを傷つけることを厭わない姿は、彼女たちが恐れる”母親”そのもの・・・
手に持った血の付いた石を掲げる自分の姿は、二人にとっては恐怖以外の何物でもない。
こんな姉など、最初から居なかった方が・・・ここに来なければ、二人を怖がらせることなどなかった。
綾目 しきみは逃げるように二人の前から姿を消した・・・
それからは二人の姉妹とその家族に関わらないように過ごしていた。
幸いにもあの女が困らないようにと父親が残してくれた”遺産”もあり、不自由なく・・・だが、心の中に空虚な思いだけが存在していた。
本当に空虚だけならば、彼女は生きる意志を放棄し緩やかな死を願い、時間の進みと共に朽ちていくだけ・・・
しかしながら、それでも彼女を心から心配し手を差し伸べてくれた少年とその家族が居た。
一時は養女としての話もあったが、自身の親のこともあり、迷惑をかけたくない意思から断っている。
それでも様子を見に少年の母親が訪ねてきてくれる上に少年とは、直接こそは会えないが繋がりを持っていた。
二人の姉妹とその家族に自分は必要ない。ならば、姉妹がこれ以上、傷つけられることがないように”あの女”が二度と近づくことがないように守り、”あの女”を屠らなければならない。
あの女は、多くの不幸を振りまく”魔女”のような存在であり、自分はあの女の気質を色濃く受け継いだ”分身”なのだ・・・
同じ存在を二人もいらない・・・ならば、あの女を消さなければならない。
物理的に屠るのも良いが、それでは杜撰であり、一時は良くても、いつか思わぬところで姉妹とその家族に迷惑をかけてしまうだろう。
自身の人生における結末がそれである為に、彼女自身家庭を持つべきではなく、また誰かと特別な関係になることをほぼ放棄していた。
故に彼女は、裏の社会との繋がりを求め、その過程で”魔法少女”の事を知ることとなった・・・
”僕と契約して魔法少女になってよ”
”私の願いは・・・まだないわ”
キュウベエの誘いも一時は断ったが、あの女が知らない誰かによって屠られてしまった・・・
自分の手を汚さずに、殺す手間が省けたと本来ならば喜ぶべきだろう・・・・・・
だが、彼女に胸に去来したのは”怒り”であった・・・
”誰だ!!!私からあの女を奪ったのは!!!!あの女を屠るのは私だったんだ!!!”
身勝手だと十分に理解している。なぜなら、自分は”あの女”の娘だからだ・・・
全てを色濃く受け継いだからこそ・・・自分から奪った存在が許せなかった・・・
アスナロ市のとある場所にて・・・・・・
『ほぉ~、貴女がフタツキに向ける憎悪の目をの理由はそれでしたか?』
少女 綾目 しきみの目の前には人型の異形 魔号機人 刈が興味深そうに視線を向けて座っていた。
「そういうことなの。あいつが受けた依頼だけど、正直私は参加できなし、むしろ邪魔をしてやるわ」
『本来ならば、私は怒るべきですが・・・まぁ、彼は個々の意思を尊重しますから、それはそれで楽しめるでしょうね。彼も私も』
フタツキに付いている”二本の角を持った黒い魔号機人”は、彼女を許さないかもしれないが、自分はむしろ魔法少女は個人主義であり、こうであるべきだと持論すら抱いている。
『とはいっても、貴女は災厄から彼を遠ざけるよう動くべきです。直接的な戦闘は”見滝原”では避けた方が良いでしょう』
「どういうこと?やっぱり、あの真須美 巴が余程のことがない限り帰りたくないって聞いたことがあるわ。もしくは、噂の使徒ホラー?」
『さすがですね。使徒ホラーもそうですがあの土地で少々厄介なことが起こっているようで、私達も手を出したら、ただではすまされないのですよ』
事実、二体の魔号機人が何かに取り込まれてしまった。さらには、魔号機人 刈が知る見滝原に存在していた”天女伝説”・・・・・・
彼女らの周りには、プレイアデス聖団が管理し、捕えられていた魔法少女達が収められているカプセルが囲んでいたのだ。
ここは、魔号機人 刈のラボであり、後方の作業机にはソウルジェムが無造作に置かれていた。
『貴女に問いましょう、しきみ。貴女は、この世界の理不尽を身をもって体験していますが、理不尽な運命を変えられる資格を得られたのならば・・・そう、全てを思いのままにできる力を得られるとしたら、貴女は何を望みますか?』
まるであの白い小動物のようだとも思いつつも、つまり自分が”神”となって世界さえも作り変える力を得られるのならばと問いかけてきた。
「・・・人間が神様になるなんてありえない。理不尽な世界を変えたとしてもまた別の理不尽なことが起こる。世界を思いのままに改変しようなんて傲慢も良いところだわ」
醜悪な世界を変えてもそこに人間が居る限り不幸や呪いは形を変えて存在し続ける。
もしも魔女がいない世界を求めても、結局魔女に変わる”何か”が世界に現れるだけ・・・
むしろ今、魔法少女と魔女の関係を・・・ルールを破ることが正しいとは到底思えない。
命を懸けるとは、大きなことのように思えるが実際の命は世間が思う以上に軽い。
魔法少女の願いについては、個人のエゴ以外の何物でもなく、誰かに指を差されて非難されるいわれなどない。
綾目 しきみも自身のエゴの為に魔法少女の契約を結んでおり、自身の軽い命を代償に願ったのだ。
『ほほほほほほ。確かにそうでしょうね・・・魔法少女の良いところだけをみて、都合の悪い魔女を否定しても結局は変わらない。ルールを破ったことに変わりはないのですから』
自分の考えに愉快なところなどないはずなのだが、この機械人形の笑いのツボを大いに刺激したようだった。
「誰かが私の妹を一人消したわ。そして・・・いろはが・・・魔法少女の契約を結んだ」
あの女が居なくなった為、二人を傷つける要素はなくなったはずだが、それでも定期的に様子を見に行く。
今入院しているはずの”うい”の姿がいつの間にか消えていたのだった。存在そのものが・・・
いろはも違和感を感じ、彼女を探すべく魔法少女の契約を結んでいた。
本来ならば止めるべきなのだが、姉として認められない自分がでしゃばるべきではないし、ういを何とかしようとして契約をしたのならば、彼女自身の意思を尊重しなければならなかった。
そして、自身が知る限りでは最近、キナ臭い動きをしている”マギウスの翼”が縄張りとしている”神浜市”へ向かおうとしていたのだった。
間が悪いことに自身が大切な少年の危機もあり、同時に動くことができない。
いろはの前に現れても、自分が与える悪影響は計り知れない。
そこで、彼女はフタツキが使役する”上位型 魔号機人”を求めてここに来たのだった。
人間は信用できない。これは彼女が歩んできたこれまでの人生で得た一つの回答・・・
故に絶対に彼女を傷つけず、脅威から守り、裏切ることのない戦士を求めて・・・・・・
憎悪の対象であるあの男と同じモノを使わざる得ないのは腹立たしいが、手段は択んでいられない。
『なるほど・・・ですがほとんどの魔号機人はフタツキか香蘭を主と仰いでいますから、敢えて貴女に渡せる魔号機人は・・・・・・』
「あるよ♪しきみちゃんの妹ちゃんを守ってくれる守護者はあるんだよ」
二人の会話に乗るように弾んだ声を上げるのは、女 魔戒法師 香蘭であった。
香蘭の姿を見て、綾目 しきみは内心動揺していた。言うまでもなく一番厄介で信用のならない相手に目を付けられてしまったからだった。
『香蘭。ほとんどの魔号機人は貴女とフタツキが起動させています。まだ残っているのは・・・』
魔号機人 刈は現在、封印指定している肆号の存在が浮かんだ。
『まさか、あの肆号 魔号機人 獅子王を動かすのですか!?』
「そうなんだよね。獅子王は香蘭ちゃんの最高傑作の一つなんだよ、事実、刈もその結果は身をもって知っているよね」
『あの魔号機人は動かすべきではない。アレは魔号機人の枠を・・・魔導具の枠を超えかねない存在』
事実、肆号 魔号機人は当初の想定以上の結果を出したのだ。しかしながら、その能力はあまりにも危険極まりないモノであった。
「そこなんだよ。魔号機人は言っちゃ悪いけど機械仕掛けの亡霊でしかない存在なんだよね~。それに魔導具だから使用者には絶対服従・・・魔導具としては正しいと言えば正しいんだよね~~」
一呼吸おいて香蘭は、自身の最高傑作について語った。
「魔号機人 獅子王は、他の魔号機人以上に人間に似せて作ったんだよ。皮膚、髪の質、息の匂い、生物に求められる全てを持ち、金属骨格は他の魔号機人以上に精密で強靭。ここまでだったら、他の魔号機人よりも出来が良いだけなんだけどね」
舞台役者のようなしぐさで自身の頭脳を指さす。
「一番はここの出来が他の魔号機人とは違う特別性。なんだって、記憶を乗っけただけじゃなくて人間の頭脳を完璧に模した魔導具を積んでいるんだよ。故に人間と同じように悩み、考え、結論を出す。だからこそ、創造主の思惑を超えた結果を出せるんだよ!!!」
他の魔号機人は判断こそ迷う時があるが、その場で最も合理的な判断を下す。
故に悩み、考え抜くことがないのだ。
それは、結局は魔号機人が魔導具の域から脱せない、またはそれらの限界を物語っていた。
「待ちなさいよ、じゃあ、あんたは人間の頭脳サイズまでに纏めた量子コンピューターを人工知能を作ったっていうわけ?」
綾目 しきみも一般常識として量子コンピューター所謂スパコンの概要はあらかた知っており、人間の頭脳は電気信号による現象が起こっていると・・・だが、人間の思考を完全に再現するとなると複雑怪奇なプログラムになりさらにその規模はかなりのものになる。
完全なる人工頭脳。世界中の技術者、科学者が求める結果を香蘭は出していたのだった。
『故に私に反抗したわけですか?香蘭、アレはこのまま封印すべきでしょう。もしも事が済んだら、貴女と私を滅ぼしに来るでしょう』
起動した際に自身の命令に反抗し、さらに想定以上の戦闘能力を見せたことを・・・香蘭曰く、まだまだ成長できるとのこと。手に負えなくなったらどうするのかと問うが・・・
「それだよ。香蘭ちゃんの最終目的はまさにそれなんだよね。全てを超えうる意思を持った存在の創造。故に創造主を打倒するぐらいの気概がなければ、単なる道具の製作者どまり・・・創造主になるには、創造物が自身の意思を・・・持つ存在じゃないといけないんだよ!!」
『そういうことですか・・・私は少し俗な思考に染まっていましたね。貴方の求める創造主へ至る道。創造物が貴女を打倒してこそ、その存在は確固たるものになり、貴女はそれを生み出した創造主として未来永劫君臨することが叶うわけですね』
「あはははははは。そうだよ!!!香蘭ちゃんの作品はそう来なくちゃいけないんだよ!!!獅子王はその資格を持っているだからこそ、しきみちゃんに授けるよ」
香蘭はトランク形態で待機している魔号機人 獅子王を彼女に手渡すのだった。
魔号機人 刈は香蘭の考えに共感し、自身の思考を改める。
香蘭の思想には、常人の理解は及ばない。だが・・・
(自分の創造主を・・・生みの親を打倒してこそか・・・私はそれを叶えられなかった)
自分を生んだ”あの女”を屠ることに人生の目標としていたが、今はそれすらも叶わない。
結局は自身は認めたくはないが、フタツキ達の同類であった。
また、いかなる犠牲を払ってでも願いを叶えようと動いている志筑仁美と何も違いなどない。
綾目しきみを見送った後、魔号機人 刈は改めて香蘭に問いかける。
『しかしながら、あの肆号 魔号機人の封印を解いたのは今更な気がしないでもないのですが・・・』
「この間さ、神浜に香蘭ちゃんイベントを見に行ったよね~~。その時に妙なのを見かけちゃったんだよ。ついでに香蘭ちゃんを追ってきた坊ちゃんな天才くんも」
神浜市に行った時、何かあったようだった。
故に魔号機人 獅子王を起動させる適当な理由を探していたのが本音なのかもしれない。
魔号機人 獅子王が最高傑作には変わりはなく、いつかは自身を討滅しに来る日が待ち遠しくも思えるのだった。
真実は、神浜市に居る何かを魔号機人 獅子王を使ってどうにかしようとする事であった。
それだけの力を魔号機人 獅子王は秘めている。
「魔号機人 獅子王。君が神浜で何を学び、何を得るのか非常に楽しみだよ。君の可能性は計り知れない。それこそ、香蘭ちゃんの想定を超えることが」
熱の籠った視線をかつて自身が神浜で見た展覧会”ヴァリアンテ国 サンタ・バルド展 光の騎士の軌跡”のパンフレットを魔法衣の袖より取り出した・・・・・・
綾目しきみは、香蘭曰く最高傑作の魔号機人 獅子王のトランクを姉妹の一人である環 いろはの自宅、彼女の部屋に置いてきた。
アスナロ市と環 いろはの住まう街は意外と近い位置にある。特急などの交通機関を使えば一時間弱で来ることが可能である。
また見滝原、神浜市への直行便も存在している。
自身を忌み嫌う妹の家に勝手に入ることに罪悪感を覚えるが、彼女の力として魔号機人 獅子王を渡す。
魔導具でありながら確固たる意思を持ち、反乱さえ起こしかねない危険すらも持っている。
だからこそである。妹のいうことだけを聞く道具では彼女を支えられない。
もしも彼女が道を踏み外しそうになった時に支えられる。間違った選択をした時に止められる存在でなければならない。
従順な魔号機人を求めておいて、今更ながらの手のひら返しに苦笑しつつも彼女はトランク形態の側面についている髑髏の装飾品に問いかける。
「妹が来たのなら、彼女に必ず声をかけなさい。そして彼の名を呼べと」
『承知した。獅子王には我から言っておこう。魔導輪 シンバの誇りに誓って』
魔号機人 獅子王付きの魔導輪 シンバが綾目 しきみに応えた。
「頼りにしているわ。もしもだけど、あの子が周りに不幸を齎すようだったら、その時はその時で見限っても構わない。貴方達の意思を尊重する」
妹として大切にこそは思っているが、甘やかすつもりはなく、それなりに厳しくも間接的に接するようだった。
『そうか・・・それだけ大切に思っていても、受け入れられなくとも背中を押すか・・・いつかは分かってくれることを我が願っても構わぬか?』
「・・・・・・・・・」
何も言わずに振り返らずに綾目 しきみは去っていった。
シンバは、彼女の気持ちは自身の胸の内にだけ留めておき、部屋の主の帰りを待つのだった・・・
次回より本編主人公の登場。
時系列は、志筑仁美が見滝原中学校を襲撃する前です。
アスナロ市から明良 二樹らが見滝原にやってきています。
マギアレコードの時期って多分、まどマギ本編の出来事が起こっている状況ですよね
しきみちゃんは、妹達に嫌われてるけど彼女自身は嫌われてもいいから自分みたいなエゴの塊にはなってほしくないと思い、やりたいようにさせるという感じです。
自身は目的を邪魔してくれたあの青年への復讐に走っているので、結局は自分自身の望みを優先させていることに軽く自己嫌悪。
以前、呀の感想で頂いたのですが、綾目しきみの倫理観はかなりまともと指摘がありましたが、感想の通り彼女は手段こそは択びませんが倫理観はかなりまともです。
あの某少年とは、それなりに仲が良いのが唯一の救い・・・
容姿は美人に入りますが、忌み嫌う母親と同じなため、損をしております。
ちなみに香蘭は、神浜市で某閃光騎士の家系であるあの人を見かけました。
さらには、他にも色々察しているようです・・・・・・