忍びが転生したら〝異世界珍道中〟になった件 作:にゃんころ缶
※作中に出て来る、京言葉の――
〝かなんなぁ〟は、困ったなぁとかを意味します。
――時を少し戻そう――
ツキハが戦いの場を別の場所に移した後。
リムル達は〝七曜〟仕掛けていた、大規模殲滅魔法陣に囚われていた。
ベニマルの業火を
「黒炎獄――ッ!!」
「
だがしかし。
それらは〝七曜〟達に届く前に、
響くは、〝七曜〟達の高笑いのみ。
『無駄よ! 無駄無駄無駄無駄。この魔法陣は、聖なる属性以外、何物も破る事
『クハッハッハッハッ。愚かなり、哀れなり、実に
(ムカァ――ッ! ほんと、
リムルの怒りが頂点に達しようとした時。
ふとコハクに目をやったリムルが見たものは、完全にキレているコハクの顔だった。
その余りの迫力にリムルは、ヤバくね? と自問自答していると、無情にも『
《告。ここにいる全員の、即時避難を推奨します》
『あ、うん。そうだね……』
その言葉に、素で答えてしまうリムル。
しかし、そんなリムルの怒りとヤバくね? を吹き飛ばすかのように、シオンが突撃して来た。
「ヤカマシイ! そんなもの、この私の〝剛力丸・改〟の前には無意味!!」
猪突猛進!
何も考えていないかの如く全力で〝七曜〟に斬りかかるシオン。
普通に見れば馬鹿そのものだが、シオンは一味違った。
『フハハハハハ! 愚か者め、そんな剣で何が――!?』
嘲笑う〝七曜〟の前の空間が、まるで風景を映した巨大な鏡が真ん中から割れてズレた様にピシリと音を立てて、空間に小さなヒビ割れが走っていく。
『こ、これは、まずい!』
『い、いかん。このままでは魔法陣が崩壊する!?』
『やむを得ん! このまま放つぞ!!』
非常識なるは、シオンの攻撃。
属性などまるで関係のない、力任せの一撃であった。
(あれは――)
《解。ユニークスキル『
(ハハッ、事象を書き換えただと? 本当にシオンは出鱈目なヤツだよ。敵に回すのは勘弁だよなぁ)
《告。可能性は低いとはいえ、個体名:シオンの攻撃は
『え? マジですか?』
《告。その通りです》
(あぁー、あれだ、シオンを怒らせるのは、
《告。攻撃が来ます》
リムルが何で? と『
『ヤバッ、こんな事考えてる場合じゃねえ! どうする?――』
《告。問題ありません。魔法陣は既に解析済です》
『え? あ、はい』
またもや素に戻って返事をするリムル。
(あの魔法陣、かなり複雑そうなんだけど、本気になった
不穏な気配を感じたリムルはコハクに目を移すと、呪符を取り出したコハクが左手指に挟んで今にも起動させようとしているのを、目配せと、首を小刻みに左右に振って〝駄目〟と訴える。
(何で俺の周りにいる女性陣は、最終兵器並みに怖いのが多いんだよ……)
そんなバカな事を考えていると――
『『『死に絶えるがいい!
三者の声が重なり、大規模殲滅魔法が発動された。
目も
《告。
そう『
雨のように降り注ぐ光る殺戮の矢は全て、『
(いやいや、自分言うのもなんだけど。この力を全開にすると凄まじいな。あぁ、目の前の聖騎士達の目が丸くなってるし。まあ、そうなるよね普通。コハクは……っと、凄い不満そうに呪符を仕舞ってるじゃないか、どんだけ撃ちたかったんだよ! で、んん……? ちょっと待て待て待て――)
リムルは周りの者達を見ながら、何かおかしい事に気付く。
(おいおいおい、『
《解。確かに『
『はああっ? バックアップだあ? でさ、何で過去形で言うんだよ。そうなら最初から言えよな! もう、使えなくなったと思ってたんだぞ』
リムル怒りの抗議を、華麗に受け流す『
そこへ。
《告。霊力反応の上昇を感知。本命の攻撃が来ます》
『なっ! 今のが本命じゃなかったのか』
リムルが〝七曜〟達を見ると。
『『『滅べ、魔王よ! 〝
(やっべ! 流石にあれは『
《告。問題ありません。
『なんと、流石だな
ここでまたも違和感に襲われるリムル。
だが『絶対防御』は、そんな事お構いなしに発動された。
(この感じは……)
最大限まで『思考加速』をかけるリムル。
そして、リムルの皮膚を薄皮一枚分を、無色透明の膜が被うような感じをリムルは感じる。
リムルの足元から立ち昇る何ものも滅する光の柱、〝
だがそれは――『絶対防御』の前に完璧に防がれた。
(これ、今初めて使ったよな……?)
『思考加速』をかけているのを幸いに、リムルは『
『なあ、何でヒナタの攻撃の時使わなかったんだ? これだったら防げたんじゃないのか?』
そう問うリムルに、『
《解。
『……完璧主義にもほどがあると思うよ、
当然のように言い、更に『
魔素を構成する特殊な粒子、〝霊子〟。
その〝霊子〟の粒子運動を予測するのは、大変困難だと言う。
時間と空間を無視した粒子運動をするらしく、あらゆる
その不規則な粒子運動を司る乱数位相――
〝霊子〟が自然転移する法則性を看破せぬ限り、『絶対防御』といえども貫通すると、『
だがしかし今、リムルの『絶対防御』は、〝
『なるほどねぇ。それで〝霊子〟の粒子運動を完璧に予測したと?』
《解。個体名:ヒナタの攻撃――
『ふーん……。ツキハがヴェルドラに使ったあの技のエネルギー粒子ねぇ。あれなぁ、って、ん? ちょっと待って。ちょーーーっと待て。ヒナタの技を獲得しただと? てぇ事はだ、あの時ヒナタの剣をワザと受けたという事なんじゃ……?』
《……》
《おい! またダンマリかよ、この野郎!?》
(しまった! みたいな反応しやがって全く……。もうこれ、答えないのが答えになってるよな。でもなぁ、うーん……
《解。当然です。大量に
『へえー……。じゃあさ、お前何で焦ってたんだよ? まさか、
《……》
『おっと、またダンマリですか?』
(この野郎、段々と受け答えが高等になってきやがってるよ。はぁ、人間らしくなってきたというか、腹黒になってきたというか。既に自我があると言われても、俺は素直に信じられる気がしてきたぞ)
心の内で溜息を吐きつつ、魔王に進化してからの『
(これ、あれだ。確かに、俺が望んだ事なんだろうな。あの攻撃に耐えるようになりたいとか、あの技を使えるようになりたいとか。その一瞬の願いを汲み取り、即座に実行に移したとしか思えないな)
リムルの口端が上がり笑みを漏らし、この反則級の力を得た自分に、何かを確かめるように思う。
(だとしたら、何てふざけた超絶反則級の能力なんだ。俺には勿体なさすぎる力だ――)
《否。私は、
『即座に否定しやがった。ははっ、ありがとよ。今後も頼むぜ相棒! けどな、なるべく秘密はなしでお願いします。いや、本当に』
こうして引き伸ばされた時間の中での、リムルと『
現実世界では一瞬の出来事。
リムルとの会話の中で『
そう、ツキハとコハクに――
自分の存在がバレているであろう事を……。
『馬鹿なぁ、そんな馬鹿な事がぁーーー!?』
『ありえぬ、絶対にありえぬ! そんな馬鹿な話はありえぬのだ!!』
『この世に、
(まあ、お前達の敗因は、俺を、というか――
口々に訳の分からない事を言ってる〝七曜〟達を尻目にリムルは、口を開く。
「さて、と。今度は、こっちの番だな」
リムルがそう言うと、ベニマル、ソウエイ、シオンが静かに
「ご自慢の魔法陣も消えたようだが、果たして今度もこれに、耐えられるかな?」
そう言ったベニマルの手の平を上に向けた右手には、黒炎が揺らめいていた
『『『くっ……』』』
逃げ場もない、打つ手も失った〝七曜〟達は、ただただ言葉を失う。
『逃がさんぞ、ゴミ共が。覚悟を決める準備は、出来たか?』
恐ろしい笑みを浮かべシオンが、獲物を見定めるように言い放つ。
ソウエイは無言だが、研ぎ澄まされた殺気が〝七曜〟の動きを、縛っていく。
三獣士たるアルビスとスフィアも、聖騎士達を
そしてコハクは、いつの間にか立ち上がっていて、ある一点を見詰めていた。
(ん? コハクはどこを見てるんだ? 〝七曜〟のジジイ共じゃないよな。その近くの
空間か?)
訝し気にコハクを見るリムルだが、一箇所に追い詰められた三人の〝七曜〟が、こんな状況になっても、まだ諦めていないかの様に声を上げて来るのを、うんざりした表情で見る。
『良く考えるがいい! 我等は力無き人類の守護者ぞ! そんな我等を
『その通りぞ! 神ルミナスの怒りが、貴様達を焼くであろう!――』
「しょうもな。やるなら、さっさと焼いてみなはれ」
『『『なにっ!?』』』
コハクは〝七曜〟達を見ず、ある一点を見つめたまま吐き捨てる。
それでも〝七曜〟は虚勢を張る。
『だが、今回は我らが引く。魔王リムルが悪ではないとわかった今、西側諸国にも上手く話を運ぶとしよう。今後は良き隣人として――』
(またそれかよ。何でこういうヤツらって、不利になると直ぐに〝良き隣人として〟とか言いだすんだ。いい加減、鬱陶しいわ! もういい、終わらせるか)
そうリムルが思った時――
「――魔王リムルよ、迷惑をかけたようじゃな」
リムル達がいる空間の周辺に、凛として涼やかな声が響き渡った。
「ようやく来ましたな、神ごっこの好きな吸血鬼女が」
「え!?」
コハクがボソッと呟いた言葉にリムルが驚いていると。
いきなり空間が裂けて、巨大な門が周囲の空間を押しのけて出現する。
そして開かれた門からは、美しい少女が現れた。
特徴的な銀髪と
魔王バレンタインがやって来たのである。
『げ、げげえっ!!』
『あ、あ、貴女、貴女様は――ッ!?』
『な、何故です。何故貴女様が、このような場所へ……』
心底怯え跪く〝七曜〟達。
この光景を見て見てリムルは。
(ああ、そうだよな、神ルミナスの正体は魔王バレンタインだ……)
やっとその事実を悟り言葉を失うリムル。
そこへ、そんなリムルの顔を察したのか、コハクが『思念伝達』で話しかけて来た。
『なあリムル』
『何だい、コハク』
『まさかと思いますけど。あんさん今の今まで、神ルミナスの正体に気付いてなかったとか言うんやありまへんやろな?』
『え? いや、あ、はい……』
『かなんなぁ。これやったら、神ルミナスの正体を売りつけとくんやったわ。知らんなら、知らんと、はよ言ってや。ツキハが、多分気付いていないから情報を売りつけろと
『あ、はい』
『大体やなぁ。魔王ルミナス・バレンタイン、神ルミナスで答え合わせ出来とるやおまへんか。せやろ?』
『はい、おっしゃる通りです』
『まあ、よろしおす。ほんまもうけ
呆れたような声でコハクは『思念伝達』を切った。
いや あれだ 何んとはなく 気付いていたんだよ?
コハクの言動からとか。
うん あれだ 何という巧妙な罠 なんつって。
《……》
先生 今溜息を吐きましたよね?
《……》
先生 本当に感情があるみたいになってません?
《キノセイデス》
つかっ 何でカタカナ言葉になってんだよ! おい!?
《気のせいです》
うん 全然 気のせいではないです
《……》
だから そこで ダンマリはやめよう ね?
…………
……
あら 先生
先生? おい!? 頼むから返事しよ?
おーーーーい
そこから暫く『
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